死亡後の手続きの優先順位は?役所・銀行・相続手続きが分かる【チェックリスト付き】

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家族が亡くなった直後は、悲しみのなかで次々と手続きをこなさなければなりません。「何から始めればいいのか」「期限はいつまでか」と戸惑っている方も多いのではないでしょうか。

この記事では、死亡後にやるべき手続きを整理し、見落としのないようにチェックリスト形式でまとめています。銀行口座の凍結や役所への届け出など、特定の手続きの進め方も詳しく解説しますので、ぜひご確認ください。

※本記事の情報は2026年時点の税制をもとに作成しています。税法は改正される場合があるため、実際の申告にあたっては税理士などの専門家にご相談ください。

死亡後の手続き|優先順位チェックリスト(一覧表)

まず全体像を把握するために、死亡後の手続きについて、期限の定められているものを時系列ごとにまとめました。印刷やPDF保存にも活用できます。

【最優先】7日以内

手続き期限の目安窓口・担当
死亡届の提出*7日以内市区町村役所

*葬儀社に代行してもらえることも多い。また、海外で死亡した場合はその事実を知った日から3か月以内。

10~14日以内に対応

手続き期限の目安窓口・担当
世帯主変更届
※必要な場合
14日以内市区町村役所
健康保険の資格喪失届*国民健康保険:14日以内国民健康保険:市区町村役所
介護保険の資格喪失手続き14日以内市区町村役所
年金受給の停止手続き**国民年金:14日以内
厚生年金:10日以内
年金事務所・年金相談センター

*会社で健康保険に加入している場合は、勤務先による手続きが必要なので、遺族は速やかに被相続人の勤務先に連絡を入れる。
**日本年金機構にマイナンバーが収録されている場合は不要

3~10か月以内に対応

手続き期限の目安窓口・担当
相続放棄または限定承認3か月以内家庭裁判所
所得税の準確定申告
※必要な場合
4か月以内税務署
相続税の申告・納税10か月以内税務署

3年以内に対応

手続き期限の目安窓口・担当
不動産の名義変更3年以内*法務局

*2024年3月31日以前に相続した不動産は、2027年3月31日まで

上記の期限を過ぎた場合、ペナルティや不利益が生じることがあります。例を挙げると、以下の通りです。

  • 死亡届:5万円以下の過料の可能性あり
  • 相続放棄:相続放棄できなくなる
  • 準確定申告:延滞税・加算税が発生する可能性あり
  • 相続税申告:延滞税・無申告加算税が発生する可能性あり
  • 不動産の名義変更:10万円以下の過料の可能性あり

ただし、相続後の手続きでは、期限が決まっていないものや上記の手続きをするにあたり必要になるものもあります。

詳しく見ていきましょう。

死亡直後にやるべき最優先の手続き

被相続人が亡くなった直後は、以下のことを優先的に行いましょう。

  • 死亡診断書を受け取る
  • 死亡届を7日以内に提出する
  • 火葬・葬儀の手配を行う
  • 遺言の有無を確認する

死亡診断書(死体検案書)の受け取り

病院で亡くなった場合は担当医が、事故や突然死などで警察が関与する場合は監察医などが死亡診断書(または死体検案書)を発行します。

この書類は死亡届の提出に必要なだけでなく、その後の多くの手続きでコピーが必要になります。手続き先により求められる書類は異なりますが、コピーを数枚用意しておくと各窓口での手続きがスムーズです。

死亡届の提出(7日以内)

