相続税申告で失敗したくない!評判が良い税理士の特徴7選を紹介
「相続税の相談をする税理士ってどうやって決めるんだろう」
インターネットで「相続税 税理士」と検索すると、沢山の税理士事務所が出てきて誰に相談すれば良いのかわからない、という方も多いのではないでしょうか。
一口に税理士といっても、得意分野や対応している業務の範囲が違うため、相続税についての相談を希望する場合は「相続に強い税理士」に依頼する必要があります。
そこで、この記事では相続税に強い税理士の中でも、特に相続税で評判の良い税理士の特徴を7つ紹介します。
目次
税理士について
税理士の主な仕事内容
まず税理士の仕事は主に、企業や個人に対して、法人税や所得税をはじめとする納税のサポートや申告書の作成を行うことです。また、企業の日々の会計業務や、経営全体のコンサルティングにも携わることがあります。
一言でいうと、人々の税の悩みを解決する「税のプロフェッショナル」です。
実は相続税申告の仕事は少ない
税に関する多くの業務をこなしている税理士ですが、実は相続税申告の業務はレアケースに該当します。
令和3年の相続税の申告件数が134,275件だったのに対し、令和5年9月時点の税理士の人数は80,988人です。このことから、単純計算をすると税理士一人につき、年に1~2件ほどしか相続税申告をしていないことになります。
実際には相続に強い税理士だと、年で10件以上の相続税申告書を作成しているため、そもそも相続税申告の業務をほとんど行っていない税理士も多く存在するのです。
そのため、税理士であれば誰でも良いというわけではなく、相続税に強い税理士をみつけて依頼をする必要があります。
相続税分野で評判が良い税理士の特徴7選
相続税分野で評判の良い税理士を探すためには以下のポイントを押さえると良いでしょう。
- 相続税申告の経験、実績が豊富
- 遺産分割を提案してくれる
- 書面添付制度を利用させてくれる
- 最後まで税理士が担当してくれる
- 価格と依頼内容のバランスに納得ができる
- 不動産の現地調査をしてくれる
- 面談をしてみて信頼ができる
ひとつずつ解説していきます。
1.相続税申告の経験、実績が豊富
まずは何といっても、相続税申告の経験や実績が豊富な税理士を選ぶことが大切です。
特に、相談実績ではなく「申告」実績の数字を参考にすると良いでしょう。相談実績だと実際に申告している件数はわからないため、申告まで依頼したいときに満足なサポートを受けられない可能性があります。
また、相続税に関する業務は専門性が高いため、税理士の経験値が重要になります。そのため、相続専門と謳っている税理士事務所も経験や実績の豊富さが期待できます。
さらに、相続する財産によって必要となる能力が大きく異なります。
たとえば、「被相続人がいくつも不動産を所有していた場合は、不動産の相続を得意としている税理士に依頼する」、「中小企業を経営していた場合は、自社株をはじめとする有価証券などの相続を得意としている税理士に依頼する」と良いでしょう。
2.遺産分割を提案してくれる
遺産の分け方を提案してくれる税理士を選ぶことも大切です。
相続税は遺産の分け方によって大きく金額が変わる税金であるため、遺産の分け方をすべて依頼者に丸投げする税理士は相続に強いとはいえないおそれがあります。
もちろん遺産分割には相続人の意思が最優先されますが、それでも納めるべき相続税が最小になるような分け方や、受けられる控除を意識した分割の提案をしてくれる税理士の方が、相続税の相談をするには適しているといえます。
しかし、二次相続なども加味して納付額が最小になる分け方を計算できる税理士はあまり多くいません。そのため、今回の相続だけでなくいろいろな要因を考えて分け方を提案できる税理士が「相続に強い税理士」といえるでしょう。
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3.書面添付制度を利用させてくれる
書面添付制度とは、税理士が税務署に対して「この申告書の記載内容は正当なものです」と示す制度です。
すなわち、相続税申告書などを作成したときに、税理士が書類にお墨付きを与えることができます。
書類添付制度を利用することで、税務調査を受ける可能性を大幅に減らすことができます。税理士がお墨付きを与えたという信頼感に加え、もし税務調査をすることになった際にも、相続人に税務調査が入る前に税理士に対しての意見聴取が行われます。
この意見聴取の結果、税務調査は必要ないと判断されることが非常に多いため、相続人にとっては大きなメリットといえるでしょう。
