中足骨骨折の後遺障害とは?リスフラン関節脱臼骨折もあわせて解説

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岡野武志弁護士

監修者:アトム法律事務所 代表弁護士
岡野武志

交通事故で足を踏みつけられたり捻ったことで中足骨骨折やリスフラン関節脱臼骨折を負うことがあります。

足の甲に位置する中足骨やリスフラン関節を損傷した場合、痛みやしびれなどの神経障害、歩行が困難になる運動障害で後遺障害認定を受けられる場合があります。

今回は、足の甲のケガである中足骨骨折やリスフラン関節脱臼骨折の症状、治療方法、認定される可能性のある後遺障害等級を慰謝料の相場と併せて解説します。

中足骨骨折の症状と治療

中足骨骨折とは?

中足骨(ちゅうそくこつ)骨折とは、足の甲を骨折することです。

中足骨とは、足の甲にある骨で、指の骨につながる5本の細長い管状骨で構成されています。

中足骨骨折を負った場合、複数の中足骨が折れていることが多いです。

また、足首の捻挫に伴って小指側の第五中足骨が折れる「第五中足骨骨折」を負うこともあります。

足首周りの骨や関節の一覧表

骨・関節位置関係
脛骨(けいこつ)膝から足首までの2本の骨の、太いほうの骨
腓骨(ひこつ)膝から足首までの2本の骨の、細いほうの骨
距骨(きょこつ)足首を支え、足首の関節を構成する骨
外果(がいか)足首の外側にある骨
踵骨(しょうこつ)足のかかとの骨
中足骨(ちゅうそくこつ)足の甲にある骨
リスフラン関節足の甲の関節

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中足骨骨折の原因

交通事故で転んだはずみで足を内側へひねってしまい、中足骨骨折を負うことがあります。

また、自転車のタイヤに足を踏みつけられて中足骨骨折を負うケースもあります。

中足骨骨折の症状

足首骨折の症状

中足骨骨折の症状として、足の痛みのほか、腫れや皮下出血を伴うこともあります。

中足骨の治療

骨折が軽度の場合は、ギプスや装具固定によって治療が可能です。

ただし、骨折がひどい場合は、手術が必要になることもあります。

リスフラン関節脱臼骨折の症状

リスフラン関節脱臼骨折とは?

