交通事故による運動障害の損害賠償請求はいくら?慰謝料請求は弁護士に依頼?
交通事故で運動障害が残った場合、慰謝料や逸失利益の請求が可能です。慰謝料とは、精神的苦痛に対する損害賠償金になります。そして逸失利益とは、運動障害によって今後の収入が減ることへの損害賠償金です。
交通事故による運動障害の慰謝料や逸失利益は、障害の程度や年齢、職業などによって異なります。
この記事では、運動障害が残ったことへの慰謝料や逸失利益といった賠償金の解説と、弁護士に依頼するメリットを中心に解説していきますので、ぜひ最後までお読みください。
目次
交通事故で運動障害が残ったら?
交通事故で運動障害が残ってしまったら、医師の指示のもとで適切なリハビリを受けることが大切です。
X線撮影やCT、MRIなどによる画像検査を受けましょう。こうした画像検査の結果は、損傷個所を視覚的に証明する資料としても有用です。
また、運動障害では可動域の制限が重要な要素なので、適切な方法で可動域検査設けるべきでしょう。
適切なリハビリを行うことで運動機能の回復につながり、後遺症を軽減できる可能性があります。リハビリは早期に始めること、リハビリを継続することが重要です。
こうした治療やリハビリを続けてもなお、交通事故で運動障害が残ってしまった場合は、後遺障害等級認定を受けることも必要です。
また、交通事故の損害賠償請求の助けになれるので、弁護士への相談をおすすめします。
運動障害が残る可能性がある部位と後遺障害等級
交通事故で運動障害が残る可能性のある部位は、「脊柱」、「上肢・下肢」、「目(眼球・まぶた)」が代表的です。部位ごとに、障害の内容と認定される可能性がある後遺障害等級についてみていきましょう。
脊柱の運動障害
脊柱に運動障害が残ると、背骨を曲げにくくなる・脊柱の動きが悪くなるといった状態になります。脊柱の運動障害では、後遺障害6級または8級に認定される可能性があるでしょう。
内容 | |
---|---|
6級5号 | 脊柱に著しい運動障害を残すもの |
8級2号 | 脊柱に運動障害を残すもの |
背骨を骨折する等して、脊柱の運動障害が残るような場合、変形障害や荷重機能障害なども残る可能性があるでしょう。
上肢・下肢の運動障害
上肢・下肢に運動障害が残ると、手足が動かしにくくなる状態になります。上肢・下肢の運動障害では、後遺障害7級に認定される可能性があるでしょう。
内容 | |
---|---|
7級9号 | 一上肢に偽関節を残し、著しい運動障害を残すもの |
7級10号 | 一下肢に偽関節を残し、著しい運動障害を残すもの |
目(眼球・まぶた)の運動障害
目(眼球・まぶた)に運動障害が残ると、眼球がうまく動かせなくなる・まばたきができなくなるといった状態になります。目(眼球・まぶた)の運動障害では、後遺障害11級または12級に認定される可能性があるでしょう。
内容 | |
---|---|
11級1号 | 両眼の眼球に著しい運動障害を残すもの |
11級2号 | 両眼のまぶたに著しい運動障害を残すもの |
12級1号 | 一眼の眼球に著しい運動障害を残すもの |
12級2号 | 一眼のまぶたに著しい運動障害を残すもの |
眼球や瞼に運動障害が残るような場合、視力や視野などにも障害が残る可能性があるでしょう。
交通事故による運動障害の慰謝料・逸失利益はいくら?
運動障害の慰謝料はいくら?
交通事故により運動障害が残ってしまった場合、慰謝料の請求が可能です。もっとも、慰謝料の金額は、運動障害の程度や事故の状況によって異なってきますし、後遺障害等級認定を受けられるかどうかでも変わります。
等級 | 自賠責基準 | 弁護士基準 |
---|---|---|
6級 | 512万円 (498万円) | 1,180万円 |
8級 | 331万円 (324万円) | 830万円 |
()内の金額は2020年3月31日以前の事故に適用
等級 | 自賠責基準 | 弁護士基準 |
---|---|---|
7級 | 419万円 (409万円) | 1,000万円 |
()内の金額は2020年3月31日以前の事故に適用
等級 | 自賠責基準 | 弁護士基準 |
---|---|---|
11級 | 136万円 (135万円) | 420万円 |
12級 | 94万円 (93万円) | 290万円 |
()内の金額は2020年3月31日以前の事故に適用
一般的に、重度の運動障害が残った場合ほど、より高額の慰謝料を受け取ることが可能です。たとえば、運動障害により歩行不能になって後遺障害等級認定を受けられたならば、1,000万円を超える慰謝料を請求できる可能性があります。
ただし、慰謝料の金額はあくまでも目安に過ぎません。最終的な金額は、相手の保険会社との示談交渉で決めていきますが、示談交渉が決裂した場合には最終的に裁判所が決定するものです。
交通事故により運動障害が残ってしまったなら、まずは弁護士に相談しましょう。弁護士であれば、被害者の状況を十分に考慮し、慰謝料の金額を算定します。
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運動障害の逸失利益はいくら?
