仏壇・仏具に相続税はかかる?非課税の範囲と課税されるケースを解説

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親や祖父母が亡くなった後、仏壇や仏具をどう扱うべきか迷う方は少なくありません。

結論からいうと、仏壇・仏具は原則として相続税がかからない非課税財産です。

ただし、金製品や骨董品として価値の高いものや、礼拝で利用する目的以外で購入したものなどは課税対象になることがあります。

この記事では、仏壇・仏具が非課税とされる法的根拠から、課税対象になる例外ケースなどを実務的な観点からわかりやすく解説します。

仏壇・仏具は相続税の非課税財産

仏壇・仏具が非課税となる根拠|相続税法第12条

仏壇や仏具など祖先を祭るための財産を祭祀財産といい、非課税の対象とされています。

非課税財産となる根拠は、相続税法第12条です。

同条は、相続税の課税対象から除外される財産を列挙しており、その中に「墓所、霊びょう及び祭具並びにこれらに準ずるもの」が含まれています。

仏壇・位牌・仏像・おりんなどの仏具は、この「祭具及びこれらに準ずるもの」に該当すると解釈されているのです。

第十二条 次に掲げる財産の価額は、相続税の課税価格に算入しない。
二 墓所、霊びよう及び祭具並びにこれらに準ずるもの

相続税法第12条1項2号

また、国税庁のホームページでも、「相続税のかからない財産」として、仏壇・仏具などの祭祀財産が挙げられています。

なぜ非課税とされているのか

仏壇・仏具が非課税とされている理由は、これらが宗教的・精神的な意義を持つ財産であるためです。先祖を祀り、日常的に礼拝の用に供するものを金銭的に評価して課税することは、国民感情や宗教的慣習に馴染まないという考え方が背景にあります。

このように、非課税とされるのは「日常礼拝の用に供されるもの」であることが大前提です。

この前提が崩れると課税対象になることがあるので、どのような仏壇・仏具でも非課税財産となるわけではないことに注意が必要になります。

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非課税となる仏壇・仏具の範囲

非課税対象とされる仏壇・仏具とは

非課税とされる仏壇・仏具(祭祀財産)とされるものは、以下のようなものとなります。

  • 仏壇(木製・漆塗りなど一般的なもの)
  • 位牌
  • 仏像、神棚、庭内神祠(礼拝用)
  • おりん(礼拝用)
  • 線香立て・燭台・花立てなどの仏具一式
  • 数珠
  • 神具

なお、仏間については建物の一部であるため、祭祀財産には該当しません。

非課税対象となるかどうかの判断基準

祭祀財産とされる仏壇・仏具であればすべて非課税対象となるわけではありません。

基本的には、以下のような判断基準に基づいて非課税対象となるかどうかが決まるのです。

  1. 商品・投資・換金目的ではない
  2. 生前に購入されている
  3. 日常礼拝や祭祀など宗教的目的で使われていた

よくある誤解のひとつが、「高価な仏壇だから課税されるのでは?」というものです。

しかし、価格が高い仏壇・仏具であっても、日常礼拝の用に供されていれば原則として非課税です。

たとえば100万円を超えるような黒檀の仏壇や、職人が手がけた高級な位牌であっても、礼拝目的で使用しているものであれば相続税の申告対象には含めません。

生前に日常礼拝の用に供する目的で仏壇・仏具などの祭祀財産を購入することで、相続税の節税にもつながるといえるでしょう。

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相続発生前に現金で購入を

相続税の節税効果が生じるのは、被相続人が生前に購入した祭祀財産に限られます。

相続発生後に相続人が購入した仏壇・仏具は、そもそも相続財産に含まれないため、非課税財産としての節税効果は生じません。

また、相続発生の時点で購入費用を払い終えておらずローンが残っている場合には、残りのローンが債務控除の対象となりません。

仏壇・仏具が非課税財産であり、相続財産ではないためです。

そのため、仏壇・仏具は生前に現金で一括購入しておきましょう。

税務署に課税対象と判断されるリスクに注意

相続税法が仏壇・仏具を非課税とするのは、あくまで「日常礼拝の用に供するもの」などの客観的な実態が備わっている場合に限られます。

例えば、以下のような状況では「祭具等」に当たらないとして課税対象と判断されるリスクがあるのです。

  • 礼拝の実態が乏しく、形式的に仏壇を設置しただけの場合
  • 換金目的が強く、金庫や保管ケースに収納されているだけの場合
  • 明らかに資産価値目的で購入した高額な純金仏具である場合