交通事故による中足骨に関係するケガとして、リスフラン関節脱臼骨折を負うこともあります。

リスフラン関節脱臼骨折は、足の人差し指と足の後方部をつなぐ中足骨が折れて脱臼、分離している症状です。

リスフラン関節脱臼骨折の原因

中足骨骨折同様、足がタイヤに踏みつけられたり転倒して足を曲げたりした際にリスフラン関節脱臼骨折を負うことがあります。

リスフラン関節脱臼骨折の症状

リスフラン関節脱臼骨折の症状として痛みと腫れが生じ、足の裏にあざができるケースも見られます。

リスフラン関節脱臼骨折の治療

転位(ずれ)がほとんどない場合は、ギブスや装具で固定する保存療法を行います。

転位が大きく症状が重い場合、脱臼した骨が元の位置に戻るようスクリューや金属プレートで固定する手術を行います。

中足骨骨折の後遺障害

中足骨骨折の後遺症が後遺障害と判断されるための方法

中足骨骨折によって後遺症を負った場合、後遺障害の認定を受けられる可能性があります。

いずれかの後遺障害等級が認定されれば、後遺障害慰謝料や逸失利益を請求することができます。

後遺障害認定を受けるには損害保険料率算出機構の審査を通る必要があります。

後遺障害の審査を受ける方法には、事前認定被害者請求の2つの方法があります。

前者の事前認定は、被害者が用意する後遺障害診断書以外の必要な書類を加害者側の保険会社が用意する方法です。

事前認定の流れ

後者の被害者請求は、後遺障害認定に必要な書類を被害者側がすべて用意し、審査機関に提出する方法です。

被害者請求の流れ

事前認定の方が被害者側の資料収集の負担は減りますが、より高額の慰謝料額を請求できる等級での認定をめざすのであれば被害者請求がおすすめです。

弁護士に示談交渉を依頼すれば、後遺障害認定に必要な書類の準備も任せることができるため、被害者請求であっても被害者側の負担を軽減させることが可能です。

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中足骨骨折で認められる後遺障害の内容、慰謝料相場

中足骨骨折の後遺症として運動障害(機能障害)、神経障害を負ったことで後遺障害認定を受けられる可能性があります。

運動障害(機能障害)|足首が以前のように動かせない

中足骨骨折の後遺症として運動障害(機能障害)を負った場合、後遺障害8級7号、10級11号、12級7号に認定される可能性があります。

運動障害(機能障害)とは、中足骨骨折によって足首の可動域が制限されてしまい、事故以前と比べてうまく足を動かすことができない状態を指します。

具体的には、歩行や階段をつかうことが困難になるといった症状がみられます。

中足骨骨折による運動障害の認定基準

等級認定基準
8級7号ほとんど足首が動かせない
10級11号通常の足と比べて、半分しか動かせない
12級7号通常の足と比べて、4分の3しか動かせない

運動障害の後遺障害慰謝料の相場

等級慰謝料額
8級7号830万円
10級11号550万円
12級7号290万円

神経障害|痛みやしびれが残っている

中足骨骨折の後遺障害として神経障害を負った場合、後遺障害12級13号または14級9号に認定される可能性があります。

神経障害とは、中足骨の骨折に伴って周辺部の神経組織が損傷し、痛みやしびれが残る状態を指します。

距骨骨折による神経障害の認定基準

等級認定基準
12級13号医学的にその原因を説明できる画像所見がある
14級9号事故との因果関係が説明できる神経学的検査の結果がある

神経障害の後遺障害慰謝料の相場

等級慰謝料額
12級13号290万円
14級9号110万円

神経障害によって後遺障害認定されても、12級13号か14級9号か、認定される等級が問題となるケースは少なくありません。

12級と14級の等級の違いは、後遺症の存在が医学的に証明できるかどうかという点です。

レントゲン写真やMRI画像に異常が写っている場合など後遺障害について画像所見があるような場合は、12級13号に認定されます。

一方で、画像所見が明確でなくても、受傷の状況、症状、治療の経過、各種神経学的検査の結果を考慮して神経症状の残存が明らかになれば14級9号に認定されます。

逸失利益の請求も可能

中足骨骨折で後遺障害の認定を受けた場合、慰謝料だけでなく逸失利益も請求することができます。

逸失利益とは、不法行為がなければ本来得ていたはずの利益のことを指します。

今回の場合、不法行為である交通事故がなければ働いて得ることができたはずの収入を指します。

逸失利益については、1年あたりの収入(基礎収入)、後遺障害によって失った労働能力の割合(労働能力喪失率)、労働能力を喪失する期間などの事情を考慮して金額が決定されます。

リスフラン関節脱臼骨折で後遺障害は残る?

リスフラン関節脱臼骨折で後遺症が残った場合、後遺障害4級7号、7級8号、12級13号、14級9号のいずれかに認定される可能性があります。

リスフラン関節では神経症状だけでなく、骨折や脱臼で切断を伴うことも考えられ、症状の程度に応じた、より重い等級で認定されることがあります。

リスフラン関節脱臼骨折の後遺障害の認定基準

等級認定基準
4級7号両足をリスフラン関節以上で失ったもの
7級8号1足をリスフラン関節以上で失ったもの
12級13号局部に頑固な神経症状を残すもの
14級9号局部に神経症状を残すもの

リスフラン関節脱臼骨折の後遺障害慰謝料の相場

等級慰謝料額
4級7号1,670万円
7級8号1,000万円
12級13号290万円
14級9号110万円

中足骨骨折の示談金|慰謝料・休業損害など

中足骨骨折の治療による慰謝料

交通事故で負った中足骨骨折を治療した場合、後遺障害認定の有無に関係なく、入通院慰謝料を請求することができます。

交通事故の入通院慰謝料は、通院・入院の治療期間の長さに基づいて算定されます。
たとえば、中足骨の骨折により入院1ヶ月、通院6ヶ月かかったとき、入通院慰謝料の相場は149万円です。

入通院慰謝料の相場

通院月数入院1ヶ月
3ヶ月115万円
6ヶ月149万円
9ヶ月170万円

入通院慰謝料は、通院期間が長ければ高額になります。

また、入院せず通院のみで治療したケースに比べて、入院もしているケースの方が入通院慰謝料は高額になります。

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中足骨骨折により慰謝料以外も請求できる損害がある

交通事故で中足骨骨折を負った場合、慰謝料以外にも治療費用や休業損害など他に請求できる費用・損害があります。

慰謝料以外で相手側に請求できる財産的損害は、以下のような損害です。

請求可能な損害

  • 治療費用
    治療のために必要となった投薬代・手術代・リハビリ代など
  • 休業損害
    治療のために仕事を休んだことで生じる損害に対する補償
  • 器具購入費用
    松葉づえや補助装具の購入費用。将来の買換え費用も請求が可能
  • 物的損害
    自動車や自転車の修理代金、代車費用など

中足骨骨折の後遺障害は無料法律相談がおすすめ

適正な金額の示談金を得るためにも、まずは弁護士に相談してみましょう。

法律事務所によっては、無料の法律相談を受け付けている事務所もあります。

法律相談では妥当な慰謝料額はいくらか、相手側の提示金額からどのくらい増額できそうか、確認することができます。

また、実際に依頼した際にかかるであろう弁護士費用が過度な負担にならないか、ということもあわせて知ることができます。

弁護士費用は弁護士費用特約により軽減可能

弁護士費用特約とは、弁護士に支払う必要がある相談料や弁護士費用を保険会社が上限額まで代わりに負担してくれるという特約です。

利用しても基本的に保険料が変わらず、多くのケースで上限額内の負担となるので、積極的に利用しましょう。

アトム法律事務所では、無料の法律相談を行っております。
交通事故案件に積極的に取り組んでいるため、経験が豊富な弁護士に、無料で相談を受けることが可能です。

無料相談の受付は24時間対応で行っているので、いつでも気軽にご連絡ください。

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高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。

保有資格

士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士

学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了

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