学校を訴えたいなら弁護士に相談すべき|無料の相談窓口も紹介
学校事故で児童が怪我や後遺症を負ったり、死亡した場合、学校を訴えることはできるのでしょうか。
学校事故の法的責任や、学校を訴える際の注意点、そして、訴える以外の被害回復の具体的方法ついて解説してきます。
目次
学校での怪我は誰に責任があるのか
学校を訴えるとするならば、そもそも学校に対して法的責任を追及できることが前提となります。
学校事故で子どもが怪我を負った場合、どのような法的責任が誰に発生するのでしょうか。
学校事故にはさまざまな類型が考えられますので、説明していきましょう。
学校事故にもさまざまなタイプがある
「学校事故」と一括りで表現しても、生徒が巻き込まれる学校事故のタイプにはさまざまなものが考えられます。
具体的には、以下の通りです。
- 学校の設備が老朽化しており、壊れた設備により子どもが怪我をするケース
- 部活動において教職員の指導が不適切であったり、生徒の能力を超える練習を強制したりしたせいで子どもが負傷するケース
- 喧嘩などの、他の生徒の不適切な行為が原因で子どもが負傷するケース
- 学校とは無関係な第三者が学校内で行った行為により生徒が負傷したケース
- 生徒自身が学校内で不適切な行為をしたことによって自ら負傷してしまうケース
ここで、生徒自身の行為によって自分が怪我をしたような場合には、基本的に学校側の責任を問うことはむずかしいでしょう。
それ以外の類型については、学校側に注意義務違反がある等の要件を満たせば加害者側に損害賠償請求できる可能性があります。
安全配慮義務違反とは先生が負う義務のことで、生徒が危険な目にあうことなく、安全に学校生活を送れるように配慮すべきと課せられています。安全配慮義務違反があったとき、学校側に事故の責任があったものとして、責任を追及できるポイントになるのです。
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学校側に対して損害賠償請求できる場合
学校事故の場合、学校や教師に対して不法行為や債務不履行を原因とした損害賠償請求ができる場合があります。
教師に対する請求が可能な場合
まず、不法行為責任とは、故意または過失によって児童・生徒の権利が侵害された場合に、その侵害した者に対して発生した損害に対する賠償を請求することができるというものです。(民法第709条参照)
担当教員が生徒・児童に対する事故を予見することができ、結果を回避することができたといえる場合には、教員に注意義務違反の過失があるといえます。
学校に対する請求が可能な場合
教師が不法行為責任を負う場合には、学校が公立であるなら国家賠償法にもとづいて、学校の設置者である国や地方公共団体が責任を負うことになります。(国家賠償法第1条1項参照)
そして、学校が私立の場合は、教師を雇っている学校が民法上の使用者責任を負うことから、損害賠償請求が可能となるのです(民法715条参照)。
また、学校は生徒・児童の生命や健康を危険から保護する契約上の義務として安全配慮義務も負っていますので、これに違反した場合には、学校が債務不履行責任を負う可能性があります。
この他に、学校設備や用具が原因で生徒・児童が怪我をしたような場合には、設備や用具についての施設管理者に対して損害賠償請求することが可能です。(民法717条1項、国家賠償法2条1項参照)
それぞれの法的根拠・法的責任については、関連記事でも詳しく解説しています。
加害生徒やその保護者に対して損害賠償請求できる場合
学校で子どもが他の生徒・児童の故意や過失によって怪我をさせられたような場合には、当該加害生徒に対しても不法行為責任を追及することができます。
ただし、加害者に責任能力がない場合には不法行為責任は成立しません。(民法第712条参照)
加害者が12歳程度の場合には「自己の行為の責任を弁識するに足りる知能を備えていなかった」として責任能力が否定される可能性があります。
ただし、そのような場合にも加害者の保護者に監督義務違反があれば、別途保護者に対して不法行為責任が成立する可能性はあります。
損害賠償請求権にもとづいてどのような請求が可能であるのかについては『学校事故の損害賠償|請求相手と請求内容は?示談についても解説』の記事をご覧ください。
学校事故を訴える際に知っておくべきこと
学校事故で子どもが被害を負った場合、いきなり学校を訴えるべきでしょうか。
学校事故で訴えを起こすのであれば知っておくべきことを紹介します。
訴える前に示談交渉を行うべき
学校に損害賠償請求を行う場合は、話し合いでの交渉を行うことが一般的でしょう。
学校側としても学校側の過失が明らかな場合には、被害者側と学校側との具体的な損害賠償金額が大きく相違しない結果、示談によってスムーズに解決できる場合も想定できます。
学校を訴えるべきケース
一方で、学校側が、教師には過失がない、教師の過失が明らかではないと判断しているときには、被害者の算定した損害賠償請求に応じない可能性があるでしょう。
双方ともに納得できないときには示談交渉で解決できないため、県や学校を相手取って損害賠償請求訴訟を提起することになります。
