相続した土地を売却した時の税金は?譲渡所得税や特別控除、確定申告を解説

親などから相続した土地を売却すると、売却価格そのものではなく、取得費や売却費用を差し引いた利益(譲渡所得)に対して所得税・住民税・復興特別所得税がかかります。
相続した土地では、原則として被相続人の取得費や所有期間を引き継いで税額を計算します。また、取得費加算の特例や空き家の3,000万円特別控除などを利用できれば、税負担を大きく抑えられる可能性もあります。
この記事では、相続した土地を売却したときにかかる税金の種類や計算方法、利用できる特例・特別控除、売却手続き、確定申告についてわかりやすく解説します。
目次
相続した土地を売却したときにかかる税金の種類
相続した土地を売却した場合、売却によって利益(譲渡所得)が出ると譲渡所得税がかかります。
相続時に相続税を納めていても、相続税は「財産を取得したこと」、譲渡所得税は「売却によって利益を得たこと」に対する税金であるため、別途課税されます。
- 課税のタイミング
- 相続税:相続が発生したとき(土地を取得したとき)
- 譲渡所得税:土地を売却したとき
- 課税対象
- 相続税:相続した正味の遺産額(遺産総額から借金などを引き、生前贈与などを加算した額)
- 譲渡所得税:土地の売却によって得た利益(譲渡所得)
- 申告期限
- 相続税:相続開始を知った日の翌日から10か月以内
- 譲渡所得税:売却した翌年の確定申告期間(原則2月16日~3月15日)※
※最終日が休日の場合は翌平日まで
なお、譲渡所得税とは譲渡所得にかかる税金のことで、一般に所得税・住民税・復興特別所得税を指します。
このほか、相続登記では登録免許税、売買契約書の作成では印紙税がかかります。
まずはこれら5つの税金について確認していきましょう。
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(1)所得税(譲渡所得分)
土地の売却によって得た利益(譲渡所得)に対してかかる所得税です。
給与所得などとは分けて計算する「申告分離課税」が適用されます。
譲渡所得の金額が大きくなるほど税額も増えるため、売却価格だけでなく取得費や譲渡費用の把握が重要になります。
相続した土地の売却で生じる所得税の計算については、後ほど詳しく解説します。
(2)住民税
譲渡所得は、所得税だけでなく住民税の課税対象にもなります。
こちらも申告分離課税として計算され、所得税とあわせて負担することになります。
そのため、実際の税負担は「所得税+住民税」をセットで考える必要があります。
相続した土地の売却で生じる住民税の計算については、後ほど詳しく解説します。
(3)復興特別所得税
復興特別所得税は、東日本大震災の復興財源として設けられた税金で、2013年から2037年までの間、所得税額に対して2.1%が上乗せされます。
土地の譲渡所得に所得税がかかる場合も、あわせて復興特別所得税が課されます。
相続した土地の売却で生じる復興特別所得税の計算については、後ほど詳しく解説します。
(4)登録免許税
登録免許税は、不動産の登記手続きにかかる税金です。
相続した土地を売却するには、原則として被相続人から相続人への相続登記を済ませる必要があり、その際に登録免許税がかかります。
相続による所有権移転登記の税率は、原則として固定資産税評価額の0.4%です。
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(5)印紙税
印紙税は、不動産の売買契約書を作成する際に課される税金です。
土地を売却する場合、買主との間で不動産売買契約書を作成しますが、その契約書に記載された金額に応じて印紙税額が決まります。
以下は、不動産売買契約書(不動産の譲渡に関する契約書)を前提とした金額ごとの印紙税額について記載している表です。
令和9年3月31日まで軽減措置が適用されます(契約金額が10万円を超えるものに限る)。
| 取引金額 | 印紙税額 |
|---|---|
| 100万円超~500万円以下 | 2,000円 (1,000円) |
| 500万円超~1,000万円以下 | 1万円 (5,000円) |
| 1,000万円超~5,000万円以下 | 2万円 (1万円) |
| 5,000万円超~1億円以下 | 6万円 (3万円) |
| 1億円超~5億円以下 | 10万円 (6万円) |
※()内の金額は令和9年3月31日までの不動産売買契約書に適用
相続した土地にかかる譲渡所得税はいくら?
