相続税の相談窓口はどこにする?内容別の窓口と選び方

相続税について不安を感じたとき、「どこに相談すればいいのか分からない」と悩む方は少なくありません。
相続税の相談窓口には、国税局の電話相談センターや税務署、税理士会の無料相談、税理士事務所など複数の選択肢があります。しかし、窓口ごとに対応できる内容や相談できる範囲は異なります。
制度の概要を知りたいのか、申告方法を確認したいのか、それとも具体的な税額や節税対策を相談したいのかによって、選ぶべき相談先は変わります。
本記事では、相続税について無料で相談できる窓口を中心に、それぞれの特徴や違いをわかりやすく整理しました。ご自身の状況に合った相談先を見つける参考にしてください。
目次
相続税の相談はどこにする?主な相談窓口を一覧で紹介
相続税の相談窓口はいくつかありますが、それぞれ対応できる内容や役割が異なります。
そのため、相談内容に合わない窓口を選んでしまうと、「聞きたいことが解決しなかった」という事態にもなりかねません。
相続税の主な相談先は、次の4つです。
| 相談の目的 | おすすめの相談先 |
|---|---|
| 制度の概要や基本的な疑問を確認したい | 国税局電話相談センター 税理士会の無料税務相談 市区町村の税務相談窓口 |
| 申告の方法や一般的な手続きを知りたい | 税務署 |
| 節税対策や具体的な税額を相談したい | 税理士 |
| 遺産分割など税金以外の相続問題を相談したい | 法律専門家(法テラスなど) |
相談の目的によって適した窓口は異なります。
以下では、それぞれの相談窓口の特徴や、できること・できないことを整理して解説します。
「相続税の相談はどこにすべきか」で迷っている方は、まずご自身の状況に当てはまる窓口を確認してみてください。
【制度の概要について相談したい】公的な相談窓口
相続税について「まずは話を聞いてみたい」「費用をかけずに確認したい」という場合は、無料相談窓口の利用がおすすめです。
無料相談では、制度の概要や手続きの流れなど、基礎的な内容について確認できます。ただし、具体的な節税提案や個別事情を踏まえた詳細なアドバイスは原則として受けられません。
ここでは、相続税について無料で相談できる主な窓口を紹介します。
国税局電話相談センター
国税局電話相談センターでは、相続税がかかる条件や基礎控除、各種特例の概要など、制度や法令の解釈に関する一般的な質問ができます。
予約不要で匿名相談が可能なため、「相続税がかかるのかどうかを知りたい」といった初期段階の疑問に向いています。
ただし、具体的な財産額をもとにした税額計算や節税の可否など、個別事情に踏み込んだ相談には対応していません。
また、対面ではないため資料を見せながらの相談が難しい点にも注意が必要です。
- 電話番号:0570-00-5901
- 受付時間:平日8:30~17:00
- 相談形式:電話
国税庁|国税に関するご相談について:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/sodan/denwa-sodan/index.htm#a-02-2
税理士会の無料税務相談
税理士会でも、無料の税務相談を実施しています。税理士が対応するため、制度の説明については比較的専門的な回答が期待できます。
ただし、対応してくれる税理士が必ずしも相続税を専門としているとは限りません。
税務相談室(公益財団法人 日本税務研究センター)
一般的な税務に関する相談が可能です。ただし、個別具体的な事案についての詳細な判断や申告書の作成支援などは行っていません。
- 電話番号:03-3492-6016
- 受付時間:平日10:00~11:45、13:00~14:45
- 相談形式:電話
税務相談室のご利用案内:https://www.jtri.or.jp/counsel/
納税者支援センター(東京税理士会)
税務、会計に関する一般的な相談ができます。電話で予約を取り、相談は対面かオンライン(Zoom)で行います。
相談時間が25~30分以内と定められているため、すでに相談したいことが決まっている方におすすめです。
- 電話番号:03-3356-7137
- 受付時間:平日10:00~12:00、13:00~16:00(受付は15:30まで)
- 相談形式:対面/オンライン(Zoom)/電話
東京税理士会|納税者支援センター:https://www.tokyozeirishikai.or.jp/general/consultation/support/
市区町村の税務相談窓口
市区町村でも、税理士による無料相談会を実施している場合があります。相続税を含む幅広い税務相談に対応しています。
