医療過誤の弁護士費用|医療訴訟までいくと高額になる?着手金無料の真実 | アトム法律事務所弁護士法人

医療過誤の弁護士費用|医療訴訟までいくと高額になる?着手金無料の真実

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医療過誤・医療ミス

医療過誤の解決に向けて対応をとる際に頼りになるのが弁護士という存在ですが、やはり気になるのは弁護士費用がどのくらい必要になるのかという点だと思います。

医療過誤の事案解決に必要な弁護士費用を一言でいうと、「弁護士によって異なる」としか言えません。というのも、弁護士や法律事務所ごとに弁護士費用は自由に設定されているからです。

とはいえ、どのくらいになるのか目安がわからないと相談や依頼への一歩が踏み出せません。

本記事では、多くの弁護士が設定しているであろう弁護士費用の内容や相場について解説しています。弁護士ごとに弁護士費用が違う理由や、弁護士費用にまつわる疑問にも答えます。

弁護士に相談したくても費用面が不安だという方は、本記事を読んで弁護士費用の基本をおさえて不安を取り除いていきましょう。

医療過誤における弁護士費用の内訳

多くの弁護士は、弁護士が行う相談・調査・交渉・訴訟などの活動ごとに費用を設定していることがほとんどです。

そのため、依頼者が最終的に支払う弁護士費用とは、さまざまな費用を合計した総額となります。

本章では、弁護士が行う活動ごとに設定している費用についてそれぞれ解説していきます。

(1)法律相談料|法的問題かどうかを検討

法律相談料は、医療事故についての法律相談を行う際の費用です。

医療事故に関するトラブルの内容を弁護士に相談することで、法律の専門家としての立場からみてどういった解決方法があるのか話を聞くことができます。

相談料の金額は時間単位で決まることが多く、初回の相談料が無料の法律事務所もあります。

(2)医療調査の着手金|カルテ開示など証拠の収集・過失の調査

医師の医療ミスや医療過誤が本当にあったのかを調査することは、医療調査や過失調査といわれ、今後の損害賠償請求に向けた重要な段階です。

着手金であるため、調査の結果、医療機関側に過失が認められないという判断になっても基本的に返金はなされません。

医療調査の具体例には、カルテの開示手続きが挙げられます。カルテは診療記録のことで、診療録、手術や看護記録、検査所見記録、検査の画像データなど幅広いものです。

カルテの開示を受けることで、患者はどんな処置を受け、どのような状態であったのかなどをおおよそ把握できます。

患者様や一部ご遺族からのカルテ開示も可能ですが、カルテの内容を読み解き、交渉に生かすことまでは難しい恐れがあるので、医療過誤の問題にくわしい弁護士にカルテ開示から任せることも有効です。

カルテ開示の弁護士費用

弁護士事務所によって金額はさまざまであり、証拠保全手続きの有無などで金額が違うこともありますが、調査費用は11万円~44万円(税込)が一定の目安になります。

患者本人やご遺族による資料収集も可能です。しかし、弁護士という立場から依頼することや、弁護士会照会制度を使うことができるので、弁護士への医療調査依頼も有効です。

関連記事は医療調査に関する詳細のほか、弁護士に頼むメリットも解説していますので、あわせてお読みください。

弁護士費用のほかに医療機関への費用も発生

弁護士への着手金とは別に、医療機関側に支払う費用は、諸経費として計上されることが多いです。医療機関側が合理的な範囲で金額を設定するもので、カルテのコピーで数十円、画像フィルムであれば1,000円程度などがかかります。

よって弁護士にカルテの開示請求を依頼した場合には、弁護士費用と医療機関指定の費用については両方がかかる可能性があることに注意しましょう。

協力医への費用が必要なケースも多い

過失調査には医学的な知識を要します。そのため、弁護士が協力医といった医学知識をもった専門家に話を聞いたりする必要もあるでしょう。

協力医には、カルテなどの資料から医療過誤に当たるケースか、資料に矛盾がないかなどを確認してもらい、医学の専門家としての見解を求めます。

弁護士費用のほかに、意見書や鑑定書などの作成費用医師への謝礼金なども必要になる可能性があることを認識しておきましょう。

(3)証拠保全手続きの着手金|法的手続きでの証拠確保

証拠保全手続きの着手金は、裁判所を通して証拠保全手続きを行う際に発生する費用です。

悪質なケースでは、医療機関が保管しているカルテやレントゲンといった検査記録を改ざんしたり、重要な資料は開示しないといった態度をとる可能性があります。

カルテなどの資料は重要な証拠となるので、あらかじめ証拠を確保しておくために証拠保全という手続きをとるのです。

証拠保全手続きは過失調査の一環ですが、裁判所を利用した異なる手続きが必要となるため、別途着手金を要することが多いようです。

弁護士に依頼せずとも、証拠保全手続きは個人で行うことができます。しかし、裁判所に申立書を提出するなど手続きが複雑です。弁護士に依頼すれば、証拠保全の複雑な手続きもすべて任せることができます。

