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高校野球の事故についての法的問題|裁判例や使える保険を解説

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高校野球の裁判例や使える保険を解説

部活動として高校野球の練習中に部員が事故により負傷した場合には、誰に、どのような法的責任が生じるのでしょうか。

裁判所の判断をもとに誰に請求が可能となるのかや、利用を検討すべき保険について説明していきます。

高校野球の練習中における怪我に関する法的責任

高校野球の練習中に怪我を負った場合は、「指導教諭や監督」などの指導者に過失が存在するのかという点が問題となります。

指導者に過失がある場合は損害賠償責任が生じる

部活の練習中に生じた怪我については、指導者に過失が認められる場合に損害賠償請求を行うことが可能です。

損害賠償請求の相手は、国公立であるか私立であるかによって異なります。

国公立学校の場合には、公務員である指導者の過失を原因として損害が発生したのであれば、指導者の代わりに国または公共団体が損害賠償の責任を負います。国家賠償法第1条1項

したがって、国公立学校の場合には、公務員である指導者個人への損害賠償請求は認められません。
ただし、公務員である指導者に「故意」・「重大な過失」があった場合には、国や公共団体はその公務員に対して求償することができます。(国家賠償法第1条2項

一方、私立学校の場合は、指導者は公務員ではないため、指導者に対して民法における不法行為責任(民法第709条)や債務不履行責任(民法第415条1項)にもとづいて損害賠償請求が可能です。

また、学校自体に対しても指導者の過失行為を原因とした損害賠償請求を行うことができます。指導者は損害賠償金を支払う十分な資力を有していない可能性が高いため、学校自体に対して請求を行うべきでしょう。

損害賠償請求にもとづいて請求できる内容については『学校事故の損害賠償|請求相手と請求内容は?示談についても解説』の記事をご覧ください。

指導者に認められる過失の内容とは

過失とは、結果の予見可能性があるにも関わらず、その結果を回避するために適切な対応を行わなかったという結果回避義務違反があった場合に認められます。

すなわち、指導者が野球の練習中に事故が発生することを予見可能であった場合に(予見可能性)、その事故を回避するために必要な対策を取らなかった場合(結果回避義務違反)に指導者の過失が認められるのです。

指導者の過失については、以下のような事実から判断を行います。

  • 怪我の恐れがある危険な練習に立ち会っていたのか
  • 怪我を避けるための指導を行っていたうえで練習させていたのか
  • あたりが暗くなっていたり、グラウンドがぬかるんでいたりなど、怪我の恐れがある環境ではなかったのか

過失の有無については判断が難しいことから、専門家である弁護士に相談することをおすすめします。

刑事責任を負う場合もあり

指導教諭や監督などが、野球の指導において過失があったために生徒や部員が怪我を負ったり、死亡したりした場合には業務上必要な注意を怠ったとして「業務上過失致死傷罪」に問われる可能性もあります。(刑法第211条

高校野球の練習中における事故に関する裁判例

高校野球の練習中にはさまざまな負傷事故が発生しており、事故の責任についても裁判で争われたものがあります。そこで、いくつかの裁判例を紹介しましょう。

打撃が投手の頭部を直撃したケース(東京高裁平成6年5月24日)

この裁判例は、県立高校野球部のハーフバッティングの練習中に、打撃投手の頭に打球が当たり半身不随の状態となってしまったケースです。

この事案では、立ち合い指導していた教諭に安全配慮義務に欠ける過失があったと判断されました。

具体的に裁判所に認定された状況としては、雪空のうす暗い薄暮の時間帯に、投手との距離を通常よりも短い12mと短くしたハーフバッティング練習が行われていました。そのような練習の中で、打者からのライナー性の当たりが投手の頭部を直撃し、頭蓋骨陥没の傷害を受け半身不随(後遺障害1級)を負ってしまったのです。

投球距離を他よりも短くしてハーフバッティングをし、暗い曇天(雪空)の薄暮の時間帯になってもやめなかったにもかかわらず、投球距離や打撃の方法等について状況に応じた格別の指導をすることなく練習を継続させた点に安全配慮に欠ける注意義務違反があったと認定されました。

ティーバッティング練習中、自打球により後遺症を負った事案(山口地裁徳山支部平成6年4月28日)

これは、ティーバッティング練習中、他のティーバッティングの打球がスイングしたバットにあたり、自打球が練習中の部員にあたり後遺障害を負った事案です。

この事案では、野球部の監督やコーチらはティーバッティングの手順が従前から定まっており、部員生徒もこれを熟知していたうえ、ティーバッティング自体には危険性がないと考えていました。そして、雨天の場合の練習にもほとんど立ち会わないことが慣行でした。

しかし、裁判所は、硬質の球を扱うスポーツには危険がつきものであるから、これを完全に防止するため、練習環境の隅々にまで注意を行き届かせる視点をもって、練習に立ち会うことが基本的に要請させていたと判示しています。

