プライバシーポリシーのテンプレート(ひな形)と作り方のポイントを弁護士が解説
プライバシーポリシーとは、法令に準拠して事業者が個人情報を取り扱っていることを示すためのツールとして作成し、公開されます。
ユーザーの信用を得たり、個人情報保護法による義務を果たすために便利なツールであるため、事業者としては適切な内容のプライバシーポリシーを作成すべきでしょう。
仮にプライバシーポリシーに誤った内容を記載してしまうと、ユーザーの信用を損なう恐れがありますので、弁護士という法律の専門家の視点を入れておくこともポイントです。
本記事では、プライバシーポリシーの作成において必要な情報やプライバシーポリシーのテンプレート(ひな形)を紹介しています。
目次
プライバシーポリシーとその重要性
プライバシーポリシーとは?
プライバシーポリシーとは、事業者がユーザーの個人情報をどのように取得・利用・保護するかを定めたものです。
プライバシーポリシーを作成することは、法令によって義務付けられてはいません。
しかし、プライバシーポリシーを適切に作成することで個人情報保護法に定められている義務を果たすことができるため、ユーザーからの信用を得るためにもプライバシーポリシーを作成するべきでしょう。
プライバシーポリシーの重要性
プライバシーポリシーは、ユーザーの個人情報の取り扱いに関する事業者の姿勢を示すものです。
プライバシーポリシーが明確に示されていることで、ユーザーは自分の個人情報がどのように取り扱われるのかを把握することができます。
また、ユーザーはプライバシーポリシーを参考にして、事業者のサービスや商品を利用するかを判断することができるでしょう。
そのため、プライバシーポリシーは、ユーザーの信頼を獲得するために重要なものです。
プライバシーポリシーに記載すべき内容とテンプレート
プライバシーポリシーの記載事項
プライバシーポリシーには、以下の内容を記載すべきです。
個人情報の取得方法
個人情報の利用目的
個人情報の第三者提供
個人情報の安全管理措置
個人情報の開示・訂正・利用停止・消去
個人情報の苦情・相談の連絡先
事業者情報(法人名・住所・代表者名)
特に、「個人情報の取得方法」「個人情報の利用目的」「個人情報の開示・訂正・利用停止・消去」「事業者情報」については、明示することで個人情報保護法の義務を果たすこととなるので、必ず記載を行いましょう。
プライバシーポリシーのテンプレート(ひな形)
プライバシーポリシーのテンプレート(ひな形)は以下のようなものとなります。
事業内容や事業形態により、適切な文言に違いが生じる部分がある点に注意しつつ、参考にしてください。
プライバシーポリシー
〇〇(以下、「当社」といいます。)は、本ウェブサイト上で提供するサービスにおける個人情報保護の重要性について認識し、個人情報の保護に関する法律を遵守すると共に、以下のプライバシーポリシー(以下、「本ポリシー」といいます。)を定めます。
第1条(個人情報の定義)
「個人情報」とは、個人情報保護法にいう「個人情報」を指すものとし、生存する個人に関する情報であって、当該情報に含まれる氏名、生年月日、住所、電話番号、連絡先その他の記述等により特定の個人を識別できる情報及び容貌、指紋、声紋にかかるデータ、及び健康保険証の保険者番号などの当該情報単体から特定の個人を識別できる情報(個人識別情報)を指します。
第2条(事業者情報)
法人名:
住所:
代表者:
第3条(個人情報の取得方法)
当社は、お客さまが利用登録をする際に氏名、生年月日、住所、電話番号、メールアドレス、銀行口座番号、クレジットカード番号、運転免許証番号などの個人情報をお尋ねすることがあります。
また、お客さまと提携先などとの間でなされたお客さまの個人情報を含む取引記録や決済に関する情報を、当社の提携先(情報提供元、広告主、広告配信先などを含みます。以下、「提携先」といいます。)などから収集することがあります。
第4条(個人情報の利用目的)
当社が個人情報を利用する目的は、以下のとおりです。
1.当社サービスの提供・運営のため
2.お客さまからのお問い合わせに回答するため(本人確認を行うことを含む)
3.お客さまが利用中のサービスの新機能、更新情報、キャンペーン等及び当社が提供する他サービスの案内のメールを送付するため
4.メンテナンス、重要なお知らせなど必要に応じたご連絡のため
5.利用規約に違反したユーザーや、不正・不当な目的でサービスを利用しようとするユーザーの特定をし、ご利用をお断りするため
6.お客さまにご自身の登録情報の閲覧や変更、削除、ご利用状況の閲覧を行っていただくため
7.有料サービスにおいて、お客さまに利用料金を請求するため
8.上記の利用目的に付随する目的
第5条(利用目的の変更)
個人情報の利用目的は、利用目的が変更前と関連性を有すると合理的に認められる場合に限って、個人情報の利用目的を変更するものとします。
利用目的の変更を行った場合には、変更後の目的について、当社所定の方法により、お客さまに通知し、または本ウェブサイト上に公表するものとします。
第6条(個人データの安全対策について)
当社は、個人情報を保護するため、情報セキュリティに関する規程に基づき、当該個人情報の管理、個人情報の持ち出し方法の指定、第三者からの不正アクセスの防止等の対策を行い、個人情報の漏洩、紛失、改ざん、破壊等の予防を図ります。
第7条(個人データの第三者提供)
1.当社は、次に掲げる場合を除いて、あらかじめお客さまの同意を得ることなく、第三者に個人情報を提供することはありません。ただし、個人情報保護法その他の法令で認められる場合を除きます。