ここからは、相続した土地を売却した時にかかる譲渡所得税(所得税・住民税・復興特別所得税)がいくらになるのか、計算方法や税率を解説していきます。
譲渡所得の計算式
相続した土地を売却したときに課税されるのは、売却価格そのものではなく、売却によって得た利益(譲渡所得)の金額に対してです。
そのため、まずは譲渡所得の確認が必要です。譲渡所得は、次の計算式で求めます。
譲渡所得
譲渡所得 = 売却価格 - 取得費 - 譲渡費用
- 売却価格
土地を売却した金額 - 取得費
土地を取得したときにかかった費用(購入代金・仲介手数料・登記費用・改良費など) - 譲渡費用
売却のためにかかった費用(仲介手数料・測量費・解体費など)
相続した土地の取得費は被相続人の取得費を引き継ぐ
相続した土地の取得費は、被相続人(亡くなった方)がその土地を取得したときの金額を引き継ぎます。
たとえば、親が30年前に1,000万円で購入した土地を相続した場合、その土地の取得費は「1,000万円(+購入時の諸費用)」となります。
取得費には、購入代金だけでなく、購入時の仲介手数料や登記費用、造成費・改良費なども含めることが可能です。
これらを漏れなく計上することで、譲渡所得を抑え、税負担を軽減できる可能性があります。
なお、取得費加算の特例などを適用することで、譲渡所得を抑えられる場合もあります。特例については後ほど本記事内で詳しく解説します。
相続した土地の取得費がわからない場合は?
相続した土地の取得費がわからない場合や、実際の取得費が売却価格の5%を下回る場合は、売却価格の5%相当額を「概算取得費」として計算できます。
ただし、実際の取得費が売却価格の5%を上回る場合は、実額で計算した方が譲渡所得を抑えられます。
被相続人が土地を購入した際の売買契約書や領収書などが残っていないか確認しましょう。
税率は保有期間で変わる|親の所有期間を引き継ぐ
譲渡所得にかかる税率は、土地の保有期間によって大きく異なります。
| 項目 | 5年以下 | 5年超 |
|---|---|---|
| 所得の区分 | 短期譲渡所得 | 長期譲渡所得 |
| 所得税率 | 30% | 15% |
| 住民税率 | 9% | 5% |
| 復興特別所得税 | 0.63% | 0.315% |
| 合計 | 約39.63% | 約20.315% |
短期譲渡所得になるか長期譲渡所得になるかは、被相続人が土地を取得した日から、譲渡した日が属する年の1月1日時点までの期間で判断されます。
そのため、相続してすぐに土地を売却したからといって、短期譲渡所得になるとは限りません。
たとえば、親が2000年4月に購入した土地を2024年1月に相続し、同年10月に売却した場合、保有期間は「親が取得した2000年4月から、売却した年(2024年)の1月1日まで」でカウントします。
このケースでは5年を超えているため、長期譲渡所得に該当します。
このように、被相続人が長期間保有していた土地を相続した場合、多くのケースで長期譲渡所得の税率(約20.315%)が適用されます。
譲渡所得税の具体的な計算例
実際の計算例で確認してみましょう。
- 売却価格:3,000万円
- 取得費(被相続人が購入した金額):1,500万円
- 譲渡費用(仲介手数料など):100万円
この場合、譲渡所得は以下の通りです。
譲渡所得 = 3,000万円 - 1,500万円 - 100万円 = 1,400万円
この土地が長期譲渡所得(保有期間5年超)に該当する場合、税額の目安は次のとおりです。
1,400万円 × 20.315% = 約284万円
このように、取得費や譲渡費用の金額によって税額は大きく変わるため、正確に把握することが重要です。
相続した土地の売却で使える特例・特別控除
特例(1)取得費加算の特例
「取得費加算の特例」とは、相続や遺贈によって取得した土地を売却する際に、納めた相続税の一部を取得費に加算できる制度です。
ポイント
譲渡所得=売却価格-取得費-譲渡費用
取得費加算の特例により、相続税の一部が取得費に加えられるため、譲渡所得が少なくなり、結果として譲渡所得税等の負担を軽減できます。
ただし、取得費加算額は、取得費加算適用前の譲渡益が上限となり、譲渡所得をマイナスにすることはできません。
特例の適用条件
取得費加算の特例を適用するためには、次の要件をすべて満たす必要があります。
- 相続または遺贈によって取得した財産であること
- 相続税が課税されていること(その財産を取得した人に相続税額がある場合)
