交通事故による腰痛の原因別の治療|後遺症と慰謝料相場も解説

交通事故で腰痛を負った場合、原因として腰椎捻挫や椎間板ヘルニア、腰部脊柱管狭窄症、腰椎圧迫骨折や骨盤骨折などのケガが考えられます。
すぐに手術が必要となる致死的なケガもあれば、安静にしていれば自然に治癒するケガもあるので、症状や損傷部位に応じて適切な治療を受けることが大切です。
治療を受けても腰痛が後遺症として残った場合、後遺障害12級13号または14級9号に認定される可能性があります。
交通事故での腰痛の後遺障害慰謝料の相場は、110万円〜290万円と高額なため、適切な手続きを行い、後遺障害の認定を受けましょう。
今回は、交通事故による腰痛の原因や原因別の治療方法、後遺障害の認定基準、慰謝料算定の基準や請求できる示談金の内訳などについて詳しく解説します。
目次
交通事故による腰痛の原因と原因別の治療
交通事故によって腰痛を負った場合、様々な原因が考えられます。
具体的には、腰椎捻挫や椎間板ヘルニア、腰部脊柱管狭窄症などの背骨にあたる脊椎の損傷、さらに圧迫骨折や破裂骨折などの腰椎・骨盤の骨折などが考えられるでしょう。
それぞれの原因、症状、治療方法などについて紹介します。
交通事故による腰痛の原因(1)腰椎捻挫
腰椎捻挫の症状
交通事故による腰痛の原因のひとつとして、腰椎(ようつい)捻挫が考えられます。
腰椎捻挫とは、腰の骨である腰椎やその周辺の筋肉や神経などを損傷する症状です。
事故の際に過伸展(関節が過剰に反る)や過屈曲(関節が過剰に曲がる)したことが原因となって生ずる症状であり、いわゆる、むちうちと呼ばれる症状でもあります。

腰椎捻挫によって、腰痛だけでなく神経損傷に伴う手足の麻痺などの症状が生じることがあります。
腰椎捻挫の治療
腰椎捻挫の治療は薬物療法を中心とした保存的療法です。
手術は行わず、コルセットや消炎鎮痛剤、温湿布などで損傷部位を固定、痛みを和らげます。
また、安静にしすぎるとかえって治りが悪くなるため、痛みが収まってきたら徐々に普段通りの日常生活をつづけることを心掛けましょう。
交通事故による腰痛の原因(2)椎間板ヘルニア
椎間板ヘルニアの症状
交通事故による腰痛の原因として、椎間板ヘルニアも考えられます。
背骨である脊椎は、24つの椎骨と呼ばれる骨が連なって構成されており、椎間板は、椎骨同士の間にある軟骨であり、下の図でいうとピンクの箇所にあたるのです。

椎間板の背後の脊柱管には中枢神経系である脊髄が通っています。
椎間板ヘルニアは、事故の衝撃によって、この椎間板が後方に飛び出して後ろの神経を圧迫する症状です。

椎間板ヘルニアに伴い、後ろの神経が圧迫されることで腰痛やしびれ、感覚の喪失などの症状が生じることが考えられます。
交通事故の場合、腰椎捻挫で腰椎を損傷した際に椎間板ヘルニアを併発するおそれがあるのです。
椎間板ヘルニアの治療
椎間板ヘルニアの治療としては、保存的療法のほか手術も行われることがあります。
保存療法としては、安静にすることのほか、薬物療法が行われます。
場合によっては、神経ブロック注射と呼ばれる、損傷部位の神経に麻酔薬を打って痛みを軽減させる治療が行われることがあるでしょう。
椎間板ヘルニアの場合、保存的療法だけでも症状が軽減していくケースが多いです。
手術療法では、背中側から神経を圧迫している椎間板ヘルニアを摘出して腰痛を軽減させます。
交通事故による腰痛の原因(3)腰部脊柱管狭窄症
腰部脊柱管狭窄症の症状
交通事故での腰痛の原因として、腰部脊柱管狭窄症も考えられます。
腰部脊柱管狭窄症(ようぶせきちゅうかんきょうさくしょう)は、脊柱管の狭小化により、脊髄や坐骨神経根が圧迫される症状です。
脊柱管は、背骨である脊椎を通っており、中枢神経系である脊髄が通っています。
交通事故では、脊椎骨折や椎間板ヘルニアによって脊柱管が狭くなり、脊柱管を通る神経が圧迫されることで腰痛が生じることがあるのです。
腰部脊柱管狭窄症の具体的な症状として、歩行や荷重により負荷が加わった際の腰痛、神経圧迫による下肢の痛みやしびれが生じることがあります。
腰部脊柱管狭窄症の治療
腰部脊柱管狭窄症の治療として、生活習慣の改善や薬物療法などの保存的療法のほか、手術も検討されます。
手術では、骨や靭帯を削って脊柱管を広げて神経の圧迫を除圧させます。
交通事故による腰痛の原因(4)腰椎圧迫骨折

