離婚活動でやるべきこと!やることリストを弁護士が解説
「離婚活動を始めたいがよくわからない」
「離活とは何か知りたい」
テレビドラマの影響で、「離活」「離婚活動」という言葉を聞いたことがあるという方も多いのではないでしょうか。
離婚活動(リカツ・リコカツ)とは、離婚後の生活をよく考えて、離婚のための準備をすることをいいます。
準備をすることなく離婚をしてしまうと、不利な条件での離婚を強いられたり、離婚後の生活が苦しくなってしまったりといったリスクがあります。
相手に離婚を切り出す前に、しっかりと離婚活動をおこなっておくことで、離婚後の生活を豊かなものにすることができます。
今回は、離婚活動の内容や、やっておきたいこと、離婚活動をすすめるときのポイントについて解説します。
目次
離婚活動とは離婚の準備のこと
離婚活動とは
離婚活動とは、離婚後の生活をよく考えて、離婚のための準備をすることをいいます。
たとえば、協議離婚では、当事者が話し合いで合意できれば、どんな理由でも、どんな条件でも離婚することができます。
しかし、とくに準備をしないまま離婚してしまうと、離婚後に「もっとお金のことを考えておけばよかった」「もっと離婚条件を考えておけばよかった」と後悔するケースがあります。
また、離婚を考えている人によって、家庭環境や子どもの有無、離婚したい理由や仕事はどうであるかなど、置かれている状況は異なっています。
自分が納得できるような有利な条件で離婚したり、離婚後の生活を豊かにしたりするためにも、十分に離婚活動をおこなっておくことが重要です。
リストを作ってみる
「離婚活動を始めたいけど、何をしたらいいのかわからない」という方も多いと思います。
離婚活動で何をすればよいか迷っているという人は、離婚活動のリストを作ることをおすすめします。
離婚のために必要な準備を書き出していくことで、次に自分が何をやればいいのか、何について確認するべきなのか、次の行動が明確になるでしょう。
離婚活動でやっておきたいこと
「離婚活動のリストは作ったけど、やるべきことが思いつかない」という人は、以下の準備をしておくことをおすすめします。
離婚理由と証拠の準備
まずはじめに、離婚理由をまとめておくことをおすすめします。
とくに裁判を視野に入れている場合、証拠集めもおこなっておきましょう。
裁判では、法定離婚事由といって、以下の5つの離婚原因のうち、1つでも存在しなければ離婚が認められません。
法定離婚事由
- 不貞行為
- 悪意の遺棄
- 3年以上の生死不明
- 回復の見込みのない強度の精神病
- その他婚姻を継続しがたい重大な事由
裁判で離婚が認められるには、証拠によって法定離婚事由があることを証明しなければなりません。また、不倫やDVなどに対して慰謝料を請求したい場合も、証拠が欠かせません。
調停でも、証拠があった方が有利な結果が期待できます。
証拠には、たとえば配偶者と不倫相手が一緒に写っている写真や、DVによって負った怪我の診断書、配偶者のモラハラ行為を記録した日記などが挙げられます。
これらの証拠は、離婚を切り出してからでは確保しづらくなる可能性が高いため、離婚を切り出す前の段階で、相手にバレないように集める必要があります。
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離婚後の生活の収入源を準備
離婚後の生活のために、資金の準備や収入源の確認をしておきましょう。
たとえば、専業主婦(夫)の方が何の準備もせず離婚してしまうと、離婚後の生活が苦しいものになってしまうおそれがあります。
収入源を確保するために就職先を探しておいたり、当面の生活費を計算しておいたりすることが重要になります。
また、日ごろ相手の家族カードを使用しているという場合は、自分名義のクレジットカードを作成しておくことをおすすめします。
結婚期間中であれば、離婚後の収入が低い状態に比べて、クレジットカードの審査が通りやすいほか、高めの限度額も認められやすいというメリットがあります。
財産を把握しておく
離婚をする前に、夫婦で築いた財産を整理しておきましょう。
夫婦が離婚をするときには、財産分与(婚姻期間中に2人が築いた財産を公平に分け合うこと)をすることになります。
土地や建物といった不動産や、預貯金などが財産分与の対象となるので、自分がもらえる財産はどれくらいかを計算し、今後の生活に役立てていきましょう。
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離婚条件を明確にする
離婚をすると、財産分与や慰謝料、年金分割、婚姻費用など、お金に関するさまざまな問題が発生します。
年金分割は、婚姻中に納付した厚生年金の保険料の納付記録を分割する制度です。また、婚姻費用は、離婚が成立するまでの生活費のことをいいます。
離婚活動のなかで、金銭面での離婚条件を明確にし、離婚する際にスムーズに決められるようにしておきましょう。
また、子どもがいるという場合は、親権や養育費について考えたり、子どもの戸籍や姓について考えたりしておくことが必要になります。
離婚後の住居を準備する
離婚後の住居について準備をしておくことも重要です。
離婚後の住居としては、「実家に戻る」「新しく賃貸を契約する」「相手が出ていった後、同じ家に住み続ける」といった選択肢が考えられます。
自分が今住んでいる家を出て新しく賃貸を契約するという場合は、賃料の無駄が出ないように、家を出る日や離婚する日が決まってから新しく賃貸を契約するようにしましょう。
また、子どもがいるという場合は、子どもの学区や通学に配慮して家を探してみることも大切です。
