踵骨骨折の後遺症(後遺障害)とは?慰謝料の相場も解説

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岡野武志弁護士

監修者:アトム法律事務所 代表弁護士
岡野武志

踵骨(しょうこつ)とは足のかかとの骨です。

踵骨骨折では、足が以前のように動かせなくなったり、痛みやしびれといった後遺症が残る可能性があります。

この記事では、踵骨骨折によってどんな後遺症が残りうるのか、後遺症が残った場合にどのような請求が可能となるのかという点を解説しています。

踵骨骨折により生じる損害について適切な損害賠償金額を獲得したいと考えている方は、参考にしてください。

踵骨骨折の症状と治療

踵骨骨折とは?

踵骨(しょうこつ)骨折とは、足のかかとの骨の骨折です。

たとえば、バイクや自転車から転落した際に踵を打ち付けて踵骨骨折が起こります。

足の骨は、踵骨をはじめとして足首の骨(脛骨、腓骨、距骨)や外くるぶしの外果、足の甲の骨(中足骨)によって支えられています。

その中でも、踵骨は重要な骨のひとつで身体全体を支える骨です。

骨折によって強い痛みやしびれを感じるだけでなく、歩行や階段をつかうことが困難になることもあります。

足首周りの骨や関節の一覧表

骨・関節位置関係
脛骨(けいこつ)膝から足首までの2本の骨の、太いほうの骨
腓骨(ひこつ)膝から足首までの2本の骨の、細いほうの骨
距骨(きょこつ)足首を支え、足首の関節を構成する骨
外果(がいか)足首の外側にある骨
踵骨(しょうこつ)足のかかとの骨
中足骨(ちゅうそくこつ)足の甲にある骨
リスフラン関節足の甲の関節

