相続税における家財一式の評価方法|家庭用財産の一覧表の書き方も解説

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親や配偶者が亡くなった後、自宅に残された家具・家電・衣類などの家財道具を相続税申告でどう扱えばよいか、迷っている方は多いのではないでしょうか。

家財一式は原則として相続財産であり、1個または1組の価格が5万円以下の家財はまとめて一括で評価した価格を、価格が5万円を超えている場合には個別で評価した価格を申告します。

相続発生時点の売却価格や、専門家による鑑定額などが評価額となるでしょう。

この記事では家財一式の相続税評価の基本から、家庭用財産の一覧表の書き方まで、実務的な視点でわかりやすく解説します。

家財一式は相続税の課税対象になるのか

結論からいえば、家財一式は相続税の課税対象となります。

家財一式は「動産」として課税される

相続税法では、被相続人(亡くなった方)が所有していた財産はすべて相続税の課税対象となるのが原則です。

家具・家電・衣類・食器・寝具といった家財道具は、法律上「動産」(土地や建物以外の財産)に分類され、相続財産として申告書に計上する必要があります。

申告実務上、現金・預貯金・株式等とは別の区分となり、家財道具は「第11表の付表4(事業用財産・家庭用財産・その他の財産用)」という専用の書類に記載します。

非課税財産であれば相続税の課税対象ではない

「非課税財産」に該当する財産であれば、相続税の課税対象とはなりません。

非課税財産として扱われるものとしては、以下のようなものがあります。

  • 仏壇・仏具・神棚
    宗教的儀式に使用する物品として非課税(ただし金箔などの装飾が高額な場合は注意)
  • 墓地・墓石
    法律において非課税財産と扱われている

ソファやテレビ、衣類などの一般的な家財はこの非課税財産には該当しないため、注意が必要です。

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家財一式の相続税評価方法

家財一式の評価方法は、『財産評価基本通達129項(一般動産の評価)』が根拠となります。

評価の原則:3つの方法

財産評価基本通達129項(一般動産の評価)では、動産の評価について以下の方法で評価額を決めるとされています。

評価方法内容
売買実例価額相続開始時に近い時点での実際の売買事例から算定した価額
精通者意見価格その財産の専門家(鑑定士など)による評価額
上記2つから困難な場合同種・同規格の新品の課税時期における小売価額から、経過年数等による価値の減少分を差し引いた金額

5万円以下の家財は一括評価

家財については、1個または1組の価格が5万円以下の家財一式を、まとめて一括で評価することができます(財産評価基本通達128項)。

家具・家電・衣類などの一般的な家財は、品目が非常に多岐にわたるため、一点ずつ精密に評価することが現実的ではないことから、高額でない家財は一括評価を行うのです。

家電製品や家具は年を経るほど価値が下がるため、購入からある程度の年数が経過した一般的な家財は、評価額がかなり低くなるケースが多いでしょう。

中古市場価額等を踏まえ、合理的に見積もった金額を計上します。

少額となることも多いですが、合理的根拠なく一律にゼロ円として計上しないよう注意しましょう。

一括評価した家財の評価額の相場

家財道具をまとめて「家財一式」として評価する場合、その評価額は10~50万円で記載することが多いでしょう。

評価額は被相続人の生活環境や、所有していた家財の量・内容・状態によって大きく異なります。

どの程度の金額が妥当といえるのかという点については、専門家である税理士に相談することをおすすめします。

5万円を超える家財は個別の評価

1個または1組の家財の価値が5万円を超える場合には、家財ごとに個別の評価が必要です。

貴金属・美術品・骨董品・高級腕時計などは個別評価となることが多いでしょう。

これらの品目は、中古市場や専門家の鑑定によって相当な価値を算出することとなります。

一般的な家財と一緒に低額で一括評価してしまうと、本来の評価額より大幅に低い金額で申告することになり、過少申告として税務調査の対象となるリスクがあることに注意が必要です。

