女性の熟年離婚|その後の生活が悲惨?

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女性の熟年離婚

離婚後の生活が心配で、熟年離婚を迷っている女性も多いのではないでしょうか。

確かに、準備が不十分なまま離婚してしまうと、こんなはずではなかったと後悔を抱く可能性はあります。

しかし、熟年離婚で幸せな人生を手に入れる女性も多いということは間違いありません。

女性が熟年離婚で後悔しないためには、離婚前の対策が重要です。

この記事では、熟年離婚をした女性がその後に後悔する点や、熟年離婚によって得られる幸せ、熟年離婚にどのような対策が必要かについて解説します。

女性の熟年離婚の末路は悲惨?

お金が足りない

熟年離婚後に後悔する人が多いのが、お金の問題です。

長年専業主婦だった方や、パート・アルバイトとして働いていた方は、手元に十分な離婚資金がなかったり、離婚後の生活費の目途が立たないことも多いでしょう。

年金分割を受けるにしても、生活を支えられるほど大きな額にはならない可能性が高いです。

子どもの家に住まわせてもらったり、仕送りをしてもらうことができるかもしれませんが、同居や仕送りを求めることで子どもとの関係が悪化してしまうのは望ましくありません。

一人暮らしは寂しい

熟年離婚の場合、子どもが独立しており、離婚後は一人暮らしになる方が多いでしょう。離婚後に一人暮らしが寂しいと感じる方もいます。

特に子どもがいない方や、離婚によって子どもと疎遠になってしまった方は、家族としての繋がりがなくなってしまいます。

家に話し相手がいないというのは、思いのほかメンタルに悪影響を与えます。

介護や看護をしてくれる人がいなくなる

結婚していれば、老後も互いの面倒を見ることができますが、離婚後は介護や看護をしてくれる人を自分で見つけなければいけません。

子どもに頼むのが自然ですが、両親が離婚している場合、子どもは別々の場所で父母の世話をすることになり、大きな負担を抱えます。また、子どもが遠方にいる場合、簡単に頼ることはできません。

デイサービスや老人ホームを利用するにも費用がかかるため、熟年離婚には生活面や金銭面での不安がつきまといます。

女性が熟年離婚で得られる幸せ

夫から解放される

夫と離婚すれば、長年の我慢から解放され、自分らしく生きることができるでしょう。

たとえ離婚をして生活水準が下がっても、夫と暮らさなくていいのなら構わない、離婚してよかったと感じている方は多いようです。

また、夫の親戚付き合いからも解放されますし、夫や夫の両親の介護をしなくて済むのもメリットです。

新しい恋愛ができる

熟年離婚をした方にも、まだまだ新しい恋愛のチャンスはあります。子どもが独立していれば、再婚のハードルはより低いでしょう。

2021年の人口動態調査によれば、結婚する夫婦のうち4組に1組は、夫婦のどちらかまたは両方が再婚です。事実婚を選ぶカップルも存在するため、実際はもっと多くの人が新しいパートナーを得ていると考えられます。

一度離婚を経験したからこそ、充実した恋愛ができるのではないでしょうか。

自由な時間が手に入る

離婚前は、家事や夫の世話に追われて自分の時間を持てていなかった方も、離婚すれば自由な時間を手に入れることができます。過ごし方や時間の使い方に口出しされることもなくなり、自分のやりたいことをできるようになります。

ゆっくり休むのもよいですし、趣味や仕事など、夫がいたらできなかったことに打ち込むのもよいでしょう。

熟年離婚後の人生を充実させるには?

趣味に打ち込む

趣味は人生を豊かにしてくれます。

離婚前は夫を気にして趣味の時間を取れなかった方も多いでしょう。今までの趣味により時間を使うことも、新しい趣味を見つけることもできます。

1人で楽しむのもよいですし、習い事を始めたり、サークルやボランティアに参加するのもよいでしょう。

仕事やパートをする

自分で仕事をして収入を得ると、生活が安定するだけでなく、自信につながります。

また、職場というコミュニティに属し、人とかかわりを持つことも重要です。困ったときに頼れる人や、悩みを相談できる相手を見つけておけば、安心して過ごすことができます。

