1億円の相続税はいくら?子供の人数別シミュレーションと計算手順

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1億円の遺産を相続する場合、相続税の金額は家族構成によって大きく異なります。

子供1人のみが相続するケースでは1,220万円ですが、配偶者がいる場合は配偶者控除が適用されて税負担がゼロになるため、子供1人の負担は385万円まで下がります。

この記事では、遺産総額1億円を前提に以下のパターン別に相続税額をシミュレーションします。

  • 子供のみ(1人・2人・3人・4人)
  • 配偶者と子供(1人・2人・3人)
  • 配偶者のみ

それぞれの税額を早見表で比較した上で、配偶者の税額軽減の効果と注意点についても解説します。

※この記事で示す税額は、法定相続分どおりに遺産を分割した場合のシミュレーション値です。実際の税額は、財産の内訳・分割方法・各種特例の適用可否などにより変わります。

※本記事の情報は2026年時点の税制をもとに作成しています。税法は改正される場合があるため、実際の申告にあたっては税理士などの専門家にご相談ください。

遺産1億円を相続したら?相続税計算の基本

国税庁の統計によると、課税価格が「1億円超」の階級区分に該当する被相続人は合計43,492人で、課税対象全体の26.1%を占めています(国税庁「令和6年度統計年報 相続税」2 課税価格階級別 (1)人員、課税価格、税額)。

1億円前後の遺産は決して特別なケースではなく、相続税の金額を正しく把握しておくことが重要です。

基礎控除の計算式

相続税の計算でまず押さえておくべきなのが「基礎控除」です。遺産総額がこの金額以下であれば、相続税はかかりません。

基礎控除の金額は、次の計算式で求めます。

相続税の基礎控除

3,000万円 +(600万円 × 法定相続人の数)

法定相続人の数が増えるほど基礎控除額が大きくなり、課税対象となる遺産額は減ります。

法定相続人の人数基礎控除額課税対象額
(遺産1億円の場合)
1人3,600万円6,400万円
2人4,200万円5,800万円
3人4,800万円5,200万円
4人5,400万円4,600万円
5人6,000万円4,000万円

遺産1億円の場合、一般的な家族構成では基礎控除を差し引いた後も課税対象額が残るため、相続税の申告が必要になります。法定相続人が非常に多いケースでは基礎控除が1億円を超え、申告不要となる場合もあります。

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相続税は基礎控除以下なら無税!計算方法やその他の控除も解説

相続税の計算の流れ

相続税の計算は、大きく以下の流れで進みます。

  1. 課税遺産総額を計算
    正味の遺産額から基礎控除額を差し引く
  2. 法定相続分で按分
    法定相続人が法定相続分どおりに取得したと仮定して1人あたりの取得額を計算する
  3. 仮の税額を計算
    取得額に相続税の税率を適用する
  4. 相続税の総額を合計
    各人の仮の税額を合計する

相続税は、「法定相続分」に応じた金額に税率を適用する累進課税制です。

実際の計算では、遺産総額から債務・葬式費用を差し引き生前贈与財産を加算して正味の遺産額を求める計算や、配偶者の税額軽減などの各種税額控除の適用など、追加のステップがあります。

計算の流れを詳しく知りたい方は、関連記事『相続税の計算方法をわかりやすく解説!概算の早見表や節税できる制度も』をご覧ください。

この記事では、実際の取得割合が法定相続分と一致する場合(法定相続分どおりに分割した場合)の税額を各パターンで示します。

子供のみが相続するケースで1億円の相続税はいくら?

子供のみが相続人になるケースの相続税額を、子供の人数別にシミュレーションします。

子供1人の相続税は1,220万円

前提条件

  • 法定相続人:子供1人
  • 基礎控除額:3,000万円 +(600万円 × 1人)=  3,600万円
  • 課税遺産総額:正味の遺産額1億円 − 3,600万円 = 6,400万円

子供1人が全額を取得するため、相続税の計算対象となる金額は6,400万円です。

取得金額が「5,000万円超〜1億円以下」の区分に該当し、税率30%、控除額700万円が適用されます(国税庁「相続税の税率」)。

相続税額の内訳

子供
取得額6,400万円
税率30%
控除額700万円
税額1,220万円

したがって、子供1人が相続する場合の相続税額は1,220万円(6,400万円 × 30% − 700万円)です。

子供2人の相続税は合計770万円

前提条件

  • 法定相続人:子供2人
  • 基礎控除額:3,000万円 +(600万円 × 2人)=  4,200万円
  • 課税遺産総額:正味の遺産額1億円 − 4,200万円 = 5,800万円

