卓球事故|部活や授業中に怪我!学校や先生に問える責任は? | アトム法律事務所弁護士法人

卓球事故|部活や授業中に怪我!学校や先生に問える責任は?

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卓球の学校事故。学校や先生の責任

卓球は若年からシニア層まで広く親しまれているスポーツで、学校の部活や授業でも盛りあがりをみせています。その一方で、卓球部での練習中や授業中にも事故はつきもので、実際に学校の管理下で事故は発生しているのです。

もし自分の子が事故にあったら、怪我の補償はどのように請求すれば良いのでしょうか。また、その補償が不十分だと感じた場合にどういった対応を取れるのでしょうか。

卓球事故が生じた背景に学校や先生の責任があるならば、学校側への損害賠償請求が認められます

この記事は、損害賠償請求が認められうるケース弁護士に相談するメリットといった要点を絞った解説記事です。補償が受けられる共済制度や無料で利用できる法律相談の窓口も紹介しますので、最後までお読みください。

学校で生じた卓球事故の事例

卓球に関連する事故は競技中だけにとどまりません。練習に向けての準備中や、卓球台などの用具を片付ける際にも事故は発生しています。

また、熱中症にも注意が必要です。屋外だけでなく屋内競技においても熱中症のリスクはあり、卓球の練習中に熱中症状を呈するケースも存在します。

ここからは学校で起こった卓球に関する事故の事例を、判例や日本スポーツ振興センターの「学校事故事例検索データベース」をもとに紹介します。

(1)部活動中に廊下の窓から転落し、外傷性くも膜下出血などの傷害

市立中学の女子中学生は、顧問教諭の指示を受けて上下二段式の窓の上部を開けようとした際にバランスを崩して転落してしまいました。治療・リハビリを続けましたが、左腎機能廃絶ならびに外傷性脳損傷・高次脳機能障害といった後遺障害が残ってしまったのです。

家族は、転落防止の措置をして作業するように指示をしていなかったことなどが顧問教諭の注意義務違反にあたるとして、損害賠償請求を行いました。(広島地方裁判所 平成25年(ワ)第725号 損害賠償請求事件 平成30年3月30日)

(2)卓球台の収納作業中に下敷きとなり、負傷した

市立小学校に通う4年生の生徒が、課外クラブ活動で卓球を練習した後、卓球台の収納作業中に下敷きになってしまった事故です。

生徒だけに片づけを任せないこと、収納作業の危険性を十分に伝えること、わかりやすく具体的に指示を出すことなどの注意義務を負っていたものとして、損害賠償請求を行いました。(大阪高等裁判所 平成8年(ネ)第887号 損害賠償請求控訴事件 平成9年11月27日)

(3)部活動中に急に倒れてしまった

卓球部でのミーティングを終えて階段の昇降ランニングを行い、練習に入ろうと卓球台の前に立ったところ、急に倒れてしまいました。病院へ救急車で搬送され集中治療室での治療を受けましたが、三日後に死亡してしまった事故です。(日本スポーツ振興センター 学校事故事例検索データベース/心臓系突然死に区分)

学校での事故には災害共済給付制度を利用

卓球部の活動や授業中に負傷した場合、災害共済給付制度を利用できます。

災害共済給付制度

学校事故によって生徒が負傷した場合、医療費、障害見舞金、死亡見舞金の給付が受けられる制度。

災害共済給付制度は独立行政法人日本スポーツ振興センター(JSC)による共済制度です。学校と保護者が共済金を支払うことで、不慮の事故時にも補償を受けられる仕組みになっています。

ただし、学校によっては災害共済給付制度に加入していない場合もあるため、利用にあたっては確認が必要です。

災害共済給付の請求方法

災害共済給付の申請から受けとりまでは、以下の手順となります。

災害共済給付を受ける手順

  1. 学校から必要書類を受けとる
  2. 医療機関に受診証明(医療費の証明)をもらう
  3. 学校に申請書類を提出する
  4. 申請から3ヶ月を目途に給付金がもらえる

なお、医療機関の証明は月ごとに必要となるため、長期の療養が生じた場合はその都度証明をもらう必要があります。

災害共済給付にも補償限度がある

学校の管理下で卓球事故が起こり、怪我をしたり、何らかの後遺障害が残ったり、命を落としてしまった場合には、次のような補償が支払われます。

災害共済給付金の補償額

項目補償額
医療費※治療に要した費用の40%
障害見舞金88万円~4,000万円
死亡見舞金3,000万円

※初診から治癒にかかった医療費の総額が5,000円以上となること(3割負担で1,500円以上)

災害共済給付から補償が受けられること自体は安心ですが、すべての損害をカバーしてもらえるとは限りません。特に、重篤な後遺障害が残ったり、死亡に至った事故の場合、災害共済給付金だけではすべての損害をカバーできない可能性があります。

災害共済給付制度を利用してもなお補償が不十分である場合、学校側に事故の責任が認められれば不足分の請求が可能です。

災害共済給付制度で不足が生じる一例を考えてみましょう。

卓球の練習中に熱中症をおこした結果、重い後遺障害が残るケースが存在します。介護が必要になった場合にかかる介護費用も損害のひとつです。介護に対応できるような居宅リフォームや車両への改造費や、紙おむつなどの消耗品、介護の担い手への補償も算定しなくてはなりません。

こういった金額を一つずつ算定していくと、障害見舞金だけでは不十分な恐れがあります。ご家族だけで適正な損害賠償請求額を検討するのは難しい面もあるため、弁護士への見積もり依頼をおすすめします。

関連記事では、部活動で熱中症を引き起こした場合の対応や、後遺症が残った時の慰謝料や逸失利益の計算方法と相場を解説中です。関連記事も併せてお役立てください。

学校や先生への損害賠償請求|卓球事故の責任の所在は?

