労災指定病院とは?労災で利用するメリットについて解説 | アトム法律事務所弁護士法人

労災指定病院とは?労災で利用するメリットについて解説

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労災指定病院とは|利用するメリット

この記事でわかること

  • 労災指定病院では治療時の支払が不要
  • 労災指定病院を利用することで手続きも簡明である
  • 弁護士に相談すべき労災のケースがわかる

「労災指定病院」という言葉を聞いたことがある方もいらっしゃると思います。しかし、どのような医療機関か詳しくご存じの方は少ないのではないでしょうか。

いわゆる労災によるケガの場合は、労災指定病院を利用することで、労働者の負担がより少なくなり、安心して治療を受けることができます。

この記事では、労災(指定)病院がどのような施設であるか説明をするとともに、他の医療機関と異なるメリットについて解説を行います。ぜひ、最後までお読みください。

労災指定病院とは労災保険に対応した医療機関

労災によるケガを負ってしまった場合には、労災指定病院を利用することが推奨されます。

そこで、まずは、労災指定病院がどのような医療機関であるか解説を行います。

労災指定病院とは労災保険による指定を受けた医療機関のこと

労災指定病院とは、労災指定医療機関のことであり、医療機関からの申請にもとづき、都道府県労働局長が指定した医療機関です。

労働者の福祉を目的とした医療機関である労災指定病院は、労災によるケガの治療を受けるに当たって他の医療機関とは異なり、より利用をしやすくなっております。

労災病院とは異なる医療機関

労災指定病院と似たものに労災病院というものがあります。労災病院は、厚生労働省所轄の独立行政法人労働者健康福祉機構が運営する医療機関です。

労災病院は、都道府県労働局長が指定した病院ではありません。したがって、労災指定病院と運営元も異なってきますので、労災病院はまったく異なる医療機関といえます。

労災指定病院と労災病院で優劣はない

労災指定病院と労災病院は根本的な部分で異なることを解説しました。しかし、実際には、労災でのケガを治療する際に、労災指定病院と労災病院で優劣はありません。

いずれの医療機関も労働者福祉を重視しているものであり、後述するように無償で治療が受けられる等のメリットはいずれの医療機関でも変わりがないためです。

労災では労災(指定)病院に行くべき理由

つづいて、労災の際に労災(指定)病院に行くべき理由について解説を行います。前述したとおり、労災指定病院と労災病院で特にメリットが異なることはありませんので、同様に考えてもらってかまいません。

治療費を支払う必要がない

労災(指定)病院では、労働者が治療費を一切支払うことなく治療を受けることができます。

労働者は、労災にあうことにより、場合によっては十分な勤務を行うことがむずかしくなります。そのような場合には、当然ながら、当面の生活費や治療費の心配は当然でてくるでしょう。そのような場合に安心して治療を受けることができます。

労災(指定)病院以外の医療機関であっても、後に労災保険から治療費を受けることができます。しかしながら、実際の補償を受けるまで、ご自身で治療費を支払わなければなりません。労災では、原則として健康保険を使うことができないため、治療費も十割負担となってしまい、治療費が多額になることがデメリットになります。

このように労災(指定)病院を利用する最大のメリットは治療費の自己負担がないということでしょう。

労災(指定)病院での治療の受け方について

労災(指定)病院での治療は、労災保険の給付請求書を受診の際に提出することで足ります。

業務災害(勤務中での労災)の場合は、療養補償給付たる療養の給付請求書(様式5号)を提出し、通勤災害(通勤中の労災)の場合は療養給付たる療養の給付請求書(様式第16号の3)を提出しましょう。請求書は、厚生労働省HP「労災保険給付関係請求書等ダウンロード」からダウンロード可能です。

ちなみに、労災指定病院以外の医療機関で治療を受けた際は、前述したとおり、一度、治療費を立て替えておく必要があります。そして、受診した医療機関から証明証、領収書をもらい労基署に提出することになります。

このように、労災指定病院での治療では、手続きが簡便であることもメリットの一つになるといえるでしょう。

労災(指定)病院の探し方

ネット上から簡単に労災指定病院を探すことができます。

労災指定病院は、厚生労働省HP「労災保険指定医療機関検索」から検索できます。

また、労災病院は、独立行政法人労働者健康安全機構HP「労災病院」から検索可能です。

労災問題で損害賠償請求を検討するなら弁護士に相談しよう

労災でのケガなどの際には、労災指定病院を利用することで安心して治療を受けられることを解説してきました。しかし、会社に安全配慮義務違反などが認められるようなケースでは、労災保険の請求だけでは不十分となる可能性が高くなります。

そのため、会社に安全配慮義務違反があり、労災が生じてしまった場合、会社に対する損害賠償請求をすることも考えられるでしょう。この場合の交渉について、弁護士に任せることが可能です。

弁護士の中でも、労災事故を専門的に扱っている弁護士はそれほど多くありません。労災に関する問題は専門的な知識や経験が必要な分野であり、数多く扱っている弁護士とは必然的に差が出てきます。

ぜひ、労災問題を多く扱っている弁護士へ依頼をしましょう。

岡野武志弁護士

監修者


アトム法律事務所

代表弁護士岡野武志

詳しくはこちら

高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。

保有資格

士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士

学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了