M&Aで会社を高く売る方法とは?買い手へのアピールポイントを解説

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M&Aで会社売却を検討する場合、長年経営してきた会社を売却するのだから、なるべく高値で買ってほしいと考える方が多いでしょう。

会社を高く売るためには、自社の強みや優位性を明確にし、買い手候補の企業に効果的にアピールして交渉していく必要があります。

他にも、会社売却の適切な時期と方法を踏まえて交渉を進めることや、買い手企業にとってのシナジー効果など、会社を高く売るためには踏まえなければならないポイントが数多くあります。

会社を高く売りたいとお考えの方は、本記事の内容を参考にしてください。

会社を高く売る方法・ポイントは?

会社を高く売る方法・ポイントとしては「自社の強み・優位性を明確にする」「適切な売却時期と方法を選ぶ」「買収後のシナジーをアピールする」の3つが挙げられます。

自社の強み・優位性を明確にする

自社の強みや優位性を明確にすることで、買い手にとっての魅力的なポイントを把握することができます。

買い手は、買収した後の将来性を見据えて、投資判断をします。

自社にしかないユニークな強みを買い手候補に伝えることができれば、高い評価を得ることができ、売却額も高くなるでしょう。

例えば、自社の強み・優位性としては「高い市場でのシェア」や「独自の技術や特許」などが挙げられます。

市場シェア

自社が属する業界でのリーダーシップや高い市場シェアは、買い手にとって魅力的なポイントです。

たとえば、業界でのリーダーシップは競合他社に先駆けて新しい市場ニーズに対応できる能力を示しています。また、高い市場シェアは広範な顧客基盤を意味し、これにより買い手はすでに確立された信頼関係を活かして事業を拡大できるでしょう。

革新的な技術や特許

新しい技術や特許を持っていることは、買い手にとって非常に魅力的です。これにより、将来の成長のポテンシャルを強調し、M&A市場での競争上の優位性を築くことができます。

例えば、最新の技術動向や、保有する特許を活かして解決した具体的な課題について説明することで、技術力の高さや競争力を理解してもらいやすくなります。

これにより、技術的な強みが高く評価されるでしょう。

最新の技術トレンドに敏感で、先進的な製品開発に注力しているケースなどがあれば、積極的にアピールするべきです。

良好なブランドイメージ

良好なブランドイメージは、企業の価値を引き上げ、顧客との信頼関係を築く上で非常に重要です。高いブランド価値を持つ企業は、そのブランドを活かして製品やサービスを効果的に提供でき、M&Aの買い手にとっても重要な資産です。

例えば、最新の顧客満足度調査結果を通じて、自社製品やサービスに対する顧客の高い評価や満足度をアピールできます。また、過去の成功事例やブランド活用の事例を挙げ、企業がどのようにブランドを育み、市場で差別化してきたかを具体的に示すことが重要です。

これにより、買い手は売り手企業のブランドについて理解しやすくなり、ブランドイメージが良好だと評価されれば、会社を高く売れる要因となるでしょう

安定した財務状況

M&Aの買い手は安定した財務状況を重視します。健全な財務状況は、買い手にとって安心感を与えるポイントです。適切な財務データの整備と公開は、企業の評価において重要です。

最新の財務報告書や収益性の向上に関する取り組みについて、買い手にアピールしていくことで、高く評価されるようになるでしょう。

優秀な人材

売り手企業に優秀な人材がいることで、M&Aの買い手は大きな魅力を感じます。強力な経営陣と組織文化があれば、買い手候補は興味を示すことでしょう。

たとえば、経営陣が業界で豊富な経験を持ち、成功を収めた実績があることは、企業の将来性に対する確かな指標となります。また、協力的でチームワークを大切にする組織文化により、スムーズで効果的な業務遂行が可能となり、成果に繋がります。

実際の成功事例や従業員の育成プログラムの実施など、具体的な事例をアピールすることで、人材のスキルや組織文化がどのように成果に結びついているかを分かりやすく伝えることができます。これにより、買い手は企業の人的資産が持つ価値を理解しやすくなるでしょう。

