【5ちゃんねる】過去の逮捕記事を削除する|弁護士の要点解説
このような方に向けた記事です
- 5ちゃんねるに過去の逮捕記事が掲載されている
- 5ちゃんねるのレス(投稿)を削除したい
- 5ちゃんねるのスレッドを削除したい
- 5ちゃんねるに掲載された前科情報を削除したい
目次
5ちゃんねるの逮捕記事は削除できる?
削除できるケース
5ちゃんねるに投稿された過去の逮捕記事は、削除することができます。ただし、その記事が法律上問題があると判断できる場合に限られます。投稿内容が名誉毀損に該当するような場合には、削除人に削除依頼を出すことで投稿を削除することができる場合があります。ニュース報道が引用され、特定の個人を攻撃するようなコメントが投じられている場合には、その違法性を弁護士に確認されることをおすすめします。
単に個人の感想であったり意見を述べるにとどまるものであれば、削除に応じてもらうことは難しいでしょう。しかし、個人的見解を超えて、個人の人格権(名誉権)を著しく傷つけるような投稿は5ちゃんねるの運営方針に反し許されていません。第三者がその投稿内容を目にしたとき、特定個人の社会的評価が低下するような内容で、その投稿に公益目的や公共性が認められなければ、削除の対象と考えることができます。
削除できないケース
5ちゃんねるに投稿された逮捕記事で、削除できないものもあります。報道機関が公開するニュース記事は、報道機関が取材を尽くして逮捕事実について根拠となる情報を収集し、作成されます。警察が逮捕事実を公表し、それを記事にするという流れが一般的です。このとき、報道機関には事件のことを広くたくさんの人に知らせて、注意喚起するという公益目的があり公共性もあるため、逮捕記事は正当化されます。そのため、正確にニュース記事を引用して作成された記事(投稿)には直ちに違法性を認めることは難しく、削除は望めません。
情報源が確かなもので、正確にニュース記事を引用している場合には、削除に応じてもらうことは難しいといえます。5ちゃんねるの削除ガイドラインには、このような記載があります。
犯罪に関する情報及び法人に関する情報の場合は、原則として、裁判手続きによって仮処分を取得して、司法判断を待つことにする。
5ちゃんねる削除体制
つまり、逮捕事実に関する投稿は、原則として任意の削除依頼では削除に応じてもらうことは難しいのです。
事前に確認すべき5ちゃんねるの「基本原則」
5ちゃんねるの削除を考える上で、必ず確認しておきたいことがあります。それは、5ちゃんねるが掲げる運営上の「基本原則」です。5ちゃんねる削除体制ページは、次のように書かれています。
1.表現の自由は最大限保障されるべきものである。
2.ただし、表現の自由も絶対無制限のものではなく、他人の権利を侵害するものについては削除を行う。削除理由については具体的には明示しないこともあります。
3.ただし、異議を申し立てる機会を与え審議の結果、削除された記事が再掲載される可能性はある。
5ちゃんねる削除体制【基本原則】
5ちゃんねるでは、大原則として「表現の自由」を大切にしています。「表現の自由」は、日本国憲法21条で保障されている重要な人権です。匿名で投稿できるようにすることで、誰もが自由に発言しやすい場を提供しているのです。ただし、誰が何を投稿しても問題ないというわけではありません。自由な発言は無制限ではなく、「他人の権利」に配慮することが求められています。
第二十一条 集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。
日本国憲法
憲法13条に定められた「公共の福祉に反しない限り」という留保が、5ちゃんねるでも明記されています。自分の「自由に投稿できる権利」は「他人の権利」を侵害しない限りにおいて、尊重されるということを意味しています。
第十三条 すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。
日本国憲法
5ちゃんねるの逮捕記事の削除方法とは?