死亡届は、死亡を知った日から7日以内に故人の死亡地・故人の本籍地・届出人の住所地のいずれかの市区町村役所に提出します。

死亡届を出すと同時に「死体埋火葬許可証」が交付されます。火葬を行うために必ず必要な書類です。

実務上は葬儀社が代行してくれることが多いですが、死亡届への記入は届出人である遺族がしなければなりません。

なお、被相続人が海外で亡くなった場合は、その事実を知った日から3か月以内が死亡届提出の期限です。

葬儀・火葬の手配

死亡届の提出と並行して、葬儀社への連絡・葬儀の手配を進めます。費用や規模について事前に決められていない場合は、複数の葬儀社に見積もりを取ることをおすすめします。

遺言書の有無の確認

葬儀が一段落したら、遺言書が残されていないかを確認しましょう。遺言書の内容によって、その後の相続手続きの進め方が変わります。

  • 自筆証書遺言
    自宅や貸金庫などに保管されていることが多い。発見したら勝手に開封せず、家庭裁判所での検認手続きをすることが必要。
    ※法務局の遺言保管制度を利用している場合は検認不要。
  • 公正証書遺言
    公証役場に原本が保管されている。全国の公証役場で検索可能で、検認は不要。
  • 秘密証書遺言
    自宅や貸金庫などに保管されていることが多い。発見したら勝手に開封せず、家庭裁判所での検認手続きをすることが必要。

遺言の種類や、種類別の対応方法について詳しくは、関連記事『遺言書がある場合の相続税|相続税申告や一人に相続させる場合の注意点も解説』をご覧ください。

役所でやるべき手続き

役所での主な手続きと期限

役所での手続きは、まとめて行えるものもあります。何度も役所に行かなくて良いよう、確認したうえで手続きに向かうことがおすすめです。

世帯主変更届の提出(14日以内)

被相続人が世帯主だった場合は、世帯主変更届の提出が必要になることがあります。

提出期限は死亡日から14日以内で、市区町村役所の住民登録窓口で手続きを行います。本人確認書類などが必要です。

ただし、残された世帯員が1人だけの場合や、次の世帯主が明らかな場合などは、手続きが不要なケースもあります。

国民健康保険や後期高齢者医療制度の資格喪失届(14日以内)

被相続人が国民健康保険や後期高齢者医療制度に加入していた場合は、資格喪失届を提出し、保険証を返却する必要があります。

期限は死亡日から14日以内で、市区町村役所で手続きを行います。一般的には、死亡診断書のコピーや保険証などが必要です。

ただし、自治体によっては死亡届を出していれば、資格喪失届の提出は不要な場合もあります。

なお、国民健康保険や後期高齢者医療制度では、葬祭を行った人に対して「葬祭費」が支給される場合があります。

被相続人が会社の健康保険に入っている場合は、勤務先からの手続きが必要です。被相続人の勤務先に速やかに連絡しましょう。

会社の健康保険からは、埋葬料が支給されます。

介護保険被保険者の資格喪失手続き(14日以内)

被相続人が介護保険の被保険者だった場合は、死亡後14日以内に資格喪失手続きと保険証の返還が必要です。

被相続人の住所地を管轄する市区町村役所にて、介護保険資格喪失届を提出しましょう。

介護サービスを受けていた場合はケアマネージャーにも連絡し、契約解除や利用料の清算手続きもしておきましょう。

年金の受給停止手続き(国民年金:14日以内/厚生年金:10日以内)

被相続人が国民年金や厚生年金を受給していた場合は、日本年金機構にマイナンバーが収録されているなら原則として手続き不要です。

そうでない場合は、年金事務所や年金相談センターで国民年金なら14日以内、厚生年金なら10日以内に受給停止の手続きが必要です。

手続きで必要になるのは、被相続人の年金証書、被相続人の戸籍抄本または住民票の除票(死亡の事実が確認できるもの)、死亡診断書のコピーまたは死亡届の記載事項証明書です。

年金の受給停止手続きを速やかに行わないと、不正受給とみなされて返還を求められる場合があります。

年金については、以下の点もポイントです。

  • 配偶者や子どもがいる場合は「遺族年金」を受け取れる可能性がある
  • 被相続人が死亡した時点で未支給年金がある場合、手続きをすることで支払いを受けられる
    ※未支給年金は相続財産ではなく、受け取った遺族の一時所得として所得税の対象になる

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住民票の抹消は自動的に行われる

住民票の抹消は、通常は死亡届の提出に伴って自動的に行われます。

そのため、原則として別途手続きを行う必要はありません。

ただし、相続手続きでは被相続人の除票や戸籍謄本が必要になる場面が多いため、早めに取得しておくとスムーズです。

「おくやみコーナー」で手続きをまとめて行える

近年、多くの自治体で「おくやみコーナー」や「死亡手続き窓口」が設けられており、複数の手続きを一つの窓口でまとめて行えるようになっています。

お住まいの市区町村役所に確認してみましょう。

相続に関わる手続きの優先順位と期限

相続放棄・限定承認(3か月以内)