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適切な売却時期と方法を選ぶ

どのタイミングで会社売却を進めるのかによっても、売却価格は大きく変わってきます。

買い手候補が新事業に投資している段階や、人員整理を進めている場合には、交渉まで進むことが難しいケースもあり得ます。

自社内で離職が相次いでいるような段階も、高額で売却することが難しくなるでしょう。

また、会社売却の方法については、株式譲渡で売却するのか、事業譲渡で売却するのかなど、方針を定める必要があります

株式譲渡は自社の経営権を含めて、企業全体を売却する方式です。

事業譲渡は事業の一部もしくは全部を売却しますが、経営権は売り手の手元に残る方式です。

自社の状況や目標に合わせて、適切な売却方法を選ぶことが重要です。

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買収後のシナジーをアピールする

シナジーとは、M&Aにおける相乗効果のことです。

売り手企業と買い手企業が統合することで、それぞれの企業が単独で事業を行うよりも大きな効果を生み出すことを意味します

買主に提供できる付加価値を最大化し、具体的な計画と見込みを強調することにより、会社を高く売却できる可能性が上がるでしょう。

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会社売却の流れ

会社売却の流れは大きく分けると、準備段階、交渉段階、クロージングの3段階に区別されます。

会社売却の流れ(書類)

準備段階

①利用するM&A仲介会社やアドバイザリーなどの業者を選定

M&A・会社売却の準備段階では、まずは利用するM&A仲介会社やアドバイザリーなどの業者を選定します。

自社の状況や周囲にアドバイザーが既にいるのかなどを総合的に考慮して、仲介会社を使うのか、アドバイザリーを使うのか、マッチングプラットフォームを使うのかを決めていきましょう。

②企業価値の算定・書類の作成

担当アドバイザーが決まったら、企業価値を算定したり、買い手候補に提出する書面を作成したりします。

準備段階で必要となる主な書類

  • ノンネームシート(NN)
    企業名を特定せずに、売り手の業種、所在地、財務情報などの情報をまとめた書面
  • 秘密保持契約書(NDA)
    事業や財務状況などの秘密を外部にもらさないことを約束する契約書
  • 企業概要書(IM)
    売り手企業の情報を詳しく記載した書面
  • 意向表明書(LOI)
    買い手候補の企業から、売り手企業に対して、会社売却の条件を記載した書面
    ※LOIは買い手候補から送付される。

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交渉段階

①トップ面談の実施

トップ面談とは、売り手と買い手のトップ同士が面談をおこなうことです。

準備段階を経て買い手候補を絞り込んだら、トップ面談を繰り返し行い、売却価格、支払条件、残留条件など基本的な条件を詰めていきます。

②基本合意書(MOU)の締結

この条件が決まった段階で、基本合意書(MOU)を締結します。ここでは、買い手候補となる企業から「独占交渉権」についての条項を盛り込むよう要求されることが一般的です。

③デューデリジェンス

基本合意書を締結したらデューデリジェンス(DD)を実施します。

DDとは、売り手企業の財務状況、事業内容、将来性などについて、詳細な調査を行うことで、買収監査とも呼ばれます。

DDは、買い手企業がM&Aを実行するかどうかの判断をくだすために、必須の手順です。

DDの結果、簿外債務が把握されてしまい、会社売却価格の見直しを提案されることもあります。最悪の場合、交渉決裂となるケースもあり得ます。

④最終条件交渉

デューデリジェンスが終われば、最終条件の交渉に進みます。DDの結果として簿外債務やリスクなどが把握されてしまうと、価格や条件の修正を提案されることもあります。

クロージング

最終条件が決定したら、最終契約書(DA)を締結します。

この契約書には、売却価格や支払条件、残留条件など、合意されたすべての条件が具体的に記載されます。

最終契約書は基本合意書とは異なり、法的拘束力を持つ契約書です。契約に違反した場合は損害賠償責任が発生し、不備があれば後日紛争の原因となる可能性があります。

最終契約書は非常に重要であり、慎重な取り決めが必要です。契約書の内容は法的な拘束力を持つため、専門家のアドバイスを受けつつ、双方が十分に納得できる形で最終化していきましょう。

M&Aを進める場合の注意点については「M&Aにおける注意点とは?会社売却側・買収側のリスクや確認事項を解説」の記事で、くわしく解説しています。あわせてご覧ください。

会社を高く売りたいときには専門家に相談を

会社を高く売りたい場合は、M&Aの成約実績が豊富な仲介会社などの専門家を活用しましょう。

会社売却の初期段階から相談しておくことで、企業価値評価(バリュエーション)や買い手探しを、効率的に進めることができます。

なお、会社を高く売って、最終手取り額を増やしたい場合には、手数料や費用の安い業者を選ぶことも重要です。

費用負担が軽くなると、実績があまりなかったり、サービスが不十分だったりする可能性もありますが、まずは複数の業者と相談して、費用の見積もりを取ることをおすすめします。

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