相続税をe-Taxでネット申告する方法|申告書作成や添付書類を解説

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相続税の申告

相続税の申告は、e-Tax(電子申告)を使えば、多くの場合インターネット上で完結できます。税務署や郵便局に出向く必要がなく、ほぼ24時間(システムメンテナンス時間を除く)申告が可能です。ただし、申告内容によってはe-Taxで対応できない場合もあります。

ただし、e-Taxは申告書の「提出手段」であり、相続税の計算は自分で行う必要があります。また、国税庁提供の「e-Taxソフト」はMac OSに対応していないなど、事前に利用環境を確認しておかなければなりません。

この記事では、e-Taxによる相続税申告のやり方を手順ごとに解説するとともに、添付書類の扱いや申告できないケースについても詳しく説明します。

目次

「e-Tax」とは?相続税申告がネットでできる

e-Taxとは、所得税や贈与税の申告などの各種手続きを、インターネットを通じて行えるシステムです。2019年10月1日より相続税の申告にも利用できるようになりました。

e-Taxを利用すれば、基本的に以下のことがインターネット上で完結します。

e-Taxでできること

  • 相続税申告書の作成
  • 相続税申告書、添付書類の送信
  • 電子納税

相続で頻繁に利用される「配偶者の税額軽減」や「小規模宅地等の特例」など多くの制度も、e-Taxにて適用可能です。

e-Tax申告と紙申告の違い

e-Taxで申告紙で申告
申告方法自宅からインターネットで申告・税務署の窓口に持参
・郵送
提出する書類の形式・申告書データ(XML形式)
・添付書類(主にPDF形式)
紙の書類
書類の保管電子データで保管紙の書類のまま保管
複数人が共同で申告原則不可(税理士等の代理送信では可能)できる
納税方法ダイレクト納付・インターネットバンキング等で自宅から納税可能税務署・金融機関窓口での納税のほか、クレジットカード納付・スマホアプリ納付など自宅から可能な方法もある

ただし、人によってはe-Taxを使ったネット上での相続税申告ができないこともあります。詳しくは本記事内で紹介するので、ご確認ください。

e-Taxで相続税をネット申告するメリット

e-Taxを使ってオンラインで相続税申告をすれば、さまざまな面で申告の負担を軽減できます。

財務省「令和6事務年度 国税庁実績評価書」によると、相続税申告のe-Tax利用率は年々上昇しており、令和6年度には初めて5割を超える50.3%となりました。また、e-Tax全体の利用者を対象としたアンケートでは、令和6年度の利用満足度は87.1%でした。

e-Taxの具体的なメリットを4つ見ていきましょう。

ほぼいつでも申告可能|税務署・郵便局に行かなくて良い

e-Taxでは、ほぼ24時間(システムメンテナンス時間を除く)、相続税の申告が可能です。

紙で相続税申告する場合は税務署の開庁時間に窓口へ行くか、郵送で送るしかありません。この場合、以下の点で負担が生じがちです。

  • 税務署の開庁時間は平日の朝8時30分から午後5時までなので、仕事をしていると時間を合わせにくい
  • 提出先は「被相続人の最後の住所地を管轄する税務署」なので、遠方だと行きにくい
  • 郵送なら「特定記録」などで出すほうが安心だが、そのためには郵便局へ行くことが必要で、仕事をしていると時間を合わせにくい

e-Taxなら平日仕事が終わったあとでも自宅から書類を提出できるため、わざわざ税務署や郵便局に行かずに済むのです。

また、郵送のように税務署に届くまでに時間がかかることもないため、申告期限が迫っていても安心です。

書類のデータ管理が簡単|他の相続人への共有も楽

e-Taxではすでに税務署に送信したデータもアカウント上で管理されます。

送信済みデータや受信通知はe-Tax上で確認できます。

ただし、メッセージボックス内のデータは格納から一定期間が経過すると削除されるため、必要なデータは別途保存・印刷しておくと安心です。

税務調査を受けることになったり、あとから修正申告をすることになったりしてもスムーズにデータを確認できます。

提出書類が少なく済む|申告の負担が軽減される

e-Taxを利用しないで相続税の申告をする場合には、番号確認書類および身元確認書類としてマイナンバーカードの写し等の提出が必要です。

しかし、e-Taxならマイナンバーカードなどで本人確認が行われるため、相続税申告時にあらためて本人確認の書類を添付する必要がなくなります。

さらに、遺産分割協議で相続する場合に必要となる「印鑑証明書」も、紙での申告なら原本が必要なところ、e-Taxならスキャンしたイメージデータで良いとされます。

インターネット上で納税もできる|自宅で払える

e-Taxは相続税申告が終わった後の納税にも対応しています。

納税方法の一つに「ダイレクト納付」があり、事前に登録した納税者名義の銀行口座から、即時または期日を指定して相続税を納められます。このほか、インターネットバンキングやクレジットカード納付など、他の方法でもインターネット上から納税できます。

