著作権侵害や無断転載は弁護士に相談!著作権問題に強い弁護士とは?
著作権はその作品を創造した人が持つ権利のことで、申請や認可を受けるものではなく、創作したと同時に発生します。
著作物によって生み出される利益を守るため、そして著作物に込められた著作者の想いを尊重するための権利を著作権というのです。
- 自分の漫画が無断でネットにアップロードされている…
- 撮影した風景写真が風俗店のHPに…こんなつもりで撮影したわけじゃない!
- 会社のロゴが無断で使われている…
こうした著作権侵害でお困りの方は、一度弁護士に相談してみましょう。弁護士に相談することで、どんな対応がとれるのか、そして弁護士を入れる必要度や緊急度がつかめます。
目次
著作権侵害で弁護士に相談する窓口はどこ?
(1)ネット検索で弁護士の対応範囲を絞る
多くの法律事務所や弁護士は、ホームページを開設したり、SNSやブログで情報発信をおこなったりしています。
著作権問題にどの程度注力しているのか、記載されている情報は分かりやすいかといった点でチェックしてみると、著作権侵害に対する弁護士の取り組みや考え方がみえてくるでしょう。
インターネットで検索する際には、著作権をめぐるトラブルや被害内容を具体的に入力して検索する方法がおすすめです。例えば検索文言としては以下のようなものが考えられます。
検索文言のパターン例
- 「著作権 被害者」
- 「著作権問題 法律相談」
- 「著作権侵害 弁護士」
- 「無断転載された」
- 「知的財産権侵害 被害」
ホームページには法律相談を申し込む方法や流れが掲載されています。大半のケースで予約必須なので、いきなり事務所を訪問するのではなく、法律相談の予約を取るようにしましょう。
(2)弁護士会の法律相談を活用
都道府県ごとに設置されている弁護士会では、法律相談や弁護士紹介を受けることが可能です。
弁護士会によって相談内容の分類は様々ですが、著作権問題については「著作権侵害」や「知的財産権侵害」を選択すると良いでしょう。
弁護士会のホームページでは紹介可能な分野が記載されており、希望分野の選択形式が多いです。不明点やくわしい利用方法は各弁護士会のホームページに従ってください。
弁護士会のホームページ
(3)法テラス経由で弁護士に依頼をする
法テラス(日本司法支援センター)は、国が「法的トラブルを解決するための総合案内所」として設立しました。
著作権侵害や無断転載など、相談したい内容を伝えたうえで法律相談の機会を設けてもらう流れになりますので、くわしい手続きについては法テラスのホームページにしたがってください。
利用にあたっては収入等が一定額以下であること、勝訴の見込みがないとは言えないこと、報復的感情を満たすだけや宣伝、または権利濫用的な訴訟の場合などに該当しないことといった条件があります。
(4)市区町村の法律相談窓口や法律相談会を活用する
市区町村によっては著作権侵害に関する法律相談窓口や法律相談会を設ける場合があります。
ただし、著作権侵害や無断転載の問題はやや専門的であるため、法律相談の対象とはならないことや、対応する弁護士の注力分野が異なることもあるでしょう。事前に主催する市区町村などに確認しておくことをおすすめします。
著作権侵害に強い弁護士とは?
著作権侵害の問題は、個人・法人問わず悩まされる重大な問題です。著作権侵害の実態を熟知し、これまで解決に取り組んできた弁護士であれば、広い視野で解決策や対応方法を助言できます。
こうした「著作権侵害に強い弁護士」の特徴についてくわしくみていきましょう。
著作権トラブルについてくわしい
技術の進歩によりネット上のトラブルは日々変化しています。著作権の問題も同様で、最新の動向やトレンドについてくわしい弁護士が望ましいです。
たとえば、SNS上での無断転載、楽曲を無断使用による動画制作、ファイル共有ソフト(例:ビットトレント)による漫画やアニメの無断アップロード・ダウンロードなど問題となっています。
ご自身のトラブルがどういった法的問題となっているのか、加害者に刑事面・民事面で責任追及できるのかなど、現在の傾向を踏まえた見通しを説明してくれる弁護士なら安心です。
削除(差止め)・慰謝料請求・刑事告訴などに対応できる
著作権侵害をした相手に対しては、民事責任と刑事責任の両方を問うことが可能です。
民事責任は損害賠償請求、著作権侵害の行為をやめさせること、謝罪文の公表を求めることなどがあげられます。一方の刑事責任は加害者に刑罰を求めることです。
加害者の責任 | 主な内容 | 主体 |
---|---|---|
民事責任 | 損害賠償、差止 不当利益返還、名誉回復 | 被害者 |
刑事責任 | 刑罰 | 警察・検察・裁判所など |
