相続税の基礎控除の改正はいつから?2026年最新の金額や変更点を解説

相続税の基礎控除は、2013年(平成25年)の税制改正によって引き下げられ、2015年(平成27年)1月1日から現在の「3,000万円+600万円×法定相続人の数」になりました。2026年(令和8年)現在も、この基礎控除額に変更はありません。
基礎控除の引き下げによって相続税の課税対象となる人は増加しており、改正前なら相続税がかからなかったケースでも、現在は課税される可能性があります。
また、2015年から施行された改正では、相続税率の一部が引き上げられる変更もありました。
一方、小規模宅地等の特例や未成年者控除、障害者控除など、相続税の負担を軽減する制度の一部は拡充されています。
この記事では、相続税の基礎控除がいつ・どのように改正されたのか、令和8年現在の基礎控除額やこれまでの改正の変遷とあわせてわかりやすく解説します。
目次
相続税の基礎控除は2015年から改正|現在も変更なし
2015年からの改正で基礎控除額は引き下げられた
相続税の基礎控除とは、遺産の総額から差し引ける相続税の非課税枠です。遺産総額が基礎控除以下であれば相続税はかからず、原則として申告も必要ありません。

基礎控除額は2013年(平成25年)の税制改正により引き下げられることが決まりました。
この改正が施行されたのは2015年(平成27年)1月1日からで、その後は2026年(令和8年)現在も変わっていません。
相続税の基礎控除(2015年~2026年現在)
3,000万円+600万円×法定相続人の数
- 相続放棄した人も、法定相続人の数に含められます
- 法定相続人の数に含められる養子は、原則として、実子がいる場合は1人まで、実子がいない場合は2人までです
改正前の基礎控除は、「5,000万円+(1,000万円×法定相続人の数)」で計算されており、法定相続人の数が同じでも改正前のほうが基礎控除が大きくなっていました。
法定相続人ごとの基礎控除額の変化は、以下の表のとおりです。
| 法定相続人の数 | 改正前 | 改正後 |
|---|---|---|
| 1人 | 6,000万円 | 3,600万円 |
| 2人 | 7,000万円 | 4,200万円 |
| 3人 | 8,000万円 | 4,800万円 |
| 4人 | 9,000万円 | 5,400万円 |
表からわかるとおり、たとえば法定相続人が1人の場合、改正前の基礎控除額は6,000万円でした。しかし、改正後には3,600万円に下がっています。
改正前なら基礎控除以下で相続税が発生しなかったケースでも、改正後には相続税がかかる場合があるということです。
基礎控除額の計算方法については『相続税の基礎控除とは?控除額の計算式と超えた場合の手続き』の記事で詳しく知ることができます。
基礎控除の改正で相続税を支払う人が増えた
基礎控除額が引き下げられた結果、相続税を払う人の数は増えました。

国税庁が毎年発表している「相続税の申告実績の概要」から、相続税の課税割合は、基礎控除改正前の2014年(平成26年)には4.4%にとどまっていました。
しかし、改正後の2015年(平成27年)には8.0%、さらに2024年(令和6年)には10.4%にまで増加しています。
このように、基礎控除の改正後は、相続税の課税対象者が改正前の2倍以上に増加しているのです。
そのため「自分に相続税は関係ない」と思っている方も、本当に相続税がかからないかどうか、一度確認してみることをおすすめします。
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基礎控除が改正された理由とこれまでの変遷
相続税の基礎控除の改正は、平成27年以前にも何度か行われています。相続税の基礎控除額の改正の変遷は、以下の通りです。
- 1975年(昭和50年)~:2,000万円+(400万円×法定相続人の数)
- 1988年(昭和63年)~:4,000万円+(800万円×法定相続人の数)
- 1992年(平成4年)~:4,800万円+(950万円×法定相続人の数)
- 1994年(平成6年)~:5,000万円+(1,000万円×法定相続人の数)
- 2015年(平成27年)~:3,000万円+(600万円×法定相続人の数)
相続税の基礎控除は、物価や地価の上昇などを背景に、昭和から平成にかけて段階的に引き上げられてきました。
特にバブル期には地価が大きく上昇したため、相続税の負担が過度に重くならないよう、基礎控除額も引き上げられています。
しかし、その後は地価が下落した一方で基礎控除額が据え置かれたことなどから、相続税が課税される人の割合は低下していました。
そこで、相続税の再分配機能を回復し、資産を持つ人に適切な税負担を求めることなどを目的として、2015年から基礎控除額が引き下げられました。
その結果、相続税の課税対象となる人の割合は、改正前と比べて大きく上昇しています。
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2015年からの改正で相続税の税率も一部引き上げられた
基礎控除額の引き下げの改正と同時に、各法定相続人の取得財産に対して掛けられる税率も一部引き上げられました。
改正前後の税率は以下の通りです。
| 取得金額 | 改正前 | 改正後 |
|---|---|---|
| 1,000万円以下 | 10% | 10% |
| 1,000万円超~3,000万円 | 15% | 15% |
| 3,000万円超~5,000万円 | 20% | 20% |
| 5,000万円超~1億円 | 30% | 30% |
| 1億円超~2億円 | 40% | 40% |
| 2億円超~3億円 | 40% | 45% |
| 3億円超~6億円 | 50% | 50% |
| 6億円超 | 50% | 55% |
相続税を計算する際は、課税遺産総額を法定相続分に応じて各法定相続人が取得したものとして分け、それぞれの金額に税率を適用します。
そして算出した各人の仮の税額を合計した後、実際に取得した財産の割合に応じて各相続人に按分します。
よって、たとえば課税遺産総額が3億円だからといって、必ずしも税率(改正後)が45%になるというわけではありません。
法定相続人が配偶者と子1人なら、法定相続分と同じように3億円をいったん半分ずつに分けるため、配偶者の分1.5億円に対して40%、子の分1.5億円に対して40%を適用します。
相続税の計算方法について詳しくは、関連記事『相続税の計算方法をわかりやすく解説!概算の早見表や節税できる制度も』をご覧ください。
相続税の負担を軽減する制度は一部拡充された
ここまで相続税の基礎控除の改正について紹介してきました。
「以前よりも控除できる金額が減って、相続人からしたらデメリットばかりじゃないか」と思った方も多いでしょう。
しかし、2015年の基礎控除額の引き下げと同時に、相続税に関するいくつかの特例や控除は相続人にとって有利になるよう改正されました。
以下でひとつずつ紹介していきます。
小規模宅地等の特例
小規模宅地等の特例とは、被相続人の自宅や事業に使用していた土地などについて、一定の要件を満たす場合に相続税評価額を減額できる制度です。
2015年の改正では、特定居住用宅地等に適用できる限度面積が240㎡から330㎡に拡大され、2026年現在も変わっていません。
また、特定居住用宅地等と特定事業用宅地等について、それぞれの限度面積まで完全併用できるようになりました。これにより、特定居住用宅地等は最大330㎡、特定事業用宅地等は最大400㎡、合計最大730㎡まで適用できるようになっています。

