M&Aの失敗事例は約7割?M&Aの難しい点とは?実例は?

  • M&Aの失敗事例とは?
  • M&Aは難しい?失敗事例は全体の約7割?
  • M&Aを成功させるには?失敗事例にならないための対策とは…

この記事は、現在、会社売却やM&Aを検討されている中小企業の経営者の方などを対象に、M&Aの失敗事例、失敗の原因、M&Aを成功させるための対策などを解説していきます。

ぜひ最後までご覧ください。

M&Aは難しい?失敗事例の確率は?

M&Aの失敗事例とは?

M&Aの失敗事例としては、M&Aをこころみたものの、M&A成約まで至らなかったケースがあげられます。

また、M&Aの成約ができた場合でも、予想に反して利益が得られなかったケースも、M&Aの失敗事例ということができるでしょう。

M&Aの7割が失敗事例?

M&Aが失敗する原因のひとつに、後継者不在という問題があります。

東京商工リサーチのデータでは、2023年の後継者不在率は、61.09%で、はじめて60%を超えたという結果がでました。

また、ちまたでは、M&Aの失敗率は約7割ということがよくいわれています。

これは一説には、2013年に実施されたデロイトトーマツコンサルティング株式会社の「M&A経験企業にみるM&A実態調査(2013年)」に由来するものといえるでしょう。

すなわち、この調査では、M&Aの成功を目標達成度が80%を超えることと定義した場合に、M&Aの成功率は36%(約3割)、失敗率は64%(約7割)という結果がでています。

ですが、M&Aはデメリットばかりではありません。

後継者問題を解決できたり、新規事業のための資金やリタイア後の生活資金を獲得できるメリットがあります。

M&Aの失敗事例から教訓をまなんで、成功を目指すことがポイントです。

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M&Aの失敗事例①相手探しで失敗

M&Aの相手探しが難しい理由

M&Aの相手探しは、M&Aの成功確率を大きく左右する重要なステップです。

しかし、以下のような理由から、適切な相手を見つけるのは容易ではありません。

M&Aの相手探しでの失敗(一例)

  • M&A対策に動き出すのが遅い
  • 効率良くM&Aの相手探しができていない
  • 企業文化の違いなどでM&Aが難しい

M&A対策に動き出すのが遅い

中小企業の多くは、経営者が60歳を過ぎても、後継者が不在である割合が多いといわれています。

ですが、M&Aをおこないたいと思ったときにすぐ後継者候補が現れるとは限りません。

いつかは後継者が見つかるだろう、自分はまだ元気だから会社は大丈夫といったような楽観的な考え方では、いざという時に困ることもあります。

後継者候補を探しているうちに、経営者が逝去されてしまい、内紛によって企業の活気が失われ、廃業となってしまうケースもあるのです。

効率良くM&Aの相手探しができていない

親族や社内に後継者候補がいないから、M&Aによる第三者承継について早々から取り組んでいる場合もあるでしょう。

しかし、効率良くM&Aの相手探しができなければ、時間ばかりが経過していってしまいます。

またM&A仲介会社と契約を締結する場合、月額報酬を請求されることもあり、コストが多額にのぼることもあります。

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企業文化の違いなどでM&Aが難しい

やっと巡り会えた買い手候補であっても、企業文化の違いなどでM&Aが難しい場合もあります。

TOP面談において、経営ビジョンが共有できない相手や、ビジネスマナーに疑問がある相手の場合、その後交渉を継続しても、M&Aを上手く進められない可能性が高いでしょう。

M&Aの相手探しで失敗しないための対策

M&Aを成功させるには、早期にM&Aの相手探しを始めるとともに、M&Aの相手探しの媒体についても検討するという対策が必要です。

地域の商工会議所や銀行に相談している場合は、M&Aの相手がその地域に限定されてしまい、買い手の候補者の母数が限定されます。そのため、全国規模でマッチングができるM&A仲介業者の利用も検討してみると良いでしょう。

ただし、M&A仲介業者のなかには、月額報酬がかかるところもあるので、手数料については要確認です。

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M&Aの失敗事例②交渉で失敗

M&Aの交渉が難しい理由

M&Aの交渉では、M&A価格(買収価格)や支払い条件など、さまざまな要素について合意する必要があります。

しかし、以下のような理由から交渉が難航し、失敗につながるケースがあります。

M&A交渉の失敗(一例)