家財の中で個別評価すべき品目と評価方法

家財の中で価値の高さから個別の評価を行うべき品目と、評価方法について解説します。

家具・家電・衣類

これらは、減価償却により購入から期間が経過すると価値が下がっていくため、5万円以下と評価されることが多いでしょう。

しかし、相続発生直前に購入している高価な家具や家電、高級ブランドの衣類については、個別に評価が必要となる可能性があります。

個別の評価を行う際には、業者の買取価格などを参考にしてください。

自動車

自動車は5万円以上の価値を有することが多いため、相続開始時点における以下のような価格から評価されます。

  • 実際の売却価格
  • 中古車買い取り業者の査定価格(オンライン査定も可) 
  • 車種や走行距離などが類似している売り出し中の中古車価格

上記が不明の場合、その車同等の新品価格から減価償却を行った価格となるでしょう。

評価額が100万円を超える場合は遺産分割協議書への記載を

自動車を相続した場合は名義変更が必要となりますが、自動車の査定額が100万円を超えている場合は、名義変更の資料として遺産分割協議書が必要となります。

そのため、誰が自動車を相続したのかを明記した遺産分割協議書を用意してください。

査定額が100万円以下の場合は、遺産分割協議成立申立書を提出することとなります。

貴金属・宝石

高額となりうる貴金属や宝石については、相続開始時点における、以下の価格などを参考に個別に評価します。

  • 実際の売却価格
  • 質屋や買取業者の査定価格

重量や純度が重要となってくる点に注意してください。

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絵画・骨董品

高額になる得る絵画や骨董品は、相続開始時点の以下の時価で評価してください。

  • 実際の売却価格
  • 買い取り業者の査定価格
  • 美術商などに依頼して得られた鑑定額

鑑定を行う際には、専門家に依頼を行いましょう。

著名作家の作品の鑑定は、複数の専門家に依頼するなど慎重に行うことをおすすめします。

被相続人が販売業者であった場合には、「たな卸商品等の評価」と同様となります。

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電話加入権

電話加入権は、令和3年1月1日以降に発生した相続であれば「家財一式」としてまとめて評価します。

電話加入権は、2020年までは1回線あたり1,500円と評価されていましたが、2021年以降に生じた相続については家財一式に含めて評価してよいこととなったためです。

家庭用財産の一覧表の書き方・記載例

相続税の申告書には、家財の内容を記載する欄があります。

ここでは、その書き方を具体的に解説します。

相続税申告書第11表の付表4に評価額を記載

相続税の申告書「第11表の付表4(事業用財産・家庭用財産・その他の財産用)」では、家庭用財産(動産のうち家財)を記載する欄が設けられています。

記載項目は国税庁の当該年分の様式(種類・細目・所在・数量・価額等)に従って記入してください。以下は記載の基本項目の目安です。

記載項目記載内容の例
財産の種類家庭用財産
細目家庭用財産
利用区分・銘柄等家財一式
所在場所自宅住所
数量空欄
価額○○○,○○○円

価値が5万円を超えるために個別の評価が必要な家財については、種類を「その他の財産」、細目を「その他」として、それぞれの評価額を記載してください。

記載方法については「国税庁のホームページ」が参考になります。

「財産目録」と「家庭用財産の一覧表」の違い

混同しやすい2つの書類の違いを整理しておきます。

財産目録家庭用財産の一覧表
性質相続財産全体をリストアップした一覧表相続税申告書(第11表の付表4)の記載欄
目的遺産分割協議や相続人間の情報共有のために作成税務署へ提出する申告書の一部として作成

財産目録は必ずしも法律で定められた書式があるわけではありませんが、申告書の「家庭用財産」欄は税務申告のための公式書類です。

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家財評価の実務的な進め方

自分で評価する場合のステップ

家財の評価を自分で行う場合は、以下の手順で進めましょう。

STEP1:家財の棚卸し(リストアップ)