交通事故による腰痛の原因として、腰椎圧迫骨折も考えられます。
腰椎圧迫骨折とは、腰の骨にあたる腰椎が押しつぶされるような形で変形した骨折です。
脊椎圧迫骨折の症状として、痛みや腫れ、変形が生じます。
この他に、腰椎圧迫骨折に伴って脊髄損傷も生じることもあり、腰痛だけでなく四肢体幹の痛みやしびれなどの感覚障害、動かしづらさといった運動障害も生じることもあるでしょう。
また、交通事故では破裂骨折を負うこともあります。

圧迫骨折と違い、破裂骨折は、背骨の椎体が前後から押しつぶされてることで、背骨の中の神経まで損傷する骨折をいいます。
神経と接する部分も損傷していることから、痛みや麻痺、しびれなどの神経症状がみられることがあるのが特徴です。
腰椎圧迫骨折の治療
腰椎圧迫骨折の治療は、腰部をギプスやコルセットを固定して痛みを和らげるという保存療法を行うことが一般的です。
保存療法で痛みが緩和されなかったり、脊椎に変形が見られる場合などには、手術療法を行うことがあります。
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交通事故による腰痛の原因(5)腰椎横突起骨折
腰椎横突起骨折の症状
交通事故による腰痛の原因として、腰椎横突起骨折も考えられます。
腰椎横突起(ようついおうとっき)骨折とは、腰に強い衝撃を受けて腰椎横突起を骨折するケガのことです。

腰椎横突起とは、腰椎の横に連なる小さな突起のことを指します。
腰椎横突起骨折の主な症状は腰痛、具体的には損傷部位付近を押したり腰を動かすときに痛みを感じるといった症状がみられます。
腰椎横突起骨折の治療
腰椎横突起骨折の治療は、保存的療法、具体的には安静にしたり、コルセット固定、理学療法などが行われます。
コルセットでの固定に加えて、痛みを軽くするために低周波の治療や湿布をすることもあります。
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交通事故による腰痛の原因(6)骨盤骨折
骨盤骨折の症状

