スポーツ事故の解決を弁護士に依頼するメリットと無料相談のご案内
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スポーツ事故は、相手方との関係性を考えると被害を申し出づらい環境だったり、法的問題について誰に相談すべきか分かりづらいことがあります。
スポーツ事故もそのひとつで、スポーツにケガは付き物であることから、弁護士に相談・依頼するという選択を想像しづらいことも特徴です。
しかし、事故の原因によっては法的問題として弁護士に相談して対応を任せるべきケースがあります。
スポーツでの怪我の賠償問題について弁護士に依頼するメリットは以下のとおりです。
弁護士相談・依頼のメリット
- 法的問題のある事故かどうかを判断できる
- 不当に低い慰謝料で終わらずにすむ
- 日常生活への復帰や自分の時間も確保できる
- 資料収集や書類作成の手間が省ける
この記事では、とつぜんのスポーツ事故で負傷した場合に弁護士に相談するメリットについての詳細や、弁護士への依頼を検討するべきケースを例示していきます。
目次
メリット(1)法的問題のあるスポーツ事故かどうかを判断できる
弁護士に相談・依頼することで、スポーツ事故を法的問題として対応ができるかの助言を受けることが可能です。
スポーツは怪我と隣り合わせですから、ある程度の怪我のリスクを承知している人は多いでしょう。しかし、すべてのスポーツ事故が自己責任とは言えません。
しかるべき相手に損害賠償すべきスポーツ事故のケースについて説明していきます。
指導者や監督がいたのに事故が起こったケース
スポーツを趣味として楽しんだり、習い事や教室に参加して技術の向上を目指す人もいます。こうした生徒に対して、スポーツクラブやジムなどの指導者や監督は「安全配慮義務」を負っています。
指導者や監督に安全配慮義務違反が認められたときには、損害賠償請求が認められる可能性があります。
安全配慮義務違反があったかどうかは、予見可能性と結果回避性の2点に注目しましょう。
ポイント
指導者や監督者は怪我の発生を予測することができたのか、適切に対応していれば怪我を避けられたのかに着目しましょう。
スキー教室での安全配慮義務違反
スキー教室に参加した兄弟が、夜間のそり滑りで事故にあってしまいました。1名は死亡、もう1名も重傷を負ったのです。
裁判所はゲレンデがアイスバーン状で滑りやすい状態であったこと、ゲレンデの先が崖であったことなどを指摘しました。
そして監視する人員の配置や滑走範囲の指示が適切でなかったことなどから、教室運営者に過失があったことを認定したのです。なお、兄弟はその年齢などを考慮して、一切の過失がないものと判断されました。(東京地方裁判所 平成11年(ワ)第5542号 損害賠償請求事件 平成12年7月4日)
「教える側」と「教えられる側」では技術や判断能力に差があることが前提とされています。教える側には相応の安全配慮が求められているのです。
学校の部活や体育の授業中に負傷したケース
学校は生徒に対する安全配慮義務を負っています。生徒が安全な学生生活を送れるように配慮しなくてはならず、部活動や体育の授業中も対象です。先生や顧問の安全配慮義務違反が認められたときには、学校側への請求が認められるでしょう。
また、先生を雇用している学校も賠償責任を負うことになります。
具体的には、国公立学校においては学校設置者である国または地方公共団体へ、私立学校においては学校経営者や先生個人への請求となる見込みです。
学校で起こった事故の損害賠償請求については、関連記事にて詳しく解説しています。
スポーツ施設や設備の不備が原因で怪我をしたケース
スポーツ施設や設備の安全性に問題があって怪我をした場合には、それらを管理する者に対して賠償請求が可能です。
最低限備えているはずの安全性を欠いている状態を「瑕疵(かし)」といい、工作物責任や営造物責任に問える可能性があります。
工作物責任と営造物責任の違い
工作物責任は民法で規定されており、主に私人が設置した建物や構築物(塀、機械など)が対象です。一方の営造物責任は国家賠償法で規定されており、国や地方公共団体が設置した道路、橋、河川などの公共の施設が対象となります。
流水プールの柵が壊れてしまい子どもが引き込まれて死亡する事故や、ジムで利用している器具が利用中に頭上に落ちてくるような事故など、設備の不具合が問題となるケースも多いのです。