e-Taxで相続税を申告するときの添付書類

e-Taxで相続税の申告をする場合、添付書類はPDF形式(イメージデータ)でオンライン送信するのが基本です。

ただし、書類の種類によって「省略できるもの」「イメージデータで送れるもの」「法令上書面での提出が必要なもの」に分かれます。なお、イメージデータで送れる書類であっても、容量が上限を超える場合は光ディスク等での提出を選べます。

省略・簡略化できるe-Taxの添付書類

以下の書類は、税務署から求められる場合を除き、提出が原則不要とされています。この取扱いはe-Tax・紙申告のどちらでも共通です。

  • 固定資産税評価証明書
  • 登記事項証明書(不動産)
  • 預貯金の残高証明書

商業・法人の登記事項証明書は、法令上添付が求められる手続であっても、必要事項を税務署等へ提供すれば添付を省略できる場合があります。

また、e-Taxならマイナンバーカードで本人確認が行われるため、番号確認書類・身元確認書類(マイナンバーカードの写し等)の添付も不要です。

さらに、遺産分割協議で相続する場合に必要な「印鑑証明書」は、紙での申告では原本が必要ですが、e-Taxではスキャンしたイメージデータで提出できます。

e-Taxでも別途提出が必要になる添付書類

e-Taxでの添付書類の送信には容量制限があります。1回の送信で最大14MB(最大11回送信で合計154MBまで)が上限で、この範囲を超えた場合はDVDなどの光ディスクに保存して税務署に提出する方法も選べます。

相続財産に不動産が多い場合や、評価明細書・契約書類が大量にある場合は、添付書類の容量上限を超えやすいため注意が必要です。

また、担保提供関係書類など、一部の書類は法令上、書面での提出が必要とされており、イメージデータでは送信できません。

なお、令和7年4月1日からは、添付書類のイメージデータについて、従来のカラー階調に加えてグレースケールでの提出も認められています。

相続税をネット申告できないケース

ネットでの相続税申告がしたくても、以下のような主なケースでは申告できません。

  • e-Taxの利用環境が整っていない人
  • スマホだけで申告しようとしている人
  • 2019年1月1日より前に開始した相続の相続税申告・修正申告をしたい人
  • 申告書提出義務者が申告期限前に死亡し、「第1表の付表1」の提出が必要な人

それぞれについて解説します。

Macではe-Tax上で申告書を作成できない|送信のみ対応可能

国税庁提供のソフトで相続税申告書を作成する場合は、インストール版のe-Taxソフトを使用します。

Macではe-Taxソフトを使って相続税申告書を作成できません。ただし、民間の税務会計ソフトで作成した申告データであれば、Macからe-Taxソフト(WEB版)を使って送信できます。

スマホだけでe-Taxの相続税申告はできない

e-Taxソフト(WEB版)はスマートフォンやタブレットにも対応していますが、相続税の申告書そのものを新規作成する機能はありません。

相続税の申告書は、国税庁提供の「e-Taxソフト」(Windows専用)または民間の税務会計ソフトで作成する必要があるため、スマートフォンやタブレットだけで申告書の作成・送信を完結させることはできません。

ただし、スマートフォンを使うタイミングもあります。マイナンバーカードの電子証明書をスマートフォンで読み取ることです。

相続税の申告書を「e-Taxソフト」で一から作成するには、Windowsが動作するパソコンが必要です。

ただし、民間の税務会計ソフトで作成した申告データを送信するだけであれば、Mac対応の「e-Taxソフト(WEB版)」を利用できます。

2019年1月1日より前に開始した相続の相続税申告・修正申告はできない

e-Taxでは、2019年1月1日より前に開始した相続に関する相続税申告、修正申告はできません。

e-Taxによる相続税申告の受付は2019年10月1日に開始されましたが、対象となるのは2019年1月1日以後に開始した相続だからです。

申告書提出期限前に申告書未提出のまま死亡した場合はできない

相続税の申告書を提出すべき人が、申告期限前に死亡してしまうケースがあります。この場合、当初の申告書提出義務を承継した人が代わりに申告することになりますが、この手続きに必要な「第1表の付表1(納税義務等の承継に係る明細書)」はe-Taxに対応していません。