しかし、仮に制度を利用して提出した書類に誤りがあった場合には、お墨付きを与えた税理士に対して、最長で2年の業務停止処分が下されるおそれがあります。
また、書類添付制度は税理士にとってリスクを伴うため、利用を避ける税理士がいたり、そのリスクを理由に追加料金を請求したりする場合もあります。
もちろん責任の重さや作業量に比例して料金が上がるのは仕方がないことですが、費用の負担が増えることは、依頼者にとってデメリットといえるでしょう。
ちなみに税理士会によると、令和3年の書類添付制度の利用率は23.1%となっています。書面添付制度の存在を教えてくれるか、利用を提案してくれるかどうかも信頼できる税理士を見分ける判断材料になるでしょう。
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4.最後まで税理士が担当してくれる
税理士事務所によっては、契約前は税理士、契約後は補助者という無資格の職員が対応にあたることがあります。中には補助者が書類の作成をすべて行い、税理士はその書類をチェックするだけ、といった体制の税理士事務所もあるようです。
資格を持っていなくても税理士と同じように業務を遂行できる補助者もいますが、税理士と違い、以下の業務をすることができないため注意が必要です。
- 税務調査への立ち合い
- 税務相談にのる
特に、無資格者が税務相談にのることは税理士法違反にあたるため、そういった体制をとっている税理士事務所は避けた方が良いでしょう。
最後まで税理士が担当してくれる事務所の特徴としては、税理士が複数名在籍していることが挙げられます。
税理士がごくわずかしか在籍しておらず、複数の依頼を受けている事務所は、人手不足で途中から担当が補助者に変わるおそれがあります。
少なくとも税理士が3名以上在籍しており、不明点の確認などのやり取りも税理士と行える事務所を選択されることをおすすめします。
5.価格と依頼内容のバランスに納得ができる
税理士の報酬は上限価格などが定められているわけではないため、税理士事務所によって異なります。
事務所によって違いがあるのならより安いところに依頼したくなりますが、費用のみで決定するのは危険です。
報酬が低くても税理士の経験が浅い場合には、本来納めなくても良い金額まで納めることになってしまったり、反対に、少なく申告して後からペナルティを課されてしまうおそれもあります。
そのため報酬の額だけでなく、報酬の額とサービスの質が釣り合っているかを意識して選びましょう。
また、費用に関してはホームページに料金表を載せている税理士事務所も多いため、いくつかの事務所を見比べて、依頼したい内容にかかる報酬の相場を確かめると良いでしょう。
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6.不動産の現地調査をしてくれる
不動産を相続した場合には、不動産の現地調査をしてくれる税理士を選ぶと良いでしょう。
不動産の相続に必要な情報は、測量図でも確認できますが、現地調査をしたことで測量図には載っていない、土地の評価額を下げるポイントが見つかることもあるためです。
まだ新しい測量図があれば大きな問題はないですが、測量図が古かったり、そもそも測量図が作られていない場合には、登記上の情報と実際の土地の情報が異なっている可能性があります。
また、土地に傾斜があったり、土地の上空に高圧電線が通っていたりすると土地の評価額を下げることもできます。
そのため、不動産の現地調査を省いてしまうと、本来土地の評価額を下げることができた要因に気がつけず、本来納めなくても良い税額まで納めてしまうおそれがあるのです。
なお、不動産の現地調査は依頼するにあたって追加報酬がかかることもあり、調査を頼むかどうかは不動産の状態にもよるでしょう。
そのため、不動産の情報を伝えて現地調査が必要かどうかを相談できる税理士を選ぶのが理想といえます。
7.面談をしてみて信頼ができる
最後に、実際に面談をしてみて信頼できるかどうか、ご自身の目で確かめることも大切です。
相続の手続きは、あまり人には話したくないプライベートな話題も出てきます。そのため、コミュニケーションが取りやすいと思う税理士を選ぶことができれば、その後のサポートも円滑に受けられるでしょう。
さらに、いきなり一人の税理士に絞るのではなく、まずは複数の税理士と面談することをおすすめします。初回は無料で相談できる税理士も多いため、比較検討をしてから信頼できる税理士を選びましょう。
税理士に依頼すると良い場面とは?