交通事故での腰痛の原因として、骨盤骨折も考えられます。
骨盤骨折は、骨折部位によって仙骨骨折、恥骨骨折、尾てい骨骨折、寛骨臼骨折などに分類されます。
骨盤の上方後部に位置する三角形の骨である仙骨や骨盤で左右一対となっている恥骨や腸骨などを含む不安定型骨盤骨折の場合、骨盤周囲の血管損傷や骨髄出血により出血性ショックが生じることがあり、注意が必要です。
また、比較的軽度なケガである尾てい骨骨折でも椅子に座った際に痛みを感じるなど日常生活に支障をきたす症状が生じます。
骨盤骨折の症状として、痛みや骨盤の変形、変形に伴って運動や歩行困難になることが考えられます。
骨盤骨折の治療
骨折部位や骨折の程度に応じた形で、骨盤骨折の治療を行います。
具体的には、骨盤の輪状構造が崩れて大量出血を伴う不安定型骨折の場合、止血や骨盤輪の整復固定など早急に適切な治療、手術を受けることが必要です。
一方で、尾てい骨骨折では手術は行われず、主に経過観察、安静にして骨が癒合するのを待つことになります。
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交通事故で腰痛を負ったらまず何をやるべき?
腰痛を負うような交通事故に遭った際、保険会社への連絡や病院の受診を怠ってしまうと、本来は請求できたはずの治療費や慰謝料が請求できないといった事態に陥る可能性があります。
治療終了まで被害者としてするべきことを把握しておけば、後の慰謝料請求や後遺症が残った場合の手続きの際にもめることが少なるでしょう。
交通事故発生後、すぐに警察や保険会社へ連絡する!
交通事故発生直後は、まずは交通事故があったことを警察に連絡し、加害者の氏名や住所、連絡先、車のナンバーなどを確認し、必ず自分と相手の任意保険会社にも報告してください。
ここで「時間がないから」あるいは「大したケガじゃないから」と、警察や保険会社を通さず加害者とその場で示談して終わらせたり、物損事故として届けてはいけません。
交通事故により生じた腰痛に関する治療費や慰謝料を請求できなかったり、物損事故で届けてしまったばかりに実況見分がされず不利な割合で過失が認定されることもあります。
交通事故発生後、すぐに病院を受診する!
交通事故発生後は、事故当日中、遅くとも2〜3日以内に整形外科のある病院を必ず受診してください。
事故当時は大した痛みがなくとも後に後遺症が残るほどのケガとなってしまうことも考えられるため、後遺症を残さないためにも適切な受診は必要不可欠です。
また、後に症状が出てから受診した場合、「そもそも交通事故とは関係のない症状ではないのか」「すぐに病院に行かなかったから後遺症が出たのではないか」と相手側から主張されて慰謝料請求できないことも考えられます。
相場の慰謝料を受け取るためにも、何よりも自分の身体のためにも、すぐに病院を受診するようにしてください。
病院を受診した際は、医師から診断書をもらい、交通事故により腰痛が生じていることを明らかにしてもらいましょう。
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適切な頻度で継続的に通院をする!
病院を受診したら、医師の指示に従って適切な頻度で、かつ継続的に入院・通院をしましょう。
適切な金額を請求するためには、一定期間にわたって通院を継続する必要があります。
自分の判断だけで勝手に通院をやめたり、整骨院にしか行かないことのないように、医師と十分話し合いながら通院を続けてください。
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交通事故による腰痛で後遺症が残った場合にすべきこと
交通事故による腰痛に関して後遺障害等級認定を受ける
交通事故による腰痛の後遺症として神経症状が残ったとして、後遺障害等級が認定されれば後遺障害慰謝料を請求することができます。
腰痛によって認定される後遺障害等級は、12級13号または14級9号です。
後遺障害等級に認定されるには、後遺障害申請を行い、基準を満たすと審査機関に認められる必要があります。
後遺障害認定の手続きの流れ

- 入通院治療後、医師から症状固定と診断される
- 医師に依頼して後遺障害診断書を作成してもらう
- 保険会社を通じて、審査機関に申請書類を提出する
- 審査機関で審査が行われ、保険会社を通じて結果が通知される
治療を終えても腰痛、しびれによる身体の動かしづらさなどが残った場合には、後遺障害申請を検討しましょう。
弁護士であれば、各等級の認定基準を熟知しているため、後遺障害申請手続きだけでなく認定に向けた対策や必要書類の収集も進めてくれます。

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交通事故による腰痛の後遺障害認定基準
神経症状とは、痛みやしびれが残っている状態であり、腰痛そのものといえます。
交通事故での腰痛の後遺症として神経症状が残った場合、後遺障害12級13号または14級9号に認定される可能性があるでしょう。
等級 | 認定基準 |
---|---|
12級13号 | 局部に頑固な神経症状を残すもの |
14級9号 | 局部に神経症状を残すもの |
12級13号と14級9号の違いは、「頑固な」神経症状が残っているか、具体的には後遺症の存在が医学的に証明できるかどうかという点です。
CTやMRIなどの画像診断で後遺症の存在が医学的に証明されれば、12級13号に認定されます。
画像診断で後遺症の存在は証明できないものの、受傷の状況、症状、治療の経過、各種神経学的検査の結果などから、後遺症が発生していると説明できれば、14級9号に認定されるでしょう。
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交通事故による腰痛の後遺障害慰謝料
神経症状による後遺障害が認定された場合の後遺障害慰謝料の相場は、110万円〜290万円です。
後遺障害認定を受けることで、認定された等級に応じた後遺障害慰謝料を請求できるため、慰謝料を増額できます。
しかし、相手側の保険会社から提示される支払い予定の慰謝料額は、各等級の後遺障害慰謝料の相場を下回る傾向にあります。
何故ならば、保険会社は弁護士や裁判所が用いる裁判基準と呼ばれる算定基準とは異なる基準で、後遺障害慰謝料を算定しているからです。
慰謝料算定の3基準
- 自賠責基準
加害者側の自賠責保険から支払われる慰謝料の算定基準。自賠責保険会社は最低限の補償をするので、最低限の金額となる。 - 任意保険基準
加害者側の任意保険会社が用いる慰謝料の算定基準。自賠責基準に少し上乗せした程度であることが多い。 - 弁護士基準(裁判基準)
弁護士や裁判所が用いる慰謝料の算定基準。過去の判例にもとづいた法的正当性の高い基準。