税務署は相続税の申告内容を審査する際に、預金の引き出し履歴や購入履歴なども確認します。

礼拝の実態が認められない場合、非課税扱いを認めずに課税対象として扱われるリスクがあることを知っておく必要があります。

仏壇・仏具を購入する際に非課税財産となるかどうかが気になる方は、専門家である税理士に相談するとよいでしょう。

金製の仏具(おりん等)も非課税財産となり得る

金製仏具(おりん等)でも非課税財産となる理由

金製のおりんや純金製の仏像など、素材そのものに高い資産価値がある仏具であっても、非課税財産となる可能性があります。

税務上は、財産の「形式(何に見えるか)」よりも「実質(本当に何として使われているか)」を重視します。

金製の仏具であっても、礼拝の用に供されていれば非課税という考え方が基本です。

しかし、実態として礼拝目的ではなく資産として保有・管理されているケースでは、課税対象とみなされる恐れもあります。

金製だけでなく、プラチナやダイヤモンドなど他の高価な素材の仏具も、同様にお考え下さい。

課税対象になりやすい具体的なケース

以下のような状況では、金製仏具が課税対象として扱われることがあります。

  • 礼拝の実態がなく、保管・展示目的で所有していた場合
  • 純金製のおりんなど、金としての市場価値が明らかに高く、投資・資産保全の目的が疑われる場合
  • 仏具店や美術商などを営んでいた被相続人の事業在庫として保有していた場合
  • 骨董品・美術品として希少価値がある仏像などを収集していた場合
  • 同一種の純金仏具を複数所有しており、実際に使用しているのが1点のみである

値段だけでなく、礼拝目的の利用があったかどうかという点も重要となるでしょう。

金製仏具(おりん等)が課税対象となるかどうかの判断基準

金製仏具が課税されるかどうかは、以下の点を総合的に考慮して判断されます。

判断要素非課税寄り課税寄り
使用実態日常的に礼拝で使用している礼拝の実態がほとんどない
購入目的礼拝用として購入した資産形成・節税目的で購入した
保管状況仏壇の前に設置されている金庫や保管ケースに収納されている
素材・価値一般的な真鍮製などと同程度の用途純金製で金としての市場価値が高い

礼拝用のために購入しており、日常的に使用していることを明らかにするため、以下のような証拠を保管しておくとよいでしょう。

  • 購入時の領収書や納品書
  • 仏壇に設置している状態の写真
  • 法要における使用の記録

純金製など、金としての価値が明確な仏具が課税対象となる場合は、相続開始時点の時価で評価します。

地金価値(重量×相場)に加え、中古市場での取引価格や工芸品・骨董性の有無なども踏まえて算定することとなるでしょう(必要に応じて査定・鑑定が必要になるケースもあります)。

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相続税申告における仏具・仏壇の実務的な取り扱い

仏具・仏壇は相続税申告書に記載しなくてよい(原則)

日常礼拝の用に供される一般的な仏具・仏壇は、相続税の申告計算に算入する必要はありません。非課税財産として相続財産の計算から除外されるためです。

なお、遺産分割や相続人間の管理・説明・税務調査対応の観点から、遺産目録には「非課税財産(相続税法第12条)」と注記したうえで記載する運用も多く見られます。

課税対象になりうる仏壇・仏具は申告が必要

一方、課税対象になりうる金製仏具・骨董品的な仏像・商品在庫としての仏具などは、相続財産として申告書(第11表の付表4等)に記載する必要があります。

申告の際には、以下のような対応を行いましょう。

  • 金製仏具の評価:相続開始時点の時価で評価する。地金価値(重量×相場)に加え、中古市場での取引価格や工芸品・骨董性の有無なども考慮し、必要に応じて査定・鑑定を行う
  • 骨董品・美術品としての仏像:専門家による鑑定評価が必要になるケースもある
  • 事業在庫としての仏具:棚卸資産として相続財産に計上する