出会いを見つける

離婚歴のある方を対象とした出会いの場は増えつつあります。たとえば、以下のような機会に新しいパートナーを見つけることができるかもしれません。

  • 趣味や仕事の仲間
  • 結婚相談所
  • 婚活パーティー
  • マッチングアプリ
  • 友人の紹介

もちろん、恋人を作ったり再婚をすることだけが、離婚後の幸せではありません。一人で過ごす時間が何よりも大切だと感じる方もいます。

恋愛は、離婚後の人生を楽しむための選択肢の一つであるといえます。

健康を維持する

健康でなければ、自由な時間があっても楽しむことができません。

健康を維持するためには、規則正しい生活を送り、適度な運動を行うことが大切です。趣味や仕事は、こういった習慣を助けてくれます。

また、体調に異常があったら早めに医療機関を受診し、通院を怠らないようにしましょう。離婚して引っ越す時に、通いやすいところに病院があるかを確認するとよいでしょう。

熟年離婚で悲惨な末路を辿らないために

最大限の財産分与を受け取る

熟年離婚で最も注意が必要なのは、お金の問題です。離婚後に経済的に苦しくなってしまうのを避けるため、財産分与は最大限に請求しましょう。

財産分与とは、婚姻中に夫婦が協力して築いた財産を離婚時に公平に分け合う手続きです。

財産を分け合う際の割合は、夫婦が自由に決めることができます。多くの場合は2分の1ずつと定められますが、財産を渡したくない夫との間で、財産分与の割合に関する争いが起きる可能性があります。

また、どの財産を財産分与の対象にするかによっても、財産分与で受け取れる財産は大きく変わります。夫が財産を隠している可能性も捨てきれません。

離婚後の生活を安定させるためには、離婚時にしっかりと財産の調査や話し合いを行い、財産分与を受け取ることが重要です。

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熟年離婚・定年離婚の財産分与を成功させるためのポイント

年金分割の手続きを忘れずに

年金分割とは、離婚した夫婦が婚姻期間中に納めた厚生年金・共済年金の保険料を分割して、それぞれに分け合う制度です。婚姻期間中に、社会保険の第3号被保険者である期間があった方が対象となります。

年金分割の手続きを行えば、将来受け取る年金の額を増やすことができます。婚姻期間が長いほど対象となる年金も多くなるため、熟年離婚をする女性にとっては、特に年金分割が重要です。

年金分割の手続きは、離婚後に年金事務所に出向いて行います。忘れずに手続きをしておきましょう。

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離婚後の生活設計は慎重に

熟年離婚後に後悔しないためには、離婚後の生活設計について離婚を検討する段階でしっかりと考えておく必要があります。

離婚後の生活費を試算してみましょう。

令和4年度の家計調査年報によると、65歳以上の女性単身世帯の1か月あたりの支出は148,971円となっています。

一方、年金分割を受けた人が受け取る平均年金月額は87,949円となっており(令和4年度厚生年金保険・国民年金事業の概況より)、年金だけでは生活費が月61,022円不足します。

専業主婦の方は、離婚時の貯金や財産分与でこの赤字を補うことはできるでしょうか。

仕事を始める必要がある場合、どこでどんな仕事をすればよいでしょうか。

職歴がなかったり、ブランクがある方は、すぐに仕事を見つけるのが難しいかもしれません。離婚前から仕事探しを始めたり、資格を取得したりして備えるのもよいでしょう。

また、離婚後の住まいについても考える必要があります。新しく家を借りるのか、今の家に住み続けるのかを決めなければなりません。

自分の収入や年金、財産分与では生活していけないと分かったら、離婚以外の選択肢も検討してみましょう。

例えば、卒婚や別居という選択肢もあります。籍を残したまま卒婚や別居をすれば、夫に対して婚姻費用(生活費)を請求することができるため、経済的には安心して暮らせます。

様々な選択肢のメリットとデメリットを比べた上で、離婚の決断を行いましょう。

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熟年離婚は弁護士に相談!

熟年離婚で悲惨な末路を迎えないために、弁護士は様々なお力添えが可能です。

法律相談に財産の資料を持っていけば、財産分与の額がどのくらいになるかなど、具体的な見込みを聞くことができるでしょう。離婚後の生活設計を立てるためにも役立ちます。

弁護士に依頼すれば、財産の調査・評価や交渉を任せることができ、自身の負担を減らしながら、よりよい結果を目指すことができます。

また、夫との交渉に不安がある方や、調停・裁判を検討している方も、弁護士に交渉を任せれば安心です。

熟年離婚を考えている方は、一度弁護士の相談を利用してみてはいかがでしょうか。

岡野武志弁護士

監修者


アトム法律事務所

代表弁護士岡野武志

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高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。

保有資格

士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士

学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了