子供2人が法定相続分(各1/2)どおりに取得と仮定するため、1人あたりの相続税の計算対象となる金額は2,900万円(5,800万円 × 1/2)です。

取得金額が「1,000万円超〜3,000万円以下」の区分に該当するため、税率15%、控除額50万円が適用されます(国税庁「相続税の税率」)。

相続税額の内訳

子供(1人あたり)
取得額2,900万円
税率15%
控除額50万円
税額385万円

したがって、子供2人が相続する場合の相続税額の合計は770万円(385万円 × 2)です。

子供3人の相続税は合計約630万円

前提条件

  • 法定相続人:子供3人
  • 基礎控除額:3,000万円 +(600万円 × 3人)=  4,800万円
  • 課税遺産総額:正味の遺産額1億円 − 4,800万円 = 5,200万円

子供3人が法定相続分(各1/3)どおりに取得と仮定するため、1人あたりの相続税の計算対象となる金額は約1,733万円(5,200万円 × 1/3)です。

取得金額が「1,000万円超〜3,000万円以下」の区分に該当するため、税率15%、控除額50万円が適用されます(国税庁「相続税の税率」)。

相続税額の内訳

子供(1人あたり)
取得額約1,733万円
税率15%
控除額50万円
税額約210万円

したがって、子供3人が相続する場合の相続税額の合計は約630万円(約210万円 × 3)です。

子供4人の相続税は合計490万円

前提条件

  • 法定相続人:子供4人
  • 基礎控除額:3,000万円 +(600万円 × 4人)=  5,400万円
  • 課税遺産総額:正味の遺産額1億円 − 5,400万円 = 4,600万円

子供4人が法定相続分(各1/4)どおりに取得と仮定するため、1人あたりの相続税の計算対象となる金額は1,150万円(4,600万円 × 1/4)です。

取得金額が「1,000万円超〜3,000万円以下」の区分に該当するため、税率15%、控除額50万円が適用されます(国税庁「相続税の税率」)。

相続税額の内訳

子供(1人あたり)
取得額1,150万円
税率15%
控除額50万円
税額122.5万円

したがって、子供4人が相続する場合の相続税額の合計は490万円(122.5万円 × 4)です。

配偶者と子供が相続するケースの相続税

配偶者と子供が相続人になるケースの相続税額を、子供の人数別にシミュレーションします。まず配偶者の税額軽減(いわゆる配偶者控除)の概要を確認した上で、軽減前と軽減後の税額を各ケースで比較します。

配偶者の税額軽減(配偶者控除)とは

配偶者が遺産を相続する場合、「配偶者の税額軽減(配偶者控除)」という制度が使えます。

配偶者が取得した財産が以下のいずれか大きい金額までであれば、相続税はかかりません

  • 1億6,000万円
  • 配偶者の法定相続分相当額

遺産が1億円の場合、配偶者が全額を相続しても1億6,000万円の枠内に収まるため、配偶者の相続税は全額が軽減されます。

配偶者の税額軽減の適用には申告が必要であり、遺産の分割方法や申告期限など注意すべき点もあります。詳細な要件や手続きについては、関連記事『相続税の配偶者控除とは?適用の要件は?計算方法を具体例付きで解説』をご覧ください。

配偶者と子供1人のケース

前提条件

  • 法定相続人:配偶者、子供1人(計2人)
  • 基礎控除額:3,000万円 +(600万円 × 2人)=  4,200万円
  • 課税遺産総額:正味の遺産額1億円 − 4,200万円 = 5,800万円

配偶者と子供1人が法定相続分(各1/2)どおりに取得と仮定するため、それぞれの相続税の計算対象となる金額は2,900万円(5,800万円 × 1/2)です。

取得金額が「1,000万円超〜3,000万円以下」の区分に該当するため、税率15%、控除額50万円が適用されます(国税庁「相続税の税率」)。

相続税額の内訳

配偶者子供
取得額2,900万円2,900万円
税率15%15%
控除額50万円50万円
税額385万円385万円

配偶者が実際に取得した正味の遺産額は5,000万円(1億円×1/2)です。1億6,000万円の枠内に収まるため、配偶者控除を適用すると配偶者本人の納付税額はゼロになります。

配偶者控除の効果

配偶者子供
控除前の納付税額385万円385万円
控除後の納付税額0円385万円

配偶者控除を適用することで、実際に納める税金の合計は770万円から385万円に軽減されます。

配偶者と子供2人のケース

前提条件

  • 法定相続人:配偶者、子供2人(計3人)
  • 基礎控除額:3,000万円 +(600万円 × 3人)=  4,800万円
  • 課税遺産総額:正味の遺産額1億円 − 4,800万円 = 5,200万円