サッカーゴールが倒れて下敷きになった
広場に設置されていたサッカーゴールを動かそうとしたところ、その下敷きになって中学生が亡くなってしまいました。
裁判所は広場が公開前にもかかわらず一部の入り口から中に入れるようになっていたこと、ゴールの設置管理に問題があったことを指摘し、管理側に問題があったと認定したのです。
その一方でゴールを動かす際に声をかけられたにもかかわらず、ゴール付近でリフティングを続けた被害者にも一部の過失があるものとしました。(鹿児島地方裁判所 平成6年(ワ)第1292号 損害賠償請求事件 平成8年1月29日)
このように、施設や設備が安全ではないために事故が起こると、管理側に賠償請求が可能です。
相手の不法行為によって怪我をしたケース
スポーツをする以上ある程度の怪我は想定している人が多いでしょう。そのために各自でスポーツ保険に加入しているケースも多く、多少の怪我であれば自分の保険などを使って治療を進める方もいます。
一方、他者の不法行為によって怪我をさせられた場合はその相手に対して損害賠償請求可能です。
バドミントンのラケットが目を直撃した事例
バドミントンのダブルスをしていたところ、後衛にいた加害者のラケットが前衛にいた被害者の目を直撃しました。裁判所は後衛者は前衛者の動きを把握できたはずであること、前衛者への声掛けを適切に行わなかったなどの過失があるとしました。
第一審では、バドミントンというスポーツの特徴や故意ではないことから、加害者にすべてを負担させるのではなく、6割を相当としました。(東京地方裁判所 平成28年(ワ)第3343号 損害賠償請求事件 平成30年2月9日)
そして控訴審では、被害者に危険回避義務はなかったものとして過失はなく、加害者がすべての賠償責任を負うという判決を下したのです。
メリット(2)不当に低い慰謝料で終わらずにすむ
スポーツ中の怪我について、弁護士を入れるべき理由のひとつが慰謝料の金額にあります。慰謝料の相場観をおさえておかないと、相手方からの提示内容が適正なのか、あるいはまだ増額の余地があるのかを判断できません。
スポーツ事故の慰謝料相場
スポーツ事故の慰謝料には、入通院慰謝料、後遺障害慰謝料、死亡慰謝料の3つがあり、それぞれ一定の相場があります。
慰謝料 | 相場 |
---|---|
入通院慰謝料 | 治療期間に応じる |
後遺障害慰謝料 | 110万円~2,800万円 |
死亡慰謝料 | 2,000万円~2,800万円 |
各慰謝料がどのように決まるのかを解説していきます。
なお、本記事内「自分にも落ち度があっても賠償請求できる?」でも解説のとおり、被害者側にも事故発生の原因・落ち度があるときには、その程度に応じて慰謝料は減額される点に留意しましょう。
入通院慰謝料
入通院慰謝料は治療期間の長さに応じて計算します。
たとえば、骨折して2ヶ月間の通院治療を受けたときの入通院慰謝料相場は52万円です。通院期間が長かったり、入院手術を受けたりしているとさらに高額になる可能性があります。
入通院慰謝料は「怪我の程度」「入院の有無」「治療期間」といった複数の要素を元に算定する仕組みです。
ただし慰謝料は目に見えない損害を緩和するための金銭であることから、妥当な金額がわかりづらく、相手から提案されるやや低い金額で示談してしまうケースもあります。
関連記事では慰謝料の相場についてわかりやすくまとめていますので、ご自身の慰謝料相場を見通しを立てたい方は参考にしてみてください。
後遺障害慰謝料
後遺障害慰謝料は110万円~2,800万円程度とされており、後遺障害等級によって相場が設けられています。
後遺障害等級とは後遺症を部位や程度に応じて14の段階に分けたもので、最も重い1級は寝たきり、14級はしびれなどの神経症状まで幅広いものです。
死亡慰謝料
死亡慰謝料は2,000万円~2,800万円が相場になります。一家を経済的に支えていた方ほど金額は高く、高齢者や子ども、独身男女は2,000万円程度が相場とされています。
相手からの提示額が正しいとは限らない
損害賠償請求にあたって、相手から金額の提示を受けることも多いでしょう。気を付けておきたいのは、相手が提示する金額が適切とは限らないということです。その理由を説明します。
保険会社の基準にそって計算されている
スポーツに関わる人や団体、施設は何らかの保険に入っている可能性があります。
