バレーボール事故|怪我の補償と学校の責任は?後遺障害が残る事故も発生 | アトム法律事務所弁護士法人

バレーボール事故|怪我の補償と学校の責任は?後遺障害が残る事故も発生

更新日:

バレーボールの学校事故|怪我の補償と責任

バレーボールは性別や年齢に関係なく親しまれている球技です。そんな部活動や体育でも取り入れられているメジャーなスポーツとはいえ、学校の管理下で事故は起こっているのです。

もし学校でバレーボールをしていて我が子が負傷してしまったら、誰にその補償を請求すべきなのでしょうか。そして、事故の原因が学校や顧問にあると感じた場合にはどんな対応を取るべきなのでしょうか。

バレーボール事故の発生した原因が学校や顧問にあると判断された場合、学校側への損害賠償請求が認められます。

この記事では、学校側への損害賠償請求が認められうる条件弁護士への相談メリット無料で利用できる法律相談の予約窓口を紹介しますので、最後までお読みください。

バレーボール事故の事例|後遺障害が残る重大事故も起こる

バレーボールは飛ぶ・打つ・走るなどといった多様な動きを伴うスポーツであり、ときにチームメイトとの接触も起こるため、一定の怪我のリスクは避けられません。

さらに、バレーボール事故の発生は競技中にとどまらず、準備中や後片付けの場面でも重大事故は起こっています。
ここからは実際に学校で起こったバレーボールに関連する事故の事例を紹介します。

(1)体育の授業中にバレーボールが右側頭部に当たり倒れてしまった

市立中学校における体育の授業中、男子生徒の蹴ったバレーボールが他の生徒の右側頭部に当たり、その場に倒れこんでしまった事故です。

家族はこの事故が元になって被害生徒が低髄液圧症候群を発症、後遺障害が残ったとして、監督する教諭の過失を問い、損害賠償請求を行いました。(福岡高等裁判所 平成22年(ネ)第244号 損害賠償請求控訴事件 平成23年9月22日)

(2)バレーボールのネット張り中に、巻き器が跳ね上がって顔面を負傷した

市立中学校の生徒が、バレーボールのネットを張るためにネット巻き器を使用していたところ、巻き器が急激に跳ね上がり顔面を直撃した事故です。生徒には前額部に傷跡が残ったほか、嗅覚減退の後遺障害が残りました。

家族は、ネット巻き器が通常有すべき安全性を保持しておらず、設置や管理に瑕疵があったことなどから学校の責任を問う損害賠償請求を行ったのです。(大分地方裁判所 平成25年(ワ)第347号 損害賠償請求事件 平成26年6月30日)

(3)体育館の天井に乗ったボールを取る際に転落、視力の後遺障害が残った

府立高校の生徒は、バレーボール部の部活動終了後、体育館の天井のボールを取るために天井に登りました。その際に飾り板部分を踏み抜いて転落し、左外傷性視神経症などの受傷をしてしまったのです。その結果、視力に関する後遺障害が残ってしまいました。

家族は、部員が天井部分に上がることを予測できたのに、顧問の注意喚起は不十分だったなどとして損害賠償請求を行ったのです。(大阪地方裁判所 平成23年(ワ)第15122号 損害賠償請求事件 平成25年7月29日)

災害共済給付の申請|学校事故の補償を受けよう

学校で起こった不慮の事故を補償する制度に「災害共済給付」があります。バレーボールの部活動や体育の授業などで負傷した場合にも、災害共済給付から補償が受けられるのです。

災害共済給付

独立行政法人日本スポーツ振興センター(JSC)による共済制度。怪我の治療費や障害が残った時の補償、死亡時の見舞金などの給付を受けられる。

もっとも、学校によっては災害共済給付に加入していない場合もあります。お子さんが学校の管理下で怪我をした場合には、できるだけ早く共済への加入有無を学校に確かめておきましょう。

災害共済給付の申請で親がやるべきこと

災害共済給付の申請にあたっては、学校にすべてを任せるのではなく、親としても対応すべきことがあります。具体的には、所定の用紙を提出して病院に医療費の証明をもらい、学校に提出することです。

災害共済給付を申請するフローを以下に示します。

災害共済給付申請のフロー

  1. 学校から申請に必要な書類を受けとる
  2. 病院に医療費の証明をもらう
  3. 医療費の証明を学校に提出する
  4. 申請から約3ヶ月程度で給付を受けられる

なお、医療費の証明は月単位で必要です。治療期間が長かったり、事故発生日が月末に近いと療養が複数月にわたるため注意しておきましょう。

災害共済給付の補償額に注意!

