【ニュース解説】SNSでの誹謗中傷 裁判手続きがよりスムーズに!改正案の内容を解説 | アトム法律事務所弁護士法人

【ニュース解説】SNSでの誹謗中傷 裁判手続きがよりスムーズに!改正案の内容を解説

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岡野武志

監修者:アトム法律事務所 代表弁護士
岡野武志

SNSでの誹謗中傷|裁判手続きをスムーズに

TwitterなどのSNSで多発する誹謗中傷。大手掲示板「2ちゃんねる」やローカル掲示板「爆サイ」での誹謗中傷に悩む人もたくさんいます。ところが、書き込みをした人物を特定するのは簡単ではありません。現行制度では、発信者の特定には裁判を起こす必要があるため、時間や費用もかかってしまいます。

そんな中、投稿者をよりスムーズに特定するための新制度案が、2021年2月26日、閣議決定されました。この改正案が施行されると、今後どのように変わっていくのか解説していきます。

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【現在の制度】書き込みした人物を特定するまでの流れ

TwitterやInstagramなどのSNSでは、匿名でアカウントを作成したりコメントを投稿することができます。そのため、誹謗中傷が起こりやすく、投稿者の特定が必要になるケースも多いです。現行の制度では、書き込みをした人を特定するための流れは、次のようになっています。

  1. 「サイト管理者」に投稿者の接続情報(IPアドレス)を開示してもらう
  2. 「通信会社(インターネットプロバイダ)」に契約者情報を開示してもらう

「サイト管理者」から情報開示を受ける

IPアドレスを入手する

書き込みすると、どこの通信会社を経由して書き込まれたのかという「通信記録(IPアドレス)」がサイトに残ります。そのため、SNSや掲示板などの管理者に対して、この「IPアドレス」を教えてもらうことで、投稿者が使った通信会社をたどることができるのです。

しかし、サイト側がIPアドレスを簡単に教えてくれるわけではありません。任意の開示請求で応じてくれる場合には、裁判手続きを使い情報開示を求めることになります。TwitterやFacebookでは、必ず裁判手続きを使うことになります。

投稿は「通信会社」を経由する

たとえば、「○○は詐欺師だ」といった内容を、ネットの掲示板やSNSに投稿されたとします。これらは、携帯電話会社などの通信会社を経由することで、サイトに書きこまれる仕組みになっています。IPアドレスが判明することで、通信会社がどこなのかを知ることができます。

「通信会社」から情報開示を受ける

契約者情報を入手する

IPアドレスから投稿者が契約している通信会社を特定することができます。ですので、次は通信会社に契約者情報を教えてほしいと求めることになります。ただし、通信会社に直接依頼をしても、開示してもらえるケースは極めて少ないです。通信会社からすれば、顧客の個人情報を開示するわけですので慎重な対応となるのは当然です。

通常、通信会社への情報開示請求には「仮処分」という裁判手続きを必要とします。裁判官が「仮処分」を認めることで、通信会社から契約者(=投稿者)の名前や住所などの情報を教えてもらうことができます。

注意すべきこと

  • サイト側にIPアドレスが保管されていない場合がある
  • IPアドレスが保管されているのは3ヶ月程度とされる
  • サイトによって保管される接続情報は異なる

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【これからの制度】情報開示の裁判手続きはこう変わる

今回、閣議決定された新制度案は、現行制度をさらに簡略化するものです。誹謗中傷の被害を受けた人が投稿者を特定するために裁判手続きを利用することは変わりません。しかし、2段階のステップが必要であったのが、1段階(ワンアクション)で済むようになります。

また、書きこんだ人の接続情報が削除されないよう、サイト側や通信会社に対して、消去禁止を求めることができます。現行制度では、この手続きは別途行わなければなりませんが、今回の改正案では、1回の手続きの中に含まれることになります。この点も大きな改正ポイントです。

プロバイダ責任制限法の改正案(ポイント)

今回は、こちらの記事を参考にしています。

“SNS ひぼう・中傷対策の新たな裁判手続き”改正案 閣議決定

ポイントをまとめると次のようになります。

  • プロバイダ責任制限法の改正案が閣議決定された
  • 発信者情報開示の手続きが簡略化される
  • 新制度は誹謗中傷の被害者にとってメリットが大きい

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まとめ|誹謗中傷の被害者にとって朗報

現在の制度では、誹謗中傷の投稿が行われても、投稿者を特定するまでに「時間」と「お金」がかかってしまいます。そのため、被害者が発信者情報の開示請求に踏み込むには躊躇することが多いのが現状です。

新制度がスタートすれば、複雑だった裁判手続きも解消され、裁判にかかっていた時間は短縮され、費用負担もより軽くなることが見込まれます。誹謗中傷の被害者になることは、有名人にかぎらず、誰にでもありえることです。今後も、誹謗中傷に関する被害者救済制度の整備には注目していきたいですね。

岡野武志

監修者


アトム法律事務所

代表弁護士岡野武志

詳しくはこちら

高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。現在は「刑事事件」「交通事故」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。

保有資格

士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士

学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了

英語:TOEIC925点