学校で起きた事故で怪我をした場合に利用できる保険は? | 事故慰謝料解決ナビ

学校で起きた事故で怪我をした場合に利用できる保険は?

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学校で怪我、使える保険を紹介

学校には多くの教員や学生が在籍しており、授業や部活動で使用する設備も多く置かれています。
そのため、学生の不注意により他の学生に怪我を負わせてしまったり、設備の使い方を誤って怪我を負ってしまったりする可能性はゼロではありません。

とはいえ、実際に自分の子どもが学校で怪我をしてしまうと、その程度によっては、パニック状態になることもあると思います。
怪我の状態はもちろんのこと、治療や通院などに要する費用についても気になるのではないでしょうか。

本記事では、学校での事故により怪我を負った場合に利用できる保険について解説します。

学校内における事故について

学校内での教育活動や学校の施設・設備の使用に伴って発生する事故であって、学生に被害を与えるものを「学校事故」と一般的にいいます。
学校では、授業や休憩、部活動といったように、さまざまな時間が設けられていますが、学生の生命や身体の安全が100%保障されているわけではありません。

学校事故は、以下のように、いつどこで起きてもおかしくないといえるのです。

教員の行為に起因するもの

教員は、授業や部活動など学生に最も近いところで教育や指導を行う立場にあります。
そのため、教員の行為に起因して学校事故が起きるケースもあるのです。

たとえば、体育の授業において教員が学生に危険な運動を行わせたことで学生が怪我をしたり、部活動の顧問が部員の能力を超える練習をさせたことで部員が怪我をしたりするケースが起こりうるでしょう。

事故の原因が教員にもあると認められた場合には、学校や教員に対しても損害賠償責任を問える可能性があります。

関連記事では、体育の授業中に怪我をした場合や、部活動における怪我で取るべき対応について解説中です。

学生の行為に起因するもの

学校には多くの学生が在籍しているため、学生の行為に起因して学校事故が起きるケースがあります。
典型例として挙げられるのは、学生同士の喧嘩です。

一般的に、喧嘩をすると両者もしくはいずれか一方が怪我をすることが多いといえます。このように、学生同士の喧嘩により負傷者が出た場合も学校事故に該当するのです。

第三者の行為に起因するもの

学校事故は、学外の第三者の行為に起因して発生する場合もあります。

たとえば、学校の文化祭で訪れていた学外の第三者が学生との間で喧嘩になり、その結果、学生が怪我をした場合には学校事故に該当することになるのです。

「災害共済給付制度」とは何か?

学校内の事故で学生が怪我をした場合において、治療や入通院が必要となった場合、これらの費用は誰が負担することになるのでしょうか。

このような場合に利用できるのが、独立行政法人日本スポーツ振興センターの「災害共済金給付制度」です。

「災害共済金給付制度」とは、学校の管理下で学生が怪我をした場合にその保護者に対して給付金が支払われる制度のことをいいます。

災害共済給付への加入方法と給付対象

加入方法

災害共済給付制度は任意加入であるため、加入していない学校もありますが、同制度に加入している学校では、入学時に学生の保護者が同意書を提出して加入します。

年額の保険料を保護者と学校が負担する仕組みです。

給付対象

「学校の管理下によって生じた怪我や疾病」により治療が必要になった場合、初診から治癒に至るまでの医療費総額が5,000円以上(3割負担で1,500円以上)であれば、災害共済給付の対象です。

また、怪我が完治せずに後遺障害が残った場合や、怪我が原因で死亡した場合も給付の対象となります。

もっとも、生活保護受給世帯の場合には、給付対象とはなりません。

「学校の管理下」とは、以下のような場合をいいます。

  • 学校の授業中
  • 課外指導の最中
  • 休憩時間中
  • 登下校中
  • 学外授業の最中や移動中
  • 学校の寄宿舎内

学校の管理下において疾病が生じた場合も給付の対象となりますが、以下のような疾病であることが必要です。

  • 学校給食等による中毒
  • ガス等による中毒
  • 熱中症
  • 溺水
  • 異物の嚥下又は迷入による疾病
  • 漆等による皮膚炎
  • 外部衝撃等による疾病
  • 負傷による疾病

災害共済給付金の種類とその額

災害共済給付金には、医療費・障害見舞金・死亡見舞金の3つの種類があります。

医療費について

「医療費」とは、健康保険法にもとづく療養に支出した費用のことをいい、具体的な給付額は、総医療費の4割(自己負担割合の3割に加えて、療養に伴って要する費用として1割を加算)に相当する金額です。

