ハンドボール事故|学校に怪我の補償を請求できる?熱中症やゴール倒壊も発生 | アトム法律事務所弁護士法人

ハンドボール事故|学校に怪我の補償を請求できる?熱中症やゴール倒壊も発生

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ハンドボールの学校事故|怪我の補償を請求

学校の部活動や体育を通じて楽しまれているハンドボールですが、走る・投げるなど運動量の多いスポーツであり、事故にあって怪我をする危険性はついて回るものです。

「ハンドボール中の事故で子どもが怪我をした」と連絡を受けたら、今後どんな対応が必要になるのでしょうか。また、学校側に事故発生の責任を問えるものでしょうか。

事故に対して、学校側に何らかの責任が認められた場合には、事故の損害賠償を請求できます。

この記事を読めば、ハンドボール事故の責任を学校側に問えるケースや、弁護士に相談するメリットがわかります。特に学校側への損害賠償請求を検討している方は、最後までお読みいただき、無料の法律相談を利用するかどうかも検討してみてください。

ハンドボール事故|学校で起こった3つの事例

ハンドボール事故は、学校での部活動や体育の授業など様々な場面で発生する可能性があります。

競技中にプレーヤー同士で接触したり、ボールが当たってしまって怪我をする人もいますが、練習中の熱中症、準備・後片付け中の事故など、競技外での事故も起こっているのです。

ここからは学校で起こったハンドボール事故について、判例や日本スポーツ振興センターが取りまとめている「学校事故事例検索データベース」からみていきましょう。

(1)夏期練習中に熱中症にかかり死亡した

市立中学校のハンドボール部の生徒が、夏期練習の途中で意識を失い担架で市民病院へと運ばれました。残念なことに、熱射病を原因とする多臓器不全により死亡してしまったのです。

家族は指導教諭など学校側に対して、暑熱環境での部活動の始動においては生徒が熱中症にり患することのないように配慮すべき義務を負っており、り患した場合にはしかるべき措置をとるという義務に違反したなどとして、損害賠償請求を行いました。(名古屋地方裁判所一宮支部 平成16年(ワ)第459号、平成18年(ワ)第515号 損害賠償請求事件 平成19年9月26日)

(2)コートのライン引き中に野球部の打球が当たり、頭部を損傷した

県立高校のハンドボール部員が、グラウンドでハンドボールコートのライン引きをしていました。同一グラウンドでフリーバッティングをしていた野球部員の打球が頭部に当たってしまった事故です。

被害生徒は治療を受けましたが、外傷性てんかんの後遺症が残ってしまいました。生徒側は学校側に対して、事故の発生を未然に防止すべき注意義務を怠ったなどとして損害賠償請求を行いました。(福岡地方裁判所小倉支部 昭和57年(ワ)第26号 損害賠償請求事件 昭和59年1月17日)

(3)ハンドボールゴールが足に落下し負傷した

体育館でのハンドボール練習後、教師指導の下でハンドボールゴールの片付けをしていた際に起こった事故です。

片付けのためにゴールを一度体育館ステージ上に上げたものの置き方が不適切であり、ステージ下へゴールが落下して、生徒の右足に当たってしまったのです。(学校事故事例検索データベース/精神・神経障害に区分)

ハンドボールでの怪我は災害共済給付が利用できる

学校管理下で怪我をしてしまった場合には「災害共済給付」による補償を受けられる場合があります。

災害共済給付は独立行政法人日本スポーツ振興センターの共済制度です。この共済制度は、部活動や体育の授業を含み、学校管理下で生じた事故の損害を補償してくれます。

災害共済給付の利用にあたっては、まず学校が共済に加入しているかがポイントです。お子さんが怪我をしてしまい大変な時かと思いますが、災害共済給付の利用可否は早めに確認しましょう。