故人に多額の借金があるなど、相続したくない場合は「相続放棄」や「限定承認」の手続きが必要です。

相続放棄や限定承認をする場合、「自己のために相続の開始があったことを知った日(死亡の事実と自分が相続人であることを知った日)から3か月以内」に家庭裁判所に申述しなければなりません。これを熟慮期間といいます。

家庭裁判所に申立てを行うことで、熟慮期間の延長が認められることもありますが、何も手続きをしないまま期間を過ぎてしまうと、原則として相続を承認したものとみなされるため注意しましょう。

なお、相続放棄はほかの相続人の同意がなくても可能です。しかし、相続放棄によってほかの相続人が負担する相続税などに影響が出ることもあるので、トラブルを防ぐため、事前に相談しておくことがおすすめです。

一方、限定承認は、相続人全員(相続放棄した人を除く)が共同して家庭裁判所に申述しなければならないため、早めに相続人間で相談しておきましょう。

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相続放棄したら相続税は払わなくていい?ほかの相続人への影響も解説

相続人と相続財産の調査

相続放棄するかどうかを判断するためにも、相続人が誰か・相続財産に何があるかを調査する必要があります。

  • 相続人の調査:被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本を取り寄せて確認
  • 相続財産の調査:預貯金通帳・不動産登記簿・証券口座・借入金の有無などを確認

どのような財産が相続税の対象になるのかは、関連記事『相続税の課税対象が一覧でわかる!課税対象外の財産も解説』にて詳しく解説しています。

遺産分割協議

遺言書がない場合、相続人全員で「誰が何を相続するか」を話し合う遺産分割協議を行います。

合意内容は「遺産分割協議書」にまとめ、相続人全員が署名し、通常は実印を押印します。金融機関や法務局の手続きでは印鑑証明書の提出も求められます。

相続人の間でまとまらない場合は、家庭裁判所の遺産分割調停を申し立てることができます。

準確定申告(4か月以内)

故人が亡くなった年の1月1日から死亡日までの所得について、相続人が代わりに確定申告を行う手続きです。

「相続の開始があったことを知った日の翌日から4か月以内」が期限であり、期限を過ぎると延滞税や加算税が発生する可能性があります。

給与所得のみで年末調整が済んでいた方は原則不要ですが、不動産収入や事業収入があった方は必要です。

準確定申告が必要なケースや申告先などについては、関連記事『準確定申告とは?期限・必要な人・相続税との関係をわかりやすく解説』にてご確認ください。

相続税の申告・納税(10か月以内)

相続財産の総額が基礎控除額を超える場合、相続税の申告・納税が必要です。

相続税の基礎控除

3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数

  • 相続放棄した人も、法定相続人の数に含められます
  • 養子がいる場合、実子がいれば1人まで、いなければ2人まで法定相続人の数に含められます

「相続の開始があったことを知った日の翌日から10か月以内」の期限を過ぎると延滞税と加算税(無申告加算税または重加算税)が課されます。

相続税申告は複雑な計算が必要なため、専門家(税理士)への依頼を検討することもひとつの選択肢です。

関連記事

相続税申告のやり方・申告方法を解説|手続きの流れや期限を網羅

不動産の相続登記(3年以内)

不動産の相続登記は、2024年4月1日より義務化されています。

期限は「不動産取得を知った日または遺産分割が成立した日から3年以内」です。

義務化以前に相続している不動産も義務化の対象であり、この場合は2027年3月31日までに相続登記しなければなりません。

正当な理由なく義務に違反した場合は10万円以下の過料の適用対象となってしまうので注意しましょう。

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銀行口座の凍結と払い戻し手続きの進め方

銀行への連絡は必須?優先順位は?