判断に迷う場合は専門家への相談を

「この仏具は申告が必要か?」の判断が難しいケースでは、専門家である税理士に相談することをお勧めします。

とくに、純金製のおりんや高額な仏壇、被相続人が仏具店を営んでいたケースなどは、個別の事情によって判断が異なることがあるので、相談するべきといえるでしょう。

仏壇・仏具の相続に関する疑問点

相続後に仏壇・仏具を売却したらどうなる?

相続発生後に仏壇・仏具などの祭祀財産を売却した場合、譲渡所得が発生しますが、一般的な仏壇・仏具の売却は、生活用動産として譲渡所得が非課税となる場合があります。

ただし、純金製仏具や骨董品的価値が高いものなどは、課税対象となる可能性があります。

仏壇・仏具が非課税財産でないと判断されたらどうなる?

仏壇・仏具が非課税財産でないと税務署に判断された場合、延滞税や過少申告加算税(当初から申告自体をしていなかった場合は無申告加算税)などのペナルティが生じる恐れがあります。

本来申告が必要な課税財産であると判断された以上、申告を怠っていたとして延滞税や過少申告加算税などのペナルティが課される可能性があるのです。

仮に、非課税財産でないと判断された場合は、一刻も早く修正申告を行い、ペナルティの程度を抑えましょう。

また、このような事態を回避するためには、申告前に専門家である税理士に相談することをおすすめします。

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仏壇・仏具は誰が相続する?

仏壇・仏具などの祭祀財産は、原則として祭祀主宰者が単独で相続します(民法897条1項)。

地域や家庭ごとに風俗慣習の違いがあるうえ、祭祀を主宰する関係上、祭祀主宰者の単独所有とする方が便利だからです。

誰が祭祀主宰者となるかについては、被相続人が指定することが可能です。

被相続人の指定がない場合には、慣習に従うこととなります。

慣習が不明であれば、家庭裁判所が定めることとなります(民法897条2項)。

なお、実務上はまず相続人間の話し合いで決めるのが一般的です。

まとめ|非課税となるか不安なら税理士に相談を

仏壇・仏具と相続税の関係について、重要なポイントをまとめます。

非課税が原則

  • 仏壇・位牌・仏像・おりんなど、日常礼拝の用に供される仏具は相続税の非課税財産(相続税法第12条)
  • 価格が高くても、礼拝の実態があれば非課税となりうる

課税になる例外ケース

  • 礼拝の実態がない金製仏具・純金製おりんなど
  • 骨董品・美術品として希少価値のある仏像
  • 仏具店などの事業在庫として保有していたもの
  • 節税目的で直前購入し、礼拝の実態が伴わないもの

申告実務の基本

  • 一般的な仏具は申告書への記載不要(遺産目録には非課税財産として注記記載する運用も多い)
  • 課税対象になりうる仏具は時価評価の上で申告が必要
  • 判断に迷う場合は税理士に相談する

仏壇・仏具の相続税の扱いは「礼拝の実態があるかどうか」が最大の判断基準です。形式ではなく実態で判断される点を押さえておきましょう。

非課税対象となるかどうかが不明確で不安がある場合には、専門家である税理士に相談することをおすすめします。

高部孝之税理士

監修者


高部孝之税理士事務所

税理士高部孝之

2019年税理士試験合格 2020年税理士登録
都内大手税理士法人にて約13年間勤務。資産税部門の責任者などを経て、2024年に独立し浅草にて資産税を強みとする税理士事務所を開業。
専門用語を用いず、平易な言葉で説明することを大切にしており、お客様が親しみやすく相談しやすい税理士を理想としています。

保有資格

税理士・FP技能士1級・相続診断士

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