企業価値向上でM&Aを成功させる!企業価値を高める5つの視点
- 企業価値向上とは?
- 企業価値を高めるメリットは?
- 企業価値を高める5つの視点とは?
企業価値向上は、企業にとって重要な経営戦略のひとつです。
企業価値を高めることができれば、潤沢な運転資金を得られる、金融機関の融資が通りやすくなるなどのメリットを企業にもたらします。
企業価値が高い会社については、売り手優位でM&Aを進められる可能性も高くなります。
それでは企業価値を高めるには、どうすればよいのでしょうか。
この記事では、企業価値を高めるための要素、企業価値向上のための対策について解説していきます。
ぜひ最後までお読みください。
目次
企業価値向上とは?
企業価値向上とは?メリットは?
企業価値向上とは、企業価値を高めることです。
企業価値は、企業の資産価値や将来の収益力などを総合的に評価して決まります。
M&Aにおいて企業価値を高めるメリットは、買い手からの高い評価を得られること、ひいては高値で売却できる可能性が高まることです。
現在、M&A市場は売り手市場とはいわれていますが、当然のことながら魅力的な企業でなければ、買い手が見つかりません。
M&Aを成功させるためには、その前提として、現在の企業価値を把握し、企業価値を向上するための「磨き上げ」をおこなう必要があります。
企業価値向上の方法は?
企業価値を高めるには、まずは現在の企業価値を知ること、そして企業価値の評価方法にのっとって高い評価を得られるように「磨き上げ」をおこなうことです。
企業価値の評価方法には、大きく分けて3種類のパターンがあります。
すなわち、資産の価値を参考に算定するコストアプローチという評価方法、類似企業との比較で算定するマーケットアプローチという評価方法、収益を参考にして算定するインカムアプローチという評価方法の3つです。
企業価値評価の方法
- コストアプローチ
例)簿価純資産法・時価純資産法 - マーケットアプローチ
例)EBITDAマルチプル法 - インカムアプローチ
例)DCF法
そして、企業価値向上の方法・会社の魅力の「磨き上げ」の方法というのは、これらの企業価値の計算方法にかかわる要素を向上させるという方法になります。
具体的には、事業の収益性の向上、投資効率の向上、財務の最適化のほか、無形資産の把握・活用、エンゲージメントの向上に努めることが、企業価値向上のための方法になります。
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企業価値を高める5つの視点
①事業の収益性の向上
事業の収益性が高まれば、企業の利益も増加し、企業価値は向上します。
事業の収益性を向上させるためには、売上高の拡大、原価率の低減、利益率の向上などの取り組みが必要です。
様々な取り組みが考えられますが、たとえば、売上高の拡大のためには、経営戦略の見直しをおこない、営業活動の強化による新規顧客の獲得、顧客満足度の向上による既存顧客の売上増加をこころみます。
また、原価率の低減や利益率の向上のためには、アウトソーシングによる業務の効率化、仕入れ先の集約によるコスト削減といった対策を講じることが考えられます。
②投資効率の向上
投資効率を高めることも、企業の利益を増加させ、企業価値を向上させることにつながります。
投資効率の向上とは?
投資効率の向上とは、資産を有効活用するということです。
資産が効率的に売上高を生み出すことが企業価値向上に資するので、売上につながらない資産を保有しないことも投資効率向上のポイントになります。
投資効率向上の検討の際は、おもに貸借対照表の資産について確認をしていくことになるでしょう。
投資効率を向上させるためには、企業の流動資産と固定資産を見直します。
流動資産の見直し
企業の流動資産としては、未回収の債権や在庫などがあげられます。
売掛金の回収や在庫の処分を早期に実現できれば、会社のキャッシュフローが改善され、事業活動に再投資できます。
売掛金や在庫は企業にとってリスクになるので、回転率をあげることが、健全な経営をおこなう上での課題になります。
企業の固定資産としては、遊休不動産や不採算不動産などの収益を生まない不動産などがあげられます。
固定資産の見直し
都会の一等地に不動産を所有していても、有効活用できていないのであれば、無駄な資産になってしまいます。
これらの固定資産の見直しをおこなうことで、無駄な税金を減らすことや、売却益を事業活動にあてることができるので、企業の投資効率を向上させることができます。
③財務の最適化
財務の最適化とは、財務状況の見直しをおこなうことをいいます。
財務状況が良好であれば、企業は将来にわたって安定した経営を続けることができます。
