ヨット事故|怪我の補償は誰がする?学校や先生に責任を求めることは可能? | アトム法律事務所弁護士法人

ヨット事故|怪我の補償は誰がする?学校や先生に責任を求めることは可能?

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ヨットの学校事故|怪我の補償は誰が負う?

ヨットは学生の部活動にも採用されているマリンスポーツのひとつで、学校によってはセーリング部ともいわれ幅広い世代に親しまれています。

その一方で安全への十分な配慮が必要で、どんなスポーツも怪我をしたり、事故にあうリスクはついてまわるものです。お子さんがヨット部活動中に事故にあったら、どのような対応をすべきなのでしょうか。

学校や教師にヨット事故の責任がある場合は、学校側への損害賠償請求が認められる可能性があります。

この記事では、ヨット事故に対する損害賠償請求が可能となるケースを学校や教師の責任という点から解説します。無料の法律相談窓口もご案内しますので、弁護士相談を検討している方もお役立てください。

また、学校の活動中に起こった事故を補償してくれる災害共済給付の申請方法も解説します。お子さんが怪我を負った際に利用できる可能性がありますので、まだ申請をしていないという方はぜひ本記事をお読みください。

ヨット事故|学校と関連する事例

ヨット事故には様々な原因があります。安全を重視しているスポーツではありますが、その競技の性質上、危険と隣り合わせといえるでしょう。

ここからはヨットの部活動中に起こった事故の事例を、判例や日本スポーツ振興センターの「学校事故事例検索データベース」から紹介します。

(1)ヨット部の合宿練習中に死亡事故が起きた

国立大学ヨット部の合宿練習中に、ヨット部員が事故にあい、急性心不全で死亡してしまいました。

事故が起こった原因には、学校側の安全配慮義務違反、営造物設置管理の瑕疵があったとして、学校を設置する国への損害賠償請求が裁判で争われました。(山形地方裁判所 昭和55年(ワ)第118号 損害賠償請求事件 昭和58年2月28日)

(2)競技中断中に岸壁より飛び込みテトラポットで頭部を打ちつけた

この事故は強風によりヨット競技を中断している最中に起こってしまいました。競技再開に向けて待機していたある生徒が、現場付近を泳ぐ数名の生徒を目撃し、現場付近の岸壁から海中へ飛び込んだのです。

その結果、飛び込んだ際にテトラポットで頭部を打ち付けてしまい、頚部に障害を負ってしまいました。(日本スポーツ振興センター 学校事故事例検索データベース)

(3)ヨット部の練習中にロープで指を切断した

この日は強風で沖へは出られなかったため、沖での練習に向けた活動が行われていたのです。事故は落水時に船内へと上がる練習をしていて起こってしまいました。

ある学生はロープを持ったまま海へと入りました。その際に小指が船具に引っかかったことで体重によって右手小指の第一関節部を切断してしまったのです。(日本スポーツ振興センター 学校事故事例検索データベース)

ヨット事故|学校管理下の事故は災害共済給付を申請できる

学校でのヨット部活動中に事故にあって怪我をした場合には「災害共済給付」の申請ができます。

災害共済給付とは?

学校管理下で災害が生じた際に医療費、障害見舞金、死亡見舞金の給付が受けられる。独立行政法人日本スポーツ振興センター(JSC)による給付制度。

災害共済給付は、学校側と保護者が共済掛金を支払う互助制度です。そのため保護者は入学時に加入の同意を求められます。

学校によっては災害共済給付制度に加入していない可能性もあるので、災害共済給付の申請が可能かどうかは、学校に確認を取るようにしてください。

災害共済給付の申請に必要なこと

災害共済給付は学校を通じて申請します。しかし、保護者にも対応が求められる部分がありますので確認していきましょう。
災害共済給付申請のために保護者が取るべき主な対応は以下の通りです。

  1. 申請書類を学校から受けとる
  2. 医療機関に申請書類を提出して医療費の証明をもらう
  3. 医療費の証明をもらった申請書類を学校に提出する

なお、療養が複数月にわたる場合には月ごとの証明が必要です。手術が必要だったり骨折などによる入院が生じて通院が長引いているケース、通院を開始した時期が月末であったケースなどは注意しておきましょう。

災害共済の申請が認められた場合には、申請からおよそ3ヶ月ほどで給付金が支払われる見通しです。

災害共済給付さえもらえれば安心?

災害共済給付は怪我・後遺障害・死亡と幅広い災害に対応していますが、損害のすべてを補償してくれるものではありません。災害共済給付金として支払われる金額は次のとおりです。

災害共済給付金の金額

給付金額
医療費※治療にかかった費用の40%
障害見舞金88万円~4,000万円
死亡見舞金3,000万円

※初診から治癒までに医療費総額が5,000円以上(3割負担で1,500円以上)かかっていること

給付金額をみると十分に足りるように感じる方もおられるでしょう。しかし、ヨット部で発生した災害により重い後遺障害が残ってしまったり、亡くなってしまった場合には、災害共済給付からの給付金額では補償が不十分なケースも存在するのです。

たとえば、後遺障害が残ったり死亡してしまった場合に問題となる損害のひとつに「逸失利益」があります。

逸失利益

後遺障害や死亡により労働能力が下がる又は労働能力を失ってしまい、事故がなければ将来働いて得られたはずの収入が得られなくなった損害

逸失利益の金額算定は、お子さんの年齢に加えて、就学状況や進路、ヨット事故発生時の労働者の平均年収などの様々な要素を考慮しなくてはなりません。そのため、逸失利益の算定は専門家の見解をたずねることをおすすめします。

学校でのヨット事故について損害賠償請求を視野に入れているなら、一度弁護士に相談してみませんか。

また、関連記事『学校の怪我で後遺症|慰謝料や逸失利益の計算と相場は?』では後遺症が残った場合の慰謝料や逸失利益の相場・計算方法を解説していますので、お役立てください。

ヨット事故の責任|学校・教師への損害賠償請求

ヨット事故の発生原因が学校側にあると認められた場合には、災害共済給付だけでは足りない部分の損害賠償請求が可能です。

学校管理下で生じたヨット事故では災害共済給付を利用できる可能性があるものの、損害内容次第では補償が不十分である可能性について説明してきました。不足部分について、学校や教師への請求が認められるかどうかは、ヨット事故発生の責任の所在によります。

学校に事故の責任を問えるのか?