ただし、相談内容は一般的な範囲に限られ、必ずしも相続税に特化した税理士が担当するとは限りません。詳細な節税対策や申告代行を希望する場合は、別途税理士への依頼を検討する必要があります。
- 電話番号:お近くの役所のホームページなどで確認
- 受付時間:役所によって異なる
- 相談形式:対面
【申告など手続きについて相談したい】税務署
税務署で相談できる内容
税務署では、主に次のような内容について相談できます。
- 相続税の申告が必要かどうかの確認
- 申告書の記載方法
- 必要書類や添付資料の確認
- 納付方法や期限に関する案内
制度の一般的な説明や、手続きに関する実務的な疑問を解消する場として利用できます。
税務署では対応できない内容
一方で、税務署では次のような相談には対応していません。
- 具体的な節税対策の提案
- 特例を使うべきかどうかの個別判断
- 財産評価の詳細な計算
- 申告書の作成代行
税務署はあくまで申告手続きの案内を行う機関であり、納税者の立場で税額を抑えるアドバイスをする立場ではありません。
「できるだけ相続税を減らしたい」「特例を使えるか判断してほしい」といった内容は、税務署の職員では基本的に対応が難しいため、税理士への相談を検討する必要があります。
どこの税務署に相談するべき?
相続税の相談は、原則として被相続人の最後の住所地を管轄する税務署に行います。
電話での一般的な問い合わせは他の税務署でも対応される場合がありますが、具体的な申告内容や個別事情について相談する場合は、所轄の税務署に連絡するのが確実です。
なお、対面での相談は予約制となっています。
管轄の税務署に電話をかけ、自動音声に従って「2」を選択すると税務署につながるため、対面相談の予約をしましょう。
【税務署一部抜粋】
| 税務署名 | 電話番号 | 都道府県 | 管轄地域 |
|---|---|---|---|
| 麹町 | 03-3221-6011 | 東京都 | 千代田区のうち麹町地区 |
| 新宿 | 03-6757-7776 | 東京都 | 新宿区のうち新宿地区 |
| 渋谷 | 03-3463-9181 | 東京都 | 渋谷区 |
| 横浜中 | 045-651-1321 | 神奈川県 | 中区、西区 |
| 東 | 06-6942-1101 | 大阪府 | 中央区※南税務署管内の地域を除きます。 |
| 福岡 | 092-771-1151 | 福岡県 | 中央区、南区 |
- 電話番号:『国税庁|税務署の所在地などを知りたい方』で最寄りの税務署を検索
- 受付時間:平日8:30~17:00
- 相談形式:電話/対面
【節税や計算などを相談したい】税理士|無料相談がある事務所も
税理士に相談できること
相続税について「いくらかかるのか具体的に知りたい」「できるだけ税額を抑えたい」と考えている場合は、税理士への相談が適しています。
税理士には、次のような内容を相談できます。
- 相続税がかかるかどうかの具体的な判定
- 財産の評価(不動産・株式など)
- 小規模宅地等の特例など各種特例の適用判断
- 相続税額のシミュレーション
- 申告書の作成・提出代行
- 税務調査への対応
一般的な制度の説明ではなく、自分のケースに当てはめた具体的なアドバイスが受けられる点がポイントです。
特に不動産や非上場株式が含まれる場合は、評価方法によって税額が大きく変わるため、専門的な判断が重要になります。
税理士費用の目安
相続税の申告を税理士に依頼する場合、費用の目安は一般的に「遺産総額の0.5~1%程度」といわれています。
例えば、遺産総額が5,000万円の場合、報酬はおおよそ25万円~50万円程度が目安です。
ただし、不動産の数や財産の種類、評価の難易度によって金額は変動します。事前に見積もりを確認することが重要です。
なお、初回相談を無料で受け付けている事務所も多いため、まずは相談だけしてみるという選択肢もあります。
税理士に依頼すべき人の特徴
次のような場合は、税理士への依頼を検討するとよいでしょう。
- 不動産や非上場株式など評価が難しい財産がある
- 小規模宅地等の特例を使えるか判断したい
- 相続税の申告期限(10か月以内)が迫っている
- 税務調査のリスクをできるだけ抑えたい
- 手続きにかかる時間や負担を減らしたい
相続税は一度申告すると原則としてやり直しが難しい税目です。判断に迷う場合は、早めに専門家へ相談することが安心につながります。
【税金以外の相続問題を相談したい】法テラス
相続では、相続税の計算や申告だけでなく、遺産分割や相続人同士のトラブルといった法律問題が生じることもあります。
このような「税金以外の相続問題」を相談したい場合は、法的支援を行う窓口の利用を検討しましょう。
法テラスとは?
