親が亡くなったときに必要な年金手続きの基礎知識
年金受給者の親が亡くなった場合、相続手続きと同時に年金の受給停止と未支給分の申請手続きが必要になります。なお、要件を満たしていれば、親が亡くなった後も遺族年金を受け取ることができます。
この記事では、年金受給者の親が亡くなったときに発生する手続きについて、わかりやすく解説します。
目次
年金を受給していた被相続人が亡くなったときに必要な手続き
年金の受給停止手続きをする
年金受給者が亡くなると、受給権は消滅するため年金の受給停止手続きが必要です。手続きは、年金事務所または街角の年金相談センターで行います。
書類の提出期限は、国民年金の場合は亡くなった日から14日以内、厚生年金の場合は亡くなった日から10日以内です。停止手続きを怠ると年金の不正受給につながり、後で返還を求められます。年金受給の停止手続きは早めに済ませましょう。
受給停止手続きに必要な書類
年金の受給停止手続きには以下の書類が必要です。
- 被相続人の年金証書
- 被相続人の戸籍抄本または住民票の除票(死亡の事実が確認できるもの)
- 死亡診断書のコピーまたは死亡届の記載事項証明書
未支給分の年金を受給する
年金は、偶数月に2か月分(前月と前々月分)が振り込まれます。そのため、被相続人が亡くなった時点で、受け取っていない年金が発生します。未支給分の年金を受け取るには申請が必要で、受給停止手続きと同時に申請します。
なお、未支給年金には配偶者や子供の生活を保障するといった目的があることから、相続税は課税されませんが、一時所得として所得税の対象となります。ただし、一時所得には50万円の特別控除があるため、所得税を徴収される方は少ないでしょう。
未支給年金を受け取ることができる親族
未支給年金を受け取ることができるのは、被相続人の死亡当時に生計を同じくしていた親族に限られ、受け取りの優先順位も以下のように決められています。
- 1.配偶者
- 2.子供
- 3.父母
- 4.孫
- 5.祖父母
- 6.兄弟姉妹
- 7.1~6以外の3親等内の親族
未支給年金の受け取りに必要な書類
未支給分の年金を受け取るには以下の書類が必要です。
- 被相続人の年金証書
- 戸籍謄本または法定相続情報一覧図の写しなど(被相続人と請求人の続柄が確認できる書類)
- 被相続人の住民票の除票と請求人の世帯全員の住民票の写し(被相続人と請求人が生計を同じくしていたことがわかる書類)
- 金融機関の通帳(未支給年金・未支払給付金請求書に金融機関の証明を受けている場合は不要)
- 生計同一関係に関する申立書(被相続人と請求人が別世帯の場合)
- 戸籍抄本または住民票の除票(死亡の事実が確認できるもの)
- 死亡診断書のコピーまたは死亡届の記載事項証明書
遺族年金とは
遺族年金とは、国民年金や厚生年金の被保険者であった被相続人が亡くなった場合に、要件を満たすことで遺族が受けとれる年金です。遺族年金には2種類あり、国民年金の場合は遺族基礎年金、厚生年金の場合は遺族厚生年金が受給できます。
なお、遺族基礎年金の受給対象者で遺族厚生年金の受給要件も満たしている場合は、どちらも受け取ることが可能です。遺族年金は遺族の生計の維持を目的としていることから、相続税の課税対象にはなりません。
遺族年金の受給要件や年金額については、日本年金機構のホームページを確認してください。
遺族年金に関するよくある質問
年金受給者だった親が亡くなったらどうすればいい?
故人が年金を受給していた場合は、年金事務所または街角の年金相談センターで受給停止手続きを行います。同時に、故人がなくなった月までの未受給分の年金を受給するための手続きを進めます。
未支給分の年金は相続税の対象になる?
対象にはなりません。未支給分の年金は、被相続人が生計をともにしていた遺族の生活を保障する目的があることから、相続税の対象外です。
相続税がかかる年金はある?
相続税の課税対象となる年金には、死亡退職金などを遺族が年金として受け取る場合の「年金受給権」と、被相続人が被保険者で保険料を支払い、受取人となっている「個人年金保険」などがあります。
親が亡くなったらいつまで年金をもらえる?
年金を受給できるのは、受給者が亡くなった月までの分です。
遺族年金を請求するといつから受け取れる?
遺族年金の請求手続きから受給開始までは3、4か月程度かかります。
他にもおさえておきたい相続の基本
いざというときに備えて、相続対策や相続手続きについて理解しておくことは大切です。ほかの記事でも相続の基礎知識について詳しく解説しておりますので、ぜひお役立てください。
監修者情報
アトムグループ 協力税理士