踵骨骨折の治療方法

骨折が軽度の場合は、ギプスや副木固定によって保護します。

踵の骨折が関節内に達している場合、圧壊した踵骨を元に戻すため手術が必要になることもあります。

手術では踵骨専用のプレートでの内固定、スクリューとピンでの内固定といった方法で固定します。

踵骨骨折の治療過程では適切なリハビリも重要です。リハビリによって踵骨の機能回復や筋力強化を目指します。

治療当初は踵に体重をかけないようにし、治療が進むにつれて徐々に体重をかけて歩行できるよう可動域の訓練を行います。

踵骨骨折の後遺症|後遺障害認定の条件

踵骨骨折の後遺症が後遺障害と判断されるための方法

踵骨骨折により後遺症が残った際には、後遺障害認定が受けられないか検討しましょう。

後遺障害の認定を受けると、入通院慰謝料だけでなく後遺障害慰謝料や逸失利益など賠償金を増額できます。

後遺障害認定には自分で必要な書類を集める被害者請求、加害者側の任意保険会社に書類を用意してもらう事前認定の2つの方法があります。

慰謝料増額が見込めるより高い等級をめざすのであれば、必要な書類を自分で用意できる被害者請求がおすすめです。

弁護士に依頼すれば書類準備も任せることができるため、治療や仕事復帰に専念することができます。

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踵骨骨折の後遺障害

踵骨骨折の後遺症として、運動障害(機能障害)、神経障害が残ってしまう場合があります。

運動障害(機能障害)|足首の可動域が制限されたか

踵骨骨折で運動障害(機能障害)が残った場合、後遺障害8級7号、10級11号、12級7号に認定される可能性があります。

運動障害(機能障害)とは、関節が強直して動かなくなったり、麻痺が残った状態のことです。

具体的には、歩行や階段をつかうことが困難になるなど日常生活を送る上で支障が生じます。

踵骨骨折の場合、足関節の可動域が狭くなると症状の程度に応じた等級で後遺障害認定される可能性があります。

踵骨骨折による運動障害の認定基準

等級認定基準
8級7号ほとんど足首が動かせない
10級11号通常の足と比べて、半分しか動かせない
12級7号通常の足と比べて、4分の3しか動かせない

運動障害の後遺障害慰謝料の相場

等級慰謝料額
8級7号830万円
10級11号550万円
12級7号290万円

神経障害|痛みやしびれが残ったか

踵骨骨折で神経障害が残った場合、後遺障害12級13号または14級9号に認定される可能性があります。

神経障害とは、骨折に伴って周辺部の神経組織も損傷したことで、痛みや不快感、しびれ、眩暈、吐き気といった症状が残った状態のことです。

踵骨骨折による神経障害の認定基準

等級認定基準
12級13号医学的にその原因を説明できる画像所見がある
14級9号事故との因果関係が説明できる神経学的検査の結果がある

神経障害の後遺障害慰謝料の相場

等級慰謝料額
12級13号290万円
14級9号110万円

12級13号と14級9号の違いは、画像検査の結果で神経症状が客観的に明らかであるかどうかです。

画像所見で確認できるような頑固な神経症状でなければ、12級13号に認定されません。

ただし、画像所見では明確でなくても、神経学的検査で神経症状の残存が明らかになれば、14級9号認定を受けられる可能性があります。

逸失利益の請求も可能

踵骨骨折による後遺障害認定を受けた場合には、逸失利益についても請求することができます。

逸失利益とは、不法行為がなければ本来得ることができたはずの利益です。

不法行為である交通事故に遭って後遺症を負わなければ、事故以前のように働いて得ることができた逸失利益について請求することができます。

1年あたりどのくらいの年収を得ていたか(基礎年収)、労働能力はどれほど喪失されたか、どのくらいの年数にわたって労働能力喪失が続くかといった事情を考慮して金額が決まります。

保険会社によっては、基礎年収や労働能力喪失率、期間などを低く見積もって金額を抑えた上で示談金を提示してくる場合もあります。

適正な金額を受け取るためにも、逸失利益についても後遺障害等級とあわせて、専門家である弁護士に相談した方がいいでしょう。

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踵骨骨折の示談金|慰謝料・休業損害など

交通事故で踵骨を骨折した場合、後遺障害等級認定の有無に関係なく、入通院慰謝料や休業損害を請求できます。

踵骨骨折の治療による慰謝料

踵骨を骨折した場合、入通院慰謝料を請求できます。

入通院慰謝料とは、交通事故により入院や通院をしたことによって支払われる慰謝料です。

慰謝料とは、不法行為である交通事故に遭ったことで負った精神的負担に対する賠償金のことです。

交通事故の入通院慰謝料は治療期間の長さに基づいて金額を決定します。
たとえば、踵骨の骨折により入院1ヶ月、通院6ヶ月かかったとき、入通院慰謝料の相場は149万円です。

入通院慰謝料の相場

通院月数入院1ヶ月
3ヶ月115万円
6ヶ月149万円
9ヶ月170万円

治療期間が長いほど、入通院慰謝料はより高額となります。

また、入院せず通院だけしていたケースに比べて、入院もしていたケースの方がより入通院慰謝料は高額となります。

踵骨骨折により慰謝料以外も請求できる損害がある

踵骨を骨折した場合、慰謝料だけでなく治療費用や休業損害などの財産的損害についても請求することができます。

交通事故で踵骨骨折を負った場合、以下の損害や費用の支払いを請求することができます。

請求可能な損害

  • 治療費用
    治療のために必要となった投薬代・手術代・リハビリ代など
  • 休業損害
    治療のために仕事を休んだことで生じる損害に対する補償
  • 器具購入費用
    松葉づえや補助装具の購入費用。将来の買換え費用も請求が可能
  • 物的損害
    自動車や自転車の修理代金、代車費用など

無料法律相談で踵骨骨折の後遺症について相談する

適正な慰謝料、示談金を受け取るために、専門家である弁護士に相談し、請求できる慰謝料額や後遺障害認定を受けられるかどうか確認してみましょう。

弁護士に相談するとなると、つい相談料や依頼料が高額になるのではないかと不安に思われるかもしれません。

しかし、弁護士費用特約を使えば金銭的な負担なく弁護士に依頼することができるケースも多いです。

弁護士費用は弁護士費用特約により軽減可能

弁護士費用特約とは、弁護士に支払う必要がある相談料や弁護士費用を保険会社が上限額まで代わりに負担してくれるという特約です。

利用しても基本的に保険料が変わらず、多くのケースで上限額内の負担となるので、積極的に利用しましょう。

アトム法律事務所では、無料の法律相談を行っております。
交通事故案件に積極的に取り組んでいるため、経験が豊富な弁護士に、無料で相談を受けることが可能です。

無料相談の受付は24時間対応で行っているので、いつでも気軽にご連絡ください。

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高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。

保有資格

士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士

学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了

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