不動産の相続税評価額とは?土地・建物の計算方法をわかりやすく解説

不動産の相続税を計算する際、その不動産をいくらとするかを示したものが「相続税評価額」です。
不動産の相続税評価額は購入した時の価格や相続発生時の市場価格とは異なり、例えば土地であれば路線価方式や倍率方式といった方法で計算します。
相続税評価額を正しく計算しなければ、相続税の計算にも影響が出ます。
そこでこの記事では、土地と建物それぞれの評価方法・計算手順を、具体的な数値例を交えてわかりやすく解説します。
※本記事の情報は2026年時点の税制をもとに作成しています。税法は改正される場合があるため、実際の申告にあたっては税理士などの専門家にご相談ください。
目次
不動産の相続税評価額とは
相続税の計算時に不動産を「いくらとするか」の金額
不動産の相続税評価額とは、相続税を計算する際に、不動産をいくらとするかを示したものです。
不動産に限らず、相続財産の多くはその財産を購入した時の金額や時価から相続税を計算するわけではありません。
一定のルールに沿って「評価額」が算出され、それをもとに相続税を計算します。
不動産の場合、相続税評価額と時価の違いをまとめると次の通りです。
| 相続税評価額 | 時価(実勢価格) | |
|---|---|---|
| 意味 | 税法上のルールで算定した価額 | 市場で実際に取引される価格 |
| 決め方 | 国税庁のルール(路線価など)に基づく | 市場の需給・立地・建物状態などで変動 |
| 目安 | 時価より低くなることが多い | 売却時に成立する実際の価格 |
一般的に、相続税評価額は時価より低くなる傾向があります。
これは、相続税評価額が市場で成立する価格そのものではなく、国税庁が定めた一定の評価方法に基づいて算定されるためです。
ただし、乖離の程度は地域・個別事情によって大きく異なります。
不動産の相続税評価額は土地と建物で別々に計算する
不動産には土地と建物がありますが、不動産評価額はそれぞれ別々に計算します。
そして、両者の相続税評価額を合計したものが、不動産の相続税評価額となるのです。
| 財産の種類 | 評価方法 |
|---|---|
| 土地 | 路線価方式または倍率方式 |
| 建物(家屋) | 固定資産税評価額をそのまま使用 |
※ただし、令和6年1月1日以降に分譲マンションを相続する場合はルールの改正があり、土地・建物それぞれの評価額に『区分所有補正率』を乗じて計算する場合があります。
土地の相続税評価額を路線価方式で求めるか倍率方式で求めるかは、以下の方法で確認できます。
- 「評価倍率表」を確認する
国税庁「路線価図・評価倍率表」から、土地がある市区町村の「評価倍率表(一般の土地等用)」を開きます。 - 「固定資産税評価額に乗ずる倍率」欄を見る
該当する町(丁目)・大字名を探し、倍率欄を確認します。 - 記載内容で判定する
「路線」と書かれている→ 路線価方式(路線価図を確認する)
「1.1」などの数字が書かれている→ 倍率方式(その数字をかけて評価する)
土地の相続税評価額の計算方法(路線価方式)
路線価方式とは
路線価とは、国税庁が毎年公表する、道路(路線)に面した土地1㎡あたりの評価額のことです。
路線価方式では、この路線価に土地の面積をかけて評価額を算出します。
基本の計算式
路線価(円/㎡)× 補正率 × 地積(㎡)= 土地の相続税評価額
例えば、路線価が30万円である土地の補正率が0.8、面積が100㎡の場合には、「30万円×0.8×100=2,400万円」となります。
路線価方式の計算手順
(1)相続対象となる土地を確認する
相続の対象となる土地については、市区町村から毎年5月頃送付されてくる固定資産税の納税通知書から把握できます。
このほかに、土地の所在地である市区町村から「名寄帳」を取り寄せることでも確認可能です。
相続対象となる土地の把握漏れを防ぎたい場合には、専門家である税理士に依頼して、確認作業を行ってもらうことをおすすめします。
(2)路線価を調べる
国税庁の「路線価図・評価倍率表」(路線価図)で、対象土地に接する道路の路線価を確認することが可能です。
路線価図には、道路ごとに数字とアルファベットが記載されており、数字が1㎡あたりの価額(千円単位)を示しています。
例:路線価図に「300C」と記載されている場合 → 300(千円/㎡)= 1㎡あたり300,000円
アルファベットは借地権割合を示しており、人に貸している土地の相続税評価で用います。
(3)地積(土地の面積)を確認する
登記簿謄本(登記事項証明書)または固定資産税の課税明細書で確認できます。
路線価と地積を掛け合わせたものが、路線価方式での相続税評価額です。
なお、補正が必要な場合は(4)で解説するように、補正率も含めた計算をしましょう。
(4)必要な場合は補正率をかける
土地の形状・奥行き・間口の広さなどについて補正率をかけるべき要件に当てはまる場合は、基準の路線価に補正をかけます。
補正率をかける場合の計算
土地の相続税評価額 = 路線価 × 補正率 × 地積
代表的な補正の種類は以下のとおりです。
| 補正・加算の種類 | 内容 |
|---|---|
| 奥行価格補正 | 土地の奥行きが長すぎる・短すぎる場合に補正 |
| 不整形地補正 | 形が正方形・長方形でない場合に評価を下げる補正 |
| 間口狭小補正 | 道路に接する幅(間口)が狭い場合に補正 |
| 側方路線影響加算 | 角地など2方向以上の路線に接する場合に評価を加算 |
補正率を用いるケースや具体的な数値については、関連記事『相続税における路線価の調べ方と計算方法【土地の評価額がわかる】』にて詳しく解説しています。
補正率がかかる土地であるかどうかの確認のためには、土地を実際に見に行く必要性が高く、専門知識がないと厳しいため、専門家である税理士に依頼するとよいでしょう。
土地の相続税評価額の計算方法(倍率方式)
