会社売却後の人生はどうなる?会社売却で経営者・社員等のその後は?
- 会社売却後の人生はどうなる?
- 会社売却で会社や社員のその後はどうなる?
会社売却は、オーナー経営者にとって、人生における大きな節目となる出来事です。
会社売却によって、オーナー経営者は多額の資金を得ることができ、新たな事業への投資や引退後の生活に充てることができます。
会社売却にはこのようなメリットがある一方で、会社を離れて第二の人生を歩むことになるため、不安を感じる・喪失感を抱くといった経営者も少なくありません。
この記事では、会社売却後のオーナーの人生、会社や社員等はその後どうなるのか等について解説していきます。
ぜひ最後までお読みください。
目次
会社売却後の人生はどうなる?
会社売却のきっかけは?その後の人生は?
会社売却のきっかけは、人によって異なります。ですが、会社運営から離れることを考えたときに、会社売却に踏み切る点は共通でしょう。
たとえば、これ以上自身の力では会社の規模を大きくできないと感じた場合に、その事業・会社の経営から離れたいと考えて、第三者に会社を売却するというケースもあるでしょう。
また、引退をしたくても、後継者がいないようなケースも会社売却を考えるきっかけになります。
ほかにも、会社売却の利益を生活資金として、早期リタイアしたいというケースもあるでしょう。
企業価値が高い会社であれば、売却価額も高額になるため、リタイア後の生活資金の心配がなくなります。
関連記事
会社売却後の人生①プライベートを充実させる
会社売却後の人生として、多くのオーナー経営者が選択するパターンが、プライベートを充実させることです。
会社売却をおこない、株主総会などで正式に退任が決まれば、会社経営から解放されることができます。
会社経営から解放されれば、これまでできなかった趣味や旅行など、プライベートな時間を充実させることができます。
なかには海外移住やされる方や、都会の喧騒から離れて自然豊かな街でスローライフを送る方もいるでしょう。
また時間的な余裕ができるので、ボランティアや社会貢献活動に取り組むこともできます。
会社のオーナー経営者として今までせわしなく働いてきた分、会社売却によりオーナーを退任した後は、余暇を存分に楽しむことができるのではないでしょうか。
会社売却後の人生②役員・顧問として引き続き会社に関わる
会社売却後も、役員や顧問として会社に関わるパターンもあります。このパターンは、会社への愛着が強く、会社に貢献したいというオーナー経営者に向いています。
役員や顧問として会社に関わる場合は、これまでの経験やスキルを活かして、会社に貢献することができます。また、会社経営の経験を活かして、傍らで見守りながら、後継者を育成する役割を担うこともできます。
また、自身としてはすぐにでも会社運営から解放されたいと考えていた場合でも、ロックアップ条項の縛りが生じることもあります。
ロックアップ条項とは、会社運営のノウハウなどの引継ぎのため、M&A成約後も、一定期間、勤務を続けなければならないというものです。この場合、否が応でも引き続き会社に関わる必要があります。
関連記事
会社売却後の人生③新規事業を立ち上げる
会社売却後、新たな事業を立ち上げるパターンもあります。このパターンは、新たなことに挑戦したいという意欲の高いオーナー経営者に向いています。
新たな事業を立ち上げる場合は、これまでの経験やスキルを活かして、新たなビジネスを展開することができます。また、新たな事業を通じて、社会に貢献することもできます。
経営から完全に離れるつもりで、会社売却をおこない、アーリーリタイアしたけれども、やっぱり新規事業の立ち上げにチャレンジしたくなったというケースもあるでしょう。
ただし会社売却をした場合、最終合意書には競業避止義務が規定されていることが多いものです。
競業避止義務がある場合、一定期間は、同種の業務や、同業他社に役務提供ができないなどの制限があるので、注意が必要です。
新規事業立ち上げとまではいかなくても、貯蓄や投資以外で収入を得ることや、孤独感を味わうことがないように、社会に出て働き続ける方も多いようです。
会社売却のその後はどうなる?
会社売却のその後、会社はどうなる?
会社売却後、会社は買い手側の経営方針に従って運営されることになります。
そのため、経営方針や社風、事業内容などに変化が生じる可能性があります。
具体的には、以下のようなものが挙げられます。
会社売却後の会社のその後
- 経営方針の変更
- 社風の変化
- 事業内容の拡大・縮小
- 新規事業の立ち上げ
- 人員の増減 etc.
また、会社売却によって、買い手側のグループ会社として統合される場合もあります。この場合、会社名やロゴ、営業拠点などが変更される可能性があります。
会社売却のその後、役員はどうなる?役員報酬は?
会社売却後、役員の地位や役割も変化する可能性があります。
具体的には、以下のようなものが挙げられます。
会社売却後の役員のその後
- 役職の変更
- 報酬の減額
- 退職の勧告
また、役員報酬は、会社売却によって変化する可能性があります。具体的には、以下のようなものが挙げられます。
役員報酬の見直し
- 固定給の減少
- インセンティブの見直し
- 退職金の減額
会社売却のその後、従業員はどうなる?
会社売却後、従業員の雇用も維持される可能性があります。
ですが、場合によっては、人員の削減や雇用形態の変更などの影響を受けるかもしれません。
具体的には、以下のようなものが挙げられます。
会社売却後の従業員のその後
- 雇用の維持
- 人員の削減
- 雇用形態の変更
- 勤務地の変更
- 給与の減額
関連記事
会社売却のその後、取引先はどうなる?
