介護事故の相談先は?窓口一覧と弁護士の法律相談がおすすめな理由
近年、介護事故はとても多く発生しており、社会的にも問題になっております。介護事故というのは、いつ自分や自分の家族が巻き込まれるかわかりません。万が一、介護事故に巻き込まれた場合、どのように行動するのがベストかわからずに不安に感じてしまうこともあるでしょう。
この記事では、不幸にも介護事故に巻き込まれてしまった場合、どこに相談をしてどのような行動を取ればいいか解説しています。この記事が参考になれば幸いです。
目次
介護事故の対応を施設がきちんとしてくれるとは限らない
介護事故が起こった場合、本来であれば、介護施設が適切に対応をして、被害者やその家族が納得できるのであればそれが最もいいことは明らかです。
しかし、残念ながら、介護施設の中にはきちんとした対応を行わず、自分たちのミスを隠そうとしている施設もあります。そのため、被害者が積極的に行動せざるを得ません。
介護事故には事故報告の義務がある
介護利用中に生じた事故について、施設は市町村へ事故報告をしなければなりません。報告は、事故発生後3日以内が目安となります。
また、利用者やその家族に対して事故の内容や説明、場合によっては警察に報告をして、警察の捜査対象になることも考えられます。
被害者側としてまずは、施設からの説明をしっかりと聞いて、疑問点などを積極的に説明してもらうようにしましょう。客観的な証拠がある場合は、写しをもらうなど証拠の保全に努めることも大切です。
介護施設の対応が悪いことも多々ある
残念ながら、介護施設の中には責任逃れに終始して、その原因や対策、謝罪などがない場合もあります。そういった中でも、施設側に問題がなかったのか、今後の治療費や医療費がどのようになるのかきちんとした聞き取りが必要でしょう。
なお、施設から同意書や示談書といった書面の作成がされるかもしれません。
しかし、同意書や示談書にすぐサインなどはしないでください。弁護士等への法律相談を行って、法的に問題点ないのか必ず確認するようにしてください。
弁護士なら交渉やその後の訴訟も任せる事が出来る
弁護士に相談したほうがいいだろうとは思っていても、漠然とした理由しか思いつかず、弁護士相談に踏み切れないという方も多いです。
そこで、弁護士への法律相談が最適である理由について具体的に解説します。
介護事故でも損害賠償請求をすることが考えられる
介護事故になった場合、考えられる請求としては、治療費や医療費だけではありません。施設側に過失があった場合は、慰謝料や逸失利益などの損害額を計算して、損害賠償請求することが考えられます。
損害賠償請求の項目
- 治療費、医療費
- 慰謝料(入通院慰謝料、後遺障害慰謝料、死亡慰謝料)
- 逸失利益(後遺障害逸失利益、死亡逸失利益)
など
損害賠償請求の項目の中でも特に、慰謝料や逸失利益については、被害者側から積極的に請求をしなければ施設側が支払をしてくれない可能性があるでしょう。
弁護士がついていれば、どんな項目を損害賠償請求できるのかがわかります。
また、慰謝料や逸失利益の金額は、根拠もなく勝手に主張しても請求が通るものではありません。過去の裁判例や相場を理解して、請求可能な範囲を知っておく必要もあります。弁護士に相談して、適切な金額を出すということも大切です。
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話し合いで解決が出来ない場合は裁判になることもある
多くの場合、介護事故があっても施設との示談交渉で解決をするケースが多くなります。示談交渉とは、裁判外で当事者同士による話し合いで解決をはかることです。
しかし、事故態様や損害賠償の金額で話し合いが出来ない場合や進まない場合は、調停や訴訟といった裁判所を利用した方法を取る必要が出てきます。
調停や裁判を利用する場合は、証拠の収集や訴状等の裁判所に提出する資料の作成が必要になるのですが、法的知識もなく個人で作成することはむずかしいでしょう。
このような点を考慮すると、やはり弁護士に相談をしておき、まずは示談交渉での解決を目指す方法もおすすめです。
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裁判では法的知識が多分に必要となる
介護事故のような類型では、過失の有無だけでなく、因果関係や損害賠償の金額の計算など、高度に法的な知識が必要となります。
離婚などの人事訴訟では本人で裁判を起こされる方もいらっしゃいますが、介護事故の裁判を一人で起こすのはむずかしいかもしれません。
弁護士がついていれば、裁判のすべてを弁護士に任せてしまうことができます。
また、一人で裁判を起こすと、裁判期日に裁判所に毎回、出向かなければなりません。弁護士に依頼すれば、裁判は弁護士が代理で出向くので、ご自身が裁判に費やす時間がなくなります。
介護事故が発生してしまった際には、弁護士への早期相談が解決への鍵になります。
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自治体などへの相談では終局的な解決がむずかしい
弁護士への早期相談について解説しましたが、介護事故が発生してしまった場合には、弁護士以外の相談先もあります。
弁護士以外の相談窓口一覧
ここでは、弁護士以外にどのような相談先が考えられるのか、そのような施設への相談によってどのような効果が期待できるのかについて解説します。
もっとも、事故の態様や怪我の程度がひどい場合は、警察にも事故報告をする必要がある点には留意が必要です。
介護施設内の苦情相談窓口
介護施設内に「苦情相談窓口」などがある場合には、まずそこに相談をすることが考えられます。しかし、中立的な立場ではありませんので、どこまで動いてくれるかは不明です。
介護施設長や経営者などに直接相談
介護施設内の苦情相談窓口と似ていますが、介護施設長や経営者、ケアマネジャーなどに直接、相談する方法もあります。
施設長などが対応にあたる場合、謝罪の言葉を述べてくれることもあるでしょう。ただし、謝罪の言葉があったからといって、施設側が責任を認めたり、損害賠償責任を負っているという意味ではないこともあるので注意しましょう。