保険に入っている場合には保険会社から支払われる「保険金」を賠償金として受けとることになりますが、相手方はその保険の補償範囲内におさまる金額を提示している可能性もあります。
被害者が負った損害を計算した結果、保険の補償範囲内におさまるケースもあれば、保険金だけでは不足するケースもあるでしょう。とくに、重篤な後遺障害が残ったり、死亡事故においては要注意です。相手が提示してくる金額が適切かどうか、ご自身の損害を算定し直すことも必要になります。
弁護士であれば、相手のペースにのまれることなく粘り強い交渉が行えるだけでなく、慰謝料の適正額となるよう交渉することができるでしょう。
メリット(3)日常生活への復帰や自分の時間も確保できる
相手方との交渉を弁護士に任せることで、被害者は時間にも心にも一定の余裕を持つことができます。
- 仕事後に帰宅してほっとする間もなく交渉に対応しなくてはいけない
- むずかしい書類の確認・対応で家事が思うようにすすまない
- 相手の態度にいらだちとショックを感じている
交渉と日常生活の両立が難しいだけでなく、相手の言動に心を痛めてしまうケースも少なくありません。そのため、弁護士に任せられる部分は任せてしまい、被害者にしかできないことに時間を使うべきでしょう。
弁護士なら示談交渉も裁判対応も任せられる
弁護士は、あなたの代理人になります。
代理人についた場合には、相手からの連絡窓口を弁護士に一本化して一手に引き受けることが可能です。日常生活を送るのと並行して交渉が進むので、一人で交渉するよりもスピーディーに進めることができるでしょう。
もっとも、弁護士に依頼したからといってすぐに裁判するわけではありません。裁判をするには費用もかかりますし、解決までに長期間かかるというデメリットがあるからです。
そこで、まずは話し合い(示談交渉)での解決を目指し、難しい場合には次のステップである調停や裁判への対応も任せることができます。
裁判所への書類提出や出廷についても弁護士が代理可能です。
損害賠償請求の流れ
- 示談交渉(当事者同士の話し合い)
- 調停(裁判所を介した話し合い)
- 裁判(裁判所に決めてもらう)
まずは示談交渉でスタートして、まとまらないときには調停や裁判に移行していきます。弁護士であれば、示談交渉、調停、裁判すべての対応を一任可能です。
スポーツ事故の被害について、裁判を検討している方は関連記事もお役立てください。裁判の流れや手続きと併せて、裁判以外の損害賠償請求方法である示談交渉や調停についても解説しています。
メリット(4)証拠収集や書類作成の手間が省ける
弁護士は交渉を進めるためにどんな資料が必要なのか、証拠として有用なものは何かを熟知しています。
弁護士が証拠資料収集や書類作成をおこなうことで、被害者の負担は大きく減るでしょう。
因果関係や状況資料はとくに重要
相手に賠償請求するということは、怪我について相手に責任がある場合に限られます。
スポーツ中の怪我はある程度つきものです。たとえばバスケットボールでは突き指、サッカーでは接触による転倒、バドミントンではシャトルが手に当たることもあるでしょう。これらは通常の範囲内でスポーツをしていて、どんなに注意していても避けられない類のものでもあります。
相手に責任があって今回の事故が起きたことを示す証拠や資料が極めて重要です。
過失割合の決定にも資料が大切
また、事故に関する過失割合も証拠を元にして話し合って決めていきます。被害者にも過失がある場合でも、不当に大きな過失が付くことのないよう、客観的な主張が必要です。そのためには証拠資料が欠かせません。
関連記事では、スポーツ事故の賠償問題をめぐって、だれに対して、どんな賠償責任を問えるのかを解説しています。賠償請求の流れも知りたい方も併せてお役立てください。
併せて読みたい関連記事
スポーツ事故に関するよくある疑問
同意書があってもスポーツ事故で賠償請求できる?
免責同意書があってもスポーツ事故による損害賠償請求は可能なケースがあります。
スポーツ施設を利用する際に、免責同意書への署名を要求されることは多いです。ただしこの免責同意書はすべての責任を免じるものではありません。
具体的には、施設側の重大な過失が認められる場合、同意書の内容が法的に有効でない場合など免責同意書への署名があっても、損害賠償請求できるケースがあるのです。
自分にも落ち度があっても賠償請求できる?