そして、少し注意していればこぼれ球の危険性に気づくことができ、事故を避けることもできたとして監督・コーチらには「安全な練習環境を保持し、危険の防止を講ずるべき義務」を怠った過失があると判断されました。

他方で、怪我を負った学生についても、注意していれば本件のような事故の発生を予見できたのに、漫然と危険な位置に佇んでいたため事故に遭ったことを認定して2割の過失相殺が認められています。

ノックの打球が捕手を直撃し後遺障害を負った事案(名古屋地裁平成18年11月28日)

これは、県立高校の野球部員が内野・外野に分かれてゴロ捕球の練習を行っていた際、部員が打った外野ノックの球がライナーとなり、内野で捕球練習中であった内野手の右眼に直撃し、視力低下の後遺症を負った事案です。

裁判所は、グラウンド内でのノック練習と捕球練習が同時に行われている状況では、事故の発生は具体的に予見できたと判示しました。

そして、教諭が打者である部員に対して与えるべき注意義務は一般的な注意では足りず、「捕球練習に参加する野球部員の動静に対する安全確認を徹底するよう注意する義務」が課せられていたと判示しています。

高校野球の練習中における怪我に利用できる保険

部活動中の怪我については、「日本スポーツ振興センター」の災害共済給付制度が利用できるか検討しましょう。

災害共済給付制度による給付

日本スポーツ振興センターの災害共済給付は、学校の設置者が保護者等の同意を得て、センターとの間に災害共済給付契約を締結して、保護者と設置者が負担する共済掛金を支払うことによって行われます。

災害共済給付契約の対象となっている学校種は、以下の通りです。

  • 義務教育諸学校
  • 高等学校
  • 高等専門学校
  • 幼稚園
  • 幼保連携型認定こども園
  • 高等専修学校
  • 保育所等

災害共済給付制度による給付対象の範囲

給付の対象となる災害の範囲については以下のように規定されています。

「負傷」については、その原因である事由が学校の管理下で生じたもので、療養に要する費用の額が5,000円以上のものが対象です。

「疾病」については、その原因である事由が学校の管理下で生じたもので、療養に要する費用の額が5,000円以上のもののうち、文部科学省令で定めているものが態様です。部活動にかかわるものについては、「外部衝撃等による疾病」や「負傷による疾病」が該当します。

「障害」については、学校の管理下の負傷又は疾病が治った後に残った後遺症をいい、後遺症の症状が「障害等級表」に該当する症状である場合に対象となります。
障害の内容は、1級から14級に区分されており、等級に応じて給付される金額が異なります。

「学校の管理下」には、授業中や始業前、休憩時間・昼休みのほかに部活動などの課外指導中も含まれています。

災害共済給付制度による給付金の種類

災害共済給付制度では、以下のような給付がなされます。

  • 医療費
    医療費(健康保険法に基づく療養に要した費用)のうち、自己負担分の3割に総医療費の1割分を加えた金額を受給できます。
  • 障害見舞金
    負傷、疾病により身体に障害が残った場合に支給されるものです。第1級4000万円~第14級88万円までの障害の程度に応じて支給されます。

給付金を得るためには、学校の設置者である教育委員会や学校法人が、センター(各地域の給付担当課)に請求する必要があります。
被害者の保護者は、「医療等の状況」といった必要な報告書を学校へ提出し、請求を行ってもらいましょう。

報告書に関しては『日本スポーツ振興センターのホームページ』からダウンロード可能です。

高校野球の練習中に怪我|損害賠償請求は弁護士に相談

高校野球の練習中に怪我をした場合には、損害賠償請求や災害共済給付制度の利用などによって生じた損害に対する補てんを行うことになります。

しかし、誰に損害賠償請求が可能であり、請求のためにどのような証拠が必要となってくるのかという点については法的知識が欠かせません。
また、災害共済給付制度を利用した場合は、災害共済給付制度によってすでに給付を得ている範囲について損害賠償請求は行えず、請求できる具体的な範囲をしっかりと把握する必要があるのです。

弁護士に相談すれば、怪我により生じた損害を補てんするためには、誰にどのような請求を行うのが最も適切なのかについてアドバイスを受けることができます。

また、弁護士は損害賠償請求の手続きを代わりに行えます。
被害者の怪我の治療や心のケアと慣れない手続きを同時に行うことは非常に負担が掛かるため、専門家である弁護士に任せることで負担を軽くしつつ、適切な補てんを受けるようにすべきでしょう。

弁護士への相談で生じるメリットを詳しく知りたい方は『学校事故に遭ったら弁護士に相談しよう|メリットや無料法律相談を紹介』の記事をご覧ください。

まずは、法律相談を活用して、今後行うべきことや弁護士に依頼する必要性などを確認することをおすすめします。

アトム法律事務所では無料の法律相談を行っているので、費用を気にせず弁護士に相談することが可能です。
法律相談の予約受付は24時間体制で行っているので、一度気軽にご相談ください。

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岡野武志

監修者


アトム法律事務所

代表弁護士岡野武志

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高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」「ネット削除依頼」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。

保有資格

士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士

学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了

英語:TOEIC925点