このケースに該当する場合は、イメージデータ(PDF)での提出もできないため、申告書一式を書面で提出する必要があります。

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e-Taxで相続税をネット申告するときの注意点

便利な点が多い相続税の電子申告ですが、注意点もあります。結果的に思っているより手間がかかるということもあるので、確認していきましょう。

財産評価は自動計算されないので別途算定が必要

e-Taxソフトには様式間の自動転記や合計額の計算など一定の自動計算機能はありますが、財産の評価額や各種控除・特例の適用可否といった判断は利用者自身が行う必要があります。

そのため、評価額の算定には手計算や相続税の計算ソフトを別途活用したうえで、結果をe-Taxに入力していく流れになります。

そのため、手計算やほかの相続税を計算できるソフトで課税価格や相続税額を計算した後に、計算結果をe-Taxに記入していく必要があります。

所得税の申告については自動的に計算してくれる機能がついているので、同じような感覚で相続税の計算も出来ると考えている場合には注意が必要です。

添付書類が容量超過の場合は別途提出が必要

e-Taxでは添付書類もネット上で送信できますが、1回で送信できるファイルの容量の上限は14MBです。2種類の提出方法を併用することで最大11回の送信が可能となり、合計154MBまで対応できます。

必要書類の容量がこの範囲内に収まらなかった場合には、DVDなどの光ディスクに記録して税務署に提出する方法があります。

複数の相続人でまとめて申告は原則不可

紙で相続税申告をするなら、一枚の申告書で、相続人全員が共同で手続きすることも可能です。e-Taxでは、財産取得者本人が自ら電子申告する場合は各々が個別に作成・送信する必要があります。

ただし、税理士等が代理送信する場合は、複数の財産取得者の申告データをまとめて送信することも可能です。

場合によっては相続人全員でまとめて紙で申告した方が、かえって楽な場合もあるでしょう。

なお、相続人の中でe-Taxで申告する人と紙で申告する人の両方がいても問題ありません。

個人での申告は計算の知識が必要

e-Taxはあくまで申告書を提出する手段なだけで、相続税の計算は自分でしなければなりません。相続税の計算は、土地の評価(路線価方式・倍率方式)、各種控除・特例の適用判断、法定相続分に応じた按分計算など、専門知識が求められる作業です。

特に、土地を含む相続では評価額の算定ミスが最も起きやすく、結果として過大申告・過少申告につながるリスクがあります。預貯金や有価証券のみの場合は個人で対応できるケースもありますが、不動産が含まれる場合は税理士への依頼を検討することをお勧めします。

「自分で申告してみようと思っているが、何から手をつければよいかわからない」という方も、まずは税理士への無料相談を活用してみてください。

アトム相続税理士事務所は、相談予約の受け付けを24時間365日いつでも対応中です。気軽にお問い合わせください。

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e-Taxで相続税を申告するときの手順

ここでは、国税庁提供の「e-Taxソフト」を使って申告書を一から作成する場合の手順を、大きく5ステップに分けて説明します。民間の税務会計ソフトで作成したデータを送信する場合は、ソフトの操作方法に従ってください。

  1. 電子証明書を取得する
  2. e-Taxの開始届出書を提出し、利用者識別番号を取得する(利用者識別番号がない場合)
  3. e-Taxソフトをインストールする
  4. 相続税の申告書を作成する
  5. 電子署名をして送信する

それでは1ステップずつ確認していきましょう。

1.  電子証明書を取得する

電子証明書は書類データの作成、送信元が利用者本人かどうかを確認するために用いられます。

マイナンバーカードがあれば、カードリーダーやスマートフォンでの二次元バーコード読み取りで対応可能です。

マイナンバーカードを持っていない場合は「国税庁|電子証明書の取得」で紹介されている機関から、電子証明書を取得する必要があります。

2. e-Taxの開始届出書を提出し、利用者識別番号を取得する

e-Taxで相続税の電子申告を行うためには、「利用者識別番号」も取得する必要があります。利用者識別番号はなりすましを防止する目的で税務署が発行している16桁の番号です。