相続税申告をするとき
相続税は、相続する財産の評価額が基礎控除額を上回った場合に申告と納税の義務が生じます。
相続税の申告と納税は相続人自身でも行えますが、計算を間違えると余分に納税してしまったり、過少申告となり後からペナルティを課されてしまう可能性があります。
自分で計算して申告、納税することに不安がある方は税理士に依頼しましょう。
なお、相続税申告の申告代理は、税理士の独占業務となっています。そのため、相続税の申告まで依頼したい場合には、ほかの専門家ではなく税理士に依頼する必要があります。
相続税に関する控除を受けたいとき
相続税には小規模宅地等の特例や配偶者控除など、相続人の負担を軽くできる控除がいくつか存在します。控除によっては、減額されて相続税を納付する必要がなくなったとしても、相続税の申告が必要なものがあります。
そのため、控除を利用できるかわからない場合や、申請をするのが困難な場合にも税理士に相談すると円滑に手続きを進められるでしょう。
また、ご自身では気がついていないけれど、実は適用できる控除を教えてもらうこともできます。
相続税の節税は、以下に控除を適用するかがポイントとなってくるため、一度税理士にご相談されることをおすすめします。
相続した財産の評価が難しいとき
土地や有価証券など、相続した財産の中に評価が難しいものが含まれているときにも税理士に相談するのがおすすめです。
相続財産は、財産ごとに決められたルールに則って評価額を計算する必要があります。
現金や預貯金など、そのままの金額が評価額となる財産だけであれば問題ないですが、複雑な計算が必要になる財産が含まれている場合には税理士に相談しましょう。
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相続税の専門家と依頼できる内容を紹介|誰に相談すべきか一目でわかる
税理士事務所の探し方
インターネットで探す
多くの税理士事務所がホームページを持っているため、業務内容や必要になる費用などの情報を比較的簡単に収集することができます。また、ホームページには解決実績や各税理士が執筆している記事なども掲載されているため、所属している税理士個人の情報も知ることができます。
しかし、インターネットに載っている情報には一部、虚偽の情報や誤認させるような表記も存在しているため、あくまでも判断材料の一つとしてご活用ください。
友人などからの口コミをもとに探す
実際に依頼してサービスを受けた方の意見は非常に貴重です。ご家族やご友人で税理士に依頼をしたことがあるという方がいらっしゃる場合には、お話を聞いてみると税理士選びの参考になるかもしれません。
なお、先述した通り、税理士にも得意分野があります。
中でも相続税の申告に関してはレアケースなため、相続税に関する依頼をするのに適しているかどうかは、別途確認する必要があります。
税務署に聞いてみる
税務署は管轄している地域のすべての税理士を把握しているため、近隣の税理士を探している場合には効果的です。
しかし、税務署ではその税理士が相続税に強いかどうかや、報酬に関しての情報は教えてもらえないので注意しましょう。
まとめ|相続税分野で評判の良い税理士を探すために
相続税の相談をする税理士選びで失敗しないためには、実績や経験を参考に、「相続に強い税理士」を探すことが重要です。
また、税理士としての能力だけでなく、人柄やコミュニケーションのしやすさも大切になってくるため、何人かの税理士と面談をして依頼する税理士を決めることをおすすめします。
間違った選び方をしてしまうと、貴重な財産を失うことにもつながりかねないので、相続税の相談をする税理士は慎重に選ぶようにしましょう。
監修者
高部孝之税理士事務所
税理士高部孝之
2019年税理士試験合格 2020年税理士登録
都内大手税理士法人にて約13年間勤務。資産税部門の責任者などを経て、2024年に独立し浅草にて資産税を強みとする税理士事務所を開業。
専門用語を用いず、平易な言葉で説明することを大切にしており、お客様が親しみやすく相談しやすい税理士を理想としています。
保有資格
税理士・FP技能士1級・相続診断士