逮捕歴・前科・前歴が就職や結婚に及ぼす影響とリスクを減らす方法

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逮捕歴・前科・前歴

就職や結婚などの人生の節目を迎えるとき、過去の逮捕歴・前科・前歴が心配になる方は多いものです。

過去の逮捕報道や判決内容がインターネット上にあふれている状態が続いていると、何らかの不利益を被る可能性は十分あります。

たとえば、逮捕当時に大々的に報じられても、最終的には不起訴処分となるケースは多数存在します。それでも、逮捕報道だけを目にした人からは「前科がある」「有罪だ」と認識されかねません。

逮捕歴・前科・前歴といった重大な個人情報がネットに残り続けている場合、どういったリスクが考えられるのか、どんな対処法があるのかを解説します。

逮捕歴・前科・前歴はそれぞれ違う

逮捕歴・前科・前歴は混同されやすい言葉ですが、違いがあります。逮捕歴・前科・前歴の違いから整理しておきましょう。

逮捕歴・前科・前歴のちがい

逮捕とは、捜査機関に捜査のため身体拘束されることをさします。身体拘束とは警察の留置施設に入ることです。

前歴とは、捜査対象とされ捜査を受けた履歴のことをいいます。逮捕されなくても、在宅捜査を受けた場合でも、前歴がつくということになります。

ただし、一般的には前歴というと「逮捕歴」を指して使われることが多いようです。一度逮捕歴がつくと、たとえ不起訴処分になっても逮捕歴そのものが消えることはありません。

一方で、警察から都度呼び出しを受けて事情を聞かれることを逮捕とはいいません。捜査対象となったことで前歴はついても、逮捕歴がついたとはいえないのです。同様に、警察による身体の拘束がないまま不起訴処分になったり、捜査対象でなくなった場合には、前歴はあるが逮捕歴はない状態といえます。

そして、起訴され、刑事裁判で有罪判決が言い渡され、それが確定した場合には前科がつきます。ただし、一度も警察の留置施設に入ることなく有罪判決を受けた場合には、前科・前歴があっても、逮捕歴のついていない人もいるでしょう。

まとめ

  1. 捜査機関に逮捕されたら前歴と逮捕歴がつく
  2. 被疑者として捜査されて前歴がついても、身体拘束なく不起訴となったら逮捕歴はつかない
  3. 裁判で有罪判決がでて、それが確定すると前科がつく

犯罪経歴証明書から逮捕歴・前科・前歴がバレる?

犯罪経歴証明書とは、日本国内での犯罪経歴の有無を示す書類です。海外渡航する際や海外渡航先の公的機関より提出を求められることがあります。

犯罪経歴証明書の記載内容次第では、前科がバレてしまう可能性があります。もっとも、犯罪経歴証明書は逮捕歴や前歴を掲載する書類ではありません。

また、すべての前科が掲載されるわけではなく、一定の場合は犯罪経歴をもたないものとして見なされる場合があります。たとえば、執行猶予の言渡しを取り消されることなく執行猶予期間を経過した場合や、前科が科料の場合には掲載されません

前科次第では犯罪経歴証明書に記載されることになるので、提出先に知られる可能性があります。ただし犯罪経歴証明書の内容が不特定多数に知られる可能性は低いといえるでしょう。

犯罪人名簿から逮捕歴・前科・前歴がバレる?

前科は、警察や検察などの捜査機関および裁判所の記録のほか、本籍地の市区町村にある犯罪人名簿に記載されます。しかし、いずれもプライバシーに関する情報として厳しい管理がなされているので、第三者は情報にアクセスできません。

また、前歴・逮捕歴などは捜査機関に資料として残りますが、同様に第三者が情報を知ることはできないように厳重に管理されています。

では、どのような場合に自分の逮捕歴・前科・前歴が他人に簡単に知られてしまうのかというと、インターネット上の情報から他人に逮捕歴・前科・前歴を知られるケースが考えられます。

逮捕歴・前科・前歴がネットに残るリスク

逮捕歴・前科・前歴は、本人の意図しないところで他人に知られてしまう可能性が十分あります。たとえば、インターネットに逮捕報道の記事が掲載されていたり、SNSでの拡散や炎上がきっかけとなる可能性が考えられるでしょう。

