財産分与の時効は離婚から何年?2種類の請求期限と最新情報を解説

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財産分与の時効

離婚時に財産分与の取り決めをしていなかった場合や、離婚後に相手が財産を隠していたことに気づいた場合でも、財産分与を請求することは可能です。

ただし、離婚後に財産分与を請求できる期限は、離婚が成立した日から2年が原則です。2026年4月1日以降に離婚した場合は、民法改正により請求できる期間が5年に延長されます。

また、財産分与の金額が確定した後、実際に金銭の支払いや財産の引渡しを受ける権利には10年の消滅時効があります。

この記事では、財産分与の請求に関わる2つの期限と、離婚時期によって異なる適用ルール、離婚後に財産分与を請求する方法について解説します。

財産分与の時効は2年?10年?

財産分与には2つの期限がある

財産分与は、離婚時にも離婚後にも請求が可能ですが、何年後でも請求できるわけではありません。

離婚後の財産分与の請求には、2種類の期限が設けられています。

2年の除斥期間

財産分与請求権には、「除斥期間(じょせききかん)」と呼ばれる期限があり、原則として離婚が成立した日から2年以内に請求する必要があります。

ただし、2026年4月1日に施行予定の民法改正により、この期限は5年に延長されます。

請求できる期間は、離婚した時期によって異なります。2026年3月31日までに離婚した場合、請求期限は2年のままです。一方、2026年4月1日以降に離婚した場合には、新しいルールが適用され、5年以内であれば請求が可能になります。

10年の消滅時効

財産分与の話し合いがまとまったり、調停や裁判が終わると、「どの財産をどのくらい受け取る」という具体的な権利が確定します。金銭の支払いや財産の引渡しを受ける権利は、権利が確定した時から10年で時効により消滅します

したがって、権利の確定後に相手が支払いを履行せず、何も請求しなければ、10年で権利が消滅してしまいます。

消滅時効と除斥期間の違い

消滅時効も除斥期間も、一定期間権利を行使しないことによって、その権利が消滅するルールであるという点は同じです。しかし、それぞれ異なる点もあります。

消滅時効除斥期間
猶予・更新ありなし
援用必要不要
起算点権利を行使できることを知った時権利が発生した時

猶予・更新

消滅時効は、権利者(請求する側)が期間内に一定の行為を行うことで、猶予されたり、更新されて最初から数えなおしになります。

一方、除斥期間には、完成猶予や更新の制度がありません。

援用

時効は、義務者(支払う側)が援用しなければ効果を発揮しません。つまり、時効が経過していても、相手方が時効を援用すると宣言しない限り権利は失われません。

一方、除斥期間は、義務者が援用しなくても、裁判所の職権により強制的に適用されます。

起算点

除斥期間と消滅時効は、起算点も異なります。

消滅時効は、権利者が権利を行使できることを知った時にカウントが始まります。したがって、権利者が請求権を認識していなかった間は、時効が進行しません。

除斥期間のカウントは、権利者が権利の存在を知らなくても進行します。

2年が過ぎたら財産分与を請求できない?

2026年3月31日までに離婚した場合は、離婚から2年を過ぎると、原則として財産分与を請求できなくなります。一方、2026年4月1日以降に離婚した場合は、請求できる期間が5年に延長されます。

この期限を過ぎると、裁判所に財産分与を求めることは認められません。これは裁判によって請求する場合の制限です。

期限を過ぎた後でも、当事者同士の話し合いによって、任意に財産分与を行うことは可能です。

財産分与の時効を延ばす方法は?

2年の除斥期間は延ばせない

離婚から2年という除斥期間(2026年4月1日以降に離婚した場合は5年)は、原則として延長することができません。

ただし、期限内に家庭裁判所へ財産分与請求調停を申し立てていれば、調停や裁判の途中で期限を過ぎたとしても、請求権が失われることはありません。

たとえば、2026年3月31日までに離婚し、離婚から1年11か月後に調停を申し立てたケースでは、その後の手続きに3年かかったとしても、財産分与を求める権利は有効に保たれます。

10年の時効が完成猶予・更新される条件は?

10年の消滅時効は、権利者が以下のような行為を行うことで、完成が猶予されたり、最初から数えなおしになる(更新される)ことがあります。

  • 裁判上の請求
  • 債務の承認
  • 催告
  • 差押え、仮差押え、仮処分

離婚後に財産分与を請求する方法は?

