埋葬料に相続税はかかる?死亡時に請求できる給付金と相続税の課税関係

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埋葬料は相続税の課税対象ではない

埋葬料とは、故人が社会保険に加入していた場合に、故人と生計維持関係にあった人が受け取れる給付金のことです。

この埋葬料に、相続税は課税されません。

加えて所得税の課税対象にもならないため、支給対象の方にはぜひ受け取っていただきたい給付金です。

この記事では、埋葬料をはじめとする給付金と相続税の課税関係、埋葬料を受け取る際の手続きについて解説します。

埋葬料と相続税の課税関係

埋葬料に相続税はかからない

埋葬料は相続財産に含まれないため、相続税が課税されません。

また、所得税などその他の税金も一切課税されません。

埋葬料とは

埋葬料は、故人が社会保険に加入していた場合に、故人と生計維持関係にあった人が受け取れる給付金のことです。支給金額は一律で5万円です。1人5万円ではなく、家族全体に5万円です。

社会保険とは?

全国健康保険協会(協会けんぽ)や組合健保・共済組合などの社会健康保険組合のことをいいます。

すなわち埋葬料は、故人が正社員や公務員として勤めていた場合に支給されます。

生計維持関係とは?

故人によって生計のすべて、または一部を維持されていた方をいいます。

たとえば、3人家族で夫が亡くなった場合には、妻と子どもが該当します。夫と妻が共働きだったとしても、生計維持関係として認められます。

同居していた家族をイメージするかもしれませんが、遠方で故人からの仕送りで暮らしている子どもや、婚姻関係のない内縁の相手も埋葬料の支給対象に含まれています。

埋葬料を受け取るには2年以内に手続きが必要

埋葬料を受け取るためには、故人の勤務先の健康保険組合、または社会保険事務所に、故人が死亡した日の翌日から数えて、2年以内に申請手続きをしなければなりません。

自動で支給されるわけではないので注意してください。

※埋葬料を受け取るための手続きについて詳しくは、本記事後半の『埋葬料の受け取り手続き』をお読みください。

埋葬料と相続税

  • 埋葬料に相続税は課税されない
  • 所得税やその他の税金も課税されない
  • 受け取れるのは生計維持関係者にあった人(配偶者、子ども、内縁の相手など)
  • 受け取るためには2年以内に申請手続きが必要

家族埋葬料にも相続税はかからない

家族埋葬料とは

家族埋葬料とは、社会保険に加入している被保険者の、被扶養者が死亡した場合に支給される埋葬料です。

支給金額は埋葬料と同様に一律で5万円です。

夫が被保険者で、妻と子どもが被扶養者の場合、妻や子供が死亡したときに、夫が家族埋葬料の支給対象者となります。

家族埋葬料の受け取りにも、相続税をはじめ一切の税金がかかりません。

埋葬料付加金にも相続税はかからない

大手企業が多く加入している組合健保では、通常の給付に加えて追加給付(埋葬料付加金)をおこなっていることがあります。

この埋葬料付加金も、通常の埋葬料と同様に相続税は課税されません。

追加給付される金額は、埋葬料5万円に加えて、埋葬料付加金として数万円が上乗せされることが多いです。

埋葬料以外の給付金と相続税の課税関係

【比較表でわかる】埋葬料・埋葬費・葬祭費の違い

埋葬料・埋葬費・葬祭費の比較

以下で埋葬費と葬祭費について詳しく解説します。

埋葬費に相続税はかからない

埋葬費には、相続税・所得税をはじめとする税金はかかりません。

埋葬費は、埋葬料の支給対象者である「故人と生計維持関係にあった人」がいない場合に、故人を埋葬した人に対して支給されます。

上限額を5万円とし、埋葬にかかった費用分が支給されます。

埋葬費の申請先は、埋葬料と同じく故人の勤務先の健康保険組合、または社会保険事務所です。申請できる期間も同様に、故人が死亡した日の翌日から数えて2年となっています。