災害共済給付は、学校の管理下で起こった事故の補償です。給付内容は医療費、障害見舞金、死亡見舞金といった費目に分かれていて、各給付金額は下表のとおり決まっています。

災害共済給付の金額

給付額
医療費※治療費の40%
障害見舞金88万円~4,000万円
死亡見舞金3,000万円

※初診~治癒までに医療費の総額が5,000円以上であること(3割負担で1500円以上)

怪我の治療費や障害が残った時の補償、死亡見舞金も含まれているので、一見すると十分な補償を受けられるようにみえます。しかし、この金額が上限額となるため、損害額が給付額を上回ったときの不足分まではカバーしてもらえません。

災害共済給付の金額が不十分になるケースとしては、子どもに後遺障害が残ってしまったり、死亡してしまうケースがあげられます。その理由は「逸失利益」という損害が発生するためです。

逸失利益

事故によって本来は得られたはずの収入が得られなくなったという損害。後遺障害や死亡による労働能力の低下・喪失によって生じる損害とされる。

逸失利益の算定は、子どもが将来働いて得られたであろう収入、労働能力の喪失程度、収入の喪失が見込まれる年数などを使った複雑な方法となります。

そのため、関連記事『学校の怪我で後遺症|慰謝料や逸失利益の計算と相場は?』の解説を参考に、損害賠償算定の専門家である弁護士に見積もり依頼がおすすめです。

事故の責任が学校側にある場合、災害共済給付を受けてもなお生じる「不足分」について損害賠償請求できます。学校側への対応についてもアドバイスがもらえるので、損害賠償額の算定や請求を考えている方は、弁護士への相談をご検討ください。

バレーボール事故の損害賠償請求|学校や顧問の責任は?

バレーボール部での事故について、学校や顧問の責任が認められた場合、学校に対する損害賠償請求が可能です。

損害賠償請求のポイントとなる学校の責任と顧問の責任について具体的にみていきましょう。

学校に責任を問う|顧問の故意や過失、施設・設備の不具合

学校への損害賠償請求は、学校に事故発生の責任がある場合に認められます。具体的には「顧問による故意や過失で事故が起きた場合」、「学校の施設や設備の不具合で事故が起きた場合」です。

顧問による故意や過失で事故が起きた場合

顧問が意図して生徒に損害を与えたり、事故を引き起こす行動をあえてとった場合には、顧問による故意といえるでしょう。体罰などをふくむ行き過ぎた指導も該当します。(体罰については、こちらの関連記事『体罰を受けたら弁護士に相談すべき|教師が負う3つの責任と体罰の定義』にて詳しく解説していますのであわせてご確認ください。)

顧問の過失とは、事故発生の可能性を予見していたのに、事故を防ぐための適切な対策をとらなかったことです。

少しイメージがしづらいので、顧問による過失の一例を示します。

顧問による過失の一例

  • バレーボールの球拾いに関する注意点を適切に指導せず、入部したての初心者に任せきりにした。
  • バレーボールのネットを張る作業方法について、十分な教育をしていなかった。
  • 高温多湿な体育館で練習を続け、熱中症状を呈した生徒が続出した。

顧問は、事故をあらかじめ予見してその発生を防ぐ義務を有しています。この義務は「安全配慮義務」といわれ、安全配慮義務に違反した顧問には過失があると判断されるのです。

