歩きスマホの事故で損害賠償請求する方法と弁護士に依頼するメリット
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歩きスマホをしている人と衝突しそうになった経験があるという人は意外にも多いのではないでしょうか。歩きスマホをしている人はスマホに目をとられているため、衝突してしまうと思いのほか衝撃が強く、大怪我につながるおそれがあります。
怪我を負うなどした被害者は、歩きスマホをしていた加害者に対して損害賠償を請求できる可能性が高いです。
今回は、歩きスマホによる事故の被害者が、加害者に対して追及できる責任の内容と損害賠償の請求方法、弁護士に依頼するメリットなどについてわかりやすく解説します。
目次
歩きスマホによる事故と被害者が追及できる責任内容
一般的に、歩行者が被害者となる衝突事故は、自動車をはじめ、バイクや自転車が相手方となることが多いでしょう。この場合、被害者は加害者に対して損害賠償を請求できることが多いといえます。
一方で、歩きスマホをしている人と一般の歩行者との衝突事故は歩行者同士の事故です。
そもそも、歩行者同士で起きた事故について、被害者は加害者に対してどのような責任を追及することができるのでしょうか。
不法行為による損害賠償責任
歩行者であっても、歩道を歩行する際には前方に注意しながら歩行しなければなりません。
歩きスマホをする人はスマホに夢中になっているため、どうしても注意力が低下することが多いです。
そのため、通常であれば衝突を避けられていたにもかかわらず、歩きスマホをしていたがために他の歩行者と衝突してしまうということは十分に考えられます。
このような場合、歩きスマホをしていた人には「過失」が認められる可能性が高いです。過失が認められる場合には、加害者に対して不法行為による損害賠償責任を追及することが可能です。
刑事責任
歩きスマホが原因となって被害者が怪我をしたり、死亡してしまったりした場合、加害者には過失致死傷罪または重過失致死傷罪が成立する可能性があります。
この点、歩きスマホをする行為には少なくとも「過失」が認められる可能性が高いです。加害者に過失致死傷罪が成立すれば、刑事罰である罰金刑が科される可能性があります。
さらに、過失の程度が重大であれば、重過失致死傷罪が成立する可能性もあるでしょう。その場合、加害者は懲役刑もしくは禁固刑、または罰金刑が科される可能性があります。
もっとも、歩きスマホによる事故の被害者が刑事責任を主体的に追及できるわけではありません。刑事告訴することはできますが、刑事責任を追及するのは警察や検察といった捜査機関であり、懲役などの刑罰を科すかどうか決めるのは裁判所です。
歩きスマホによる事故の被害者が主体的に追及できるのは、加害者に対する損害賠償責任となります。
歩きスマホによる被害を損害賠償請求する方法
歩きスマホをしていた加害者にぶつかられたことにより怪我を負った被害者は、加害者に対して損害賠償を請求することが可能です。
損害賠償の具体的な請求方法としては、以下の3通りが考えられます。
- 示談交渉
- 調停による話し合い
- 裁判による解決
ひとつずつ、どのような請求方法なのかみていきましょう。
(1)示談交渉
まずは、加害者と任意で示談交渉を行うことが一般的です。示談交渉とは、事故の当事者双方が話し合いによって解決を図ることをいいます。
示談交渉を行うには、加害者に請求する損害賠償額を確定しなければなりません。
歩きスマホにより被害を受けた場合、治療費や入通院交通費、逸失利益や休業損害、精神的苦痛を受けたことによる慰謝料を損害として請求することが可能です。
もっとも、損害賠償額の算定は容易ではないため、よくわからない場合には弁護士などの専門家に相談しながら進めていく必要があるでしょう。
怪我や骨折などの慰謝料相場は、関連記事でも解説しています。
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示談交渉の流れ
加害者に請求する損害賠償額が確定したら次は、内容証明郵便を使って加害者に損害賠償を請求します。ここでは、裁判にまで発展することを想定して、内容証明郵便により証拠化しておくことが大切です。
内容証明郵便を送った後、加害者から接触があれば、そのまま示談交渉に入ることができるでしょう。もっとも、加害者から接触がない場合は示談交渉ができないため、解決を図ることはできません。
また、示談交渉に入ったものの示談条件で折り合いがつかず、交渉が決裂するケースもあるでしょう。交渉が決裂する場合にも、解決には至らないことになります。
(2)調停による話し合い
調停とは、裁判所に入ってもらい当事者間で話し合うことにより解決を図る手続きです。
もっとも、調停はあくまで当事者間の話し合いによる解決が前提となる手続きです。そのため、当事者の一方または双方が話し合いに応じなかったり、支払条件に合意しなければ、調停は不成立となります。
この場合、調停によって解決を図ることはできないため、被害者は裁判により解決を図るしかありません。
(3)裁判による解決
示談交渉や調停により解決に至らない場合は、裁判を提起して解決を図ることになります。
裁判では被害者(原告)と加害者(被告)がそれぞれに主張・立証を行い、和解で終結することもあれば、裁判所による判決という形で終結することもあります。
もっとも、裁判にまで発展すれば、法的な知識が必要となるだけでなく、手続きが複雑なケースもあるため、弁護士などの専門家に依頼した方が無難でしょう。
加害者側が弁護士を立てる可能性もあるため、法的知識や経験において劣る被害者が自分で対応しようとすると、どうしても分が悪いといえ、不満の残る結果に終わる可能性があります。
歩きスマホによる被害は保険で対応できる?
