爆サイの書き込み特定と開示請求の方法!どんな訴えができる?慰謝料はいくら?

爆サイ【開示請求・特定】

爆サイは、日本最大級の掲示板サイトです。地域やジャンルごとに掲示板が設けられており、さまざまな話題についてユーザー同士が交流しています。

そんな爆サイに誹謗中傷や名誉毀損などの書き込みが投稿されると、投稿者を特定して再発防止の意味も込めて損害賠償請求したいなんらかの刑事処分を受けてほしいと考える人もいるでしょう。

爆サイで誹謗中傷を受けた場合、一定の手続きのもとであれば投稿者を特定できます。この記事では特定の方法からその後の対応について解説しています。

爆サイの投稿者特定から損害賠償請求までは一定の期間を要するものです。さらには法律の知識やネットトラブルのノウハウを押さえた対応が求められるので、弁護士相談も検討してください。

身体へ何らかの危害を加える予告を受けたり、リベンジポルノなど極めて悪質な行為については、より早急な対応が必要です。警察への相談もおこなってください。

爆サイ投稿者の特定|IPアドレスを開示請求する方法

爆サイ投稿者の特定のためには、まず投稿者のIPアドレス情報が必要です。IPアドレスを知るまでの流れを説明します。

爆サイにIPアドレスを開示請求

爆サイは匿名掲示板ではありますが、運営は投稿者のIPアドレス情報を知っています。そこで、まずは爆サイ運営に対して権利侵害を理由とする開示請求をおこないましょう。

開示請求のフォームは爆サイの「お問い合わせ」にある「申告窓口」より可能です。

  1. 申告窓口から「発信者情報開示請求」を選択する
  2. 爆サイ所定のフォームに入力する
  3. フォーム入力後、連絡先に認証メールが届くので認証する
  4. 爆サイ運営側より数日のうちに「申告手続きについてのご案内」が届く
  5. 必要書類を揃えて指定の送付先に郵送する
  6. 爆サイ側より対応結果の連絡が書面で届く

こうした一連の手続きを経ても、爆サイ側が開示に応じるかどうかは任意なので、開示してもらえない場合もあります。

裁判所へ仮処分命令の申立て

爆サイ側がIPアドレスの開示に応じてくれない場合でも、裁判所から開示するように仮処分命令を申し立てる方法があります。

仮処分命令がなされると、爆サイの運営者からIPアドレスが開示されるので、投稿者がその投稿をおこなった際のプロバイダーがわかるのです。

もっとも、裁判所に申し立てても必ず認められるわけではありません。爆サイの投稿内容が、申立て者の権利侵害をしていることを証明する必要があります。

権利侵害の例としては、プライバシー侵害侮辱罪名誉毀損などがあげられますが、書き込みの内容によって様々です。そのためどういった権利侵害をされているのか、法的な根拠を持って申立てをするには弁護士のサポートが有効といえます。

後述しますが、投稿時のログ保存期間は限られているので、投稿から時間が経ちすぎていると本人特定の機会を逃す恐れがあります。対応策を検討する時間も限られているので、まずは弁護士へ相談してみて今後の流れを知っておきましょう。

爆サイ投稿者の特定|プロバイダーへの発信者情報開示請求訴訟

裁判所からの仮処分命令によりIPアドレスが開示されたら、つづいて投稿者を特定するためにプロバイダーに対して発信者情報の開示を求めていきましょう。

発信者情報の開示を求める方法は、プロバイダーに依頼する方法と、「発信者情報開示請求訴訟」を起こす方法の2つがあります。

プロバイダーへ契約者情報の開示を依頼

IPアドレスを元に特定したプロバイダーに対して、発信者情報の開示を依頼します。

もっとも、プロバイダーにとって発信者は契約者でもあるので、プライバシーの観点などから任意の情報開示依頼には応じてくれないことがほとんどです。

そこでプロバイダーに対して、発信者情報開示請求訴訟を起こすことになります。

プロバイダーへ発信者情報開示請求訴訟

プロバイダーへの開示請求にあたっては、爆サイの書き込みによってどういった権利侵害が起こっているのか、証拠と共に示さねばなりません。

権利侵害の例としては、名誉毀損、侮辱罪、プライバシー侵害などがあげられます。

訴訟時の証拠は、書き込みのあったページのPDFやスクリーンショットが有効です。その際にはURLも明らかになるように残しておきましょう。また、爆サイ側から開示を受けたIPアドレスも必要です。

裁判所はプロバイダーに対して発信者情報の開示を命令するかを十分に検討します。なぜなら、発信者情報を開示することは、発信者の個人情報を開示するという点から、発信者のプライバシー侵害にも該当するからです。