  • M&Aの価格設定が難しい
    例)企業価値が低かった。DDで問題が発覚。
  • 信頼関係の破壊
    例)情報漏洩。
  • 交渉経験の不足・契約書の不備
    例)必要な条件を提案できていなかった。

M&A価格の設定が難しい

売り手側はM&Aの価格をより高額に設定しようとする一方、買い手側はより低額でM&Aを実行したいと思うものでしょう。

企業価値に対する評価は売り手側と買い手側で対峙するものです。

収益力があり、他社にない強みがある企業の価値は高いものです。また、需要が高ければ、M&Aの価格も高額に設定しやすいものでしょう。

一方、負債が多い、需要が低いといった場合には、M&Aの価格を高額に設定することは難しいかもしれません。

また、デューデリジェンス(買収監査・DD)において、会計・税務・法務などに何らかの弱点が発覚した場合も、M&A価格を高額にすることは難しいでしょう。

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信頼関係の破壊

多くの場合、M&Aについての情報は、最終契約の締結までは口外を禁じられます。
情報漏洩は、社内外の不安をあおります。

ひいては、M&Aの買い手側の信頼を破壊してしまうことにつながり、M&Aの失敗につながるリスクがあります。

また、自分勝手な交渉も、M&Aの相手方との信頼関係を破壊してしまい、M&Aの失敗につながります。

M&Aの条件がほぼ固まった時点で、それを反故にするような提案をして、信頼関係が破壊されることもあります。

譲れない条件については、タイミングを見計らって提案しておくことが重要です。

交渉経験の不足・契約書の不備

M&Aの交渉経験が不足している場合、有利に交渉を進めることは難しいかもしれません。

M&Aの交渉は、売却価格だけではありません。

手元に残しておきたい資産があったのに、その旨を買い手側に告げるのが遅くなり、後出しジャンケンになった場合、買い手側が譲らない可能性はあります。

また、雇用の維持、会社の形態の維持、個人保証の解除など、売り手側が重視したい点についても、契約書に落とし込んでおかなければ、譲受側に遵守させることが難しいものです。

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M&Aの交渉で失敗しないための対策

失敗事例にならないためには、M&Aの実務経験のある専門家に相談・依頼をするといった対策が考えられます。

M&A仲介会社や、ファイナンシャルアドバイザーの無料相談を受けてみるという方法があります。

また、企業価値評価(バリュエーション)については、公認会計士が得意とするところでしょう。

また、M&Aの情報サイトなどでも、交渉のコツなどを紹介されています。ご自身でも、M&Aの実務に関する情報収集や研究を怠らないことが大切です。

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M&Aの失敗事例③クロージングで失敗

M&Aのクロージングが難しい理由

M&Aのクロージングは、M&Aの最終段階です。

M&Aを実行するための条件を達成する必要があります。

売り手側としては、以下のようなクロージングの条件を達成できないことで、M&Aの失敗につながるリスクがあります。

クロージングの失敗(一例)

  • 株主総会の特別決議での承認
  • キーマン条項の遵守
  • COC条項に関する遵守事項

株主総会の特別決議での承認

たとえば、株式譲渡によるM&Aをおこなうとします。この場合、株式を譲渡する側は、効力発生前日までに株主総会の特別決議による承認を受ける必要があります。

キーマン条項の遵守

また、クロージングの条件として、キーマン条項が締結されることがあります。

キーマン条項とは?

事業を継続するうえで重要となる特定の役員や従業員に、M&A後も残ってもらうことを確約させる条項。

キーマン条項が締結された場合は、キーマンとなる役員や従業員をつなぎとめることができて初めて、M&Aの成約にこぎつけることができます。

COC条項に関する遵守事項

COC条項とは、経営陣が交代すれば取引解消可能といった内容などの取り決めのことで、売り手側とその取引先との間で締結していることがあります。

この場合、M&Aを実行すれば、売り手側の経営者が変更になるので、取引先から取引を打ち切られる可能性があります。
そのため、買い手側は安心してM&Aを実行できません。

そこで、クロージングの条件として、売り手側が「M&Aを実行しても取引条件を維持すること」について取引先の承諾をとることを義務付けるという規定をもうけることがあります。これがCOC条項に関する遵守事項です。