法テラス(日本司法支援センター)は、法律トラブルに関する総合案内窓口です。
相談内容に応じて、利用できる法制度や手続きの案内を受けることができ、必要があれば適切な専門家(弁護士・司法書士など)の紹介もしてもらえます。
「誰に相談すればよいのかわからない」という段階でも利用できる点が特徴です。
- 電話番号:0570-078374
(IP電話やプリペイド携帯、海外からは 03-6745-5600) - 受付時間:平日9:00~21:00、土曜9:00~17:00
- 相談形式:対面/電話/メール
法テラス|相続・成年後見:https://www.houterasu.or.jp/site/faq/souzoku-seinenkouken.html
弁護士への相談が必要なケース
次のようなケースでは、税理士ではなく弁護士への相談が必要になる場合があります。
- 相続人同士で遺産分割の話し合いがまとまらない
- 遺言書の有効性をめぐって争いがある
- 相続人の一部と連絡が取れない
- 成年後見制度の利用を検討している
税理士は税務の専門家であり、法律トラブルの代理人にはなれません。
相続税の問題と法的トラブルが絡む場合は、税理士と弁護士の双方が関与するケースもあります。
相続税の相談前に準備しておきたいこと
相続税の相談は、事前の準備によって「一般的な説明で終わるか」「具体的な判断まで進めるか」が大きく変わります。
特に無料相談や税務署での相談は時間が限られているため、情報が整理されていないと十分な回答を得られないこともあります。
相談を有意義なものにするため、次のポイントを整理しておきましょう。
(1)財産の全体像をざっくり把握する
正確な金額まで確定していなくても構いません。重要なのは「全体像」です。
- 自宅以外に不動産はあるか
- 預貯金はどの金融機関にどのくらいあるか
- 株式・投資信託・保険はあるか
- 借入金などの負債はあるか
相続税は「財産の総額」によって課税の有無が決まります。
例えば、不動産が含まれる場合は評価方法によって税額が大きく変わるため、「不動産がある」という情報だけでも重要です。
金額が曖昧でも、「およそ○千万円くらい」といった目安があるだけで、相談の質が変わります。
(2)相続人の範囲を確認する
相続税には「3,000万円+600万円×法定相続人の数」の基礎控除があります。
この計算式のとおり、相続人の人数は税額に直結します。
- 配偶者はいるか
- 子どもは何人か
- 代襲相続はあるか
相続人の人数が確定していないと、「そもそも相続税がかかるのか」という判断ができません。
戸籍をすべて揃える必要はありませんが、家族構成を整理しておくだけでも大きな違いがあります。
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(3)相談の目的を明確にする
「とりあえず不安だから」という理由で相談する方も多いですが、目的が曖昧だと、一般的な説明で終わることがあります。
相続税の相談と言っても以下の内容をはじめ、さまざまなものがあるでしょう。
- 相続税がかかるかどうかだけ知りたい
- 申告の流れを確認したい
- 節税できる方法を検討したい
- 税理士に依頼すべきか判断したい
特に無料相談は時間制限があることが多いため、「今日の相談で何を持ち帰りたいか」を決めておくと効果的です。
(4)申告期限までの残り時間を確認する
相続税の申告期限は、亡くなった日の翌日から10か月以内です。
期限まで余裕がある場合は情報収集から始められますが、残り期間が短い場合は早めに専門家へ相談する必要があります。
時間の余裕によって、取るべき行動は変わります。
申告期限がいつまでなのかを詳しく知りたい方は『相続税の申告期限はいつまで?10か月の計算方法と遅れた際のリスク』の記事をご覧ください。
相続税の相談に関するよくある質問
相続税の相談窓口の判断基準は?