1-1.人の生命、身体または財産の保護のために必要がある場合であって、本人の同意を得ることが困難であるとき
1-2.公衆衛生の向上または児童の健全な育成の推進のために特に必要がある場合であって、本人の同意を得ることが困難であるとき
1-3.国の機関もしくは地方公共団体またはその委託を受けた者が法令の定める事務を遂行することに対して協力する必要がある場合であって、本人の同意を得ることにより当該事務の遂行に支障を及ぼすおそれがあるとき
1-4.あらかじめ次の事項を告知あるいは公表し、かつ当社が個人情報保護委員会に届出をしたとき
・利用目的に第三者への提供を含むこと
・第三者に提供されるデータの項目
・第三者への提供の手段または方法
・本人の求めに応じて個人情報の第三者への提供を停止すること
・本人の求めを受け付ける方法
2.前項の定めにかかわらず、次に掲げる場合には、当該情報の提供先は第三者に該当しないものとします。
2-1.当社が利用目的の達成に必要な範囲内において個人情報の取扱いの全部または一部を委託する場合
2-2.合併その他の事由による事業の承継に伴って個人情報が提供される場合
2-3.個人情報を特定の者との間で共同して利用する場合であって、その旨並びに共同して利用される個人情報の項目、共同して利用する者の範囲、利用する者の利用目的及び当該個人情報の管理について責任を有する者の氏名または名称について、あらかじめ本人に通知し、または本人が容易に知り得る状態に置いた場合
第8条(個人データの手続)
当社は、お客さまが個人情報または第三者提供記録の開示を求める場合、次の場合を除き開示を請求することができます。
1.開示することで本人または第三者の生命、身体、財産その他の権利利益を害するおそれがある場合
2.開示することで当社の業務の適正な実施に著しい支障を及ぼすおそれがある場合
3.開示することが法令に違反することとなる場合
4.開示の請求がご本人からであることが確認できない場合
第9条(個人情報の利用停止等)
当社は、お客さまから個人情報が利用目的の範囲を超えて取り扱われているという理由、または不正の手段により取得されたものであるという理由により、その利用の停止または消去(以下、「利用停止等」といいます。)を求められた場合には、遅滞なく必要な調査を行います。
調査結果に基づき、その請求に応じる必要があると判断した場合には、遅滞なく、当該個人情報の利用停止等を行います。
当社は、利用停止等を行った場合、または利用停止等を行わない旨の決定をしたときは、遅滞なく、これをお客さまに通知します。
利用停止等に多額の費用を有する場合その他利用停止等を行うことが困難な場合であって、お客さまの権利利益を保護するために必要なこれに代わるべき措置をとれる場合は、この代替策を講じるものとします。
第10条(個人情報取扱いに関する相談や苦情の連絡先)
当社の個人情報の取扱いに関するご質問やご不明点、苦情、その他のお問い合わせは、下記の窓口までお願いいたします。
住所:
社名:
担当部署:
Eメールアドレス:
〇〇年〇月〇日改定
プライバシーポリシーの作成時のポイント
プライバシーポリシーは、ユーザーの個人情報の取り扱いについて示したものです。
そのため、ユーザーが簡単に理解できるように、わかりやすい言葉で記載する必要があります。
また、個人情報保護法の義務を果たすために作成している点にも注意が必要でしょう。
具体的には、以下のポイントを押さえるとよいでしょう。
専門用語を避け、わかりやすい言葉で記載する
プライバシーポリシーは、法律用語や専門用語を多用すると、ユーザーが理解しにくくなります。そのため、できるだけわかりやすい言葉で記載するようにしましょう。
文章を簡潔にまとめる
プライバシーポリシーは、長すぎるとユーザーが最後まで読んでくれない可能性があります。そのため、文章を簡潔にまとめるようにしましょう。
法令に違反しないよう、慎重に作成する
プライバシーポリシーは、個人情報の取り扱いについて記載するため、個人情報保護法などの法令に違反しない内容とする必要があります。
そのため、弁護士や行政書士などの専門家に相談するのもよいでしょう。
弁護士にプライバシーポリシー作成を依頼すると安全
これらのポイントを押さえて、テンプレートを参考にしつつ、ユーザーが安心して利用できるプライバシーポリシーを作成しましょう。
プライバシーポリシー作成の際に誤った内容を記載してしまうと、ユーザーからの信用を大きく損なう恐れがあります。
そのため、専門家である弁護士に作成を依頼し、適切な内容のプライバシーポリシーを作成してもらうことがおすすめです。
弁護士に依頼すると作成費用が掛かりますが、ユーザーからの信用確保のための必要な投資とも考えられます。会社の方針やサービスに応じたプライバシーポリシーの作成を検討していきましょう。
なお、プライバシーポリシーとは別にサービスの利用規約を整備することも重要です。利用規約の作り方や弁護士に任せるべき理由は、関連記事『利用規約の作り方とポイントを解説!弁護士に作成を依頼するメリットとは?』で解説しているので参考にしてください。
高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。
保有資格
士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士
学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了