学校事故における安全配慮義務とは?教師が負う2つの責任を解説! | 事故慰謝料解決ナビ

学校事故における安全配慮義務とは?教師が負う2つの責任を解説!

更新日:

教師が負う責任|安全配慮義務違反とは?

学校や教師は、学生に対して安全配慮義務を負っています。
学校事故では、安全配慮義務違反の有無が問題となることが珍しくありません。

そもそも「安全配慮義務」とは、どのような内容の義務をいうのでしょうか。抽象的な概念であるため、イメージが湧かないという方も多いでしょう。

そこで今回は、学校事故に関して「安全配慮義務」を中心に解説していきたいと思います。

安全配慮義務とは

安全配慮義務違反があると法的な責任が生じる

安全配慮義務とは、「学生が安全で健康に学生生活を送ることができるように配慮すること」です。学校や教職員は、学生に対してこの安全配慮義務を負っています。

安全配慮義務に違反した結果、学生に怪我をさせた場合、学校や教職員は学生に対し損害賠償責任を負う可能性があるのです。

安全配慮義務違反を判断する2つの基準

上記で述べたように、学校事故に関する損害賠償請求が認められるかどうかについては、安全配慮義務違反の有無が重要となります。

安全配慮義務に違反したかどうかは、「予見可能性」と「結果回避可能性」という2つの基準で判断されます。

予見可能性とは、「事故が起きることをあらかじめ予見できたかどうか」ということです。

結果回避可能性とは、「事故が起きることを予見できた場合に、その事故の発生を回避できたかどうか」ということを意味します。

たとえば、学校側に予見可能性もしくは結果回避可能性がなかったと認められる場合には、安全配慮義務違反を問うことはできません。

ですが、予見可能性および結果回避可能性があったにもかかわらず、学校側が果たすべき義務を怠ったと認められる場合には安全配慮義務違反を問うことができます。

安全配慮義務違反についてはさまざまな事情を考慮

学校事故との関係において、学校側に安全配慮義務があるのかについては、さまざまな事情によって判断されます。

たとえば、学校の施設や設備に不良がなかったかどうか、また、危険な行為を行っている学生に対してどのような対応を行ったか、危険が伴う行為についてどのような説明・対応を行ったか、など考慮される事情は個別のケースごとに異なるのです。

安全配慮義務違反があるなら損害賠償請求を

学校側に安全配慮義務違反が認められるのであれば、被害者は安全配慮義務違反が原因で生じた損害について学校側に請求を行うことが可能です。

怪我の治療費といった実際に生じた損害や、慰謝料の請求を行えます。

また、学校事故においては、事故の原因が生徒にもあるというケースがありえます。
この場合には、学校や教師だけでなく加害生徒や監督義務者である加害生徒の保護者に対しても損害賠償請求を行える可能性があるのです。