買い手側の意向
会社売却後であっても、買い手企業としては、取引先との契約は継続したいと思うのが一般的です。
買い手企業は、売り手企業の事業内容に魅力を感じて、会社売却に応じるものです。
そのため、通常であれば、買い手企業側から取引先を切ることは基本的には考え難いものでしょう。
とはいえ、社会情勢や財務状況等によっては、今後の取引がどうなるかは確約できません。
具体的には、以下のような変化も考えられます。
会社売却後の取引先のその後
- 取引先の変更
- 取引条件の変更
- 取引の停止
取引先の意向
一方、取引先としては、売り手企業との取引について、経営者の人柄を理由に取引をしていた可能性があります。経営者が変更になる場合、取引をやめると言われてしまう可能性もあるでしょう。
また、取引先にとっては、会社売却の知らせは寝耳に水で、その後どうなるのか非常に不安に思うことでしょう。
そのため取引先には、少なくとも、会社売却について十分な説明をおこなう必要があるといえます。
会社売却のその後の注意点?デメリットとは
会社売却には、「売却資金を得られる」「後継者不足の解決」などのメリットがある一方、注意すべきポイントも多いです。
ここでは、会社売却後の注意点・デメリットについて解説します。
会社売却による寂しさを感じる
オーナーが感じる寂しさ
会社売却は、オーナー経営者にとって、人生における大きな節目となる出来事です。会社を離れて第二の人生を歩むことになるため、不安を感じる社長・喪失感を抱く経営者も少なくありません。
特に、会社経営に長年携わってきたオーナー経営者の場合、会社を自分の分身のように感じている場合もあります。そのため、会社売却によって、会社から離れることに寂しさを感じる人が多いようです。
会社売却によって、これまでの仲間や関係者と離れることになる場合もあります。そのため、人間関係の変化による寂しさや孤独感を感じる人もいるでしょう。
この場合、新たな目標や趣味をもったり、社会とのつながりを何らかのかたちで保つとよいでしょう。
相続人が感じる寂しさ
突然の不幸で親の会社を相続することになった場合に、自身が経営の右も左も分からない状態なのであれば、会社をたたむか、第三者に会社を譲るという選択肢に絞られるでしょう。
そして、会社を残したいと思う場合は、必然的に、第三者に譲るという選択肢一択となります。
しかし、第三者に会社売却をした場合は、親の大切な会社が他人の手に渡ってしまったことについて、喪失感を覚えるかもしれません。
統合プロセス(PMI)に気を配る必要性
会社売却後、買い手側と売り手側の会社は、統合プロセス(PMI・ポスト・マネジメント・インテグレーション)と呼ばれるプロセスを通じ、一つの会社として統合されます。
PMIでは、両社の経営方針や社風、組織体制、業務プロセスなどを統合する必要があります。
このプロセスがうまくいかないと、従業員のモチベーションの低下や、社員の不満につながる可能性があります。
そのため、会社売却後には、PMIを適切に進めることが重要です。PMIの進め方については、専門のコンサルタントなどに相談するという対応も考えられます。
またPMIの一環として、ロックアップ条項が効力を生じることも多々あります。
そのため、すぐには会社経営から離れられない可能性があるということを、覚悟しておく必要があります。
関連記事
社員の冷遇・モチベーションの低下
会社売却後、従業員の立場や待遇が大きく変化する可能性があります。そのため、従業員の冷遇やモチベーションの低下が起こる可能性があります。
特に、以下のようなケースでは、従業員の冷遇やモチベーションの低下が起こりやすいです。
- 経営方針や社風が変わった場合
- 新たな役割や仕事内容が求められた場合
- 収入が減少した場合
- 左遷・転勤させられた場合
- 他社に買収されることを教えてもらえず疎外感をいだいた場合
従業員の処遇に関する対策
従業員の冷遇を防ぐには、TOP面談や条件交渉の際に、買い手企業との交渉が必要となるでしょう。
社員の処遇については、全従業員の雇用継続、全従業員の処遇(役職・給与)の継続を求めて、交渉をおこないます。
これらについては、成約時に締結する最終契約書にも落とし込んでおく必要があります。
モチベーション維持の対策
モチベーションの低下を防ぐためには、適切なタイミングでの情報開示が必要と言えるでしょう。
M&Aの情報を従業員に開示するタイミングは、M&Aの実行直後が一般的です。そして、とくに幹部や古株の社員には、迅速かつ丁寧な説明が必要となるでしょう。
とくに古参社員は会社の功労者であり、思い入れも他の社員より強いものなので、社長が自社の買収に応じたという事実は、非常にショックなことで、辞めてしまうケースもあります。
しかし、古参社員については、クロージング後の経営統合を図る場面で力を発揮してもらう必要があります。
また、買い手企業から「役員が退職していない」ことをクロージングの前提条件として提示されることもあります。この場合、役員が退職してしまうとM&Aが中止になるおそれがあるので、退職しないよう引き留める必要があります。
会社売却後の人生を充実させるには?
会社売却は、オーナー経営者だけでなく、会社、役員、従業員、取引先など、多くの利害関係者(ステークホルダー)に影響を与える重要な出来事です。
会社売却を検討しているオーナー経営者は、これらの影響について十分に理解した上で、決断を下すことが大切です。
中小企業のオーナーが後継者不在の場合、従業員の雇用の維持という課題もあるでしょう。会社を廃業すれば、取引先の経営に影響がおよぶことも予想されるケースもあります。
これらの課題を解決するために、会社売却を決めた場合は、会社にかかわる人たちそれぞれにとって良いM&Aとなるよう、条件交渉やPMIに努めることが必須といえるでしょう。
ただし、これらは会社売却先が見つかってからのこと。まずは買い手を探さなければなりません。
株式が非公開の場合は、市場取引がされていないので、上場会社の株取引よりも難しい傾向があります。
効率よく買い手を探すには、早期にM&A仲介会社に相談・依頼することも検討してみましょう。