災害共済給付の申請には医療費の証明が必要

災害共済給付の申請手続きは、基本的に学校が行います。しかし、申請にあたっては病院から医療費の証明を受ける必要があるため、保護者が対応すべき事項もあるのです。

災害共済給付の申請から給付までの全体の流れを順番にみていきましょう。

災害共済給付申請の流れ

  1. 学校から災害共済給付の申請に必要な書類を受けとる
  2. 病院から医療費の証明を受ける(学校から受けた所定の用紙で依頼する)
  3. 病院から医療費の証明を受けた用紙を学校に提出する
  4. 学校が災害共済給付の申請をする
  5. 申請から約3ヶ月程度で給付を受けられる

医療費の証明はひと月ごとに必要です。病院に入院して手術を受けることになったり、長期の入院・通院となった場合には、療養の月ごとに証明を受けることを留意しましょう。

災害共済給付はすべての損害をカバーするものではない

災害共済給付は学校の管理下で生じた事故の損害を補償するものです。

学校でハンドボールをしていて負った怪我の治療費や、後遺障害が残ってしまった場合の補償、死亡時の見舞金などの項目が支払われます。

災害共済給付の支払費目と金額

支払費目給付額
医療費※治療費の40%
障害見舞金88万円~4,000万円
死亡見舞金3,000万円

※治療開始から治癒までに医療費総額が5,000円以上であること(3割負担で1,500円以上)

上表「災害共済給付の支払費目と金額」の通り、支払費目と給付額が定められています。いいかえれば、災害共済給付の補償にも上限があり、すべての損害を補償するわけではありません

たとえば、ハンドボール事故によって生徒に後遺障害が残ってしまったり、死亡した場合の損害として「逸失利益」が問題になってきます。

逸失利益という損害

後遺障害や死亡により、将来仕事に就いて得られたはずの収入が得られなくなったという損害

逸失利益の金額は、事故にあった学生が将来働いて得られたはずの収入、労働能力が失われている期間、どれくらいの労働能力が失われたのかなどを元に計算します。逸失利益の計算式は複雑かつ多角的な視点が必要になるため、弁護士への見積もり依頼がおすすめです。

逸失利益の金額だけで「災害共済給付からの障害見舞金」として支払われる金額を超える可能性も十分あります。災害共済給付だけでは損害を補てんできない場合に、その不足分を学校側に求めることが可能です

ただし、学校側への損害賠償請求が認められるのは、ハンドボール事故の発生に関して学校側に何らかの責任がある場合です。

ハンドボール事故|学校や教諭の責任と損害賠償請求

学校の管理下で起こったハンドボール事故について、学校側を相手に損害賠償請求することは可能です。ただし、学校側への損害賠償請求が認められるのは、学校や教諭に事故の責任があると認められた場合に限ります。

では、どういったときに学校や教諭の責任を問うことができるのかをみていきましょう。

学校側への損害賠償請求が認められる場合

ハンドボール事故の責任が学校にあると認められるのは、「教諭の故意や過失により事故が起こった場合」と「施設や設備の安全性に問題があり事故が起こった場合」です。

教諭の故意や過失により事故が起こった

教諭が意図して生徒に損害・危害を加えた場合には、教諭の故意により事故が起こったと認められるでしょう。例えば、部活動での行き過ぎた指導の結果、生徒に体罰を加えた場合が該当します。

次に、教諭による過失が事故の原因と認められるケースです。
教諭の過失とは、ハンドボール事故が起こるであろうと予見できたのに適正に対応しなかったり、事故発生を事前に防ぐための適切な行動がなされなかったことをいいます。

教諭の過失はややイメージしづらい部分もあるでしょう。以下に、教諭の過失が認められうる一例を示します。

教諭の過失例

  • 新入部員をいきなり試合に参加させてケガ人が続出した
  • 水分補給・休憩時間をきちんと確保せず、部員が熱中症状を呈した
  • 部活動中にふざけて遊んでいる部員を放置した結果、他の部員が巻き込まれて怪我をした

教諭は、学生が安全な学校生活を送り、危険な目に合うことのないように注意しなくてはなりません。部活動や授業においても、怪我のリスクを可能な限り減らす行動が求められるのです。
この義務を「安全配慮義務」といい、義務を怠った教諭に対しては過失が認められます。

部活動や体育の授業においては、学生の習熟度に合った練習をさせる必要があります。また、他の学生に危害を与えるような行動をとる者にはきちんと指導し、事故を未然に防ぐ必要があるのです。