- 「相続開始日の翌日」から「相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日」までに譲渡している
たとえば2026年6月1日に被相続人が死亡した場合、相続税の申告期限はその翌日から10か月なので2027年4月1日となります。
取得費加算の特例は、相続開始日の翌日(この例では2026年6月2日)から適用できます。譲渡の期限は、申告期限の翌日(2027年4月2日)以後3年を経過する日、つまり2030年4月1日までです。
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加算できる相続税額の計算
取得費に加算できる相続税額は、売却した土地に対応する相続税額をもとに計算します。
相続財産全体に対して課税された相続税のうち、「売却した土地に対応する部分」を按分して求めるイメージです。
計算の目安は、次のとおりです。
取得費加算額
加算できる相続税額(目安)= その人に係る相続税額 ×{売却した土地の相続税評価額 ÷ (その人の相続税の課税価格+その人の債務控除額)}
なお、この計算式は国税庁No.3267の正式算式を簡略化したものです。
債務がある場合や相続時精算課税を利用している場合は異なりますので、正確な計算は税理士にご確認ください。
取得費加算の特例については、関連記事『取得費加算の特例とは?計算式・要件をわかりやすく解説【チェックシートあり】』にて解説しています。
特例を利用した場合の税金の違い|計算例紹介
以下の条件の売買において、取得費加算の特例の有無による譲渡所得税の比較を行います。
- 売却価格:4,000万円
- 取得費:2,000万円(被相続人の購入価格)
- 譲渡費用:100万円(仲介手数料など)
- 税率:約20.315%(長期保有)
- 相続税の申告期限から3年以内に売却
- 加算できる相続税額:400万円
| 項目 | 特例なし | 特例あり |
|---|---|---|
| 売却価格 | 4,000万円 | 4,000万円 |
| 取得費 | 2,000万円 | 2,400万円(+400万円) |
| 譲渡費用 | 100万円 | 100万円 |
| 譲渡所得 | 1,900万円 | 1,500万円 |
| 税額(約20.315%) | 約385万円 | 約304万円 |
| 節税効果 | ― | 約81万円の節税 |
このように、取得費加算の特例を使うだけで、数百万円規模の節税になるケースがあります。
特例(2)空き家の3,000万円特別控除
「被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除」(通称:空き家特例)とは、相続した空き家(または空き家を取り壊した後の土地)を売却した場合に、譲渡所得から最大3,000万円を控除できる制度です。
2016年4月1日から2027年12月31日までの間に、被相続人居住用家屋またはその敷地などを売却した場合に、一定の要件に該当すれば適用できます。
この特例を適用すると、譲渡所得が3,000万円以下であれば、税金がかからない可能性もあるため、適用できれば大きな節税効果が期待できるでしょう。
ただし、2024年1月1日以降の売却分から、当該空き家(居住用財産)を相続または遺贈により取得した相続人の数が3人以上いる場合は、各相続人の控除額が2,000万円に引き下げられます。
特例の適用条件
空き家特例では、適用要件が細かく設定されています。ここでは、主なものについて確認していきましょう。
人に関する要件
- 売る人が相続や遺贈によって、その家屋や土地を引き継いだ本人であること
- 買い手が、親子・配偶者・生計を一にする親族・内縁関係者・特殊な関係のある法人など「特別の関係がある人」でない
物件に関する要件
- 相続の開始の直前において、被相続人以外に居住をしていた人がいなかったこと(被相続人が一人暮らしであったこと)
※被相続人が老人ホームなどに入所していた場合は、入所直前まで一人で居住しており、入所後に貸付・他者居住の用に供されていなかったことが要件 - 1981年(昭和56年)5月31日以前に建てられた家屋であること
※家屋をそのまま売却する場合は、原則として一定の耐震基準を満たす必要があります。ただし、2024年1月1日以降の譲渡では、一定の場合、譲渡の翌年2月15日までに耐震改修または取り壊しを行えば対象となります。 - 区分所有建物登記がされている建物(マンションなどのように、各部屋ごとに不動産登記がされている建物)ではない
- 相続時から譲渡時まで、事業用・貸付用・居住用として利用していない