利用者識別番号は、以下のいずれかの方法で管轄する税務署に「開始届出書」を提出すると発行してもらえます。

  • 税務署に書面で提出:最速1週間で利用者識別番号が郵送される
  • e-Taxを使ってインターネットで提出:利用者識別番号の通知もオンラインで届く

なお、すでに所得税の申告などで利用者識別番号を取得している場合は、再び発行手続きをする必要はありません。

3. e-Taxソフトをインストールする

国税庁のホームページでe-Taxソフトをダウンロードします。e-Taxソフトには、「e-Taxソフト」と「e-Taxソフト(Web版)」との二種類があります。相続税の申告を行う場合は、「e-Taxソフト」をダウンロードしましょう。

なお、利用環境の条件は「国税庁|e-Taxのダウンロードコーナー」を、e-Taxソフトのダウンロードは「国税庁|e-Taxソフトについて」を参考にしてください。

4. 相続税の申告書を作成する

e-Taxソフトのインストールが完了したら、相続税の申告書を作成します。作成の手順は以下の流れで進むことが多いです。一つずつ確認していきましょう。

(1)第9表から第15表

まずは個別の計算や明細となる第9表から記入していきます。現金や保険金、不動産など、各相続財産の内容と評価額をすべて一覧にして計算します。

(2)第1表、第2表

課税価格や納税額などの最終結果を記入していきます。第9表から第15表をもとに、第1表には各相続人の納税額、第2表には相続税の総額を記入します。

(3)第4表から第8表

第4表から第8表の中で受けられる控除があれば、それを計算します。最後に誰がいくら納税するのかを計算して、第1表に記入して完成です。

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5. 電子署名をして送信する

相続税の申告書が完成したら、すべて作成完了の状態にして電子署名をします。電子署名は「1. 電子証明書を取得する」で取得した電子証明書やマイナンバーカードを使って行えます。

なお、提出先の税務署を選択するときには、「被相続人の死亡時における住所地」を管轄する税務署を選びましょう。相続人の現在の住所地を管轄する税務署ではありません。

また、e-Taxにはほかの相続人が作成した申告書のデータを共有し、参考にしたり、途中から作成したりできる「参照作成機能」があります。参照作成機能を用いると申告書の作成が効率的に行えるため、積極的に活用していきましょう。

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相続税のe-Tax申告についてよくある質問

Q. 相続税のe-Tax申告は個人でもできますか?

個人でも申告できます。ただし、財産評価や特例の適用判断は自分で行う必要があり、専門知識が求められます。

Q. iPhoneやAndroidのスマホだけで相続税をe-Tax申告できますか?

スマートフォンだけで申告書の作成・送信を完結させることはできません。

相続税の申告書は、Windows対応のe-Taxソフトまたは民間の税務会計ソフトで作成する必要があります。

Q. Macでも相続税をe-Taxで申告できますか?

Macからでも相続税をe-Taxで申告できます。ただし、Macでは国税庁のe-Taxソフトを使って相続税申告書を作成できません。民間の税務会計ソフトで申告データを作成し、Mac対応のe-Taxソフト(WEB版)から送信する方法があります。

Q. e-Taxで相続税の共同申告はできますか?

財産取得者本人が自ら送信する場合は、財産取得者ごとに申告書を送信する必要があります。ただし、税理士等が代理送信する場合は、1回の送信で最大9名分の財産取得者の申告をまとめて送信できます。

まとめ

e-Taxでの相続税申告は、相続人が離れているところに住んでいたり、インターネットを活用できる人が多くいたりする場合には、相続人の強い味方になるでしょう。

しかし、相続税の計算を相続人自身でしなければならないなど、インターネット以外の部分でも必要となる知識は多くあります。

電子申告に不安があり、利用を迷っている方は、相続に強い税理士に相続申告書の作成や申告代行を任せることも視野に入れてみてください。

e-Taxの申告手続きに不安がある方、相続税の計算から対応を任せたい方は、まず無料相談を利用してみましょう。

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高部孝之税理士

監修者


高部孝之税理士事務所

税理士高部孝之

2019年税理士試験合格 2020年税理士登録
都内大手税理士法人にて約13年間勤務。資産税部門の責任者などを経て、2024年に独立し浅草にて資産税を強みとする税理士事務所を開業。
専門用語を用いず、平易な言葉で説明することを大切にしており、お客様が親しみやすく相談しやすい税理士を理想としています。

保有資格

税理士・FP技能士1級・相続診断士

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