(4)示談交渉開始の着手金|医療機関側との交渉

示談交渉開始の着手金は、医療機関側と示談交渉を行う際に発生する費用です。

裁判外で当事者同士が話し合いを行って争いごとを解決しようとするのが示談交渉です。誰にどのような責任があって事故が発生したのか、事故によって受けた損害を回復するためにはどのくらいの賠償金が必要なのかといった内容を話し合います。

医療事故について医療機関側に過失がある場合には、基本的に示談交渉により支払いの請求を行うことになりますが、示談交渉をはじめるためには着手金が必要となるのです。

法律事務所によって、示談交渉開始の着手金は過失調査の着手金に含まれている場合もあります。

弁護士に依頼せずとも、示談交渉は個人で行うことができます。しかし、医療機関側が弁護士を立てることが予想されるので、その場合は一人で弁護士を相手に交渉を進めなければなりません。

交渉のプロである弁護士と対等なやり取りを行うのはむずかしいでしょう。こちらも弁護士に依頼すれば、対等な交渉になるよう尽力してくれます。

(5)調停・ADR手続き開始の着手金|第三者を交えた話し合い

調停・ADR手続き開始の着手金は、調停やADRを利用して支払いを求める場合に発生する費用です。

裁判外で当事者同士の間に第三者を入れて話し合いを行い、争いごとを解決しようとするのが調停やADRです。示談交渉と同じように事故に関する責任の所在や賠償金に関する話し合いが行われますが、第三者を介入させて話し合いが進められる点がポイントになります。

示談交渉が不調に終わったため、調停・ADR手続きといった他の方法を利用する場合でも、示談交渉の着手金とは別に必要となる可能性もあるので、弁護士に依頼する際に確認しておきましょう。

(6)訴訟手続き開始の着手金|医療裁判を起こす

訴訟手続き開始の着手金は、裁判に訴訟を提起する際に必要となる費用です。

裁判所に判決を出してもらうことで争いごとを解決しようとするのが訴訟です。裁判官は、当事者双方が主張する内容を聞いたり、証拠を調べたりして判決を出します。

訴訟手続き開始の着手金の金額については、複雑な事件であると相場よりも高額になることもあるので注意が必要です。

場合によっては、判決前に裁判所から和解を提示されることもありますが、和解で終了したとしても訴訟手続き開始の着手金は必要になります。

(7)報酬金|成果に応じた金銭

報酬金は、最終的な結果に応じて支払う費用のことで、成功報酬とも呼ばれます。

医療過誤の場合だと、実際に医療機関から支払われることになる金額の何割かを支払うことになるのが通常です。(例:示談金の16~30%、経済的利益の11%~33%など)

報酬金の具体的な割合は弁護士と依頼を行う際に決まり、着手金が安いと報酬金として支払う割合が大きくなることが多いでしょう。

着手金とは違って、結果が得られなければ報酬金の支払は通常、発生しません。

さらに、報酬金の最低金額を設定している弁護士も多いです。示談金の〇〇%が最低金額に満たない場合は、最低金額を支払わなければならないこともあるので、よく確認しておきましょう。

(8)日当|弁護士の活動に対する費用

日当とは、弁護士が裁判所に出廷したり出張が必要となった場合などに生じる費用です。
出廷や出張1回ごとに決められた費用が生じるということが多いでしょう。

弁護士がいる事務所から移動先までの距離や時間に応じて、あらかじめ日当が決められていることが多いです。宿泊費や交通費を含めて日当としている弁護士もいれば、別途諸経費としている弁護士もいるので注意しましょう。

裁判所の場所や出張先をあらかじめ想定して、依頼する弁護士のエリアを決めておくとある程度、日当は抑えられかもしれません。また、着手金が安く設定されている場合でも、結果的に日当分で高額になってしまうケースもあるので、注目しておきたい弁護士費用項目のひとつです。

(9)諸経費|弁護士の活動で生じた経費

諸経費は、医療事故の解決に必要となるさまざまな費用が対象となります。

たとえば以下のように、郵便代、病院に対して支払う手数料などが含まれることが多いです。

諸経費に含まれる例

  • 訴訟提起を行う際の印紙代
  • 郵便切手代
  • カルテの開示費用(CD-Rや印刷代など医療機関側に支払う費用)