そして、顧問による故意や過失が事故の原因である場合、顧問を雇用する学校にも事故の責任を問えます

顧問の安全配慮義務違反が認められるかどうかが、学校に対する損害賠償請求可否のポイントです。安全配慮義務に焦点を当てた関連記事も併せてお役立てください。

施設・設備の不具合で事故が起きた場合

学校の施設や設備が通常保持する安全性に欠けている状態を「瑕疵がある状態」といいます。

学校が適切に管理すべき施設・設備に瑕疵があって事故を招いた場合、その管理者である学校への責任を問えるのです。学校の老朽化が原因となった事故について、具体的な損害賠償請求の事例を知りたい方は、関連記事『学校の老朽化による事故で生じる法的責任は?損害賠償請求はできる?』をお役立てください。

顧問個人に責任を問う|顧問の故意や過失

顧問の故意や過失によって事故が起こった場合、安全配慮義務に違反したものとして、顧問個人に責任を問うことができます。

ただし、国公立学校と私立学校で異なる点に留意しておきましょう。国公立学校の場合は、学校の設置者である国や地方公共団体が損害賠償責任を負います。そのため、顧問個人に対する損害賠償請求は認められません。

私立学校の場合には、顧問個人に対する損害賠償請求も認められる可能性があります。

顧問個人に対する損害賠償請求可否

顧問個人に対する損害賠償請求
国公立の学校できない
私立の学校できる

損害賠償請求の相手が誰になるのか、どういった内容を請求できるのかは、関連記事『学校事故の損害賠償|請求相手と請求内容は?示談についても解説』を読むと理解が深まります。併せてお役立てください。

バレーボール事故の損害賠償請求は弁護士に相談

バレーボールの部活動や授業中に起こった事故について、「学校や顧問に責任を問いたい」、「損害賠償請求を検討している」という方は、一度弁護士に相談してみることをおすすめします。

弁護士がいれば損害賠償請求はこう変わる

学校の管理下で起こった事故の損害賠償請求については、弁護士への相談が最適です。弁護士に相談することで、弁護士介入後の具体的なイメージを描けます。

  • 適切な損害賠償額を見積もってもらえる
  • 損害賠償請求にかかる証拠の収集や書類の準備をサポートしてもらえる
  • 示談交渉や裁判を任せられる

いったいどれくらいの損害賠償請求額となるのか、一般の方が独力で算定するのは難しい面があります。弁護士ならば裁判例や事例も踏まえて、損害として請求するべき費目をもれなく算定可能です。

また学校側との交渉窓口を弁護士に一本化することで、依頼者の負担を大幅に減らすことができます。

弁護士への相談・依頼がもたらす変化は大きく、事故の被害にあわれた方には多くのメリットがあるので弁護士への相談・依頼を考えてみてください。
関連記事では、弁護士に相談するメリットや、学校を訴えたいと考えている方に役立ててほしい情報を紹介しています。

まずは無料の法律相談から始めませんか

弁護士に相談するのが有効だとしても、相談費用が心配だという方もいるでしょう。

学校管理下で起こったバレーボール事故によって、お子さまに重い後遺障害が残ってしまったり、亡くなられてしまった場合は、アトム法律事務所の弁護士による無料の法律相談をご活用ください。

無料の法律相談利用にあたっては、まず予約をお願いしています。
下記のフォームからお問い合わせください。専属スタッフが24時間365日体制で予約受付中です。

無料法律相談ご希望される方はこちら

お取り扱いできない事案もあります。詳しくは受付にご確認ください。

アトム法律事務所 岡野武志弁護士

正式契約ではありませんから、法律相談だけで終了していただいて構いません。正式契約を検討している方には、弁護士費用についてもきちんと説明しますので、お気軽にご連絡ください。

  • 学校側から提示された示談案が妥当なものかわからない
  • 部活動での怪我で重い後遺障害が残ってしまい途方に暮れている
  • 学校に請求すべき損害賠償金の相場の見当がつかない

こういったお悩みについて、弁護士依頼で解決できる可能性があります。

岡野武志弁護士

監修者


アトム法律事務所

代表弁護士岡野武志

詳しくはこちら

高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。

保有資格

士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士

学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了