倍率方式とは
固定資産税評価額に、国税庁が定めた評価倍率をかけて相続税評価額を算出する方法です。
基本の計算式
固定資産税評価額 × 評価倍率 = 土地の相続税評価額
例えば、固定資産税評価額が3,000万円で、対象地域の評価倍率が1.1の土地の相続税評価額は、「3,000万円×1.1=3,300万円」となります。
倍率方式の計算手順
(1)固定資産税評価額を確認する
毎年送られてくる固定資産税・都市計画税の課税明細書(または市区町村の固定資産課税台帳)で、固定資産税評価額を確認できます。
(2)評価倍率を調べる
国税庁の「路線価図・評価倍率表」(評価倍率表)で、対象土地の所在地・地目(宅地・田・畑など)に対応する倍率を確認します。
固定資産税評価額に評価倍率をかけたものが、土地の相続税評価額です。
固定資産税の納税通知書を紛失した場合は、市区町村役場(東京都23区は都税事務所)で「固定資産税評価証明書」を取得しましょう。
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建物(家屋)の相続税評価額の計算方法
建物は、一戸建ての自宅などであれば、固定資産税評価額がそのまま相続税評価額になります。
補正や倍率を適用する必要がなく、計算自体はとてもシンプルです。
基本の計算式
固定資産税評価額(建物) = 建物の相続税評価額
※ただし、人に貸している家屋や、分譲マンションの評価などの場合は、権利関係やマンション特有の補正率による調整が必要となります
なお、建物の評価額は経年とともに下がる傾向にあり、固定資産税評価額は原則として3年ごとの評価替え(基準年度)で見直されます。
また、増改築等があると評価額が変わることがあります。
評価額を確認するときは、相続発生時点で適用される最新の固定資産税評価額を使うようにしましょう。
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不動産の相続税評価額に関するよくある疑問
Q. 登記簿上の土地の地積と実際の地積が異なるときはどのように計算しますか?
実際の地積を用いて相続税評価額を算出します。
実際の土地の地積が登記簿上に記載されている地積と異なる場合には、実際の地積で評価を行うとされています。
ただし、相続税や贈与税を申告する際に常に土地の実測を求めて、登記簿上の記載と違うかどうかの確認を求めているわけではありません。
Q. マンションの評価方法は戸建てと異なりますか?
マンション(区分所有建物)の場合、土地部分は「敷地権の共有持分」として評価し、建物部分は固定資産税評価額で評価するため、基本的な考え方は戸建てと同じです。
ただし、2024年1月1日以後に相続または贈与により取得した居住用の区分所有財産(分譲マンション)の相続税評価については、区分所有補正率を用いて相続税評価がなされるようになりました。
一般的に、築年数が新しい、階数が高い、敷地持分が小さいマンションでは、市場価格との乖離が大きい傾向があり、区分所有補正率による調整の影響を受けやすくなります。
これは、戸建て住宅に比べてマンションの相続税評価額が市場価格と大きく乖離していたことへの対応です。
詳しくは関連記事『マンションの相続税はいくら?評価額の計算方法と新ルールを解説』の中で解説しています。
Q. 人に貸している土地や建物でも、相続税評価額の計算は同じですか?
人に貸している土地や建物の相続税評価額は、そうでない土地や建物よりも低くなります。
これは、自用の土地や建物の相続税評価額から、一定の割合を引く計算がなされるためです。