交通事故により運動障害について後遺障害等級認定を受けることができれば、逸失利益の請求が可能です。
逸失利益とは?
交通事故が起きなかったならば、将来的に労働で得られたであろう収入の減少分
逸失利益の金額は、事故状況や被害者の年齢、職業、交通事故にあう前の年収などに計算されます。一般的に、若い年齢で高収入の職業に就いている場合、逸失利益は高額になる仕組みです。
逸失利益の計算方法は、以下のとおりです。
逸失利益の計算方法
逸失利益=交通事故前の年収×就労可能年数分のライプニッツ係数×労働能力喪失率
それぞれについて、詳細を示します。
- 交通事故前の年収:源泉徴収票や給与明細から判断する
- 就労可能年数:67歳までを就労限界年齢として被害者の年齢との差を用いる
- 労働能力喪失率:認定された後遺障害等級に応じてある程度決まっている
とはいえ、逸失利益の計算方法は、非常に複雑かつわかりにくいものです。弁護士は逸失利益の計算方法を熟知しているので、被害者に応じた適切な金額を請求できます。逸失利益の見積もりと請求は、弁護士に依頼すべきでしょう。
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交通事故による運動障害の損害賠償請求はどのようにすればいい?
交通事故による運動障害の損害賠償を請求する方法
交通事故により運動障害が残ってしまったなら、事故の相手方に損害賠償請求できます。そして、損害賠償請求は、加害者が加入する任意保険会社に対して行うことが多いです。
損害賠償請求をおこなう手順を以下の通り示します。
- 加害者の任意保険会社に連絡する
- 事故の状況を報告する
- 事故による損害を証明する資料を提出する
- 損害賠償額を請求する
加害者の任意保険会社との示談交渉で話がまとまらず、損害賠償金を支払ってもらえない場合は、裁判を起こす必要もあります。
このように、交通事故による運動障害の損害賠償請求は、複雑な手続きを伴うものです。弁護士に依頼することで、損害賠償請求の手続きに関してサポートが受けられます。
交通事故による運動障害の損害賠償請求の注意点
交通事故による運動障害の損害賠償請求を行う際には、以下の点に注意しましょう。
- 損害を証明する資料を揃えること
- 弁護士に相談すること
運動障害という損害が残ったことを証明する資料を揃えることで、損害賠償請求が認められやすくなります。
また、弁護士に相談することで、損害賠償請求について様々なサポートが受けられ、安心につながるでしょう。弁護士は、被害者の代理人として適切な賠償を受けるために尽力します。
交通事故による運動障害についてよくある3つの質問
運動障害の程度や回復の見込みは?
交通事故により運動障害が残ってしまった場合の回復の見込みは、事故の状況や被害者自身の体力、年齢、病歴などによって様々です。
一般的に、重度の運動障害が残ってしまった場合、回復の見込みは低くなります。また、高齢者や持病のある方は、若い健康な人よりも回復が遅くなる傾向といえるでしょう。
運動障害の回復を促進するためには、早期に適切なリハビリを行うことが必要といえます。さらに、リハビリは継続的に実施することが重要です。
運動障害の回復の見込みをより正確に知りたい方は、医師に相談してください。
損害賠償請求を自分でできる?
被害者自身で損害賠償請求をすることは可能です。しかし、交通事故による損害賠償請求は、複雑な手続きを伴うことから、法律の専門家である弁護士に任せることをおすすめします。
自分で損害賠償請求を行う際には、以下の点に留意してください。
ポイント
- 損害賠償請求の期限を守ること
- 損害を証明する資料を揃えること
- 加害者の任意保険会社と交渉すること
- 裁判を起こす場合の準備をすること
損害賠償請求には期限があります。期限を守らないと、損害賠償請求できなくなることがあります。
また、損害を証明する資料を揃えないと、相手方との交渉では損害賠償請求が認められないため、資料の収集には力を入れましょう。
加害者の任意保険会社と交渉する際には、関連する法律を理解していないと不利になることがあります。さらに裁判を起こす際は、訴状の作成や証拠の提出など、複雑かつ手間のかかる準備が必要です。
被害者自身では損害賠償請求を行うことが難しいと感じたなら、早めに弁護士依頼を検討してください。
損害賠償請求を弁護士に依頼するメリットは?
交通事故後の運動障害による損害賠償請求を弁護士に依頼するメリットは、以下のとおりです。
- 損害賠償請求の手続きをサポートしてもらえる
- 被害者に代わって権利を主張し、適切な賠償を目指せる
- 損害賠償請求額を増額できる可能性が高くなる
弁護士は、交通事故の損害賠償請求に関する法律やノウハウをよく知っています。そのため、被害者自身で損害賠償請求の手続きをおこなうより、スムーズに進行可能です。
また、弁護士は、適切な損害賠償額を獲得するために加害者の任意保険会社と粘り強く交渉します。
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アトム法律事務所では、交通事故で運動障害が残った方など、何らかのケガをした被害者に向けて電話・LINEによる無料相談を実施しています。
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高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。
保有資格
士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士
学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了