弁護士が活動を進めるにあたって、実際に発生した実費分として請求されることになるでしょう。

弁護士費用はどのくらいかかる?具体的な金額相場

弁護士費用は案件の内容や難易度によって変わるものなので、一律で○○万円かかると言い切れません。しかし、多くの弁護士が設定しているだろう費用の相場を知っておくことは大事です。

弁護士が行う手続きごとに設定している費用の具体的な金額相場を紹介します。

医療過誤の弁護士費用相場

医療事故における弁護士費用について内容ごとの金額は以下の通りです。

費目金額
法律相談料1時間1.1万円程度~(初回無料の法律事務所もある)
過失調査費用着手金:22万円程度~
証拠保全手続き着手金:11万円程度~
示談交渉着手金:22万円程度~
調停・ADR着手金:22万円程度~
訴訟着手金:55万円程度~
報酬金支払われる金額の11~22%程度
日当裁判所への出廷1回1.1万円程度~など
諸経費契約時に10万円程度を預かり終了時に清算

※ 金額はあくまで目安のため、具体的な金額は法律事務所により異なります。

医療事故では、通常の法律事件と比べると調査や証拠収集の作業への負担が大きいため、示談交渉や訴訟の提起とは別に調査にも着手金が必要となります。
そのため、実際に医療機関から支払いを得る前にかかる費用も高額となりやすいので、弁護士に相談や依頼を行う際には、事前にどの程度の費用がかかるのかをしっかりと確認しましょう。

弁護士費用が弁護士ごとに違う理由

かつて、弁護士費用は弁護士会の報酬規程によって基準が決められていました。昔はどの弁護士に依頼しても、必要になる弁護士費用は同じだったのです。

しかし、現在では弁護士会の報酬規程が撤廃され、弁護士が個々に弁護士費用を設定できるようになりました。

弁護士や法律事務所ごとに弁護士費用が違うので、弁護士に相談・依頼する場合には事前にどのくらいの費用が必要になるのか確認しておくことが大切です。

弁護士費用のことを聞くのも重要なポイントのひとつですが、なにより費用を払ってでも弁護士に依頼すべき事案なのかどうかを見極める必要があります。こちらの関連記事『医療ミスの示談・訴訟に強い弁護士に相談』では、医療事故について弁護士に相談・依頼するメリットなどについて解説しています。

弁護士費用の金額をシミュレーション

ここまでは、弁護士費用の内訳や相場について紹介しましたが、結局どのくらいの弁護士費用になるのかイメージがつかなかったという方も多いでしょう。

本章では、医療過誤の問題について「法律相談だけで終了した方」「示談交渉で解決した方」「訴訟まで発展した方」を想定して、弁護士費用の金額をシミュレーションしてみました。(本章で紹介する弁護士費用の合計はあくまでシミュレーションなので、参考程度にご覧ください。)

法律相談だけで終了した

法律相談だけで終了したAさんを例に、弁護士費用の合計をシミュレーションしてみます。

Aさんは病院で手術を受けてから体の調子が優れない日がつづいたため、手術を担当した医師に相談してみましたが取り合ってもらえませんでした。もしかすると、手術ミスをされたのではないかと感じ、弁護士への法律相談を決めたとのことです。

法律相談を通して、どういった場合なら医療過誤に該当するのか、仮に医療過誤だったとして弁護士に依頼するとどういう対応をとってもらえるのかなどについて弁護士から説明を受けました。

相談を通して、Aさんは主治医とのコミュニケーション不足で医療過誤が起きたと思い込んでしまっただけかもしれないと感じました。一度持ち帰って、主治医と話をしてみるとのことで、初回の法律相談だけで終了しました。

例|法律相談だけで終了した場合の弁護士費用

金額
法律相談料1.1万円
合計 1.1万円

法律相談だけで終わってもいい?