なお、小規模宅地等の特例を適用する場合は、相続税が0円になったとしても相続税申告が必要です。また、申告期限までに原則として遺産分割が完了している必要があります。
小規模宅地等の特例の計算方法や、相続税への影響については、関連記事『小規模宅地等の特例とは?要件・計算方法をわかりやすく解説【フローチャート付き】』をお読みください。
未成年者控除
未成年者控除とは、未成年の法定相続人が相続や遺贈により財産を取得した場合に、相続税を一部控除できる制度です。
2015年の改正前は、対象年数に6万円をかけた金額が控除額でしたが、改正後から2026年現在は、対象年数に10万円をかけた金額が控除額になりました。
また、成年年齢の引き下げにより、2022年4月1日以後の相続については、対象期間の計算方法も変わっています。
【未成年者控除】
- 改正前
- (20歳-相続したときの年齢)×6万円
- 改正後・成年年齢引き下げ前
- (20歳-相続したときの年齢)×10万円
- 改正後・成年年齢引き下げ後
- (18歳-相続したときの年齢)×10万円
※相続開始時の年齢は1年未満を切り捨てて満年齢で計算します。なお、控除額計算上の年数に1年未満の端数がある場合は1年として計算します。
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相続税の未成年者控除とは?いくら控除される?計算方法・適用要件を解説
障害者控除
障害者控除とは、相続や遺贈によって財産を取得した障害者について、その障害の重さにより相続税を一部控除できる制度です。平成27年の改正により、控除できる税額が以下のように増加しました。
【障害者控除】
- 改正前
- 一般障害者:(85歳-相続したときの年齢)×6万円
- 特別障害者:(85歳-相続したときの年齢)×12万円
- 改正後
- 一般障害者:(85歳-相続したときの年齢)×10万円
- 特別障害者:(85歳-相続したときの年齢)×20万円
※相続開始時の年齢は1年未満を切り捨てて満年齢で計算します。なお、控除額計算上の年数に1年未満の端数がある場合は1年として計算します。
一般障害者と特別障害者の判定方法など、相続税の障害者控除について詳しくは、関連記事『相続税の障害者控除|等級などの要件や申告義務は?控除しきれない時はどうする?』をお読みください。
まとめ|2026年現在の基礎控除は2015年以降改正なし
相続税の基礎控除は2015(平成27年)1月1日に引き下げられ、2026年(令和8年)現在も「3,000万円+600万円×法定相続人の数」で変更ありません。
改正によって基礎控除額が小さくなったことで、改正前であれば相続税がかからなかった人でも課税対象となる可能性があります。
一方で、同時期には小規模宅地等の特例や未成年者控除、障害者控除など、相続税の負担を軽減する制度も拡充されました。
相続税がかかるかどうかは遺産総額だけでなく、法定相続人の数や利用できる特例・控除などによっても変わります。
相続税がかかりそうな場合や、利用できる特例・控除がわからない場合は、相続税に詳しい税理士へ相談するとよいでしょう。

監修者
高部孝之税理士事務所
税理士高部孝之
2019年税理士試験合格 2020年税理士登録
都内大手税理士法人にて約13年間勤務。資産税部門の責任者などを経て、2024年に独立し浅草にて資産税を強みとする税理士事務所を開業。
専門用語を用いず、平易な言葉で説明することを大切にしており、お客様が親しみやすく相談しやすい税理士を理想としています。
保有資格
税理士・FP技能士1級・相続診断士