M&Aの売り手市場はいつまで?売り手のメリットは?事業承継の動向は

M&A売り手市場
  • M&Aは売り手市場?
  • 売り手市場のメリットは?
  • M&Aの売り手市場はいつまで続く?

近年、M&Aは売り手市場といわれています。

後継者の不在や、将来の不安をかかえる中小企業にとっては、まさに今が、M&Aに挑戦する絶好の機会といえるでしょう。

この記事では、M&A市場の現状、売り手のメリット、M&Aにおける売り手の注意点などを解説しています。

ぜひ最後までご覧ください。

M&Aの売り手市場とは?

M&Aの売り手市場とは?

M&Aの売り手市場とは、M&Aを検討している売り手企業の数よりも、買い手企業の数の方が多い状態を指します。

M&Aが売り手市場の場合、売り手企業は、複数の買い手企業から選り好みできるため、高値売却を実現しやすい環境となります。

売り手市場になった理由

M&Aが売り手市場をむかえている理由としては、事業承継の多様化や、経済環境の変化をあげることができるでしょう。

事業承継の多様化

後継者に会社を譲る手法として、息子や娘に継がせる、親戚に譲渡する、はえぬきの従業員を後継者にするなどがオーソドックスなものです。

しかし近年、M&Aによる事業承継が注目されています。

M&Aは、事業の存続と、従業員の雇用確保という二つの課題を同時に解決できる手段として選ばれています。

従来、M&Aといえば、身売りや敵対的買収など否定的なイメージがつきまとうもので、社外の第三者に承継させるというイメージは浸透していませんでした。

しかし昨今、経済産業省が中小企業の事業承継対策に取り組む中で、M&Aに対するイメージが好転し、M&Aに踏み切る企業は増加しています。

経済環境の変化

低金利政策や企業の積極的な投資姿勢により、M&A市場全体の活発化が続いています。

コロナ禍により先行き不安をかかえる会社が増える一方、富裕層のカネ余りも顕著となり、投資先としてM&Aに注目が集まっています。

設備投資の代わりに、技術や販路拡大をねらう成長戦略としてM&Aをおこなう企業もあります。

また、高齢化にともなう労働力不足を解消する手段として、人材確保の一手段として、会社を買収したいと考えている企業も増えています。

脱サラしたサラリーマンが、小規模な会社を買って起業する(スモールM&A)といったパターンもあるでしょう。

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M&Aの売り手市場はいつまで続く?

帝国データバンクの調査によると、会社売却のみのデータはありませんが、「M&Aほか」(買収・出向・分社化)という括りで事業承継の割合についてのデータが公開されていました。

M&Aほかによる事業承継については、2022年度(実績値)は全体の18.6%でしたが、2023年度(速報値)は全体の20.3%を占めるようになっています。

事業承継・引継ぎ支援センターの公表では、2023年度の相談件数は22631者(前年度比107%)、M&Aによる事業承継の成約件数は1681件(前年度比111%)と、過去最高件数を記録したとのことです。

2023年度までのM&A市場の動向や、低金利、経済成長の鈍化、労働力不足などを踏まえると、今後もM&A市場は促進されると予想されます。

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M&Aの売り手市場到来!メリットは?

M&Aによる事業承継のメリットは?

企業の将来に不安がある場合や、親族や従業員の中から後継者を選定できないケースでは、廃業という選択肢もあります。

廃業とM&Aによる事業承継、いずれを選択すればよいのでしょうか。

廃業するにも、それなりの手間や時間、費用がかかるものです。また、廃業となれば、従業員は生活の糧を失うことになります。

一方、M&Aによる事業承継についても、手間や時間はかかりますが、売り手には、①M&Aの対価として譲渡益を得られるメリットがあります。

譲渡益が得ることができれば、リタイア後の生活資金や新規事業立ち上げの資金にあてることができます。

そのほかにも、②企業の存続・成長が期待できる、③後継者問題を解決できる、④従業員の雇用維持を図れる、⑤経営者の責任・個人保証からの解放など、売り手にとって、M&Aには多くのメリットがあります。

M&A(会社売却)のメリット

このように、M&Aによる事業承継は、経営者ご自身も、従業員の方も、会社の将来も明るくできるメリットがあります。

廃業という選択をする前に、一度、M&Aによる事業承継を検討してみてください。

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売り手市場のメリットは大きい?