たとえば、ご自身がネット上に公開している漫画が別サイトで無断転載されたとします。
もし相手に対して損害賠償請求をしたいと考えているとき、警察に告訴をしても解決は図れません。なぜなら警察は、著作権侵害について捜査をおこない、刑罰を問うかどうかを決める捜査機関だからです。
捜査で犯人を特定しても、損害賠償請求は被害者と加害者間ですすめる民事の問題と判断されます。
逆に、被害者が「加害者には最低10年刑務所にいてほしい」と主張しても、最終的には裁判所が判断するもので、被害者が加害者に刑罰を言い渡せるものではありません。
弁護士相談のポイント
著作権侵害に強い弁護士に相談しながら加害者への対応を検討することも可能です。ただし法律相談は時間・回数が限られることも多いので、相談前に自分の意向を整理することも大切です。
著作権侵害についてどんな対応ができるのかを知りたい方は、関連記事もあわせてお読みください。無断転載の削除や訴訟などの対応方法の基本を解説しています。
弁護士の注力する分野と解決実績
弁護士は法律の専門家ですが、得意としている分野や注力する領域には特徴があります。著作権について力を入れていることで、実務経験から得た見地やノウハウに差があることも考えられるでしょう。
法律事務所のホームページや弁護士のプロフィールには、主に対応している領域が記載されています。著作権侵害や知的財産権侵害についての記載があることは確認してください。
知的財産権侵害もかかわりが深い可能性がある
著作権侵害は知的財産権侵害のひとつとも考えられています。著作権侵害に強い弁護士であれば「こうした権利侵害も主張できる」「知的財産権侵害にあたるのではないか」など視野の広いアドバイスが可能です。
関連記事では知的財産権とは何か、知的財産権侵害の対処法や事例を解説しているので参考にしてみてください。
弁護士費用についての説明が丁寧
弁護士費用は各法律事務所の費用体系によって様々なので、しっかり時間をかけて説明してくれる弁護士を選んでください。
とつぜんトラブルに巻き込まれた方にとって、弁護士費用事態になじみがないのは当然です。弁護士費用の主な内訳には着手金、報酬金、実費などがありますが、その意味をしっかりと理解するためには説明を受ける必要があります。
弁護士費用の主な内訳
費目 | 概要 |
---|---|
着手金 | 契約と同時に発生 |
報酬金 | 結果に応じた対価 |
実費 | 交通費や郵便代など |
とくに理解しておきたい部分は、着手金と報酬金です。
着手金について
弁護士に依頼する活動の範囲について認識をもっておき、新たに着手金が発生するケースの有無についても聞いておきましょう。
たとえば、著作権侵害について加害者と裁判せずに話し合うことと、裁判を起こすことについて、別途の着手金が発生するケースもあります。
報酬金について
報酬金は成功報酬ともいわれ、弁護活動の結果に対して生じる弁護士費用です。何をもって成功というのか、定額なのか成果に対する一定の割合なのかは確認しておきましょう。
関連記事では、著作権侵害をしている相手が誰なのか、匿名の人物を特定するための「発信者情報開示請求」手続きにかかる費用を解説しています。
どんな行為が著作権侵害にあたる?著作権侵害の基本をチェック
著作権侵害にあたる行為|無断転載やパクリは?
著作権には、著作物の利用を許可することで使用料を受け取れる著作権(財産権)と、著作物をとおして表現された著作者の人格を守る著作者人格権があります。
もう少しくわしく説明します。
著作権(財産権)
著作権(財産権)には、複製権、上演権・演奏権、上映権、公衆送信権、公の伝達権、口述権、展示権、頒布権、譲渡権、貸与権、翻訳権・翻案権など、二次的著作物の利用権のように細かく分類されています。
著作物を利用する場合には著作権者の許可を受けることが必要です。著作権者の許可なくこうした権利をおびやかす行為は著作権侵害にあたります。
次のような行為は著作権侵害にあたる可能性が高いといえるでしょう。
著作権侵害となる行為の例
- 映画をネットにアップロードして誰でも簡単に閲覧可能にする
- 他人のイラストを自分の作品の一部に無断で使用する
- 他社作品のキャラクターを勝手に自分の作品に登場させる
- 著作権フリーではないネットの拾い画像を会社のロゴに使用した
著作者人格権
著作者の了解なく、不特定多数の人に見せること、著作者の名前を公表すること、作品に変更を与えることは著作者人格権の侵害にあたる行為です。
著作権侵害となる行為の例
- イラストレーターの作品を勝手にアダルトゲームで使用する
- 未発表の小説を本人の許可なく無断で公表する
- 漫画家の作品タイトルを勝手に変えて出版する
無断転載やパクリは著作権侵害になる?