ヨット事故の原因に「教師の故意や過失が認められる場合」や「学校の施設や設備に瑕疵がある場合」は、学校に対して損害賠償請求が認められる可能性があります。

教師の故意や過失

教師の故意と過失については、それぞれ次のように考えます。

教師の故意と教師の過失

概要
教師の故意行き過ぎた指導によるもの※
教師の過失事故発生を予見していたり、予見できたにもかかわらず、適切な回避行動をとらなかった

※例:体罰を含むケース

先生が意図してわざと事故を起こして生徒が負傷するケースも問題ですが、通常では考えにくい行動といえます。その一方で、学校側と生徒側とで意見が食い違う傾向にあるのは、教師に過失があったかということです。

例えば次のような状況でヨット事故が起こったなら、先生の過失が認められる可能性があります。

  • 生徒の習熟度に合わせた指導を怠った
  • ヨットの安全航行に必要な気象条件を見誤った
  • リスクの周知徹底や安全意識の啓もうが不十分であった
  • ヨット転覆時に適切な対応を取らなかったり、必要な準備をしていなかった

先生は、生徒が災害に巻き込まれることがないように注意する安全配慮義務を負っています。教師の過失認定は「安全配慮義務違反」が認められるかどうかがポイントです。

関連記事『学校事故における安全配慮義務とは?教師が負う2つの責任』を併せて読むと、安全配慮義務に関する理解が深まるでしょう。

そして、先生が安全配慮義務を怠っていると判断された場合には、先生を雇っている学校にもヨット事故の責任を求めることができます。

学校施設や設備の瑕疵

ヨット部の活動を安全に行うためには、施設や設備に不具合があってはいけません。学校施設や設備に瑕疵がある状態とは、本来の安全性を欠いた状態をさし、設備管理者として学校の責任を問えるのです。

例えば、ヨットの船体に異常があったり、設備の保持に必要な点検を怠ったために事故が生じたと認められた場合には、設備の瑕疵に該当する可能性があります。

先生個人に事故の責任を問えるのか?

先生の故意や過失が原因となってヨット事故が起こった場合に限って、先生個人への損害賠償請求が認められる可能性があります。

注意したいのは、先生が公立学校の教師であるケースです。公立学校の場合には、学校の設置者である国や地方公共団体が損害賠償責任を負いますので、先生個人には請求できません。

私立学校の先生については、先生個人に対する損害賠償請求が認められる可能性があります。

以下の関連記事では、損害賠償請求権にもとづいてどんな請求ができるのかを解説中です。請求内容や相場額を知りたい方は併せてご覧ください。

まとめ

  • 先生の故意や過失の認定が損害賠償責任請求可否の分かれ目
  • 公立学校の場合には、先生個人に対する損害賠償請求は認められない

ヨット部活動中の事故|弁護士相談のすすめ

ヨット部活動に汗を流していたはずの我が子が、突然の事故に巻き込まれてしまった場合、まずは怪我の内容や治療の見込みが気になるところでしょう。そして事故当時の話を聞くうちに、なぜそんな事故が起こったのか、事故は避けられなかったのかという想いになるのも当然です。

事故の原因が学校や先生にあると感じて損害賠償請求を検討している方は、一度弁護士への相談をおすすめします。それは適切な損害賠償請求額の把握にとどまらず、保護者の負担を和らげることにもなるからです。

ヨット事故の弁護士相談で保護者が得られるメリット

弁護士に相談をすることで、弁護士に依頼した場合のイメージをより掴みやすくなります。具体的には次のようなメリットがあげられるでしょう。

  • 損害賠償請求額の適正な相場がわかる
  • 保護者として取るべき適切な対応がわかる
  • 学校側との交渉に必要な書類の収集を任せられる
  • 示談交渉や裁判の対応を一任できる

学校側への損害賠償請求は、まず話し合いからスタートするでしょう。お子さんの治療への付き添いのほか、仕事も家事もという状況は多忙を極めます。そんな中で学校側との話し合いも疎かにできず、保護者も疲弊する一方です。学校側との話し合いが一回で済むとは限らず、意見の食い違うところが出てくるほど長期化するでしょう。

弁護士に学校側との交渉を任せることで、学校側への対応に関する不安やストレスを大幅に減らせて、もっとお子さんのケアに集中できます。

法律相談や弁護士への依頼に関して敷居が高いと感じる方もいるでしょう。関連記事『学校事故に遭ったら弁護士に相談しよう』では、弁護士への相談・依頼のメリットをさらに詳しく解説しています。弁護士相談をためらっている方は併せて参考にしてください。

無料の法律相談予約は年中無休OK!

部活動など学校の管理下で起こったヨット事故で、お子さまが亡くなられたり、重い障害を負ってしまった場合は、アトム法律事務所の無料相談をご活用ください。

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アトム法律事務所 岡野武志弁護士

岡野武志弁護士

監修者


アトム法律事務所

代表弁護士岡野武志

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高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。

保有資格

士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士

学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了