配偶者と子供2人が法定相続分(配偶者1/2、子供各1/4)どおりに取得と仮定するため、配偶者の相続税の計算対象となる金額は2,600万円(5,200万円 × 1/2)、子供1人あたりは1,300万円(5,200万円 × 1/4)です。

いずれも「1,000万円超〜3,000万円以下」の区分に該当するため、税率15%、控除額50万円が適用されます(国税庁「相続税の税率」)。

相続税額の内訳

配偶者子供(1人あたり)
取得額2,600万円1,300万円
税率15%15%
控除額50万円50万円
税額340万円145万円

相続税の総額630万円を実際の取得割合(配偶者1/2・子供各1/4)で按分することで、各人の納付税額が確定します。

配偶者控除を適用すると、納付税額は以下のとおりです。

配偶者控除の効果

配偶者子供(1人あたり)
控除前の納付税額315万円157.5万円
控除後の納付税額0円157.5万円

配偶者控除を適用することで配偶者の納付税額はゼロになります。子供2人の納付税額の合計は315万円(157.5万円 × 2)です。

配偶者と子供3人のケース

前提条件

  • 法定相続人:配偶者、子供3人(計4人)
  • 基礎控除額:3,000万円 +(600万円 × 4人)=  5,400万円
  • 課税遺産総額:正味の遺産額1億円 − 5,400万円 = 4,600万円

配偶者と子供3人が法定相続分(配偶者1/2、子供各1/6)どおりに取得と仮定するため、配偶者の相続税の計算対象となる金額は2,300万円(4,600万円 × 1/2)、子供1人あたりは約767万円(4,600万円 × 1/6)です。

配偶者は「1,000万円超〜3,000万円以下」の区分に該当し税率15%・控除額50万円、子供は「1,000万円以下」の区分に該当し税率10%・控除額なしが適用されます(国税庁「相続税の税率」)。

相続税額の内訳

配偶者子供(1人あたり)
取得額2,300万円約767万円
税率15%10%
控除額50万円0円
税額295万円約77万円

相続税の総額約525万円を実際の取得割合(配偶者1/2、子供各1/6)で按分することで、各人の納付税額が確定します。

配偶者控除を適用すると、納付税額は以下のとおりです。

配偶者控除の効果

配偶者子供(1人あたり)
控除前の納付税額約263万円約87万円
控除後の納付税額0円約87万円

配偶者控除を適用することで配偶者の納付税額はゼロになります。子供3人の納付税額の合計は約261万円(約87万円 × 3)です。

配偶者のみが相続するケースの相続税

子供がおらず、配偶者だけが相続人になるケースです。

ただし、被相続人の直系尊属(父母など)や兄弟姉妹が存命の場合は、配偶者と共同相続になるため法定相続人の数・基礎控除・税額が変わります。

以下は、配偶者のみが法定相続人となるケースの試算です。

前提条件

  • 法定相続人:配偶者1人
  • 基礎控除額:3,000万円 +(600万円 × 1人)=  3,600万円
  • 課税遺産総額:正味の遺産額1億円 − 3,600万円 = 6,400万円

取得金額6,400万円に税率30%・控除額700万円を適用すると、相続税の総額は1,220万円(6,400万円 × 30% − 700万円)になります。

配偶者が実際に取得した正味の遺産額は1億円であり、1億6,000万円の枠内に収まるため、配偶者の税額軽減(配偶者控除)を適用すると納付税額はゼロになります。適用しない場合の納付税額は1,220万円です。

なお、納付税額が0円になる場合でも、正味の遺産額が基礎控除額を超えている場合は相続税の申告が必要です。配偶者控除を適用して税額を0円にするためには、相続開始から10か月以内に税務署へ申告書を提出しなければなりません。

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1億円の遺産にかかる相続税の家族構成別早見表

正味の遺産額1億円を法定相続分どおりに分割した場合のシミュレーション結果を一覧にまとめます。

家族構成相続税の総額配偶者控除適用後の納付税額
子供1人のみ1,220万円
子供2人のみ770万円
子供3人のみ約630万円
子供4人のみ490万円
配偶者+子供1人770万円385万円
配偶者+子供2人630万円315万円
配偶者+子供3人約525万円約261万円
配偶者のみ1,220万円0円

配偶者の税額軽減(配偶者控除)を適用すると配偶者の納付税額がゼロになるため、家族全体の税負担を大幅に軽減できます。

ただし、配偶者が多くの財産を取得すると、二次相続(配偶者が亡くなった際の相続)で子供の税負担が増えるケースがあります。一次相続と二次相続の合計税負担を考慮した上で、遺産の分割方法を検討することが重要です。