無断転載については著作権侵害のひとつといえます。「パクリ」は著作権侵害にあたるかの慎重な判断が必要です。
これまで同一性や類似性について検討がなされ、著作権侵害(複製権や翻案権の侵害)と判断された判例もあります。
オマージュやパロディは?
オリジナル作品への理解や愛情、ユーモアを交えた風刺的な目線をもつとされるオマージュやパロディは、必ずしも著作権侵害とは限りませんが、模倣の程度や表現方法によっては問題となる場合があります。
著作権侵害は一部を除いて親告罪
著作権侵害は犯罪行為ではありますが、一部を除いて親告罪とされています。そのため著作権侵害にあった場合には、ご自身で警察あるいは検察への告訴が必要です。
親告罪とは?
被害者が加害者への処罰を希望する旨の「告訴」を行わないと、裁判が開かれない犯罪のこと
被害内容に応じて判断が必要なので、著作権問題にくわしい弁護士との法律相談で見解を聞いてみましょう。
著作権侵害に対する刑罰
著作権侵害の刑罰は10年以下の懲役または1000万円以下の罰金もしくは併科(その両方)です。
著作権侵害罪(著作権法違反)は厳罰化の傾向にあります。
著作権侵害を弁護士に相談するメリット
著作権侵害に強い弁護士に相談することで、次のようなメリットが得られます。
メリット
- 専門知識と経験をもとに最適なアドバイスを受けられる
- 対応に慣れているのでスピーディ
- 損害賠償の交渉を任せることができる
- 警察への告訴もサポート可能
弁護士に相談するメリットについて、続けて解説します。
専門知識と経験をもとに最適なアドバイスを受けられる
著作権の問題は、いわゆる知的財産権の事案でやや専門的な分野になります。弁護士は法律の専門家ではありますが、これまで取り扱ってきた分野や実績によって、実務上の知識やノウハウは様々です。
そのため著作権侵害にくわしい弁護士に相談・依頼することで、これまでの経験を元にしたアドバイスを受けることができます。
対応に慣れているのでスピーディ
ネット上の著作権侵害では、相手を特定すること、被害内容を証拠として適切に保存することなどやるべきことが多くあります。
その一方で、証拠となりうるログ情報は一定期間で削除されてしまう点が問題です。証拠が不足すると加害者の特定ができなかったり、損害賠償請求で適正な金額を請求できない恐れがあります。
著作権侵害に強い弁護士は、被害者の方の希望する解決を迎えるための方法を熟知しているだけでなく、こうした問題点をよく理解しているので、依頼を受け次第すみやかに着手可能です。
損害賠償請求や削除(差止め請求)の代理人となれる
弁護士は代理人として、被害者の法的権利の保護を求めた活動が可能です。
著作者は、その著作物に関する著作権(複製権、公衆送信権、翻訳権、翻案権、二次使用許諾権)を独占できる排他権をもちます。
よってこれらの権利が侵害された場合、著作者は、侵害者に対して以下の請求が可能です。弁護士は被害者の権利保護に向けた「代理人」となれます。
請求内容 | 概要 |
---|---|
侵害行為の差止め・予防請求 | 侵害行為の停止や侵害の恐れに対する予防措置を求める |
損害賠償請求 | 著作権侵害による被害について、損害賠償請求(慰謝料など) |
不当利得返還請求 | 侵害者に利益が発生している場合、その利益の返還請求 |
名誉の回復 | 謝罪文の公表など、著作者の名誉・名声回復の措置を求める |
警察への告訴もサポート可能
警察への告訴に向けては、証拠の収集や法的根拠の検討が欠かせません。著作権侵害に強い弁護士であれば、証拠収集のサポート、被害内容に応じた法的根拠の検討もスムーズです。
- 告訴状の作成:法的根拠のある告訴状を作成できる
- 警察や加害者対応:警察対応や加害者との交渉も代理人になれる
代理人(弁護士)がついていることで、被害者は仕事や家事、学業に専念しやすい環境をつくることができます。
著作権侵害は弁護士に相談!無料相談可能な法律事務所もある
著作権侵害を弁護士に任せるときには、まず契約前に法律相談をおこなうことが多いです。法律相談を通して、被害者は希望する解決方法を伝えることができ、今後の流れや弁護士費用といった疑問を解消できます。
そして、どんな解決を目指せるのか、弁護士に依頼する必要性など、弁護士の目から見た依頼の必要性についてお伝えする機会でもあるのです。
こうした点から、法律相談がすぐに正式な契約・依頼に結びつくわけではありません。
まだ依頼するか分からない、弁護士の必要性が定まっていないという観点から、無料の法律相談をする法律事務所や無料の相談窓口の活用もおすすめです。
ネットトラブルにくわしい弁護士選びの参考になる解説記事は、下記バナーよりご覧いただけます。弁護士を選ぶ際にはあわせてお読みください。
高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。
保有資格
士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士
学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了