法律相談はあくまで相談です。別の弁護士にも話を聞いてみたい、この弁護士だと不安があるなどと思ったら、相談で終わって問題ありません。
法律相談を通して、「この弁護士にまかせれば納得した解決につなげられそうだ」と感じれば、契約へすすめばいいのです。

弁護士に相談した方がいいのか迷っている方や、弁護士以外の相談窓口がないか知りたい方は、こちらの関連記事『医療事故の相談窓口|弁護士に無料で法律相談したい!公的機関には何がある?』をお読みください。

示談交渉で解決した

示談交渉で解決したBさんを例に、弁護士費用の合計をシミュレーションしてみます。

Bさんは病院の手術を受けてから後遺症が残ってしまいました。手術前に医師から説明を受けていたリスクでは起こりえないような後遺症であったため、病院側は医師の過失を認めて示談金を提示してきました。しかし、納得いく金額ではないと感じ、弁護士への法律相談を決めたのです。

法律相談を通して、適切な示談金を得るためには過失調査が必要であること、病院が提示してきた示談金からどのくらいの増額が見込めるのかなどについて弁護士から説明を受けました。相談を通して、Bさんは弁護士に委任することを決めて契約を結びます。

委任を受けた弁護士は精力的に活動し、Bさんが納得できる金額に近いところまで交渉に成功できました。

例|示談交渉で解決した場合の弁護士費用

金額
法律相談料1.1万円
過失調査費用22万円
証拠保全手続き11万円
示談交渉22万円
報酬金220万円(支払われる金額の11%程度)
日当5万円
合計281.1万円

病院がはじめに提示してきた示談金は300万円でしたが、最終的に2000万円で決着しました。弁護士費用は合計で約280万円かかりましたが、その分を差し引いても最初の300万円と比べると約1400万円も増額しています。

病院がはじめに提示してきた金額と実際の損害賠償額には大きなかい離がありました。損害賠償額は、治療費・休業損害・逸失利益・慰謝料など多岐にわたる項目を正確に算定することで出すことができます。弁護士が介入することで、被害者が実際に被った損害を適切に算定することができるでしょう。

こちらの関連記事『医療事故の示談金相場はいくら?内訳と示談交渉の流れや賠償金との関係を解説』では、医療過誤における示談金の相場や内訳について解説しているので、あわせてご確認ください。

訴訟まで発展した

医療訴訟まで発展したCさんを例に、弁護士費用の合計をシミュレーションしてみます。

Cさんは病院の手術を受けてから後遺症が残ってしまいました。病院側は医師の過失を認めて示談金を提示してきたので、Cさん自身で示談交渉してみましたが、なかなか決着する気配がみえません。
そこで、Cさんは医療訴訟を見越して弁護士への法律相談を決めたのです。

法律相談を通して、医療訴訟を行うメリットやリスク、勝訴できる可能性などについて弁護士から説明を受けました。相談を通して、Cさんは弁護士に委任することを決めて契約を結びます。

委任を受けた弁護士は精力的に活動したところ、無事に勝訴することができました。

例|訴訟まで発展した場合の弁護士費用

金額
法律相談料1.1万円
過失調査費用22万円
証拠保全手続き11万円
示談交渉22万円
訴訟55万円
報酬金165万円(支払われる金額の11%程度)
日当10万円
合計286.1万円

病院がはじめに提示してきた示談金は300万円でしたが、最終的に損害賠償金1500万円で決着しました。弁護士費用は合計で約290万円かかりましたが、勝訴したので賠償金の10%分にあたる150万円が弁護士費用として病院側から支払われることになりました。実質的に、弁護士費用は約140万円の負担で済むことになったのです。

医療訴訟を検討されている場合は、こちらの関連記事『医療訴訟とは?医療ミス(医療過誤)の裁判の流れと弁護士に依頼するメリット』で訴訟の流れや裁判費用の相場を確認しておきましょう。

医療過誤の弁護士費用にまつわる疑問

弁護士費用の内訳や金額相場がわかったところで、その他にも気になる弁護士費用に関する疑問を集めました。

Q1.なぜ医療過誤の弁護士費用は高額になりやすい?

医療過誤の事案は調査や証拠収集といった弁護士の作業負担が大きいです。また、医療機関が医療過誤を認め、損害賠償金を支払うことになった場合、実際に支払われる金額そのものが高額なので、その分だけ報酬金も高くなるでしょう。

そのため、通常の民事事案と比べると、医療過誤の事案では弁護士費用が高額になりやすいといえるかもしれません。

弁護士費用を分割払いで対応してくれる弁護士はいる?

医療過誤案件では弁護士費用が高額になりやすいため、分割払いを検討したいという方も多いです。しかし、分割払いできるかどうかは、弁護士との契約次第としかいえません。

弁護士によっては、依頼者の安定した収入状況などに応じて分割払いで契約してくれることもあります。どの弁護士でも対応しているわけではないので、相談時に分割払いでも認めてくれるか聞いておくことをおすすめします。

Q2.医療過誤で「着手金無料」は本当にお得なのか?

