仙骨骨折と後遺症:症状、治療法、慰謝料請求の完全ガイド
仙骨骨折は骨盤の上方後部にある三角形の骨である仙骨が折れる重篤な怪我です。
激しい痛みや変形を伴い、内臓損傷や大量出血のリスクもあります。治療には止血処置や骨折の固定が必要で、早急な対応が求められます。
後遺症として神経症状、変形障害、運動障害が残る可能性があり、これらは後遺障害認定の対象となります。
認定を受けることで後遺障害慰謝料の請求が可能となり、慰謝料額は症状により110万円から830万円程度です。
今回は、仙骨骨折の症状、治療、後遺症、後遺障害認定基準、慰謝料相場、請求可能な費用、そして弁護士相談のメリットと費用について説明します。
目次
仙骨骨折の症状・治療
仙骨骨折とは?
仙骨骨折とは、骨盤のひとつである仙骨が骨折した状態のことです。
仙骨は、骨盤の上方後部に位置する三角形の骨で、腰の骨である腰椎と接続している骨でもあります。
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仙骨骨折の症状
仙骨骨折の症状として、痛みや変形が生じることがあります。仙骨骨折は特に激痛を伴うことが多いケガです。
また、仙骨、骨盤自体が排泄器官や生殖器官を守るような構造になっているため、仙骨骨折に際して出血多量、内臓損傷を引き起こすおそれがあります。
不安定型骨盤骨折(骨盤後方部を含めた2か所以上に骨折がみられ、輪状構造が破綻した状態)では、骨盤周囲の血管損傷や骨髄出血により出血性ショックをきたし、致死的になることもあります。
仙骨骨折の治療
大量の出血を伴っている場合には、経カテーテル的動脈塞栓術、後腹膜パッキング、経皮的大動脈遮断などにより止血をはかることになります。
骨折の治療については、簡易固定法のほか腸骨翼や下前腸骨棘にピンを挿入し、体外でフレームを組んで骨盤輪を整復固定する方法もあります。
不安定型骨盤骨折は致死率も比較的高いことから、受傷した際は早急に治療を受ける必要があります。
仙骨骨折の後遺症|後遺障害認定基準
仙骨骨折の後遺症とは?
仙骨骨折の後遺症として、神経症状や変形障害、運動障害が残る可能性があります。
後遺症が生じた際は、後遺障害認定を受けることで後遺障害慰謝料を請求でき、慰謝料や示談金を増額させることができます。
後遺障害認定を受けるためには認定基準をクリアし、審査を通過する必要があるため、認定基準について十分理解したうえで申請に必要な書類を集めなければなりません。
仙骨骨折の後遺症(1)神経症状
神経症状とは、ケガによって痛みやしびれが残った状態のことです。
仙骨骨折の場合、骨だけでなく仙骨周辺の神経も損傷してしまい、激しい痛みといった神経症状が生じることが考えられます。
仙骨骨折の後遺症として神経症状が残った場合、後遺障害12級13号、14級9号に認定される可能性があります。
仙骨骨折による神経症状の後遺障害慰謝料は、110万円〜290万円です。
神経症状の後遺障害認定基準
等級 | 認定基準 慰謝料額 |
---|---|
12級13号 | 局部に頑固な神経症状を残すもの 290万円 |
14級9号 | 局部に神経症状を残すもの 110万円 |
後遺障害12級13号と14級9号の違いは、神経症状が他覚的所見で明らかか、具体的にはレントゲン、CT、MRIなどの画像所見で障害の存在を証明できるかという点です。
12級13号の認定基準にあてはまらないとしても、神経学的検査の結果から後遺症が残っていると推定できる場合は14級9号に認定される可能性があります。
仙骨骨折の後遺症(2)変形障害
変形障害とは、仙骨が折れたあと、正しい位置に治癒しなかった状態を指します。
仙骨骨折の後遺症として変形障害を負った場合、後遺障害12級5号に認定される可能性があります。
仙骨骨折による変形障害の後遺障害慰謝料は、290万円です。
変形障害の後遺障害認定基準
等級 | 認定基準 慰謝料額 |
---|---|
12級5号 | 骨盤骨に著しい変形が残った 290万円 |
「骨盤骨に著しい変形が残った」とは、裸体になったときに明らかに分かる程度の骨盤骨の変形が残った場合を指します。
裸体になった時に目でみて明らかにわかる程度の変形であり、レントゲン写真で変形が確認できる程度のものでは「骨盤骨に著しい変形が残った」とはいえず、認定基準を満たしません。
仙骨骨折の後遺症(3)運動障害
運動障害とは、仙骨骨折により股関節が事故以前よりも動かせなくなり、歩行や運動が困難な状態を指します。
仙骨骨折の後遺症として運動障害が残った場合、後遺障害8級7号、10級11号、12級7号に認定される可能性があります。
仙骨骨折による運動障害の後遺障害慰謝料は、290万円〜830万円です。
等級 | 認定基準 慰謝料額 |
---|---|
8級7号 | 一下肢の三大関節中の一関節の用を廃したもの 830万円 |
10級11号 | 一下肢の三大関節中の一関節の機能に著しい障害を残すもの 550万円 |
12級7号 | 一下肢の三大関節中の一関節の機能に障害を残すもの 290万円 |
特に人工関節や人工骨頭を入れた場合には、後遺障害8級7号、10級11号の認定を受ける可能性があります。
後遺障害8級7号の認定基準
後遺障害8級7号の「一下肢の三大関節中の一関節の用を廃したもの」とは、以下のような場合を指します。
下肢における3大関節は股関節・膝・足首であり、今回のような仙骨骨折のケースでは股関節の可動域が問題となります。