また、学校側と争点に大きな相違がない場合であっても被害者が示談金の額に納得しない場合にはやはり訴訟を提起して納得いく解決を図ることになるでしょう。
訴えるなら弁護士に依頼するべき
学校に対して訴訟提起を行う場合は、法律の専門家である弁護士に依頼を行いましょう。また、弁護士への依頼は示談交渉の段階で行うことをおすすめします。
学校側は、示談交渉の段階から弁護士に相談しながら、教育委員会と連携して交渉を行うでしょう。
そのため、弁護士から適切なアドバイスをもらっている学校相手に示談交渉しても、希望通りの金額を得られない可能性が高くなります。
被害者としても示談交渉の段階から弁護士に相談して適切な請求を行うことで、解決への見通しを明確にすることができ、早期解決が図れる可能性が高まるでしょう。
さらに、訴訟になった場合には法的な文書の作成や証拠集め等はすべて弁護士が行いますので、面倒な裁判手続は弁護士に一任することができます。
学校事故で訴える以外の救済手段
学校事故で被害を負った生徒は、訴訟提起以外の方法ではどのように救済されるのでしょうか。
ここからは日本スポーツ振興センターからの災害共済給付の概要を説明します。
日本スポーツ振興センターからの災害共済給付金
学校事故の場合、被害者は独立行政法人日本スポーツ振興センターから給付される給付金を受けとれる場合があります。
学校事故により負傷・疾病・傷害・死亡の原因となる事由が学校の管理下で生じたものである場合、次のような給付金を受けとれます。
医療費
医療保険並の療養に要する費用の額の4割(そのうち1割については療養に伴って要する費用として加算される分)の給付を受けられます。
高額医療費の対象となる場合は、自己負担額に療養に要する費用の額の1/10を加算した額が支給されます。
入院時食事療養費の標準負担がある場合はその金額も加算できます。
障害見舞金
障害等級に応じて4000万円~88万円(平成31年3月31日以前に生じた事故の場合には3770万円~82万円)の範囲で障害見舞金が支給されます。
通学・通園中の災害の場合には、2000万円~44万円(平成31年3月31日以前に生じた事故の場合には1885万円~41万円)の範囲で支給されます。
死亡見舞金
死亡災害の場合には3000万円(平成31年3月31日以前に生じた事故の場合には2800万円)が死亡見舞金としての支給金額です。
通学・通園中の災害の場合には1500万円(平成31年3月31日以前に生じた事故の場合には1400万円)が支給金額です。
災害共済給付制度の申請方法を知りたい方は、関連記事『学校で起きた事故で怪我をした場合に利用できる保険は?』も併せてご覧ください。
災害共済給付の給付に含まれない医療費や将来の逸失利益、慰謝料などについては加害者側への損害賠償請求が必要となります。
学校を訴えたいと考えている方へ
学校を訴えたいと考えている方に向けて、この記事のまとめとアトム法律事務所の弁護士相談窓口をご紹介します。
学校を訴える前のポイント
- 学校で起こったすべての事故について、学校を訴えられるわけではありません。
学校で起こった事故の原因が、学校や教師の不法行為や債務不履行にある場合、損害賠償請求ができる可能性があります。
- 訴訟の前に示談交渉(話し合い)が行われることがほとんどです。
学校を訴える前に、示談交渉で損害賠償について話し合うケースが多くなっています。双方ともに納得できれば示談交渉で解決できますが、難航した場合には訴訟へ移ることになるでしょう。
- 学校相手の示談交渉や訴訟は弁護士を付けることをおすすめします。
弁護士からのアドバイスを受けることでスムーズな解決につながる可能性があります。また、学校との示談交渉の窓口になってもらったり、訴訟に向けた資料の収集を任せることも可能です。
アトム法律事務所の無料法律相談を活用しませんか
学校事故でお子さまに重い後遺障害が残ったり亡くなられたりした場合は、アトム法律事務所の無料相談をご活用ください。
- 子どもに重篤な後遺障害が残ってしまい途方に暮れている
- 学校側から提示された示談金額が適切かどうか判断できない
- 学校側への損害賠償請求を視野に入れている
学校を訴える方法だけでなく、示談交渉でまとまる可能性のある案件なのかなどについてのアドバイスももらえるでしょう。
弁護士への法律相談を活用することで、お困りごとやトラブルが解決に近づく可能性があります。法律相談の予約受付は24時間体制で行っているので、ご都合の良いタイミングで、下記フォームよりお電話またはLINEにてご一報ください。
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アトム法律事務所 岡野武志弁護士
高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。
保有資格
士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士
学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了