着手金無料をうたう弁護士の場合、まず「無料の範囲がどこまでなのか」といった点をしっかり確認しておく必要があるでしょう。

着手金が無料だと、依頼者が持ち出す費用が完全に無料だと勘違いしてしまう方もいらっしゃいます。たとえ着手金が0円というような広告を目にしたとしても、調査費用や協力医への費用など諸経費は有料となり、依頼者負担になる可能性があります。どこまでの範囲を無料としているのか、弁護士に依頼する前に確認しておきましょう。

また、「着手金を支払った方が最終的な弁護士費用が安く抑えられるケースもある」という可能性を認識しておきましょう。

着手金が無料の場合、その分の成功報酬が高めになるよう設定している弁護士がいます。さらに、このような弁護士は着手金を無料にしたとしても、ある程度の回収が見込める案件を積極的に受任したいはずです。ある程度の回収が見込める案件の場合、「着手金が無料で成功報酬が高額な弁護士」と「着手金が有料で成功報酬がほどほどな弁護士」を比べると、着手金を支払った方が費用を安く抑えられるかもしれません。

弁護士を選ぶ場合は、事前に見積もりをとるなどして吟味した方がいいでしょう。

Q3.医療過誤は弁護士費用のほかに時間もかかる?

通常の民事事案と比べると、医療過誤の事案では解決までに時間がかかってしまうと言わざるを得ません。

医療過誤の事案は調査や証拠収集といった作業に多くの時間を費やすことになります。示談や調停で解決すればスムーズに損害賠償金を受けとることもできますが、医療訴訟まで発展すると訴訟期間だけでも2年以上かかる可能性が高いです。

医療過誤の事案では、費用も時間もかかる点を覚悟せねばなりません。

Q4.訴訟で勝ったら弁護士費用を負担しなくていい?

一般的な民事訴訟では、勝訴しても基本的に相手方に弁護士費用を請求することはできません。

ただし、医療過誤のような不法行為に対する損害賠償請求が認められた場合は、相手方に弁護士費用を請求することが可能です。不法行為に対する損害賠償請求とは、故意または過失によって損害を被った場合に補償を求めることです。

もっとも、不法行為にもとづく損害賠償請求が裁判で認められても、弁護士費用の全額がもらえる訳ではありません。裁判で認められた損害賠償金に対して約10%程度が弁護士費用として認められる場合があります。

医療過誤における不法行為にもとづく損害賠償請求については、こちらの関連記事『医療過誤の損害賠償請求要件と方法|医師・病院に問うミスの責任とは?』で詳しく解説していますので、あわせてご確認ください。

訴訟以外でも弁護士費用は相手に負担させられる?

ちなみに、示談・調停・裁判上の和解の段階における損害賠償請求の場合、弁護士費用という項目で損害賠償金に上乗せ請求したとしても、相手が納得しない可能性が高いでしょう。たとえ、相手方が不法行為を認めていたとしてもです。

そのため、訴訟以外の方法で損害賠償請求する場合は、弁護士費用をあらかじめ織り込んで多めに請求してみるといったテクニックがあります。このような交渉ごとの駆け引きに関しては、交渉経験が豊富な弁護士に相談することでアドバイスがもらえるでしょう。

まとめ|医療過誤に関する無料相談の窓口紹介

医療過誤に関する争いごとの解決に向けて、弁護士に相談や依頼した時に必要となる「弁護士費用」について解説してきました。弁護士費用は弁護士ごとに異なるので、事前にしっかり確認しておくようにしましょう。

最後に、本記事の内容をまとめて締めたいと思います。また、医療過誤によって重い後遺症が残ったりご家族を亡くされた方に利用していただきたい無料相談の窓口を紹介します。

本記事のまとめ

  • 弁護士費用は、法律相談料・着手金・報酬金・日当・諸経費などの内訳で構成されている
  • 弁護士費用は弁護士が自由に設定できるものなので、相談や依頼する前にはよく確認しておくことが大切
  • 医療過誤の弁護士費用は通常の民事案件に比べると高額になりやすく、時間も手間もかかる傾向にある

医療過誤によって重い後遺症が残ったり、ご家族を亡くされてしまった場合は、アトム法律事務所の無料相談をご活用ください。無料相談はまず、予約をお取りいただくところからお願いしています。

専属スタッフが予約受付を24時間365日いつでも対応していますので、気軽にお問い合わせください。

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アトム法律事務所 岡野武志弁護士

関連記事『医療ミスの示談・訴訟に強い弁護士に相談|医療事故は弁護士選びが重要』では、医療ミスに強い弁護士に相談して依頼すべき理由を解説しています。あわせてお読みください。

岡野武志弁護士

監修者


アトム法律事務所

代表弁護士岡野武志

詳しくはこちら

高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。

保有資格

士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士

学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了