裁判所が、被害者側の申立てが合理的であると判断した場合には、プロバイダーに対して発信者情報の開示を命じます。

こうしてプロバイダー側から発信者情報の開示を受けることができると、ようやく投稿者の特定に至ります。

特定までには約10ヶ月かかると想定されており、書き込みを発見してからのストレスは非常に長く続いてしまいます。個人で法的な手続きを進めると書類の作成にも時間がかかってしまい、さらに長期化する恐れもあるでしょう。

爆サイ投稿者の特定を検討している方は、ネットトラブルに詳しい弁護士の中でも、開示請求や投稿者の特定分野で実績のある弁護士を選んで相談してみましょう。

改正プロバイダ責任制限法も施行

2022年10月1日に改正プロバイダ責任制限法が施行されたことで、匿名掲示板で名誉毀損や侮辱等の被害を受けた方の救済がよりスムーズに行われるようになりました。

これまでの手続きでは、まず爆サイ側にIPアドレスを開示請求し、別途、プロバイダー側へ発信者情報の開示を求める必要がありました。しかし改正プロバイダ責任制限法により、この手続きが一度におこなえるようになったのです。

また「非訟手続」というより簡便な手続きとなったことからも、投稿者の特定までにかかっていた時間の短縮が期待できます。

また改正法では、発信者情報開示請求の対象が拡大されたこともポイントです。これまで開示されていた情報にくわえて、SNSサービスにおけるログインやログアウト時の情報、アカウントの取得・削除時の情報、SMS認証時の電話番号なども開示されるようになりました。

しかし、改正プロバイダ責任制限法においても、爆サイ運営やプロバイダー側が異議を申し立てると、通常の裁判手続きに移行することになり、かえって時間がかかるリスクもあります。

爆サイやプロバイダー相手の開示請求手続きにくわしい弁護士に相談して、従来の方法もしくは改正プロバイダ責任制限法のいずれが適切かを聞いてみましょう。

【注意】ログを保存する手続きも必要

プロバイダー側のログ保存期間は基本的に3ヶ月から6ヶ月程度とされています。

よって、爆サイの書き込みから投稿者を特定したくても、書き込みから時間が経っていてはログが消去されている場合があるのです。ログの保存も申し立てる必要がある点には注意しましょう。

特定後はどんな訴えができる?

爆サイの投稿者を特定したら、権利侵害を明らかにしたうえで損害賠償請求ができます。損害賠償請求の内容としては、慰謝料、弁護士費用などが考えられるでしょう。

また、爆サイに書き込まれた内容によっては、警察へ被害を訴えることで刑事処分を求めることもできます。

書き込み人物に慰謝料を請求できる

爆サイで悪口や誹謗中傷を書き込まれ、その書き込みが侮辱罪や名誉毀損にあたる場合には慰謝料の請求が可能です。どういった権利侵害を訴えるのかで、慰謝料の相場は異なります。

たとえば侮辱罪の慰謝料相場は数万円程度にとどまる見込みです。一方で、名誉毀損の慰謝料相場は個人の場合で10万円から50万円程度企業であれば50万円から100万円程度が相場とされています。

特定にあたってかかった弁護士費用は全額の請求はむずかしく、一部の請求にとどまることがほとんどです。

誹謗中傷を受けた場合の慰謝料相場や請求の流れは、関連記事『誹謗中傷の慰謝料相場はいくら?損害賠償請求の流れと注意点をおさえよう』でより詳しく解説しています。

侮辱罪と名誉毀損はどう違う?

名誉毀損の成立要件は、(1)公然性があること、(2)事実を摘示して名誉を毀損したことです。

爆サイはインターネット上の不特定多数の人が利用するサイトなので、公然性については成立すると考えて良いでしょう。

つづいて事実の摘示があるかどうかです。以下の例で考えてみましょう。

  • 「Aさんは痴漢で捕まったことがある」と書き込みがなされた場合、「捕まった」という事実が摘示されており、なおかつAさんの社会的評価を下げるものなので、名誉毀損に該当します。
  • 「Aさんはアホだ」との書き込みでは事実の摘示がないので、名誉毀損ではなく侮辱罪で訴えることを検討します。

事実の摘示というのは、真実性は必要ありません。つまり痴漢で捕まったことが事実でも、虚偽でも、名誉毀損に該当しうるのです。

関連記事『侮辱罪の成立要件は?名誉毀損罪との違いや侮辱罪になる言葉の具体例を紹介』でも分かりやすく解説しているので、参考にしてみてください。

警察に訴えて刑事処分を求めることが出来る

警察に被害を訴えることで刑事処罰を求めることもできます。

名誉毀損や侮辱罪は親告罪といわれるもので、その事実を知ってから半年以内に告訴しなくてはいけません。告訴とは警察に被害の事実を申告し、加害者に対して刑事処分を求めることをいいます。

告訴後は警察や検察によって捜査がおこなわれ、刑事処分が決まる流れです。

名誉毀損罪では3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金、侮辱罪では拘留(1日以上30日未満の拘置)または科料(1,000円以上1万円未満)となります。