人に貸している土地や建物の相続税評価額の計算式は、以下の通りです。
- 貸宅地の相続税評価額*
=自用地の評価額×(1-借地権割合) - 貸家建付地の相続税評価額
=自用地の評価額×(1-借地権割合×借家権割合×賃貸割合) - 有償で貸している一軒家の相続税評価額
=固定資産税評価額×(1-借家権割合) - 賃貸アパート・マンションの相続税評価額
=固定資産税評価額×(1-借家権割合×賃貸割合)
*借地権の種類(普通借地権・定期借地権等)によっては評価方法が異なる場合もある
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Q. 土地の相続税評価額を減額する特例はありますか?
小規模宅地等の特例を利用することで、土地の相続税評価額を大きく減額できる可能性があります。
小規模宅地等の特例とは、土地を相続したときに一定の要件を満たしている場合、その土地の評価額を減額できる制度です。
例えば、相続した土地が特定居住用宅地等に該当する場合には330㎡を限度として土地の相続税評価額を80%減額できます。
特例の対象となる土地の種類と、土地ごとの小規模宅地等の特例の限度面積・減額割合は以下のとおりです。
- 特定居住用宅地等:被相続人(または生計を一にする親族)の自宅などとして使用
- 特定事業用宅地等:被相続人が個人事業で使用
- 特定同族会社事業用宅地等:被相続人の会社(同族会社)として使用
- 貸付事業用宅地等:被相続人が貸地や貸家など貸し付け用として使用
| 土地の種類 | 限度面積 | 減額割合 |
|---|---|---|
| 特定居住用宅地等 | 330㎡ | 80% |
| 特定事業用宅地等 | 400㎡ | 80% |
| 特定同族会社事業用宅地等 | 400㎡ | 80% |
| 貸付事業用宅地等 | 200㎡ | 50% |
なお、小規模宅地等の特例は、適用を受けることで相続税額がゼロになる場合であっても、相続税の申告書を提出することが適用の条件となります。
特例を利用するための要件は複雑なことも多いので、専門家である税理士に確認を取りましょう。
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不動産の相続税評価額の計算は税理士に相談を
不動産の相続税評価額を計算する際には、専門家である税理士に相談することをおすすめします。
不動産の相続税評価額は、相続税を計算する際の基準となる重要な金額です。
特に土地は、路線価や倍率だけでなく、奥行き・形状・間口などによる補正が必要になるケースもあり、評価額が大きく変わることがあります。
また、マンションや賃貸不動産には特有の評価ルールがあるため注意が必要です。
不動産の相続税評価は計算が複雑になりやすいため、不安がある場合は税理士へ相談しながら進めると安心でしょう。
アトム相続税理士事務所では税理士に無料相談することが可能です。
相談予約は24時間いつでも受け付けているので、適切な相続税の申告を行いたい方はいつでもご連絡ください。

監修者
高部孝之税理士事務所
税理士高部孝之
2019年税理士試験合格 2020年税理士登録
都内大手税理士法人にて約13年間勤務。資産税部門の責任者などを経て、2024年に独立し浅草にて資産税を強みとする税理士事務所を開業。
専門用語を用いず、平易な言葉で説明することを大切にしており、お客様が親しみやすく相談しやすい税理士を理想としています。
保有資格
税理士・FP技能士1級・相続診断士