卓球部での活動中や体育の授業中に事故が起こった場合、学校や先生への損害賠償請求は認められる可能性があります。

ただし、すべての事故において損害賠償請求が認められるわけではありません。損害賠償請求が認められる可能性について、学校の責任と先生の責任にわけて検討していきましょう。

学校に卓球事故の責任がある場合

先生に故意や過失があった場合学校の設備・施設に瑕疵が事故の原因であると認められた場合には、学校に対して事故の責任を問えます。

先生に故意や過失が認められるとき学校の責任を問える

先生の故意とは、わざと事故を引き起こしたり、体罰によって生徒を傷つけることです。

先生の過失とは、事故が起こる可能性を予見していたり、予見できたはずなのに、適切な対策により事故を回避しなかったことをさします。

先生によって故意に引き起こされた事故も深刻な一方で、学校事故では先生による過失の認定が争点となりやすく、先生による安全配慮義務違反が問題とされるのです。

先生の安全配慮義務

生徒が危険な目にあわずに、安全な環境で過ごせるように注意しなければならないという義務

先生は安全配慮義務を負っていて、この義務を怠った場合には先生の過失が認められるのです。そして先生を管理監督・雇用する立場として、学校にも責任を問えます。

「安全配慮義務」は学校事故において重要なキーワードです。関連記事『学校事故における安全配慮義務とは?教師が負う2つの責任』でより詳しく解説していますので、併せてお役立てください。

学校の施設や設備に不具合があるとき学校の責任を問える

学校の施設や設備が十分な安全性を保持していないことを「瑕疵」といいます。施設や設備の瑕疵が事故の原因と認められれば、管理者である学校の責任といえるのです。

例えば、卓球場の老朽化によって事故が起こり生徒が怪我をした場合、施設の瑕疵として学校に責任を求めることができます。このような学校の老朽化による事故について損害賠償請求が認められた事例は多くあるのです。

先生本人に卓球事故の責任がある場合

先生に故意や過失が認められる場合のみ、先生本人に対して責任を問うことは可能です。

しかし、国公立学校の場合には先生本人への損害賠償請求は認められていません。これは、学校の設置者である国や地方公共団体が損害賠償責任を負うためです。

一方で私立学校の場合には、先生本人に対する損害賠償請求が認められる可能性があります。

先生本人への損害賠償請求可否

学校区分損害賠償請求の可否
国公立学校できない※
私立学校できる

※国や地方公共団体へ請求

関連記事『学校事故の損害賠償|請求相手と請求内容は?示談についても解説』では、具体的な請求内容についても解説中です。慰謝料の相場や損害賠償請求時の注意点など、併せてお役立てください。

ここまでのポイント

  • 先生の故意や過失が事故原因と認められた場合は学校の責任を問える
  • 学校の施設・設備の不具合が事故の原因ならば、学校の責任を問える
  • 国公立学校の場合、先生本人への損害賠償請求は認められない

弁護士に相談|学校で起きた卓球事故の対応

ここまでは、お子さまが学校での活動中に事故にあって怪我をした場合に利用できる共済制度や、学校および先生の責任について説明してきました。

事故の原因が学校や先生にあると考え、その責任を問う損害賠償請求を検討している場合には、弁護士への相談をおすすめします。

弁護士への相談はお悩み解決の第一歩

弁護士に相談すると、事故の解決に向けた具体的なイメージを掴むことが可能です。

  • 損害賠償額はどれくらいになるのか
  • どんな証拠や書類を用意する必要があるのか
  • 今後どのような対応をとるべきなのか

弁護士は十分にお話をお伺いして、弁護士に依頼した場合の損害賠償請求額や今後取るべき対応についても説明します。弁護士が正式に依頼を受けた場合には、必要書類の準備、示談交渉の窓口一本化、裁判への対応も代理可能です。

特に、弁護士が学校側との連絡を引き受けることで、保護者の精神的な負担は大きく軽減されます。その結果、お子さまの治療に付き添ったり、仕事や家事などの日常生活に費やす時間を確保できるでしょう。

弁護士への相談前に学校事故の基本を押さえたい方や、学校を訴えたいと考えている方に向けた情報をまとめていますので、関連記事もお役立てください。

学校で起こった卓球の事故|無料の法律相談予約はこちら

学校事故で起きた卓球事故によって、お子さまに重い後遺障害が残ってしまったり、亡くなられてしまった場合は、アトム法律事務所の弁護士による無料の法律相談をご活用ください。

法律相談をご希望の方は、下記のフォームよりご予約をお取りください。専属のスタッフが24時間365日体制で予約を受け付けています。

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アトム法律事務所 岡野武志弁護士

岡野武志弁護士

監修者


アトム法律事務所

代表弁護士岡野武志

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高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。

保有資格

士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士

学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了