M&Aが売り手市場をむかえたことで、売り手が受けられるメリットとしては、以下のようなものでしょう。

高値でM&Aによる会社売却

売り手市場の場合、複数の買い手企業から、オファーを受けることが多いものです。

そのため、売り手側の希望価格での売却、あるいはそれ以上の高値売却を実現しやすい環境となります。

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好条件でM&Aによる会社売却

M&Aの条件交渉で問題とすべき事項は、売却価格だけではありません。支払い条件や従業員の雇用などの交渉も重要です。

売り手市場の場合、様々な条件面においても、売り手側に有利な交渉が可能となります。

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スピーディーにM&Aによる会社売却

売り手市場の場合、買い手企業が多く、市場が活発なため、短期間で売却先を見つけられる可能性も高いでしょう。

売り手市場の場合、売却先が見つからず、買い手が現れるまで待つというケースを回避できます。早期に交渉を開始して、M&Aの成約を目指せるメリットがあります。

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売り手市場を逃さない!M&Aを成功させる要因は?

現状把握と磨き上げ

いくら売り手市場といえども、M&Aの対価は莫大なものになるため、買い手にとって大きなリスクをともなうものです。

買い手側が興味を持ってくれたという程度で、M&Aの成約にこぎつけるほど甘くはありません。

M&Aを成功させるには、対価に見合う価値を提供できることを、買い手に伝える必要があります。

そのためには、まずは自社の価値を正確に把握することが重要です。財務状況、市場シェア、技術力、人材など、様々な要素を分析し、客観的な評価(企業価値評価)を行います。

企業価値評価の手法は専門的な知識を有するため、公認会計士に依頼することも多いでしょう。

自社の現状把握ができたら、強みを強化し、弱みを補強するなど、会社の磨き上げをおこないます。

こうすることで、売り手側は、より洗練された姿で買い手探しができるようになります。買い手側からてみれば、M&A後の経営統合をイメージしやすくなるため、M&Aに応じる決断をしやすくなります。

将来性がある事業や、経営再建が期待できる会社については、買い手がつきやすいものでしょう。

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適切なM&A仲介業者を選ぶ

売り手側がM&Aを成功させるには、適切なM&A仲介業者を選ぶことも大切です。

M&Aによる事業承継は、売り手側にとって、急を要する課題であることが多いでしょう。

経営者が高齢ですぐにでも次の代に引き継ぎたい場合、会社の将来に不安がありすぐにでも経営再建にとりかかるべき場合など、早期に事業承継をおこなわなければならないケースが多々あります。

これらのケースでは、買い手探しにかけることができる時間は限られているでしょう。

そのため、民間のM&A仲介会社や、事業承継・引継ぎ支援センターなどのネットワークを利用して、できるだけ早期に買い手探しをおこなう必要があります。

また、M&Aの支援機関は、買い手企業との交渉や手続きなどのサポートもおこなってくれます。

財務情報の整理、事業計画の作成、デューデリジェンスへの対応、各種契約書の締結など、必要な手続きがたくさんあります。

M&Aで必要になる手続き

  • 財務情報の整理
  • 事業計画の作成
  • デューデリジェンスへの対応
  • 契約書の締結
    秘密保持契約書、基本合意書、株式譲渡契約書etc.

M&Aによる事業承継は、ほとんどの経営者の方が初めて経験することでしょう。不慣れなことを進める時は、よきアドバイザーをつけるべきです。

M&Aによる事業承継を円滑に進めるためには、M&A仲介会社や、公認会計士・税理士・弁護士などの士業専門家の助けを借りるのが近道といえます。

M&A仲介会社の注意点

M&A仲介会社を利用する場合、手数料が発生します。

必要な手数料は、仲介会社ごとに異なりますが、多くの場合、M&A案件が成約したら「成功報酬」を支払う必要があるでしょう。

なかには、成功報酬目当てに強引に成約を目指すM&A仲介業者もいるとのことなので、注意が必要です。

とはいえ、価格交渉などの落としどころの見極めは、M&A市場にくわしい仲介会社のほうが上手いと思います。そのため、信頼できるM&A仲介業者を選ぶことがポイントといえそうです。

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情報公開と秘密保持のバランスをとる

M&Aを成功させるためには、買い手企業に自社の魅力を伝えるべく、適切な情報公開が必要です。

買い手側との交渉を進めるためには、財務情報、事業内容、経営陣の経歴など、企業に関係する内容を詳しくお伝えしなければならないこともあるでしょう。

そうやって、必要な情報を公開することで、信頼関係を築きながら、魅力を伝えていきます。

しかし一方で、情報漏洩のリスクもあります。そのため、秘密保持契約を締結し、互いに情報漏洩に注意を払う必要があります。

まとめ

M&Aの売り手市場は、売り手優位で、高値売却や好条件で会社売却を実現できるチャンスです。

M&Aによる事業承継は、ご自身の大切な会社を高額で評価してもらえる上に、事業の存続などもかなう理想的な選択肢といえるでしょう。

上記のポイントを押さえ、しっかりと準備することが、M&Aの成功への近道です。

皆様の会社売却が成功することを心より願っております。

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