市町村役場や地域包括センターの相談窓口
市町村の役所にも介護事故について相談をすることもできます。地域包括センターも高齢者に関連する相談を受け付けておりますので利用できるでしょう。
地域包括センターは、市区町村のWEBサイトなどで探すことができます。(参考:東京都福祉保健局「地域包括支援センター及び在宅介護支援センター一覧」)
国民生活センターの消費者相談
国民生活センターは主に消費者相談を受け付けている機関ですが、介護事故の相談も受け付けてくれます。
局番なしの「188」に電話をかけると、最寄りの消費生活相談窓口の案内が受けられます。最寄りの相談窓口につながらない場合の相談窓口や休日相談なども用意されているので、ご自分にあった窓口を探して相談してみましょう。(参考:国民生活センター「全国の消費生活センター等」)
弁護士以外の相談で受けられるアドバイスは一般的なもの
このように介護事故ではさまざまな相談先が考えられるものの、これらの相談先はあくまでも一般的な話にとどまることも多いと考えられます。相談したからといって、介護利用者の代わりに問題を解決してくれるとは限りません。
そのため、結局のところ、ご自身で施設側と対応を行い、解決していく必要があります。
納得のいく解決を望むなら弁護士相談がおすすめ
弁護士に依頼することで、早期解決に向けてあなたの代わりに行動を起こしてくれます。
また、解決策についても損害賠償請求だけではなく、謝罪をしっかりして欲しい、今後の予防策について報告して欲しいなどといった柔軟な解決方法を目指すことが出来るでしょう。
弁護士への依頼を検討するうえでは、依頼前の弁護士相談が重要になってきます。
弁護士へ相談することのメリットは大きい
介護事故の被害者になるということは、経験上はじめての方が多いと思います。また、被害者側であっても施設からの説明や保険会社からの説明など自分では理解出来ない内容もあることでしょう。こういった対応は、精神的にも肉体的にもとても大変なことです。
相談先を見つけることで少しは楽になれますし、客観的に物事をみてくれる第三者からの助言は貴重になります。
先述したように介護事故ではさまざまな相談先がありますが、法律の専門家である弁護士の意見も聞きたいところです。無料相談も利用するなどして弁護士への相談を検討してみてください。
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弁護士相談から解決までの流れ
弁護士に相談したらどのような流れでことが進んでいくのかわからないと不安だという方も多いでしょう。弁護士に相談してから解決するまでの大まかな流れを確認しておきましょう。
(1)弁護士による法律相談
介護事故が起きた事実関係の話から、事故が起きる前と起きた後の話をまずは伺い、この後どのような方法をとっていくべきかについて法律相談を通して弁護士からアドバイスをもらいます。
もし、介護施設側から損害賠償の金額をすでに提示されているという方は、その金額が適正で妥当なものかお話しすることができるでしょう。
弁護士に相談することで得られるメリットなど十分に納得したら、弁護士と委任契約を結びます。もっとも、弁護士に相談したからといって必ず契約しなければならないことはありません。納得のいく相談ができてから契約するかどうか検討しましょう。
(2)弁護士による示談交渉
弁護士に依頼したら、弁護士が施設側と示談交渉をスタートします。
介護事故の内容によっては、示談交渉を行う前に事故の調査や証拠保全の手続きを行ったりすることもあるでしょう。
損害賠償を請求する場合、裁判がイメージされやすいですが、実際は示談交渉という話し合いからまずはじめるケースが多いです。というのも、裁判というのは裁判費用もかかりますし、解決するまでに長い期間を要します。
示談交渉であれば費用はかかりませんし、裁判ほど時間を要するわけでもありません。スピーディーな解決方法であるといえます。
介護施設側にも弁護士がつくことが予想されますので、弁護士同士で法的な話し合いによって示談交渉が進められることになるでしょう。
示談交渉では損害賠償の金額などについての話し合いを行い、双方が納得できる内容になればそこで示談成立となります。示談の内容は示談書にまとめるのが一般的で、示談成立後に施設側から賠償金が支払われる流れとなるでしょう。
(3)弁護士による調停や裁判
示談交渉による話し合いをつづけても、双方が納得できる内容で合意できなければ示談は成立しません。示談が不成立となった場合、その後は民事調停や民事裁判へと発展することになるでしょう。
アトム法律事務所の弁護士による無料相談
介護事故でご家族を亡くされたり、重い後遺障害が残ってしまったにもかかわらず、介護施設との話し合いが進まない、納得できないなど不満や不安を抱えられている場合は、アトム法律事務所の弁護士にぜひご相談ください。
まずは無料相談を通して、今後どのような対応をとっていくべきなのか、どのくらいの損害賠償金が得られるのかなどについて弁護士に質問してみましょう。
無料相談のご予約自体は24時間365日年中無休で対応しています。お問い合わせは電話またはLINEからご利用いただけます。気軽にお問合せください。
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アトム法律事務所 岡野武志弁護士
まとめ
- 介護事故に関する悩みを弁護士に相談してみるのがおすすめ
- 弁護士以外に相談する選択肢もあるが、アドバイスの内容は一般的な話にとどまることも多い
- 弁護士に依頼すると示談交渉などその後の対応を一任できる
高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。
保有資格
士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士
学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了