もし、売り手側が取引先から承諾を得られなければ、M&Aが中止になる可能性もあります。

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M&Aのクロージングで失敗しないための対策

このようなクロージングでの失敗を防ぐためには、関係者とのコミュニケーションを十分にとることが必須です。

そして、適切な時期に、M&Aについて関係者に十分な説明をおこない、理解してもらえるように手を尽くす必要があります。

ここまで見てきた以外にも、M&Aで失敗しやすい点はあります。M&Aの注意点については「M&Aにおける注意点とは?会社売却側・買収側のリスクや確認事項を解説」の記事でも紹介しているので、併せてチェックしてみてください。

M&Aは買い手の方が難しい?譲受企業の失敗事例3選

費用対効果が見合わない

買い手側の失敗事例としては、M&A価格を見誤ることで、ねらった費用対効果が得られないケースが考えられます。

すなわち、費用対効果が得られないというのは、投資した金額を回収するのにかなりの時間を要したり、結局投資金額を回収できなかったりといった事態に陥るリスクがあるということです。

M&A価格で失敗する原因

買い手側がM&A価格を見誤るケースとしては、ひとつには、どうしてもM&Aを成約にもっていきたいと思わせるような動機付けがある場合をあげることができます。

M&A成約の動機付け

  • 自社以外にも複数の買い手企業の候補がいる場合
  • 譲渡側企業に高い価値を見出している場合
    etc.

このような場合、M&A成約を目指したいがため、売り手側の収益力に見合わないM&A価格に応じてしまうということがあり得ます。

のれん代の評価額で失敗

また、M&Aの価格で評価が難しいのは、のれん代です。

のれん代について適切な評価ができなければ、減損損失として計上しなければならないリスクがあります。

のれん代とは?

のれん代とは、M&Aの買収価格と、売り手側企業の純資産額の差額のこと。
技術、ノウハウ、商標権などの無形資産を評価する場合に、のれん代が評価される。

減損損失とは?

減損損失とは、企業が保有する資産の価値が、当初取得した価額よりも下落した際に計上する損失のこと。
減損損失は、将来その資産から得られる収益が当初見込んでいたよりも少なくなると判断された場合に発生する。

M&A後に、買収側企業がのれんの減損損失を計上した失敗事例としては、以下のようなものがあります。

  • コミカミノルタ
    アメリカのアンブリー・ジェネティクスを買収。
    2023年3月期にのれんの減損損失を計上。
  • 日本郵政
    オーストラリアのトール・ホールディングスを買収。
    2017年3月期にのれんの減損損失を計上。
  • 東芝
    アメリカのウエスチングハウスを買収。
    2016年3月期にのれんの減損損失を計上。
  • キリンホールディングス
    ブラジルのスキンカリオールの買収。
    2015年12月期にのれんの減損損失を計上。

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財務リスク・簿外債務を見抜けなかった

買い手側の失敗事例としては、譲渡企業側の財務状況が悪く、M&A後にさらに業績が悪化してしまうケースがあげられます。

また、M&Aをおこなう前に、譲渡側企業の簿外債務を見抜けず、経営統合(PMI)の過程で、多額の債務が発覚するという失敗事例もあります。

M&A後に、買収企業側が不正会計などの財務リスクを負った失敗事例としては、以下のようなものがあります。

  • LIXIL
    ドイツのグローエと子会社ジョウユウを買収。
    LIXILは、ジョウユウの不正会計等を取り込むことで約600億円の損失を被った。

シナジー効果が高くなかった

買い手側の失敗事例としては、M&Aによるシナジー効果を見誤ったために、損失をこうむるケースがあげられます。

譲渡側企業と譲受側企業の事業の整合性や、企業文化の違いから経営統合がうまくいかず、シナジー効果が生まれないこともあります。

また、時代の流れにあったサービスを提供できない場合、期待したシナジー効果が生じないこともあるでしょう。

M&A後に、買収側企業がシナジー効果を得られなった失敗事例としては、以下のようなものがあります。

  • セブン&アイホールディングス
    ニッセンを子会社化。
    2016年2月期に通信販売事業において約84億円の営業損失をだした。

まとめ

M&Aは、企業にとって大きな可能性を秘めた戦略ですが、同時に多くのリスクを伴います。

この記事では、売り手側目線・買い手側目線双方からの失敗事例を紹介してきました。

これらの事例から学びとった失敗要因を参考に、M&Aの難しさを理解し、慎重な検討と準備をおこなっていきましょう。

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