自宅内にある家財をすべてリストアップします。部屋ごとに分類すると作業しやすくなります。

STEP2:別途評価が必要な品目を分類する

貴金属・美術品・骨董品などの5万円を超える価値がある可能性を有する品目について、一般家財から切り分けます。

STEP3:一般家財の評価額を算出する

一般家財については、中古市場価額や購入価格・使用年数・状態などを踏まえて合理的に評価額を算出します。

購入時のレシートや家電の保証書などが参考になるでしょう。

STEP4:別途評価品目の評価額を算出する

実際の売却価格や、査定・鑑定の価格などを参考に、5万円を超える価格であるのかや、超える場合の具体的な金額などを算出します。

STEP5:申告書(第11表の付表4)に記載する

算出した評価額を相続税申告書の「家庭用財産」欄に記載します。

税理士に依頼すべきケース

以下のいずれかに当てはまる場合は、税理士への相談をおすすめします。

  • 自宅に高級美術品・骨董品・貴金属が多数ある
  • 相続財産全体の金額が大きく、家財の評価が申告額に影響する可能性がある
  • 相続人が複数おり、家財の分け方について意見が分かれている
  • 自分で評価額を算出する自信がない

税理士は相続税申告書の作成だけでなく、評価方法の選択についてもアドバイスを受けることができます。

家財一式に関するよくある疑問

Q.家財の評価額が少額でも申告は必要ですか?

相続税の申告が必要な場合は、少額であっても家財も計上します。

相続財産に家財が含まれる場合、申告が必要なケースでは評価額が少額であっても申告書には記載が必要です。

ただし、相続財産の合計額が基礎控除額(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を下回る場合は、原則として相続税の申告自体が不要となります。

申告が必要かどうかは、家財を含めた全財産の合計額で判断しましょう。

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Q.家財の評価額の根拠資料は保管しておくべきですか?

保管しておくことをおすすめします。

家財の評価額については、税務署から問い合わせや税務調査が入ることがあります。

その際に、評価額の算出根拠(中古市場価額の参考資料、購入時の価格、使用年数、評価の計算過程など)を示せるよう、関連資料は手元に保管しておきましょう。

特に貴金属・美術品などの別途評価品目については、査定書・鑑定書を取得・保管しておくことが重要です。

Q.仏壇や位牌も家財として申告が必要ですか?

仏壇・位牌は非課税財産のため、申告不要です。

日常礼拝のために使用している仏壇・位牌・神棚・墓地・墓石などは、相続税法上の非課税財産に該当するため、申告の必要はありません。

ただし、投資目的で購入した高額な仏像や美術品としての価値がある工芸品などは課税対象となる場合があります。

Q.家財の申告が漏れた場合にペナルティがありますか?

申告すべき家財について漏れていたまま申告期限が経過した場合は、延滞税や無申告加算税といったペナルティが生じます。
また、期限内に申告したものの漏れていた家財があった場合には、過少申告加算税が課されるでしょう。

ペナルティを避けるためにも、申告すべき家財について漏れがないよう調査を丁寧に行いましょう。

また、申告が漏れていたことに気が付いた時には、速やかに漏れていた旨を伝えて、修正申告を行ってください。

修正申告が遅れるほど、ペナルティが重くなります。

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まとめ|不安な点は税理士に相談を

この記事では、家財一式の相続税における取り扱いについて解説しました。要点を整理します。

  • 家財一式(家具・家電・衣類など)は動産として相続税の課税価格の計算対象となり、申告が必要な場合は申告書に計上する
  • 評価額は財産評価基本通達129項(一般動産の評価)に基づき、売買実例価額や精通者意見価格から判断する
  • 一般的な家財は一括で評価できるが、価格が5万円を超える家財は別途個別評価が必要
  • 申告書(第11表の付表4)の「家庭用財産」欄には、国税庁の様式に従い評価額・所在場所などを記載する
  • 申告が必要な場合、家財が少額でも申告書への記載は原則必要(相続財産全体が基礎控除以下なら申告不要)
  • 高額動産が多い場合や評価に自信がない場合は、税理士への相談を検討する

家財の評価は、一見シンプルに思えますが、高額動産の見落としが税務調査につながるリスクもあります。不安な点がある場合は、早めに専門家へ相談されることをおすすめします。

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高部孝之税理士

監修者


高部孝之税理士事務所

税理士高部孝之

2019年税理士試験合格 2020年税理士登録
都内大手税理士法人にて約13年間勤務。資産税部門の責任者などを経て、2024年に独立し浅草にて資産税を強みとする税理士事務所を開業。
専門用語を用いず、平易な言葉で説明することを大切にしており、お客様が親しみやすく相談しやすい税理士を理想としています。

保有資格

税理士・FP技能士1級・相続診断士

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