直接請求する

離婚後でも、財産分与の話し合いの手順は変わりません。本人に直接財産分与の請求を行い、話し合います。

電話やメール、口頭などで請求するのもよいですし、内容証明郵便を送ったり、弁護士を通して連絡することもできます。

ただし、本人に請求を行っても、調停を申し立てない限りは除斥期間が進行してしまいます。話し合いがまとまりそうにない場合や除斥期間が迫っている場合は、財産分与請求調停を申し立てましょう。

財産分与請求調停を申し立てる

家庭裁判所に財産分与請求調停を申し立てて、裁判所の調停委員会を介して財産分与について話し合うことができます。

調停の中で双方が合意できれば、調停は成立となり、財産を受け取る権利が確定します。調停が不成立となった場合は、自動的に審判の手続きに移行します。

審判は、裁判官が財産分与の内容を決定する手続です。

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民法改正で財産分与の除斥期間が5年間に!

2024年5月に、民法等の一部を改正する法律が国会で可決されました。改正民法は、2026年4月1日に施行される予定です。

今回の改正では、共同親権の導入や養育費の履行確保が注目されていますが、財産分与についても重要な見直しが行われます。これから離婚を考えている方にとって、確認しておきたい内容です。

改正内容のポイント

  • 財産分与の除斥期間が2年から5年に延長される
  • 財産分与の判断にあたって考慮すべき要素が明確化される

特に、請求期限の延長は、財産分与を検討している方にとって大きな意味があります。

ただし、適用される期間は離婚した時期によって異なります。2026年3月31日までに離婚した場合は、請求できる期間は従来どおり2年です。これは、離婚時の法律が基準となるためです。

一方、2026年4月1日以降に離婚した場合は、改正後のルールが適用され、5年以内であれば請求できます。離婚の時期によって期限が変わるため、注意が必要です。

参考

法務省|民法等の一部を改正する法律(父母の離婚後等の子の養育に関する見直し)について

離婚の財産分与の時効に関するよくある質問

Q. 財産分与の時効は2026年3月に離婚しても2年のまま?

2026年3月31日までに離婚した場合、改正法施行後であっても請求期限は2年のままです。離婚時に適用されていた法律が引き続き適用されるためです。

Q. 財産分与の調停中に2年が経過したらどうなる?

期限内に家庭裁判所へ財産分与請求調停を申し立てていれば、調停や裁判の途中で2年を過ぎても請求権は失われません。たとえば、離婚から1年11か月後に調停を申し立て、その後の手続きに3年かかった場合でも、財産分与を求めることができます。ただし、調停を申し立てずに話し合いだけを続けている場合は、除斥期間がそのまま進むため注意が必要です。

Q. 相手が財産を隠していた場合は後から請求できる?

離婚から2年の除斥期間内(2026年4月1日以降に離婚した場合は5年以内)であれば、家庭裁判所に財産分与請求調停を申し立てることができます。離婚後に相手の隠し財産が見つかった場合でも、財産分与の対象になります。この期限を過ぎると、裁判所を通じて財産分与を求めることはできません。ただし、相手が同意していれば、裁判によらず話し合いによって財産分与を行うことは可能です。

まとめ

財産分与には、2年間の除斥期間と10年間の消滅時効という2種類の請求期限があります。

ただし、2026年4月1日の民法改正施行により、2年の除斥期間が5年に延長されます。2026年3月31日までに離婚した場合は2年のまま、2026年4月1日以降に離婚した場合は5年が適用されます。

離婚後も期限内であれば財産分与は可能ですが、時効が過ぎて請求できなくなってしまうリスクを考えると、離婚前にしっかりと話し合っておいた方が安心です。

離婚時の財産分与でお悩みの方は、ぜひ弁護士への相談をご検討ください。

岡野武志弁護士

監修者


アトム法律事務所

代表弁護士岡野武志

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高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。全国15拠点を構えるアトム法律グループの代表弁護士として、刑事事件・交通事故・離婚・相続の解決に注力している。
一方で「岡野タケシ弁護士」としてSNSでのニュースや法律問題解説を弁護士視点で配信している(YouTubeチャンネル登録者176万人、TikTokフォロワー数69万人、Xフォロワー数24万人)。

保有資格

士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士、弁理士

学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了