売却に関する要件
- 相続開始日から3年を経過する日が属する年の12月31日までに譲渡すること
- 売却代金が1億円以下であること
空き家特例について詳しくは、関連記事『空き家に相続税はかかる?計算方法や空き家特例による3000万円控除を解説』が参考になります。
特例を利用した場合の税金の違い|計算例紹介
以下の条件の売買において、空き家の特例の有無による譲渡所得税額の比較を行います。
- 売却価格:8,000万円
- 取得費:3,000万円
- 譲渡費用:200万円
- 税率:約20.315%(長期保有)
- 控除額:3,000万円(相続人2人)
| 項目 | 特例なし | 空き家特例あり |
|---|---|---|
| 売却価格 | 8,000万円 | 8,000万円 |
| 取得費 | 3,000万円 | 3,000万円 |
| 譲渡費用 | 200万円 | 200万円 |
| 特別控除 | 0円 | 3,000万円 |
| 譲渡所得 | 4,800万円 | 1,800万円 |
| 税額(約20.315%) | 約975万円 | 約365万円 |
| 節税効果 | ― | 約610万円の節税 |
【注意】取得費加算の特例との併用は不可
取得費加算の特例と空き家の3,000万円特別控除は、同一の土地の売却について原則として併用できません。
どちらを適用したほうが有利かは、取得費加算額や建物の築年数、利用状況、相続人の数などによって変わります。
どちらの特例を選択すべきかは個別の状況によって異なるため、事前に税理士へ相談することをおすすめします。
特例(3)マイホームの3,000万円特別控除
マイホームの3,000万円特別控除とは、自分が住んでいた家やその敷地を売却した場合に、譲渡所得から最大3,000万円を控除できる特例です。
相続した土地であっても、相続後に自分がマイホームとして居住し、その後売却した場合などには、この特例を適用できる可能性があります。
たとえば、相続した家と土地に自分が住んだ後、売却によって2,000万円の譲渡所得が生じた場合、3,000万円特別控除を適用すれば課税対象となる譲渡所得は0円となります。
なお、マイホームの3,000万円特別控除には、売却先が親子や夫婦など特別な関係にある人ではないことなど、一定の適用要件があります。相続した不動産を売却する際は、どの特例を利用できるか確認しておきましょう。
相続した土地の売却手続き
相続した土地は、被相続人名義のまま売却することはできません。遺言書や遺産分割によって土地を取得する人を確定し、相続登記をしたうえで売却手続きを進めます。
相続した土地を売却するまでの基本的な流れは、以下のとおりです。
STEP1 遺言書の確認・遺産分割協議
まず被相続人の遺言書があるかどうかを確認します。
遺言書がある場合は原則としてその内容に従って手続きを進め、遺言書がない場合(または遺言書と異なる分割をする場合)は、相続人全員で誰が土地を相続するかを話し合います(遺産分割協議)。
なお、遺言書がある場合でも、相続人全員の合意など一定の条件を満たせば、遺言書と異なる内容で遺産分割できる場合があります。
STEP2 相続登記(名義変更)
遺産分割が決まったら、法務局で土地の名義を相続人へ変更します。
相続した不動産は、被相続人名義のままでは売却できないため、売却前に必ず相続登記を行う必要があります。
なお、相続登記は2024年4月1日から義務化されており、正当な理由なく期限までの登記を怠った場合は、10万円以下の過料が科される可能性があります。
相続登記の期限
- 原則:相続により不動産を取得したことを知った日から3年以内
- その後に遺産分割が成立した場合:遺産分割の成立日から3年以内に、分割内容を反映した登記が必要
- 義務化以前に相続した不動産:2027年3月31日まで
※不動産を相続したことを2024年4月1日以後に知った場合は、その日から3年以内
STEP3 不動産会社への査定依頼・媒介契約
不動産会社に査定を依頼し、売却価格の目安を把握します。
そのうえで、売却活動を依頼する不動産会社と媒介契約を締結しましょう。
複数社に査定を依頼することで、適正な価格を見極めやすくなります。
STEP4 売却活動・売買契約
不動産会社による売却活動を経て買主が見つかれば、売買契約を締結します。
契約時には、売買代金の一部(手付金)を受け取るのが一般的です。
STEP5 引き渡し・代金受領
残代金を受け取ると同時に、土地の所有権を買主へ移転します。
これで売却手続きは完了です。
相続した土地を売却したら確定申告は必要?