住宅ローンが残っているという場合は、住宅ローンをどうするかということについても、考えておくようにしましょう。
離婚の手続きについて調べる
離婚活動で重要なポイントとして、離婚の手続きについて調べておくことが挙げられます。
離婚の方法には、大きく分けて「協議離婚」「調停離婚」「裁判離婚」の3種類があります。
基本的に、離婚を決意したら、まずは話し合いで解決する協議離婚を目指します。話し合いでの合意が難しい場合は、調停離婚や審判離婚、裁判離婚と進み、家庭裁判所に仲裁してもらう方法で離婚を目指すことになります。
離婚の流れや手続きについて一度確認しておくことで、実際に離婚する際にスムーズに対応することができます。
より詳しく離婚の流れについて知りたいという方は、『離婚手続きの進め方は?離婚の流れを解説』をご覧ください。
子どもがいる場合は転園・転校先を調べる
離婚した後、子どもを連れて離れたところで暮らす可能性がある場合は、離婚する前に転園先や転校先を調べておくようにしましょう。
離婚後の立ち直り方を考える
離婚した後の立ち直り方を考えておきましょう。
相手のDVや不倫などを理由に離婚したという場合は、離婚できたからといってすぐには気持ちが上向かないということもあると思います。
子どもを連れて離婚したという場合はなおさらで、子どもについての心身のケアやフォローをする必要もあるでしょう。
「カウンセリングを受ける」「趣味に没頭する」など、離婚する前に、離婚した後にどうやって立ち直っていくかを考えておくことが重要です。
公的支援を調べる
離婚後、すぐに仕事に就けそうにないことが見込まれる場合は、生活保護の申請を検討してみましょう。
子どもがいるという場合は、母子家庭(シングルマザー)や父子家庭(シングルファザー)に向けた、保育料負担制度や交通費の割引制度といった手当が受けられる可能性があります。
離婚する前に、公的支援について調べておくことが重要といえます。
男性の場合は養育費を調べる
男性の離婚活動で重要なポイントは、配偶者が親権を取ることを考えておくことです。
母親が親権を獲得したとしても、法律上、父親は養育費を支払う義務があります。
離婚活動をする際には、自分が養育費を支払う可能性があることを前提にしておくことが重要です。
離婚活動をするときのポイント
相談できる人はいるか
離婚活動をおこなうときには、苦しいこともあるでしょう。
そういったときに、相談できる人がいれば、離婚に関する悩みを聞いてくれたり、サポートをしてくれたりといったメリットがあります。
まわりに相談できる人がいるかどうかも、離婚活動をうまくおこなうときのポイントの1つです。
離婚以外の選択肢はないか
離婚活動をするなかで、離婚以外の選択肢はないかどうか、もう一度考えてみることをおすすめします。
「好きではなくなったから」「なんとなく離れたい」といった簡単な理由だけで離婚すると、離婚後に「こんなはずではなかった」と後悔するおそれがあります。
離婚後の生活で後悔しないためにも、離婚以外の選択肢を考えてみるのも離婚活動をするときのポイントです。
長期的な視点で考えているか
離婚活動をするなかで、後悔がないように長期的な視点で考えることも大切です。
「離婚した後、再婚をするのかどうか」「将来のキャリア設計はどうか」といった、具体的な将来像をイメージして離婚活動をおこなうようにしましょう。
離婚活動を十分におこなわないまま離婚してしまうと、自分のイメージした将来像とかけ離れたものになってしまうリスクがあるので注意が必要です。
離婚活動が終わったら
離婚活動が終わり、離婚準備が整ったら、相手に離婚を切り出し、離婚の話し合いを始めましょう。
別居中に離婚を切り出す場合、内容証明郵便を使用することもできます。
内容証明郵便とは、どんな内容の手紙が、いつ、誰から誰に差し出されたかを証明してくれる郵便局のサービスです。
一般書留の方式で送付されるため、普通郵便よりも確実に送り届けることができるうえに、「いつどのような請求をおこなったのか」の証拠が残るため、のちに裁判などで活用できることもあります。
また、普通の郵便とは違った方式で届くため、相手にプレッシャーを与える効果が期待できます。
離婚を切り出す方法として、話し合いを経ずに離婚調停を申し立てるケースもあります。
DVやモラハラの被害を受けており、面と向かって離婚を切り出すことに危険を感じる方は、まずは別居して、メールや内容証明、離婚調停などを使って離婚の意思を伝えるのがよいでしょう。
迷ったら弁護士に相談を!
離婚活動(リカツ・リコカツ)とは、離婚後の生活をよく考えて、離婚のための準備をすることをいいます。
相手に離婚を切り出す前に、しっかりと離婚活動をおこなっておくことで、離婚後の生活を豊かなものにすることができます。
もし離婚活動をするなかでどうすればよいか困ってしまったり、離婚活動をしても離婚の話し合いがまとまらなかったりした場合には、弁護士への相談をおすすめします。
弁護士に相談すれば、法的な観点から適切なアドバイスを受けられるほか、調停や裁判に発展した際もスムーズに対応することができます。
無料相談を受け付けている弁護士事務所もありますので、まずは弁護士に相談してみてはいかがでしょうか。
高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。
保有資格
士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士
学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了