創業者利益とは…IPOやM&Aで獲得できる?仕組みや税金を解説!

創業者利益
  • 創業者利益とは?いくら獲得できる?
  • 創業者利益を得るならM&A?IPO?
  • 創業者利益にかかる税金は?

IPOは創業者としてビジネスを成功させたステータスになるものかもしれませんが、創業者利益を獲得する場合にはM&Aの方が向いているかもしれません。

この記事では、IPOやM&Aによって創業者利益を獲得する仕組みや、税金について解説しています。

中小企業の創業者の方で、会社売却をおこない、売却益を獲得したいとお考えの方など、是非さいごまでご覧ください。

創業者利益とは?

創業者利益とは?

創業社利益は、創業者利得ともいわれます。

創業者利益は、会社の創業者が会社を売却する際、対価として受け取る利益のことです。

ただし、創業時の資本金や初期投資、会社売却にかかる手数料などの必要経費を考慮すれば、実質的な創業者利益は、株式の譲渡価格と、諸々の必要経費の差額と考えてよいでしょう。

創業者利益

創業者利益=株式の譲渡価格-必要経費(資本金額・手数料など)

創業者利益とキャピタルゲインの関係

創業者利益は、キャピタルゲインの一種です。

キャピタルゲインとは、株式や債券など、保有している資産を売却することで得られる売買差益のことをいいます。

創業者利益を最大化する仕組みは?

創業者利益を最大化するには、創業者の持ち株比率を100%近くにすることです。
ただし中小企業の場合、所有と経営が分離していないことが多く、創業時にすでに創業者や同族株主が100%近くの株式を保有していることは多いでしょう。

また、企業価値を高めることで、高額での株式譲渡を実施できるようにすることも、創業者利益の最大化につながります。

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創業者利益を得るメリットは?

創業者利益を得ることで、新規事業立ち上げの資金や、リタイア後の生活資金を確保できるメリットがあります。

創業したての頃は、金融機関から融資を受け、その借入金返済のために奮闘していたかもしれません。
ですが、十分な創業者利益を得ることができれば、今後は、金融機関から資金調達をせずに済み、新規事業に打ち込むことができます。

創業者として日々会社の業務に追われる生活から脱却したい場合、会社売却をおこない創業者利益を獲得することができれば、より豊かな第二の人生をスタートさせることが可能になります。

また、会社をたたむことになれば、従業員の雇用喪失につながります。しかし、M&Aが成功すれば、従業員の雇用を確保することができます。

創業者利益を得ることは、創業者のメリットになるだけでなく、従業員のメリットにもなるのです。

IPO(株式上場)による創業者利益

IPOとは?IPOの創業者利益とは?

IPOとは、Initial Public Offeringの略で、新規株式公開のことです。

今まで未上場だった株式会社が、証券取引所に新規上場して売り出すのが、IPOです。

IPOによる創業者利益とは、創業者が保有する株式を、証券取引所に新規上場して、第三者に売却することで獲得する利益のことを指します。

ベンチャーキャピタルで創業者利益を獲得する仕組み

IPOにより創業者利益を得るには、ベンチャーキャピタルという共同投資の枠組みを活用することも多いでしょう。

ベンチャーキャピタルは、まず金融機関や投資家などから資金を集め、その資金でファンドを組成し、スタートアップの非上場企業などに出資します。
そして、企業が上場した際などに、株式売却をおこない、値上がり益を獲得し、出資者に還元するという仕組みで運営されるのが、ベンチャーキャピタルです。

IPOのメリット

IPOをおこなうことができた場合、企業の社会的信用や知名度が向上するため、企業価値が高まり、株式をより高額で売却できる可能性があがるでしょう。

また、IPOの場合、市場取引が可能になるため、創業者自身で株式の買い手を探したり、株価を計算したりといった手間がかからないというメリットがあります。

IPOのデメリット

IPOのデメリットとしては、創業者が自身が保有する株式を大量に売却している動向について、投資家に察知されれば、経営不振を疑われ、株価の下落につながる危険性があることです。
株価が下落すれば、創業者利益の最大化はかないません。

また、そもそもIPOの要件が厳しく、上場が難しいという根本的な問題もあります。

仮に上場できたとしても、株価安定のために、一定期間株式売却ができない期間(ロックアップ期間)が設定されることがあります。このロックアップにより、任意のタイミングで株式売却ができなくなり、機会損失のリスクもあります。

IPOは、経営戦略として企業の信用力や知名度を上げたい場合、長期にわたり株式市場から資金調達をしたい場合などに向いているスキームといえるでしょう。

創業者利益はいくら?計算方法とは?