譲渡所得が発生した場合や特例を使う場合は確定申告が必要
相続した土地を売却して譲渡所得(売却益)が発生した場合は、原則として確定申告が必要です。
一方、取得費や譲渡費用を差し引いた結果、譲渡所得が0円またはマイナスになった場合は、原則として土地の売却について確定申告をする必要はありません。
ただし、取得費加算の特例や空き家の3,000万円特別控除、マイホームの3,000万円特別控除などを利用する場合は、特例を適用した結果として税額が0円になる場合でも、原則として確定申告が必要です。
確定申告の期限と方法
相続した土地を売却した場合の確定申告は、売却した年の翌年に行います。
申告期間は、原則として2月16日から3月15日までです(期限日が土日祝日の場合は翌開庁日に延長されます)。
たとえば、2026年中に土地を売却した場合は、2027年の確定申告期間中に申告・納税を行います。
確定申告の方法は、次のいずれかです。
- 税務署へ持参または郵送
- e-Taxによる電子申告
近年はe-Taxによる申告が一般的になっており、自宅から手続きできるため便利です。
確定申告の必要書類
確定申告の際には、主に以下の書類が必要です。
また、特例を利用する場合には以下のような書類も必要となります。
- 取得費加算の特例を利用する場合
相続財産の取得費に加算される相続税の計算明細書 - 空き家特例を利用する場合
被相続人居住用家屋等確認書
※売却する家があった市区町村の役場で取得
必要書類は個別の状況によって異なるため、事前に税務署や税理士へ確認しておくと安心です。
相続した土地を売却するときによくある疑問
Q. 相続してすぐ土地を売ると税金は高くなる?
相続してすぐ土地を売却したからといって、必ずしも税金が高くなるわけではありません。
土地の譲渡所得にかかる税率は、所有期間5年超の長期譲渡所得のほうが、5年以下の短期譲渡所得よりも低くなります。
ただし、所有期間は土地を相続した日からカウントするのではなく、被相続人の所有期間を引き継いで判定します。
そのため、相続後すぐに土地を売却しても、たとえば親が10年間所有していた土地であれば原則として長期譲渡所得の税率が適用されます。
Q. 親から相続した土地を売った場合も取得費は親の購入価格?
原則として、親がその土地を取得したときの取得費を引き継ぎます。
たとえば、親が土地を1,500万円で購入し、その土地を相続した場合、相続時の土地の評価額や時価ではなく、親の購入代金などをもとに取得費を計算します。
親が土地を購入したときの売買契約書や領収書などが残っていない場合は、売却価格の5%相当額を概算取得費として計算することもできます。
Q. 相続人が複数いる土地を売った場合の税金は誰が払う?
土地を複数の相続人が共有で相続し、その後売却した場合は、各相続人が自分の持分に応じた譲渡所得について、それぞれ申告・納税します。
たとえば、2人の相続人が2分の1ずつ土地を共有している場合は、売却代金だけでなく、取得費や譲渡費用なども原則として持分に応じて計算し、それぞれの譲渡所得を求めます。
また、取得費加算の特例や空き家の3,000万円特別控除なども、各相続人について適用要件を満たしているかを判断します。
土地を売却する予定がある場合は、遺産分割の段階から売却後の税金も考慮して、土地の分け方を検討しておくことが大切です。
Q. 土地を売って損失が出た場合も確定申告は必要?
土地を売却して譲渡損失が生じた場合は、原則として確定申告は必要ありません。
なお、単に相続した土地や、自分が住んでいない実家を売却して生じた損失は、原則として給与所得など他の所得と損益通算することはできません。
一方、相続後に自分がマイホームとして使用していた不動産を売却した場合などは、一定の要件を満たせば、譲渡損失を他の所得と損益通算したり、翌年以後に繰り越して控除したりできる特例があります。この特例を利用する場合は確定申告が必要です。
まとめ|相続した土地の売却では税金と特例を事前に確認しよう
相続した土地を売却して利益が出ると、所得税・住民税・復興特別所得税がかかります。税額を計算する際は、原則として被相続人の取得費や所有期間を引き継ぐことがポイントです。
また、相続税を納めている場合は取得費加算の特例、一定の空き家を売却する場合は3,000万円特別控除などを利用できる可能性があります。特例には適用期限や併用できない組み合わせがあるため、売却前に確認しておくことが重要です。
譲渡所得が発生した場合や特例を利用する場合は、原則として確定申告も必要です。取得費や利用できる特例によって税額が大きく変わることもあるため、判断に迷う場合は売却前に税理士へ相談するとよいでしょう。

監修者
高部孝之税理士事務所
税理士高部孝之
2019年税理士試験合格 2020年税理士登録
都内大手税理士法人にて約13年間勤務。資産税部門の責任者などを経て、2024年に独立し浅草にて資産税を強みとする税理士事務所を開業。
専門用語を用いず、平易な言葉で説明することを大切にしており、お客様が親しみやすく相談しやすい税理士を理想としています。
保有資格
税理士・FP技能士1級・相続診断士