逮捕歴・前科・前歴を他人に簡単に知られる状態にしておくことで、就職や結婚への悪影響や個人情報の拡散につながるリスクを解説します。

就職先への悪影響

採用活動の一環として、企業があなたの名前でネット上に公開されている情報を調査する可能性があるでしょう。

その結果、インターネット上に残っている情報から逮捕歴や前科が知られてしまい、就職活動においてマイナスに働く可能性もあります

また、現在仕事をしている場合は同僚や取引先に発見される可能性も考えられます。信用問題にかかわると判断されれば、仕事にも影響を及ぼす可能性があるでしょう。

大学生の子どもが実名報道された場合

逮捕時点で実名報道がなされると、あたかも犯人であるかのような印象を世間にもたれかねません。

就職が決まっているのに内定先に知られてしまったり、学校関係者にも情報が出回る可能性が高まります。そうなると内定取り消しや退学処分といった、刑事処分とは別の処分につながる可能性もあるでしょう。

ご家族や本人が実名報道を未然に防ぐ対策をとることや、実名報道後の速やかな対処が必要になります。

家族への二次被害

逮捕歴・前科・前歴の情報がネット上に残っていると、本人はもとより、家族や親せきへの批判につながり、家族や親せきの個人情報が特定されることも考えられます。

夫や妻の職場に知られて仕事に支障が出てしまったり、子どもが学校でいじめられたりと多岐に深刻な影響が出かねません。

逮捕歴・前科の影響が家族や親せきにまで及ぶことは、避けるべきリスクといえるでしょう。

結婚相手やその家族からの信用低下

逮捕歴・前科・前歴の情報が、何らかの形で結婚相手やその家族の目に触れてしまうことも起こります。

自ら逮捕歴や前科を打ち明けようと思っていたところ、先に露見してしまえば、結婚相手や家族に不信感をもたれてしまい、結婚自体がうまく進まなくなることも懸念されるでしょう。

SNSでの再拡散や炎上

過去の逮捕歴・前科・前歴情報であっても、何かをきっかけに今になって話題に取り上げられる可能性があります。SNSの発達した現代では、一度拡散された記事は次々に違う媒体で取り上げられ、炎上へとつながりかねません。

また、人間関係がこじれたことで、自分の逮捕歴・前科・前歴を個人的に知っている人が、あなたの個人情報を漏洩させる場合も考えられるでしょう。個人のSNSであっても、拡散されてしまえば色んな媒体に転載されてしまう可能性があります。

こうして広がった過去の情報をきっかけに、現在の住所や職場、家族構成などの個人情報特定につながる事態になる可能性もあります。今は人目につかないから放置しようと安易に考えず、早期解決が重要です。

SNSの媒体によって対応策が異なります。関連記事『SNSの削除依頼|誹謗中傷やネットに晒された個人情報を削除する方法』も参考にして、誹謗中傷や個人情報の削除を検討してみましょう。

逮捕歴・前科・前歴が心配!就職前や結婚前にできることは?

逮捕歴・前科・前歴の情報がネット上に残り続けることで、何らかの損害を受ける可能性は十分にあります。就職や結婚などの私生活に与える影響を少なくするためには早急な対策がポイントです。

逮捕歴は消えないがネット上の情報を削除できる可能性がある

前科や逮捕など過去の事実そのものを無くすことはできませんが、ネット上の実名報道による逮捕記事を削除できる可能性があります。

もっとも逮捕歴・前科・前歴などの情報は、広く社会に知らせる意義が大きいと判断される場合もあるので、一概にすべてを削除できるわけではありません。

どんな内容ならネット上に掲載されている逮捕歴・前科・前歴情報を削除できるのか、どの媒体なら削除されやすいのか、当事者には判断が難しいものです。

ただ「削除してほしい」と主張するだけではなく、法的根拠と共に削除申請を行わねばなりません。

  • 内定先や職場に逮捕歴や前科がバレるリスクを減らしたい
  • 逮捕記事が家族に悪影響になる恐れがある
  • 結婚前に逮捕や前科のネット情報を削除したい

このようなお悩みをお持ちの方は、ネット記事の削除を取り扱う法律事務所への相談をおすすめします。ネットに強い弁護士を探したいという方は、下記バナーよりくわしい解説記事をあわせてお読みください。

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岡野武志弁護士

監修者


アトム法律事務所

代表弁護士岡野武志

詳しくはこちら

高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。

保有資格

士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士

学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了