不起訴となると刑事処分はありませんが、警察や検察の捜査を受けたという前歴は残ることになります。

爆サイの書き込みから投稿者を特定するときの注意

爆サイの投稿者を特定する上で知っておきたい注意点を説明していきます。

特定には1年近くかかる可能性がある

爆サイの書き込みから投稿者を特定するには約10ヶ月ほどの時間がかかると考えておきましょう。

改正プロバイダ責任制限法による「発信者情報開示命令事件に関する裁判手続」を利用すれば、爆サイとプロバイダーの両方へ一度の手続きで開示請求をかけられます。そのぶん時間短縮になる可能性もあり、被害者の心理的負担も軽減される見込みです。

ただし相手の出方次第では通常の裁判手続きへと移行してさらに時間がかかることもあるので、具体的な開示請求の方法は弁護士の見解を聞いてみましょう。

特定費用で赤字になることもある

爆サイの書き込みから投稿者を特定するための弁護士費用には、相談料、着手金、報酬金、実費などが考えられます。

弁護士費用のなかでも着手金は、依頼した時点でかかるもので、後々に返還されることは原則ありません。

また爆サイへのIPアドレス開示請求とプロバイダーへの発信者情報開示請求では各々で着手金が発生する可能性があります。成功報酬も各々の手続きに対して発生する場合があるでしょう。

関連記事『IPアドレスで特定できるものは?個人情報の特定方法と誹謗中傷の開示請求』で解説のとおり、IPアドレスを特定できても、書き込んだ人物の住所や氏名は基本的にわかりません。IPアドレスを元にプロバイダーに開示請求をおこなうことになるのです。

弁護士費用は、特定した相手に請求できます。しかし全額請求できる可能性は高くありません。それどころか相手の資力が低い場合、十分な賠償を受けられないことも懸念点です。

書き込みの特定のためには時間も費用もかかる一方、特定に成功するかどうか、特定できても相手に十分な支払い能力があるかどうかは不明領といえます。

弁護士への相談時には弁護士費用の見積もりと賠償金の相場にくわえて、相手に支払い能力がない最悪のケースについても確認しておきましょう。

仮処分命令には担保金も必要となる

なお、裁判所の仮処分手続きにおいては担保金が必要です。担保金とは、情報の開示によって不利益が発生した場合の補償に充てられる金銭をいい、正当な申し立てであれば後日返還されます。

後日返還されるとはいえ、仮処分手続きが決まればすぐに納めることになるので、事前に準備する必要があります。

特定に向けて証拠を押さえることが大事

爆サイの投稿者を特定するためには証拠が極めて重要です。

実際に書き込みのあった爆サイのページやスレッドのURL、誹謗中傷などの書き込みがあった部分のスクリーンショットやPDFデータを保存しておきましょう。スクリーンショットやPDFはURLがわかるように残しておいてください。

そのほか特定に向けて必要な証拠や収集の手順については、ネットトラブルに精通した弁護士のアドバイスをよく聞いておくと心強いでしょう。

絶対に特定できるとは言い切れない

まず投稿者を特定するために必要なIPアドレスなどの情報は、一定の保存期間を過ぎると消去されてしまいます。一般的には3ヶ月から6ヶ月程度が情報保存期間ともいわれているので、爆サイの書き込みから日が経ちすぎていると特定が難しくなる恐れがあるのです。

爆サイの書き込み特定で弁護士に依頼するメリット

爆サイの書き込みを見てしまい、非常に大きなショックを受けられたことでしょう。まずは爆サイの書き込み特定について詳しい弁護士に被害内容を相談して、どういった対応がとれるのかを聞いてみましょう。

爆サイの投稿者特定を弁護士に任せることには様々なメリットがあります。

  • 先をみすえた幅広い対応が取れる
  • 投稿者特定に必要な証拠収集もスムーズに進む
  • 書き込み内容がどんな権利侵害に該当するかを聞ける
  • 投稿者特定後にすべき対応も任せられる

爆サイの書き込み特定をおこなっても、十分な賠償を受けられる確証はありません。弁護士を選ぶ際には、どういった範囲まで、どのような費用体系で契約できるのかも十分に確認しておくとスムーズでしょう。

なお、爆サイの書き込みの削除について検討している方に向けた解説記事『爆サイのスレッド・書き込みを削除する方法|誹謗中傷投稿の消し方』もおすすめです。

ただし投稿の削除によって特定に必要な証拠が失われるケースもありうるので、削除の時期についても弁護士に見解を聞いてみましょう。

岡野武志弁護士

監修者


アトム法律事務所

代表弁護士岡野武志

詳しくはこちら

高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。

保有資格

士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士

学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了

現在、相談窓口を鋭意準備中です。
何卒ご理解賜りますようお願い申し上げます。