- 関節が強直(癒着して動かなくなること)した
- 関節が完全弛緩性麻痺になるか、それに近い状態になった
- 人工関節や人工骨頭に置き換えた関節の可動域が通常の半分以下になった
後遺障害10級11号の認定基準
後遺障害10級11号の「一下肢の三大関節中の一関節の機能に著しい障害を残すもの」とは、以下のような場合を指します。
- 関節の可動域が、健康な関節の動きの半分に制限されている
- 人工関節・人工骨頭に置き換えた関節の可動域が、健康な関節の動きの半分を超える
後遺障害12級7号の認定基準
後遺障害12級7号の認定基準の「一下肢の三大関節中の一関節の機能に障害を残すもの」とは、具体的には股関節、膝関節、足首の関節のうち1つの可動域が、健康な方と比べて4分の3以下になった場合を指します。
仙骨骨折の後遺症と慰謝料相場
仙骨骨折の後遺症が残った場合、慰謝料の相場は110万円〜830万円です。
各等級の認定基準で示した金額は、後遺障害慰謝料と呼ばれる慰謝料です。
後遺障害慰謝料とは、交通事故によって後遺症を負ったことへの精神的苦痛に対する賠償金です。
後遺障害慰謝料の相場金額は、あくまで弁護士や裁判所が用いる弁護士基準に基づいて算定した金額であり、実際に保険会社から提示される金額とは異なります。
治療期間が終わった段階で、任意保険会社はそれぞれ任意保険基準と呼ばれる各保険会社独自の基準に基づいて算定した金額の支払いを提示してきます。
しかし、ここで提示される慰謝料額は本来、被害者が受け取れる適正な金額よりも低い傾向にあります。
相場金額での慰謝料額を受け取るためには、加害者側の保険会社と増額交渉をしていくことになります。
示談成立前に弁護士に交渉を依頼すれば、保険会社との増額交渉をより有利に進められます。
無料相談
仙骨骨折の入通院慰謝料|示談金として請求できるお金
仙骨骨折の入通院慰謝料
仙骨骨折を負って入院・通院を経て治療した場合、入通院慰謝料を請求することができます。
入通院慰謝料とは、交通事故で入通院を余儀なくされるケガを負ったことの精神的苦痛に対する賠償金です。
後遺障害認定の有無に関係なく、請求できます。
入院・通院期間の長さに基づいて算定されるため、治療期間が長ければその分、慰謝料額も増額されます。
また、通院のみで治療したケースと比べて、入院もして治療したケースの方が慰謝料額も高額になります。
仙骨骨折で慰謝料以外で請求できる費用・損害
仙骨骨折を負った際、慰謝料以外で以下のような費用や損害を請求できます。
- 治療費:治療のために必要となった投薬代・手術代・入院費用など
- 休業損害:治療のために仕事を休んだことで生じる減収に対する補償
- その他:治療のために必要であった交通費、付添費用など
- 逸失利益:後遺障害により減収することとなる将来の収入に対する補償
- 物的損害:自動車や自転車の修理代、代車費用など
仙骨骨折の後遺症は弁護士に相談
仙骨骨折の後遺症での無料相談受付中
仙骨骨折の後遺障害申請や慰謝料請求にお悩みであれば、弁護士に相談してみましょう。
アトム法律事務所では、仙骨骨折の後遺症や慰謝料請求について、電話・LINEでの無料相談を受け付けております。
交通事故に遭った際に弁護士に依頼することには以下のようなメリットがあります。
- 被害者として受け取れる適正な相場金額を知ることができる
- 等級認定のための資料集めや後遺障害申請の手続きなど後遺障害認定に向けてやらなければならないことを一任できる
- 慰謝料や示談金の増額に向けて相手側の保険会社と交渉してもらえる
アトム法律事務所には交通事件の被害者向けの相談を多く受けてきた経験豊富な弁護士がいるため、後遺障害申請や増額交渉の対策も十分に行える体制が整っています。
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費用を一切払わず弁護士に依頼できる|弁護士費用特約
弁護士に依頼することに抵抗を感じられるいちばんの理由として高額な弁護士費用をご想像される方もいらっしゃると思います。
しかし、弁護士費用特約を利用すれば、一切の費用負担なく弁護士に相談・依頼できるケースも多いです。
弁護士費用特約とは?
弁護士費用特約とは、弁護士に支払う相談料や費用について、保険会社が代わりに負担してくれるという特約です。
負担額には上限が設定されていますが、多くのケースで生じる相談料や費用は上限の範囲内に収まるため、金銭的な負担なく弁護士への相談や依頼が可能となります。
特約がなくても、交通事故の案件では弁護士費用を差し引いてもなお、弁護士を立てた方が多くの損害賠償金が得られることが多いです。
無料相談の段階で正式に依頼した際の料金についてもご確認していただいたうえで依頼するかどうか判断いただけます。
無料相談やセカンドオピニオンだけでの利用でも構いませんので、ぜひご相談ください。
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高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。
保有資格
士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士
学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了