そのため、財務の最適化をおこなうことは、企業価値向上につながります。
財務の最適化でよくいわれることは、財務レバレッジ効果や、負債の節税効果をうまく活用するということです。
こうすることで、事業の収益性を向上させなくても利益を上げることができ、企業価値を高めることができます。
財務レバレッジ効果
財務レバレッジ効果とは、ROA(総資産利益率)が負債利子率を上回っている限り、負債の利用がROE(自己資本純利益率)を上昇させるという効果のことです。
要するに、銀行から融資を受けていたほうが、融資を受けない場合よりも、企業の利益率が高くなるケースがあるということです。
以下の事例では、ROAよりも金利が低いことを前提にしているため、銀行から融資をうけない場合の利益率(約7%)よりも、融資を受けた場合の利益率(約8%)のほうが高くなっています。
・資本金 :5000万円
・負債 :なし
・営業利益:500万円
・法人税率:23.40%
・ROA(総資産利益率):500万円÷5000万円=0.1≒10%
・税抜き後当期純利益:500万円×(1‐0.2340)=3,830,000円
・ROE(自己資本利益率):3,830,000円÷50,000,000円=0.0766≒7%
・資本金 :5000万円
・負債 :1000万円
・金利 :5%
・営業利益:600万円
・支払利息を損金で計上後の所得:600万円-(1000万円×0.05)=550万円
・法人税率: 23.40%
・税抜き後当期純利益:550万円×(1‐0.2340)=4,213,000円
・ROE:4,213,000円÷50,000,000円=0.08426≒8%
負債の節税効果
また、借入金の利息は損金算入できるので、その結果、課税対象となる所得をおさえる節税効果があり、税負担を圧縮することが可能になります。
これらの効果をうまく活用することができれば、企業価値を高めることができます。
注意点
ただし、ROAの低下や過剰な有利子負債によって、倒産のリスクが生じることもあるので、十分に注意する必要があります。
④無形資産
無形資産は、目に見えない資産のことです。
無形資産には、技術、組織、ネットワーク、顧客、ブランド、のれん、ノウハウなど様々なものがあります。
これらの無形資産が、企業の業績に良い影響を与えている場合もあるでしょう。
しかし、実際にM&Aをおこなう際、無形資産は、一般的な企業価値評価方法によって考慮されにくい側面があります。
そこで、無形資産によって企業価値を高めるためには、まずは自社にどのような無形資産があるのか把握し、無形資産の活用方法を確認する必要があります。
そして、買い手とのM&A価格交渉においては、コストアプローチ、マーケットアプローチ、インカムアプローチの考え方をうまく活用して、買い手を説得できるよう準備しておく必要があるでしょう。
⑤エンゲージメントを高める
従業員のエンゲージメントも無形資産の一種ととらえることができるでしょう。
従業員のエンゲージメントとは、従業員が企業に信頼をおき、貢献したいと思う意欲のことです。
エンゲージメントを高めることができれば、仕事にやりがいを持つことができるので、従業員のモチベーションアップや離職率の低下につながります。そうすれば、従業員個人のみならず企業全体の生産性が向上し、会社の業績アップも期待できます。
このようにエンゲージメントを高めることは、企業価値を高めることにも関係するものです。
エンゲージメントを高める方法
従業員のエンゲージメントを高めるためには、従業員に企業のビジョンを共有し、職場環境の調整や職務への満足度を高める必要があるでしょう。
エンゲージメントを高める方法
- 企業のビジョン・経営理念を共有
- 従業員の成果を認める・賞賛する
- 従業員のキャリアを支援
- 人事評価の透明性の確保
- 社内のコミュニケーションを活性化
- ワーク・ライフ・バランスを推進
etc.
企業価値を高めるための相談先は…
M&A仲介の専門家に無料相談?
企業価値を高めるには、現在の企業価値を知り、収益性、投資、財務、無形資産、エンゲージメントといった要素に注目しながら、企業価値向上の対策を実践する必要があります。
しかし不慣れなM&Aの準備をひとりでおこなうことには、不安がつきものです。
そのようなとき、頼りになるのがM&A仲介の専門家です。M&A仲介の専門家のなかでも、いちばん気軽に相談できるのは、M&A仲介会社ではないでしょうか。
必要に応じて弁護士、公認会計士、税理士などの専門家を紹介してくれるM&A仲介会社も多いため、企業価値の算定などで悩んだ場合でも安心してM&Aを進められるでしょう。
信頼できるM&A仲介会社を見つけることが、M&Aを成功させるための第一歩といえそうです。