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二次相続の相続税は高くなる!相続税の早見表や節税対策を解説

相続税の申告・納付に関する注意点

相続税の申告と納付には、金額の計算と同様に重要なルールがあります。期限や申告の要否など、見落としやすいポイントを確認しておきましょう。

申告・納付期限

相続税の申告・納付の期限は、被相続人が亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内です。

この期限を過ぎると延滞税が課され、無申告の場合は無申告加算税も課されます(正当な理由がある場合を除く)。

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相続税の申告期限はいつまで?10か月の計算方法と遅れた際のリスク

申告が必要なケース

正味の遺産額が基礎控除額を超える場合は申告が必要です。

一般的な家族構成(法定相続人が少数)であれば、1億円の遺産は基礎控除を超えやすく、申告が必要になります。

なお、配偶者の税額軽減(配偶者控除)などの特例を適用して納付税額がゼロになる場合でも、特例を使うためには申告が必要です。

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相続税の申告が不要なケースとは?「かからなくても申告が必要な例外」も解説

遺産分割協議と申告

相続税の申告は、遺産分割協議が完了していなくても期限内に行う必要があります。分割が確定していない場合は、いったん法定相続分で申告・納税し、分割成立後に税額が増えるなら修正申告、減るなら更正の請求で調整します。

なお、配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例は原則として遺産分割が完了していることが要件となるため、未分割のまま申告する時点では適用できません。

ただし、申告時に「申告期限後3年以内の分割見込書」を添付して提出しておけば、後日分割が成立した際に更正の請求を行うことで特例を適用し、払いすぎた税金の還付を受けられます。更正の請求は分割のあったことを知った日の翌日から4か月以内に行う必要があります。

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1億円の相続税に関するよくある質問

Q. 1億円の遺産に相続税がかからないケースはある?

正味の遺産額が1億円でも、法定相続人が12人以上いれば基礎控除額(3,000万円+600万円×人数)が1億円を超えるため、相続税は課されず申告も不要です。

配偶者が全額を取得し、配偶者の税額軽減(配偶者控除)を適用した場合も納付税額はゼロになりますが、この場合は期限内に申告書の提出が必要です(相続税法19条の2)。

Q. 配偶者控除を使うと二次相続で税負担が増える?

配偶者の税額軽減(配偶者控除)で一次相続の税負担を抑えると、配偶者が亡くなった際の二次相続では使えず、法定相続人の数も減るため子供の税負担が大きく増えるケースがあります

税務上は一次・二次相続の合計税額を試算した上で遺産の分割割合を検討することが、実務上の一般的なアドバイスです。

Q. 1億円の相続税はいつまでに払う?分割払いはできる?

相続税の納付期限は申告期限と同じく、相続開始を知った日の翌日から10か月以内です(相続税法33条)。

原則として金銭による一括納付ですが、税額が10万円を超え現金納付が困難な理由があるなど一定の要件を満たす場合は、「延納」として年払いによる分割納付が認められています。

1億円の相続税を正しく把握して適切な準備を

正味の遺産額が1億円の場合にかかる相続税は、家族構成によって大きく異なります(各人が法定相続分どおりに遺産を取得したと仮定した場合の目安です)。

家族構成ポイント
子供のみ子供1人で1,220万円、4人なら490万円まで下がる
配偶者と子供配偶者の税額軽減(いわゆる配偶者控除)を適用することで家族全体の税負担を大幅に軽減できる
配偶者のみ配偶者の税額軽減を適用すると納付税額はゼロになる

ただし、実際の相続では財産の評価方法・小規模宅地等の特例・遺産分割の割合などによって税額は大きく変わります。配偶者の税額軽減を活用する場合は、二次相続も含めた合計税負担を考慮した上で遺産の分割方法を検討することが重要です。

なお、特例の適用によって納付税額がゼロになる場合でも、期限内に相続税の申告が必要です。

正確な税額の把握や節税策の検討には、税理士への早めの相談をおすすめします。

高部孝之税理士

監修者


高部孝之税理士事務所

税理士高部孝之

2019年税理士試験合格 2020年税理士登録
都内大手税理士法人にて約13年間勤務。資産税部門の責任者などを経て、2024年に独立し浅草にて資産税を強みとする税理士事務所を開業。
専門用語を用いず、平易な言葉で説明することを大切にしており、お客様が親しみやすく相談しやすい税理士を理想としています。

保有資格

税理士・FP技能士1級・相続診断士

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