このように、教諭が故意に事故を起こしたり、過失によって事故が起こったことが認められたなら、教諭を雇用する立場にある学校の責任も問えます。

教諭が負う安全配慮義務は、学校側への損害賠償請求にあたって重要なキーワードです。関連記事も併せてお役立てください。

施設や設備の安全性に問題があり事故が起こった

学校の施設や設備は、安全な学校生活を送るために欠かせません。そんな施設や設備が通常持つべき安全性に欠けており、そのことが原因で事故が起こったと認められたなら、学校の責任を問うことができます。

なお、施設や設備の安全性に問題がある状態のことを「施設や設備に瑕疵がある状態」ともいいます。ハンドボール事故の場合は、ハンドボール用のゴールが老朽化していないか、練習する環境として体育館やグラウンドは安全であったのかなどが、施設・設備の瑕疵に該当する可能性があるでしょう。

学校の老朽化により事故が起こった場合の法的責任については、関連記事『学校の老朽化による事故で生じる法的責任は?』にて詳しく解説中です。

教諭個人への損害賠償請求が認められる場合

教諭個人に事故の責任を問えるのは、教諭の故意や過失があった場合に限ります。

ただし、学校が国公立か私立なのかも注意しましょう。国公立学校で生じたハンドボール事故の損害は、国や地方公共団体が損害賠償責任を負うため、教諭個人への損害賠償請求は認められません。

教諭個人への損害賠償請求

損害賠償請求の可否
国公立学校不可(国や地方公共団体へ請求)
私立学校

損害賠償請求内容を検討する際には、誰に、どんな内容を請求できるのかといった「損害賠償請求権」の基本を整理しておくことをおすすめします。関連記事『学校事故の損害賠償|請求相手と請求内容は?示談についても解説』も併せてお役立てください。

ハンドボール事故について弁護士に相談

お子さんが学校で事故にあってしまい、保護者として今後どのように対応していくべきか、損害賠償請求も視野に入れているという方は、一度弁護士に相談することをおすすめします。

弁護士相談がもたらすメリット

弁護士に相談してはじめて、本当に依頼するべきかをじっくり考えられるでしょう。弁護士に依頼するメリットは多数ありますが、その一部は次の通りです。

  • 学校に対する損害賠償請求額の相場がわかる
  • 書類作成や証拠収集のアドバイスがもらえる
  • 学校側との話し合いや裁判対応を任せられる

学校事故の解決のためには、まず学校側との話し合いが必要です。子どもの通院治療に専念したい中で話し合いの時間を取らねばならず、保護者の負担は大きいものです。

弁護士に依頼すると学校対応の助言をもらえたり、学校側との交渉を一任できます。連絡窓口を弁護士に一本化すれば、仕事や家事に充てる時間も確保しやすくなるでしょう。

そうはいっても、弁護士相談のハードルを高く感じる人は多いものです。弁護士に相談するメリットをよく知ってから検討したい方は『学校事故に遭ったら弁護士に相談しよう』も併せてお読みください。

また、先々のことを考えて裁判の基本を知っておくことをおすすめします。学校を訴えたいと考えている方は、以下の関連記事もお役立てください。

学校で起こったハンドボール事故の無料相談窓口

学校で起こった事故によって、お子さまに重い後遺症が残ったり、お子さまが亡くなられたりした場合は、アトム法律事務所の無料相談をご活用ください。弁護士相談をためらう一つの理由である「法律相談の費用」については心配いりません。

弁護士に依頼することで、次のようなお悩みの解消・軽減につながる可能性があります。

  • 出来るだけ学校側との交渉の場に立ちたくない
  • 後遺症が残った場合の補償額をどう算定・請求していいか分からない
  • 学校側から提案された金額か適正なのか分からない

法律相談したからといって強引に契約を迫ることはありません。弁護士に依頼するメリットにご納得いただいてから、正式な契約を検討していただければ十分です。

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アトム法律事務所 岡野武志弁護士

岡野武志弁護士

監修者


アトム法律事務所

代表弁護士岡野武志

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高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。

保有資格

士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士

学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了