医療費は最長で10年間給付を受けることができますが、受診後2年以内に給付申請をしないと時効により給付を受けられなくなります。

障害見舞金について

「障害見舞金」とは、怪我や疾病により障害が残った場合に給付されるものです。  障害見舞金として給付される額は、障害の程度に応じて異なります。

たとえば、障害の等級が第1級と認定された場合の給付金額は4,000万円であるのに対し、等級が第14級と認定された場合の給付金額は88万円です。
ただし、登下校中に生じた怪我や疾病が原因の場合は、金額が減少することに注意してください。

後遺障害であると判断されるためには、日本スポーツ振興センターから後遺障害等級の認定を受ける必要があります。

等級ごとの症状は「日本スポーツ振興センターのホームページ」で確認可能です。

死亡見舞金について

「死亡見舞金」とは、怪我や疾病により死亡した場合に給付されます。死亡見舞金として給付される額は、3,000万円です。

こちらも、登下校中の怪我や疾病を原因とする場合は金額が減少します。

災害共済給付の流れ

災害共済給付は、学校の設置者である都道府県や市町村が日本振興スポーツセンターに支払いを請求し、学校の設置者を経由して学生の保護者に支払われます。

なお、学生の保護者が学校の設置者を経由して支払いを請求することも可能です。
保護者は必要な書類を用意して学校に提出し、給付請求を行ってもらいましょう。

たとえば、怪我の治療に要した費用(医療費)を請求する場合、治療を受けた病院に、傷病名と実際にかかった医療費を証明してもらい、証明書を学校に提出してください。

障害見舞金を請求する場合には、後遺症の症状について後遺障害等級認定を受けなければなりません。
後遺症が残ったといえるには、これ以上は治療の効果が望めないという症状固定の状態になったという医師の判断がなされる必要があります。

そのため、障害見舞金は、怪我や疾病の症状が固定してから支払いの請求を行ってください。

このように、災害共済給付は給付金の種類に応じて必要となる書類や請求のタイミングが異なるため、注意するようにしましょう。

災害共済給付制度の利用には時効に注意

給付金の支給については、以下期間を経過すると時効となるため気を付けましょう。

  • 医療費
    医療費の発生した月の翌月11日から2年間
  • 障害見舞金
    負傷や疾病が症状固定となった月の翌月11日から2年間
  • 死亡見舞金
    被害者が死亡した日の翌日から2年間

不足分は学校や教師などに対して請求しよう

災害共済給付制度による給付金では、発生した損害の全てを賄えるとは限りません。
そのため、不足部分については怪我や疾病の原因となった教員、学校、加害者である生徒などに対して請求することが必要となる場合があります。

学校事故に関して誰に法的責任が生じるのか、損害賠償請求の方法や要点については関連記事をご覧ください。

アトム法律事務所の無料相談

実際に請求を行うのであれば専門家である弁護士に相談することが望ましいでしょう。
アトム法律事務所では無料の法律相談を行っているので、弁護士に相談して意見を聞きたい方は、一度気軽にご連絡ください。

「個人賠償責任保険」は学校での怪我に利用できる?

「個人賠償責任保険」をご存知の方は、意外に少ないかもしれません。

以下では、個人賠償責任保険がどのような保険なのか、その概要について見ていきたいと思います。

個人賠償責任保険とは

「個人賠償責任保険」とは、日常生活において、相手方に怪我を負わせてしまった場合に、補償する保険です。

たとえば、学校で他の学生に怪我をさせてしまったような場合に、個人賠償責任保険を使って、その学生に支払うべき損害賠償金を支払うことができるのです。

このように、個人賠償責任保険は相手方に怪我を負わせてしまった場合に利用できる保険であるため、自分自身が怪我を負った場合には適用されない保険ということになります。

まとめ

学校事故で怪我を負った場合、学校が災害共済給付制度という保険に加入しているのであれば医療費や見舞金などの給付が受けられます。もっとも、災害共済給付制度だけでは十分な補償が得られるとは限りません。

不足する補償を学校側などに請求したいとお考えの方は、法律の専門家である弁護士に相談してみることをおすすめします。請求可能な案件かどうか、請求できるのであればどのくらいの金額が見込めるのかなどについて弁護士からアドバイスがもらえます。

岡野武志

監修者


アトム法律事務所

代表弁護士岡野武志

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高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」「ネット削除依頼」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。

保有資格

士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士

学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了

英語:TOEIC925点