埋葬費を申請する場合には、葬儀費用領収書が必要になるため、注意してください。

葬祭費に相続税はかからない

葬祭費には、相続税・所得税をはじめとする税金はかかりません。

葬祭費とは、国民健康保険の加入者の葬祭(葬儀)をおこなった人が支給対象の補助金です。

支給金額は、一般的に3万〜7万円とされており、自治体によって異なります。

「市区町村名_葬祭費」で検索すると、ご希望の自治体の葬祭費がわかります。

葬祭費の申請先は、故人が加入していた国民健康保険を管轄している市区町村役場です。葬祭費を申請できる期間は、葬祭をおこなった日から2年です。

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埋葬料の受け取り手続き

埋葬料の申請方法

埋葬料の申請は、故人が死亡した日の翌日から2年以内に、故人の勤務先の健康保険組合、または社会保険事務所に行います。

以下で解説する、埋葬料支給の申請に必要な書類を郵送、または窓口に直接持参します。

埋葬料の申請に必要な書類

埋葬料の申請に必要な書類

埋葬料の申請に必要な書類は以下のとおりです。

埋葬料支給申請書

埋葬料支給申請書は、各種健康保険が指定する様式があります。各組合から直接配布してもらうか、公式ホームページから書式をダウンロードして入手するのが一般的です。

故人の健康保険証

故人の健康保険証は、死亡した場合、健康保険組合に返納することになっています。

故人の死亡が証明できる書類

埋葬許可証や火葬許可証のコピー、故人の戸籍謄本・抄本、死亡診断書のコピーなどが当てはまります。健康保険組合によって、必要書類が異なるため、事前に確認するようにしましょう。

埋葬料が支給されるタイミング

埋葬料は、健康保険組合に支給申請をおこなってから、2〜3週間で振り込まれることが多いです。

一般的には申請時に指定した銀行への振り込みで受け取ります。協会けんぽは現金受け取りできません。

埋葬料と相続税に関してよくある質問

Q1.相続放棄しても埋葬料はもらえる?

相続放棄していたとしても、埋葬料は受け取れます。

埋葬料は相続財産ではありません。そのため、受取人が支給の条件に当てはまっている場合は、相続放棄した相続人だとしても埋葬料を受け取ることができます。

相続放棄とは、プラスの財産とマイナスの財産の、一切の相続義務を放棄することをいいます。

関連記事

相続放棄したら相続税は払わなくていい?ほかの相続人への影響も解説

Q2.埋葬料の申請期限が過ぎてからもらう方法はある?

申請期限(死亡の翌日から2年)が過ぎてから埋葬料をもらう方法はありません。

自動で振り込まれるわけではないため、申請を忘れないように注意しましょう。

なお、葬儀を行う前でも埋葬料の申請は可能です。

Q3.埋葬料と葬祭費、両方もらうことはできる?

埋葬料と葬祭費を両方もらうことはできません。

故人が亡くなったときに加入していたのが社会保険であれば埋葬料、国民健康保険であれば葬祭費の支給申請ができます。

生前に、故人が両方の保険に入ったことがあるからといって、埋葬料と葬祭費を二重にもらうことはできないので注意しましょう。

Q4.納骨費用や葬式費用は相続財産から控除できる?

被相続人の葬儀で使った納骨費用や葬式費用は、相続税の計算上、遺産総額から控除できます。

ただし、一言で納骨費用・葬式費用といっても、遺産総額から控除できる費用とできない費用があります。

たとえば、火葬や納骨にかかった費用や、葬式にあたりお寺に払った読経料や戒名料は控除できます。しかし、香典返しにかかった費用や四十九日などの法要に関する費用は控除できません。

納骨費用や葬式費用と相続税の関係について詳しくは、関連記事『納骨費用・葬式費用は相続税の計算上控除できる?計算方法も解説』をお読みください。

Q5.年金受給権の相続に相続税はかかる?

年金受給権に相続税がかかるかどうかは、年金の種類ごとに異なります。

死亡退職金や退職年金などの企業年金や、個人年金の年金受給権には相続税がかかります。

ただし、国民年金や厚生年金の年金受給権には相続税がかかりません。

年金と相続税の課税関係について詳しくは、関連記事『年金に相続税はかかる?個人年金・企業年金・公的年金を解説』をお読みください。

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まとめ|相続手続きで不安があれば税理士に相談

埋葬料には相続税や所得税など、税金がまったくかからないため、支給対象になっている方は忘れずに支給申請しましょう。

かけがえのない方が亡くなってそれどころではない、と考える方もいるかもしれませんが、残された方が今後の生活を送っていくためにも大切なことです。

相続の手続きを進めていくと、難しい手続きや、ご自身ではどうすれば良いかわからないことが多く出てくると思います。

相続する財産の調査や、相続税の計算、相続税申告書の作成など、相続の手続きでお困りの方はぜひ一度、相続税に強い税理士にご相談ください。

税理士にご相談いただければ、相続手続きを正確に進めるだけではなく、相続税の支払いが少なくなる特例の適用や、次の相続のことまで考えた遺産の分配方法のご提案をさせていただきます。

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高部孝之税理士

監修者


高部孝之税理士事務所

税理士高部孝之

2019年税理士試験合格 2020年税理士登録
都内大手税理士法人にて約13年間勤務。資産税部門の責任者などを経て、2024年に独立し浅草にて資産税を強みとする税理士事務所を開業。
専門用語を用いず、平易な言葉で説明することを大切にしており、お客様が親しみやすく相談しやすい税理士を理想としています。

保有資格

税理士・FP技能士1級・相続診断士

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