M&A業界の動向を解説!業界ごとのM&A傾向とは

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M&A業界の動向

M&Aは近年になり、活発に実施されるようになってきています。

経営者の高齢化、後継者不足、競争の激化など、事業継続が困難になった場合に、第三者に事業承継を行うM&Aが選択されているのです。

この記事では、M&A業界全体の動向と、M&Aが活発な業界について解説します。

M&A業界の動向

M&A近年の動向

M&Aは後継者不足に悩む経営者の解決策の一つとして、積極的に実施されるようになってきています。

日本では、事業承継の際には、子供や孫などの親族に承継させるケースや、同じ会社の従業員や役員に承継させるケースが一般的でした。無関係の第三者に会社を譲渡するM&Aは、身売りなどとマイナスイメージを持たれやすく、経営者が避ける傾向にあったといえるでしょう。

しかし、後継者候補となる親族が経営者となるのを拒むケースや、将来の見通しがつかないために経営者の方が親族に事業を承継させたくないケースなどが近年増えてきました。

こうした状況の中、経済産業省などが主体となり、事業承継の選択肢としてM&Aを押し出したこともあり、M&Aが積極的に検討されるようになっています。

例えば、各都道府県に作られた事業承継・引継ぎ支援センターは、中小企業の経営者の相談先として広く使われるようになりました。

2022年度の事業承継・引継ぎセンターのデータによると、2018年には11,477人だった相談者数が、2022年には22,361人にまで倍増しています。

また、M&A成約件数も拡大しており、2018年には923件でしたが、2022年には1,681件になっています。

M&Aの今後の動向予想

日本は高齢化が進んでおり、事業を継続することが困難になる経営者が増えていくことが予想されます。

中小企業庁の資料によると、2025年までに70歳を超える中小企業の経営者は約245万人となり、その約半数が後継者未定となると推定されています。

このような状況を受け、大企業だけに限らず、中小企業のM&Aを手厚くサポートする専門業者も最近では増えてきています。

今後のM&A市場についても、さらに活発になっていくことが予想されます。

M&A専門会社の動向

公的機関である事業承継・引継ぎ支援センターだけでなく、M&A仲介会社やM&Aアドバイザリーなど、民間の企業についても、業績を年々伸ばしています。

各会社によって、大規模な企業のM&Aに強い傾向があったり、中小企業のM&Aに強い傾向があったりするなどの違いがあります。

初回の無料相談などで、自社の事業承継にマッチしているかどうかをよく検討した上で、どこの会社を利用するのか判断することをおすすめします。

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ここでは、売却側に着目したM&Aの流れをご紹介します。

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M&A業界別の動向

医療・クリニック業界のM&A動向

医療・クリニック業界は他業界と同様に、経営者の高齢化により、事業承継の課題が顕在化しています。後継者不足や専門人材の不足により、廃業するかどうかを選択しなければならない状況が増えてきているのです

なお、クリニックと病院は、病床の数などによって分類されます。

病床数19床以下の医療施設はクリニック、病床数20床以下の医療施設は病院として分類されます。

クリニックや病院などの医療業界においては、国家資格が必要な職業となるため、親族内承継のハードルが高いといえます。そのため、医療・クリニック業界でも、M&Aを行うことで後継者問題を解消する傾向が強くなっているのです。

調剤薬局業界のM&A動向

調剤薬局業界におけるM&Aも活発化しており、今後もその傾向は続くと予想されています。

調剤薬局とは、病院や診療所などの医師の診断を経て処方箋にて指示された薬を、調剤して患者に受け渡す薬局です。

都道府県にある地方厚生局から指定を受け、保険診療による処方箋の調剤を実施している場合には、「保険調剤薬局」もしくは「保険薬局」と呼ばれます。

現代の日本では、医療と調剤を分けて行う医薬分業が進んでおり、医薬分業率は80%近くになってきています。

令和3年の厚労省のデータによれば、調剤薬局の数は日本全国で6万を超えるとされており、主要コンビニエンスストアの店舗数を上回るといわれています。

調剤薬局のM&Aが活発になる最も大きな要因は、医療・クリニックと同じく、経営者の高齢化です。調剤薬局も親族内承継が難しくなりやすいため、第三者承継が選択されるケースが増えているのです。

他にも、薬価改定などにより、減収傾向にあることも、M&Aが検討される大きな理由となっています。特に小規模の調剤薬局では、大手の調剤薬局チェーンに買収されることで、生き残りを図ろうとするケースもあるでしょう。

IT業界のM&A動向

IT業界は、市場への参入がしやすい業界の一つでもあるため、今後も市場規模は拡大していくと見込まれており、それに比例してM&Aも活発に行われていくでしょう。

矢野経済研究所の調査によると、IT業界の市場規模は14兆円を超えるといわれています。

業界・業種ごとのシステム開発やサービスに強みを持つ中堅、中小企業を、大手IT企業やコンサル会社などが買収するケースもあります。

飲食業界のM&A動向

飲食業界は競争が激しい業界であり、人手不足や価格競争など、事業がうまく回らないと倒産してしまう企業もあるでしょう。

このような問題を解決するための方法として、M&Aが活用されることが多いです。

コロナ禍が明けたことで、他業態への進出を狙う企業も出てきており、飲食業界のM&Aは今後も活発になることが予想されます。

アフターコロナに他業態を買収した実例としては、サンマルクホールディングスによる喫茶マドラグの買収が挙げられます(2022年)。サンマルクは2024年4月に、子会社である倉式珈琲の吸収合併も行っています。

また、飲食業界では、資本業務提携によるM&Aもよく見られます。

有名な実例としては、吉野家ホールディングスによる株式会社せたが屋の株式取得(2016年)が挙げられます。

介護業界のM&A動向

高齢化が急速に進む日本では、介護業界は成長産業です。そのためM&Aの件数も比例して増加傾向にあります。

介護業界に参入する場合には、利用者のための設備を整え、介護スタッフを用意しなければなりません。

これらを全て最初から準備すると、時間のコストが大幅にかかるため、M&Aにより迅速に参入しようとする買い手が多いのも特徴です。

そして他業界と同じく、経営者の高齢化や後継者不足の問題を解決したいという譲渡側の希望によるM&Aも活発です。

美容室業界のM&A動向

美容室を売却する場合、スケルトンにしてからの譲渡、もしくは居抜きでの譲渡が主な手法でした。しかし、近年では、株式譲渡や事業譲渡なども実施されるようになってきています。

美容室を賃貸物件で経営していたのであれば、退去時には使用していた設備を全て取り払ってスケルトンにします。しかし、貸主の許可を得れば、次の借主(事業の後継者)との間で造作譲渡を行い、経営していたときの状態で承継することも可能です。これを居抜きといいます。

スケルトンや居抜きでの譲渡は、あくあで施設や店舗の権利を譲渡するだけで、ただちに経営権や従業員などを承継することにはなりません。そのため、一括して美容室事業を承継するため、M&Aが検討されるようになっているのです。

ただし、美容室業界はほとんどが小規模サロンであるため、他業界と比べれば、M&Aの件数は多くはないでしょう。

まとめ

日本では、どの業界であっても経営者の高齢化が進み、事業承継できる候補者が不足しています。

第三者に事業承継するM&Aは、このような後継者不足を解決する手段となりえます。

廃業すると費用を負担しなければならない場合もありますが、会社売却ができれば、売却益を取得できる可能性もあります。

まずはM&A仲介会社などの専門家に相談し、自社の企業価値を評価するところから始めましょう。

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