相手側の保険会社が算定に用いる任意保険基準では、最低額である自賠責基準を少し上回る程度の金額しか支払われません。
相場の金額を受け取りたい場合、提示額から増額するよう保険会社と交渉をする必要があります。
しかし、日々、多くの交通事故の案件を扱っている保険会社を相手に、後遺症に悩みながらひとりで交渉を続けて増額を認めさせることは容易ではありません。
弁護士に依頼をすれば、後遺障害申請だけでなく認定後の増額交渉も任せることができます。
ご自身は治療や職場復帰に専念しながら専門家に交渉を一任させることで、慰謝料増額の可能性を高めることができるので、ぜひ一度ご検討してみてください。

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交通事故で腰痛が悪化した場合も後遺障害認定を受けられる?
交通事故によって腰痛が悪化した場合でも、後遺障害等級が認定され、慰謝料を受け取れる可能性があります。
ただし、認定を受けるためには、以下のように、事故前の状態との違いを明確に証明することが重要です。
- 事故前から腰痛があったが、症状が明らかに悪化したことを示す
- 椎間板ヘルニアなどの持病があった場合、事故による影響で症状が大幅に悪化したことを証明する
- 症状悪化の証明については医師による診断書やMRIなどの画像検査結果を提出する
事故前から腰痛があった場合、「事故とは関係なく症状が進行したのではないか」と判断されることもあります。
そのため、交通事故によって悪化したことを医学的に証明することが鍵となるでしょう。
「事故前と比較してどのように症状が変化したのか」「どの程度の制限が生じているのか」などを詳細に証明するため、弁護士に相談し、適切な証拠を揃えることをおすすめします。
交通事故による腰痛の後遺症で請求できる示談金
交通事故による腰痛の入通院慰謝料|相場額がわかる
交通事故による腰痛を治療した場合、入通院の期間に応じて入通院慰謝料を請求できます。
入通院慰謝料とは、入院・通院を余儀なくされるほどの交通事故によるケガで受けた精神的苦痛に対する賠償金です。
入通院慰謝料は、症状の程度に応じて2つの算定表を使い分けて算定されます。


腰痛の場合、捻挫やむちうち、骨折など様々なケガが原因で生じる症状であるため、症状の原因や程度に応じてどちらの算定表を用いるべきか、という点にも影響します。
入院期間・通院期間によって慰謝料額も異なるため、一度弁護士に相談して目安となる慰謝料相場を確認してみるといいでしょう。
交通事故による腰痛で請求できる示談金の内訳
交通事故で腰痛を負った場合、慰謝料以外にも示談金として請求できる損害はあります。
交通事故の示談金の内訳は、以下のような費用や損害となります。
- 治療費:治療のために必要となった投薬代・手術代・入院費用など
- 休業損害:治療のために仕事を休んだことで生じる減収に対する補償
- その他:治療のために必要であった交通費、付添費用など
- 逸失利益:後遺障害により減収することとなる将来の収入に対する補償
- 物的損害:自動車や自転車の修理代、代車費用など

交通事故による腰痛で後遺症が残ったら弁護士に相談!
交通事故による腰痛の後遺症に関して弁護士に相談・依頼するメリット
交通事故による腰痛に関してお悩みの場合は、弁護士に相談してみましょう。
弁護士に相談・依頼することで、以下のようなメリットがあります。
- 加害者側の保険会社との連絡を一任できるので、治療や職場復帰に専念できる
- 後遺障害等級の認定に向けて必要な資料の収集や申請手続き、十分な対策を立ててもらえる
- 法的な根拠に基づく説得力のある主張ができるので、慰謝料・示談金の交渉を有利に進めてもらえる
アトムなら無料の法律相談が可能
アトム法律事務所では、交通事故の被害者の方向けに電話・LINEでの無料相談を受け付けております。
交通事故案件の経験豊富な弁護士に、無料で相談することが可能です。
事前に正式に依頼された際の弁護士費用のご確認もできるため、メリット・デメリットも比較しながら依頼すべきか、十分にご検討いただけます。

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高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。
保有資格
士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士
学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了