メールで削除依頼を送信する
5ちゃんねるの削除依頼は、指定された宛先にメールを送信して行うこととされています。2ちゃんねる掲示板のように、削除依頼が掲示板に書き込まれ、公開されるシステムにはなっていません。削除要請を出すことができる者は、「権利侵害を主張する者」とされていますので、名誉毀損の被害者やプライバシー権侵害をされている者が削除要請を行うことができます。
削除要請の際には、メールにつけるタイトル、本文で書くべきことが指定されています。次の3点を本文に記載するようルール化されています。
本文に書く内容
- URL
- レス番号
- 削除理由
削除理由を丁寧に書く
特に重要なのは、削除理由の記載です。なぜ削除を求めるのか、法律上の問題点を指摘しながら説明することが大切です。「この投稿が嫌だから」「不快に感じるから」「腹立たしいから」などと感情的な表現は好ましくありません。あくまで法律的な見方で投稿を分析し、どのような問題があるかを説明します。
例えば、逮捕事実が完全にでっちあげ(デマ)で書かれている場合には、名誉毀損の問題が生じます。名誉毀損は刑法に規定された犯罪です。被害者という立場を明確にして、刑法上の問題があることを説明することが大切です。法律に照らして投稿を分析することは、簡単ではありません。まずは、弁護士に投稿内容を確認してもらい、どのような主張が成り立つかを検討するようにしてください。
資料の添付は必須
削除要請には、資料を添付することが必須となっています。権利侵害を受けた者の本人確認資料を提出します。本人確認資料としては、運転免許証の写しやパスポートの写しが挙げられます。また、弁護士に削除要請を依頼する場合には、委任状も必要になりますので、事前に弁護士に用意してもらい、サインしておきます。
添付資料は、削除人が削除すべきかを判断するにあたって重視されるものです。この提出を拒む場合は、それ以降の手続きは中断されることになりますので、注意が必要です。
5ちゃんねるの投稿削除を弁護士に依頼すべき理由
弁護士に依頼すると法律上の主張ができる
弁護士に削除要請を依頼すると、難しい「削除理由」も適切に表現してもらうことができます。レス(個別の投稿)ごとに削除要請すべきなのか、スレッドごと削除を求めることができるケースか、その判断も任せることができます。弁護士は法律の専門家ですので、法律上の問題点を指摘して削除要請を行うことが可能です。
とくにネットトラブルに詳しい弁護士を探したいという方は、以下のバナーより解説記事を参考にしてみてください。
弁護士に依頼すると手間がかからない
5ちゃんねるに削除要請をしたあと、疎明資料の提出を求められたり、不足する情報を補うよう指示が来ることがあります。その際、5ちゃんねる側の求めに適切に応じなければ、手続きが中断し、削除が叶わなくなります。5ちゃんねる側とのやり取りは慎重に行う必要があるため、不安を感じる人も多いものです。手間を少しでも省きたいと考えるなら、弁護士に依頼するのがおすすめです。
弁護士に依頼すると削除までの近道となる
投稿の削除には、次の3段階が必要になります。
投稿削除要請までの3ステップ
- 投稿の分析(同定性の有無、違法性の有無)
- 削除理由の起案(法的根拠)
- 添付資料の準備
これを短期間で行うには、専門家のサポートを受けることが望ましいです。削除要請が一度で通らなければ、また要請の根拠を見直したり、添付資料の確認が必要になります。一日も早く投稿を削除するには、弁護士に相談するところからはじめましょう。特に、スレッド全体の削除をするときには、レス(各投稿)の分析に時間がかかることがあります。早めに相談しておくことで、削除までの手続きをスムーズに行うことができます。
他に転載されても対応してもらえる
5ちゃんねるから他のサイトに転載されても、弁護士ならば削除依頼を行うことが可能です。
5ちゃんねるの前科情報は削除できる?
名誉毀損を主張する場合
5ちゃんねるで、名指しで「前科者」や「前科持ち」と書かれてしまうことがあります。この場合、名誉毀損を主張して削除を求めることができます。個人攻撃としてこのような書き込みが行われると、特定個人の社会的評価が低下し、私生活や仕事面で深刻な問題が生じることが予想されます。根拠のない噂であっても、「前科がある」などと書かれることで、事実確認の調査が入ったり、周囲に悪い噂が広がり、同じ職場で仕事を続けることが困難になることもあります。近隣住民の目に耐えられず、引っ越しするまで追い込まれてしまうことも考えられます。
名誉毀損は犯罪です。投稿部分を印刷して、それを証拠として警察に相談に行くことも検討しましょう。投稿が古いものであれば、犯人特定が困難な場合もあるため、「前科者」などの書き込みを発見したら、すぐに警察に相談してください。また、具体的な行動がイメージつかない場合には、まず弁護士事務所で相談を受け、対応するという方法もおすすめです。
前科はプライバシーの内容でもある
事実であった場合、前科は通常、人に知られたくない情報の一つです。プライバシー権が侵害されたと主張して、削除を求める方法が考えられます。プライバシー情報は、一度公開されると容易に回復できないダメージを負うものです。他人に知られたくない情報がネットで拡散されると回収が難しくなります。そのため、前科が暴露された場合には、すぐに弁護士への相談を検討してください。
5ちゃんねるの削除依頼にかかる弁護士費用は?
5ちゃんねるの逮捕記事にかかわる投稿を削除する場合、削除したい件数や書き込み内容の削除難易度を考慮し、弁護士費用が決められることがあります。
着手金や報酬金など、削除請求にかかわる弁護士費用の用語は下記の記事で分かりやすく解説していますので、合わせてご覧ください。
5ちゃんねるの削除依頼ポイントについては以下の記事も参考にしてみてください。
高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。
保有資格
士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士
学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了