IPOの場合、株式の売却価格は、市場の取引価格にしたがいます。

そのため、創業者利益の金額は、株式の市場価格によるといえるでしょう。

ただし、創業時の資本金や証券取引所の委託手数料などの必要経費がかかるため、それらの金額との差額が、実質的な創業者利益といえるでしょう。

M&A(株式譲渡)による創業者利益

M&Aとは?M&Aによる創業者利益とは?

M&Aとは、Mergers and Acquisitions(合併と買収)の略で、2つ以上の会社を1つにしたり、株式譲渡などの方法で会社を売却したりすることです。

IPOによる場合、不特定多数の者が買い手候補となります。

一方、M&Aによる場合は、創業者は、証券取引所をとおさずに、みずから買い手探しをおこなうことが可能になります。

より良い条件で株式を売却できる相手を見つけて、創業者利益の最大化を図れるのがM&Aによる創業者利益の特徴です。

M&Aのメリット

M&Aによる創業者利益獲得のメリットは、手続きが比較的簡便であることです。

IPOの場合は、上場審査やロックアップを経てから、やっと株式の市場取引ができるようになり、買い手がつくのを待つという流れになります。
一方、M&Aの場合は、任意に買い手を探すことができ、買い手との合意のみで株式売却をおこなうことができます。

また、M&Aの場合、IPOのような株式の大量売却に関する不都合はありません。そのため、M&Aは、創業者利益を実現しやすい手法といえるでしょう。

M&Aのデメリット

M&Aの場合、企業価値評価や価格交渉など特有の手順もあります。

ですが、必要がある場合は、M&A仲介会社やM&A支援機関、士業専門家などのアドバイスを受けることで、解決することが可能です。

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創業者利益はいくら?計算方法とは?

上場会社のM&Aでは、市場価格の約3~5割増の価格でTOBなどが実施されることも多いでしょう。

中小企業の場合、非上場会社であることが多いものですが、非上場会社の売却益については、株式の市場取引がなく時価が不明確であるため、以下のような3つのアプローチにより、売却価格を検討することになります。

譲渡価格の計算方法

  • コストアプローチ
    資産や負債に着目した算定手法
    例)時価純資産法  
  • マーケットアプローチ
    事業の類似するマーケットに着目した算定手法
    例)EBITDAマルチプル法
    株価=EV+現預金-有利子負債
  • インカムアプローチ
    収益性に着目した算定手法
    例)DCF法
    将来のキャッシュフローを現在価値に割り引いて事業価値を算出

中小企業の場合、純資産や将来の収益性に着目した「年買法」が多用される傾向もあります。

年買法を用いると、時価純資産額に、3年~5年間の営業利益を加算した金額が、売却金額となります。

年買法

純資産+営業利益の3~5年分=売却価格

M&Aによる実際の手取り額としては、売却価格から資本金等の初期費用や、M&A仲介会社の手数料等を差し引いた金額となります。

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創業者利益にかかる税金

創業者利益にかかる税金の税率は、上場株式の売却であれ、非上場株式の売却であれ、いずれも所得税15%、復興特別所得税0.315%、住民税5%(合計20.315%)となります。

たとえば資本金1億円の会社の株式を、11億5千万円で譲渡した場合に、M&A仲介会社の利用手数料が5千万円かかったとします。

この場合の創業者利益にかかる所得税等の税額については、譲渡所得10億円に、税率が20.315%を乗じた結果、2億315万円となります。

11億5000万円-(1億円+5000万円)=10億円
10億円×20.315%=2億315万円

まとめ

会社の経営者が、創業者利益を獲得するには、M&Aにより株式の売却益を手にする方法がおすすめです。

IPOの最大の弱点は、大量の株式をいっぺんに売却することが難しい点です。会社売却をおこない創業者利益を手にするには、保有する株式を一挙に売却できるM&Aを実行しましょう。

会社売却の流れについて知りたい方は「株式譲渡の手続き・流れを徹底解説!会社の株式譲渡で必要な書類と注意点とは」の記事もご覧ください。

皆様の創業者利益の獲得が成功することを、心より願っております。

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