被相続人が死亡した際、被相続人名義の口座がある銀行に届け出や連絡をすることは、法律上の義務ではありません。

しかし、銀行に連絡をせず口座をそのままにしておくと、以下のようなデメリットが生じる可能性があります。

  • 相続人間でのトラブルが生じる可能性がある
  • 相続放棄ができなくなる可能性がある

被相続人が死亡すると、被相続人の口座にある預貯金は相続財産として遺産分割の対象になります。

それにもかかわらず遺産分割前に誰かが勝手にお金を引き出すと、トラブルになる可能性があるでしょう。

また、被相続人の口座からお金を引き出すと、「相続財産の処分」と判断され、相続放棄ができなくなる場合があります。

こうしたリスクを知らない相続人の誰かが、被相続人の医療費や葬式費用の支払いのため、悪気なく口座からお金を引き出してしまう可能性も否定できません。

よって、被相続人が亡くなった場合はできるだけ早く銀行に連絡し、口座を凍結しておく方が安心です。

なお、銀行口座は、銀行が名義人の死亡を知った時点で凍結されます。
相続人から連絡を入れる前に、新聞の訃報欄などで銀行が被相続人の死亡を知れば、その時点で口座が凍結される場合もあります。

口座の凍結に伴いしておくべきこと

口座が凍結されると、払い戻し手続きをするまでお金の引き出しができなくなります。よって、以下の点について確認・対応をすることが必要です。

  • 公共料金・家賃などの自動引き落とし口座の変更
    凍結後は、自動引き落としにしていた家賃や電気代なども引き落とされなくなります。
  • 直近の生活費の確保
    葬儀費用など当面の支出を賄えるかどうか確認しておきましょう。
    ただし、遺産分割前にお金を引き出すことにはすでに解説したようなリスクがあります。
    よって、口座からそのままお金を引き出すのではなく、次に解説する仮払い制度を活用するほうが安心です。

凍結後の払い戻し手続きの流れ

口座が凍結されてしまっても、一定の手続きを踏めば払い戻しを受けることができます。

(1)遺産分割前の仮払い制度

2019年の法改正により、相続人は遺産分割が終わっていなくても、一定額の預金を仮払いとして引き出せるようになりました。

各相続人が金融機関ごとに払い戻しを受けられる上限は、「相続開始時の当該金融機関の預貯金額 × 1/3 × その相続人の法定相続分」です。

ただし、家庭裁判所の判断を経ずに払い戻しを受けられる額には上限があり、1つの金融機関につき150万円までとされています。

(2)口座の名義変更・解約

遺産分割協議が完了した後、口座解約・名義変更を行います。

必要書類は銀行によって異なりますが、一般的に以下が必要です。

  • 被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本一式
  • 相続人全員の戸籍謄本
  • 遺産分割協議書(法定相続以外の場合)または遺言書
  • 相続人全員の印鑑証明書
  • 銀行所定の相続届

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死亡後の手続きに困ったときの相談先

手続きの種類が多く、専門的な判断が必要な場面も出てきます。1人で抱え込まず、適切な専門家に相談しましょう。

困っていること相談先
相続放棄・遺産分割でもめている弁護士
相続税の計算・申告税理士
不動産の名義変更(相続登記)司法書士
相続全般の手続きサポート司法書士・弁護士
年金・社会保険の手続き社会保険労務士・年金事務所

一口に被相続人が亡くなった後の手続きといっても、具体的な内容によって対応できる専門家が異なります。詳しくは関連記事『相続手続きは誰に頼む?専門家の違いと手続き別の依頼先を徹底解説』にてご確認ください。

まとめ|死亡後の手続きは期限と優先順位を意識して進めよう

被相続人が亡くなった後は、死亡届の提出や健康保険・年金の手続き、銀行口座の凍結対応、相続放棄や相続税申告など、短期間で多くの手続きを進めなければなりません。

特に、死亡届は7日以内、相続放棄は3か月以内、準確定申告は4か月以内、相続税申告は10か月以内など、それぞれ期限が決まっています。

期限を過ぎると、過料や延滞税などの不利益が生じる場合もあるため注意が必要です。

まずは死亡直後に必要な手続きから優先順位をつけて進め、必要に応じて税理士や司法書士、弁護士などの専門家にも相談しながら対応していきましょう。

高部孝之税理士

監修者


高部孝之税理士事務所

税理士高部孝之

2019年税理士試験合格 2020年税理士登録
都内大手税理士法人にて約13年間勤務。資産税部門の責任者などを経て、2024年に独立し浅草にて資産税を強みとする税理士事務所を開業。
専門用語を用いず、平易な言葉で説明することを大切にしており、お客様が親しみやすく相談しやすい税理士を理想としています。

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