相続税についてどこに相談するかは、相談内容の具体性・申告期限までの時間・節税を重視するかどうかから判断しましょう。
相談内容の具体性
まず確認したいのは、「どこまで具体的な相談をしたいのか」という点です。
- 制度の概要を知りたい
- 相続税がかかるかどうかだけ確認したい
この程度であれば、無料相談窓口や税務署でも対応できます。
一方で、以下のような場合は、税理士への相談が適しています。
- 自分の財産内容を前提に税額を知りたい
- 特例を使えるか判断してほしい
- できるだけ税額を抑えたい
相談内容が具体的になるほど、専門家の関与が必要になります。
申告期限までの時間
相続税の申告期限は、被相続人が亡くなった日の翌日から10か月以内です。
期限までに十分な時間がある場合は、無料相談を利用して情報収集をすることも可能です。
しかし、期限が迫っている場合は、手続きを迅速に進める必要があります。
そのような状況では、税理士に依頼して申告書の作成まで任せるほうが安心です。
時間的な余裕の有無も、相談先を選ぶ重要な判断材料になります。
節税を重視するかどうか
相続税の相談で特に大きな分かれ目となるのが、「節税をどこまで重視するか」です。
税務署や無料相談窓口では、制度の説明や手続きの案内は受けられますが、積極的な節税提案は行われません。
一方、税理士は納税者の立場で、適用できる特例の検討や財産評価の見直しなどを行います。
「税額をできるだけ抑えたい」「将来の税務調査リスクも考慮したい」と考えている場合は、専門家への相談を検討する価値があります。
税務署と税理士の違いは何ですか?
税務署は、相続税の申告を受け付ける行政機関です。申告書の書き方や手続きについては案内してもらえますが、税額を抑えるための提案は行いません。
一方、税理士は納税者の立場に立つ専門家です。財産評価や特例の適用可否を判断し、税額シミュレーションや申告書の作成代行も行います。
「手続きの確認」が目的なら税務署、「節税や具体的な判断」が目的なら税理士、という違いがあります。
相続税は弁護士や司法書士にも相談できますか?
相続に関する問題は、弁護士や司法書士に相談できる場合もあります。ただし、対応できる内容はそれぞれ異なります。
弁護士は、遺産分割の争いや遺言の有効性など、相続人同士のトラブルが生じている場合に相談する専門家です。交渉や代理人としての活動が必要なケースでは、弁護士への相談が適しています。
司法書士は、不動産の名義変更(相続登記)や遺産分割協議書の作成支援などの手続きを行う専門家です。ただし、相続税の申告書作成や税額計算は原則として行えません。
相続税の計算や節税対策、申告書の作成について相談したい場合は、税理士への相談が必要です。
まだ相続税がかかるかわからない段階でも相談できますか?
はい、相談できます。
相続税には基礎控除があり、すべての相続で税金が発生するわけではありません。
「相続税がかかるかどうか分からない」という段階でも、無料相談窓口や税理士に相談することは可能です。
特に、不動産が含まれている場合は評価額によって税額が変わるため、早めに確認しておくと安心です。
申告期限は10か月以内と定められているため、不安がある場合は早めに相談しておきましょう。
まとめ|相続税の相談窓口に困ったら
相続税の相談窓口は複数あり、それぞれ役割が異なります。
制度の概要や手続きの確認であれば、公的な無料相談窓口や税務署でも対応可能です。一方で、具体的な税額の計算や節税対策を検討したい場合は、専門的な判断が必要になります。
まずは、以下を整理することがポイントです。
- 何を知りたいのか
- 期限までどのくらい時間があるのか
- 節税をどこまで重視するのか
そのうえで、より専門的なアドバイスが必要だと感じた場合には、相続税を専門分野とする税理士への相談を検討するとよいでしょう。
税理士にも得意分野があります。相続税の相談をする際は、相続案件の実績が豊富な専門家を選ぶことが安心につながります。

監修者
高部孝之税理士事務所
税理士高部孝之
2019年税理士試験合格 2020年税理士登録
都内大手税理士法人にて約13年間勤務。資産税部門の責任者などを経て、2024年に独立し浅草にて資産税を強みとする税理士事務所を開業。
専門用語を用いず、平易な言葉で説明することを大切にしており、お客様が親しみやすく相談しやすい税理士を理想としています。
保有資格
税理士・FP技能士1級・相続診断士