学校事故において、誰にどのような請求が可能であるのかを詳しく知りたい方は『学校事故の損害賠償|請求相手と請求内容は?示談についても解説』の記事をご覧ください。

また、学校事故においては、損害賠償請求だけでなく、保険を利用することで損害の補てんを行える場合があります。

詳しく知りたい方は『学校で起きた事故で怪我をした場合に利用できる保険は?』の記事をご覧ください。

学校事故における教師の責任

私立高校なら教師も責任を負う

学校事故において、教師が責任を負う可能性があるのは、学校が私立学校である場合に限られています。

なぜかというと、解決を図るために適用される法律が異なるからです。

具体的には、私立学校のケースでは民法が適用されますが、公立学校のケースでは国家賠償法が適用されることになっています。

そのため、公立学校の場合は国家賠償法1条にもとづいて、直接、教師が責任を負うことはなく、学校を設置した国や自治体が責任を負うこととされているのです。

以下では、私立学校における学校事故について、教師が責任を負う可能性のあるケースについて見ていきます。

教師に安全配慮義務違反が認められる場合

教師に安全配慮義務違反が認められる場合、直接、教師に対し損害賠償を請求することが可能です。

典型例として、学校での部活動があげられます。

部活動にはさまざまなものがありますが、特に運動系の部活動では怪我を負うリスクが一定程度伴うため、指導教員は部員が怪我をしないように安全に配慮しなければなりません

運動量が激しくなるような場合には、あらかじめ怪我を負うリスクがあることを説明したうえで、怪我を回避する対策を十分に講じておく必要があります。

また、怪我を負うリスクが現実化しそうな場合は、部活動を停止したり注意喚起したりするなどして、部員の安全を確保するために必要な措置を講じなければなりません。

指導教員がこのような義務を果たすことなく、学生に怪我を負わせた場合、学生やその保護者は安全配慮義務違反として直接、教師に対し損害賠償を請求することができます。

教師に不法行為が認められる場合

教師に不法行為が認められる場合、直接、教師に対し損害賠償を請求することが可能です。

ここでいう「不法行為」とは、教師の故意・過失が原因となって学生に怪我をさせたことを意味します。

通常、教師が故意(わざと)に学生に怪我を負わせるとは考えにくいため、多くの場合で問題となるのは教師に「過失(不注意)」があったかどうかという点です。

もっとも、ここでいう「過失」があったかどうかの判断基準は、安全配慮義務違反の有無を判断する場合の基準とさほど変わりはありません。

そのため、教師に安全配慮義務違反が認められる場合には、それと同時に不法行為責任が成立する可能性が高いといえます。

安全配慮義務違反と不法行為責任の違い

従来、両者の主な違いの一つとして「消滅時効の期間」があげられていましたが、民法が改正されたことにより、消滅時効の期間に差はなくなりました

具体的には、安全配慮義務違反による損害賠償請求権の消滅時効期間は「学生又はその保護者が権利を行使することができることを知った時から5年間民法166条1項1号)」、不法行為にもとづく損害賠償請求権は「学生又はその保護者が損害及び加害者を知った時から5年間民法724条の2)」です。

両者の違いとしてもう一点あげられるのが、「立証責任の負担」です。

裁判を起こして解決を図る必要がある場合、当事者双方は一定の事項を立証していかなければなりません。

いずれの場合であっても、「故意・過失」を立証する必要がありますが、安全配慮義務違反により損害賠償を請求する場合、この立証責任は教師側にあります。つまり、教師において「自分に故意・過失がなかったこと」を立証しなければなりません。

これに対し、不法行為に基づき損害賠償を請求する場合は、学生やその保護者において、教師に「故意・過失」があったことを立証する必要があります。

このように、不法行為に基づき損害賠償を請求する場合は、学生やその保護者の立証責任における負担が理論上は重くなるのです。

学校事故の相談は弁護士に

学校事故による被害が小さければ、学校側との話し合いで解決に至ることもありますが、被害が大きくなればなるほど、学校側と紛争になる可能性が高くなります。

このような場合、少しでも有利に事を進めるためには、専門家である弁護士に相談することが必要です。

法的な知識や経験が必要不可欠である

学校側と紛争に発展した場合、安全配慮義務違反の有無や教師に係る過失の有無、慰謝料の金額など、さまざまな問題について自身の考えを根拠を示しながら主張していかなければなりません。

これらの主張を適切に行うには、法的な知識や交渉の経験などが必要不可欠となります。

また、学校側に弁護士がつくケースもあり、その場合、法的な知識や経験に乏しい一個人では到底太刀打ちできず、自身に不利な結果を招く可能性が高くなってしまうのです。

その点、弁護士に相談・依頼することで、学校側と対等に渡り合うことができ、納得のいく結果に導いてくれる可能性が高くなります。

早期解決を図ることができる

学校側との話し合いががうまくいかない場合は、裁判により解決を図ることになるでしょう。

とはいえ、裁判を起こすためには、訴状や書証(証拠)の作成、提出書類の収集など、対応しなければならないことが数多くあります。

一個人で対応しようとすると、多くの時間と手間がかかり、裁判を起こすまでにどうしても時間がかかってしまうのです。

その点、弁護士は裁判手続きに慣れているため、書類の作成、書類の収集などに迅速に対応してくれ、すみやかに裁判を提起することができます。

そのことが早期解決にもつながるのです。

弁護士に相談の上、依頼を行おう

学校事故が生じた場合には弁護士に依頼を行うべきですが、いつ、どのような弁護士に依頼すべきなのかがわからない方も多いのではないでしょうか。

弁護士へ依頼は、学校事故が起きてからなるべく早い段階に行うことをおすすめします。学校事故が起きてから時間が経過するほど、証拠の取り損ねといった取り返しのつかないミスが生じる可能性が増加していくためです。

そのため、可能な限り早期に行動を起こし、弁護士への依頼を行いましょう。

アトム法律事務所では、無料の法律相談を行っています。
無料で弁護士に相談を行い、依頼してもよいのかどうかについての検討を行うことが可能です。

法律相談の予約受付は24時間体制で行っているので、一度気軽にご連絡ください。

岡野武志

監修者


アトム法律事務所

代表弁護士岡野武志

詳しくはこちら

高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」「ネット削除依頼」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。

保有資格

士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士

学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了

英語:TOEIC925点