怪我をした側にも一定の落ち度があると判断されると、過失がついた状態と言えますが、損害賠償請求は可能です。
ただし過失があるときには手元に入る賠償金額が減ってしまいます。ある出来事に対して、当事者が負う責任を割合で示したものを過失割合といいます。
相手が主張する過失割合に納得がいかないときは、弁護士に見解をたずねる方法も有効でしょう。
ルール違反をしたわけではない相手に損害賠償請求できる?
ルールを守ったスポーツ中の死亡事故であっても、必ずしも損害賠償請求ができないわけではありません。
一般的に、スポーツにはある程度の危険性が伴い、参加者はその危険性をある程度予見し、受け入れることが前提とされています。そのため、ルールを守った範囲内での怪我については、原則として損害賠償請求は難しいケースが多いです。
しかし、主催者や施設側の過失、第三者の故意や過失、製品の欠陥などがあるとき損害賠償請求が認められる可能性があります。
例 | |
---|---|
主催者や施設側の過失 | 危険な場所への侵入を禁止する表示がなかった 危険なプレーを助長するルール設定だった 危険なプレーへの注意喚起が不足していた |
第三者の故意または過失 | 観客が故意に物を投げつけた 他の選手が故意に危険なプレーを行った |
製品の欠陥 | 使用した用具に欠陥があり、それが事故の原因となった |
たとえば、マラソン大会でコース上に予期せぬ障害物が設置されており、参加者が転倒して死亡した場合には、コース上の安全が確保されていなかったことになります。
弁護士依頼のベストタイミングはいつ?
弁護士に依頼するタイミングは早いほど良いといえます。主な理由は次の通りです。
- 先をみすえた対応ができる
- 途中で依頼しても弁護士費用が安くなるわけではない
- 相手が弁護士を立ててきた時にも慌てずに済む
(1)先をみすえた対応ができる
弁護士であれば、先々のことまでみすえた対応とアドバイスが可能です。
具体的に、後遺障害等級を例にして説明します。
重傷のときには何らかの後遺症が残る可能性もあるでしょう。後遺症が残ったときには「後遺障害慰謝料」などを請求でき、その金額は「後遺障害等級」に準じておおよその相場があります。つまり、後遺障害何級に該当するのかが金額を左右するのです。
後遺障害等級の判断には、検査結果や医師の診断書などの医学的データが重要になります。医師は医学の専門家ですが、後遺障害等級について熟知しているとはかぎりません。弁護士に早めに相談しておくことで、後遺障害等級までみすえたアドバイスを受けることができます。
(2)途中で依頼しても弁護士費用が安くなるわけではない
弁護士費用は、着手金、成功報酬、日当、諸経費などで成り立っています。
たとえば、示談交渉前に弁護士に依頼した場合、その後の交渉を一任可能です。
一方で、相手との交渉でさんざん嫌な思いをさせられてから弁護士に依頼した場合でも、同じように着手金や成功報酬がかかるケースがほとんどになります。
弁護士費用の設定は各法律事務所や弁護士によって異なるため、正式契約前に十分確認しましょう。
(3)相手が弁護士を立ててきた時にも慌てずに済む
いきなり相手の弁護士から受任通知が届いたら、誰だって慌ててしまうものです。しかし交渉の相手によっては顧問弁護士を雇っていたり、個人であっても弁護士を立てて対応してくるケースは大いにあります。
早い段階から弁護士依頼を検討しておくことがポイントになります。
弁護士に依頼すべきケースかを見極めよう|無料相談のご案内
スポーツ中の事故で、ご家族を亡くされたり重い後遺障害が残った場合は、アトム法律事務所の弁護士による無料の法律相談をご活用ください。
- 指導者やコーチにも落ち度があったのではないか
- 施設や設備の安全面が不十分だったのではないか
- 相手に損害賠償請求できる見込みはあるのか
スポーツ事故においては事故と結果の因果関係が極めて大切です。
ご自身のケースについて、弁護士を通して損害賠償請求するべきかを検討してみましょう。
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アトム法律事務所 岡野武志弁護士
高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。
保有資格
士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士
学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了