歩きスマホによる事故の被害は、高額賠償となる可能性が十分にあります。加害者側に資力があれば賠償金を支払ってくれる可能性はありますが、賠償金が数千万円~数億円となると支払いがむずかしいこともあるでしょう。
このような事態に備えて、人は保険に加入している場合があります。
加害者が個人賠償責任保険に加入しているか確認する
歩行者同士の事故では、交通事故に備えた自賠責保険のような保険がありません。ただし、加害者が個人賠償責任保険に加入していれば、その保険で補償が受けられる可能性があるでしょう。
個人賠償責任保険とは、交通事故をのぞく日常生活で起きたさまざまな事故に備えた保険です。加害者が個人賠償責任保険に加入しているか確認してみてください。個人賠償責任保険は、単体で加入していることよりも、何かの保険の特約として付帯していることが多いようです。加害者が加入する生命保険、自動車保険、医療保険、クレジットカードなどの特約を確認してもらってください。
もっとも、個人賠償責任保険を提供する保険会社の多くは、故意によって生じた損害賠償責任の場合において保険金を支払わないと約款で規定しています。故意ではなく、加害者の過失で生じた事故である必要があるので注意しましょう。
加害者の家族が個人賠償責任保険に加入していることもある
加害者本人が個人賠償責任保険に加入していなくても、加害者の家族が加入しているか確認してもらってください。個人賠償責任保険の適応範囲は、保険の契約者として記名している被保険者とその家族が補償の対象となるケースも多いです。
歩きスマホによる事故を弁護士に相談するメリット
歩きスマホをしていた人に衝突されたことで怪我を負い、治療が必要になった場合、治療費や通院交通費、慰謝料などを加害者に対して請求できます。
とはいえ、実際に解決に至るまでには事故当時の過失割合や損害額の確定など、むずかしい問題をクリアにする必要があります。むずかしい問題をクリアするには、弁護士などの専門家に相談しながら進めていく方が無難です。
もっとも、弁護士に依頼するとなると弁護士費用がかかるため、躊躇する方もいらっしゃるかもしれません。
ですが、弁護士に依頼することにより、それを上回るメリットを得ることができます。
代理人として加害者と交渉をしてくれる
歩行者同士の事故の場合、基本的に加害者と直接交渉を行う必要があります。
その点、加害者との交渉により解決を図るためには、事故当時の過失割合や請求額などについて、十分な根拠があることが必要です。
ですが、歩行者同士の事故による過失割合は、自動車同士の事故のように過失割合が類型化されていません。そのため、歩行者同士の事故における過失割合の判断はむずかしいです。
場合によっては、加害者側から無理難題を押し付けられたり、威嚇されたりするなどして示談交渉が思うように進まないケースもあります。
その点、弁護士に依頼すれば、事故当時の過失割合や請求額について十分な根拠をもって加害者と交渉を行ってくれ、加害者から威嚇されるようなことがあっても冷静に対応してくれます。
このように、弁護士に依頼すれば、弁護士が代理人として加害者と交渉を行ってくれるため、被害者本人は精神的な負担を軽減することができるというメリットがあるのです。
交渉の結果に納得感をもちやすい
被害者が自分で交渉を進める場合、過失割合や請求額などの妥当性に確証をもてないまま交渉を進めていくことが多いといえます。
加えて、加害者側から反論された場合にも、被害者においてその反論が妥当といえるかどうかを判断できないことが多いです。
このような状態で交渉がまとまったとしても、その結果が自分にとって妥当かどうかすら判断できないため、納得感をもって解決することができません。
その点、弁護士に依頼すれば、被害者側から主張する過失割合や請求額の根拠、加害者からなされた反論、交渉の進捗などについて丁寧に説明してくれます。そのため、安心感をもって交渉を進めることができ、その結果についても納得することができる可能性が高いといえるでしょう。
調停・裁判手続きに対応してくれる
歩きスマホによる事故で被害を受けた場合、損害を賠償してもらうために被害者は加害者と示談交渉をする必要がありますが、交渉で話がまとまるとは限りません。
過失割合や損害額などについて双方の主張が食い違えば、交渉が決裂することもあります。
交渉が決裂した場合、裁判所の力を借りて解決を図るほかありませんが、特に裁判ともなると一定の法的知識が必要となるのに加えて、手続き自体も複雑です。
その点、弁護士には法的知識があるうえ、裁判所を通す手続きにも慣れているため、安心して任せることができます。
また、弁護士に依頼すれば、原則として本人は裁判所に出廷する必要がなくなるという点もメリットの一つです。
歩きスマホの事故被害は弁護士に相談してみよう
歩きスマホによる事故で重い後遺障害を負ったりご家族を亡くされた場合は、弁護士にご相談ください。
- 事故後、どのような対応をとっていけばいいのか聞きたい
- 加害者側から受けた賠償金の金額が妥当か知りたい
- 弁護士に依頼すべき事案か相談したい
法律の専門家である弁護士の視点からアドバイスがほしいという方は、弁護士に相談するのがおすすめです。事故で重い障害を負ったり、ご家族を亡くされた場合は、アトム法律事務所の弁護士による無料の法律相談を利用してみましょう。
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アトム法律事務所 岡野武志弁護士
高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。
保有資格
士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士
学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了