外果骨折の後遺症|後遺障害の認定基準と慰謝料相場を解説
外果骨折の後遺症として、痛みや腫れ、皮下出血、変形が生じ、歩行が困難になることがあります。
外果骨折の後遺症として運動障害が残った場合、後遺障害等級8級7号、10級11号、12級7号、神経症状が残った場合は12級13号、14級9号のいずれかに認定される可能性があります。
外果骨折の後遺症が残った際の後遺障害慰謝料の相場は110万円〜830万円です。
本記事では、外果骨折の症状や治療、後遺症、慰謝料の相場などについて詳しく解説します。
目次
外果骨折の症状・治療
外果骨折の症状
外果(がいか)とは、膝から足首までの骨である腓骨(ひこつ)下端部分のことであり、外側のくるぶしにあたる骨です。
外果骨折の症状として、痛みや腫れ、皮下出血、変形が生じ、歩行が困難になることが考えられます。
骨・関節 | 位置関係 |
---|---|
脛骨(けいこつ) | 膝から足首までの2本の骨の、太いほうの骨 |
腓骨(ひこつ) | 膝から足首までの2本の骨の、細いほうの骨 |
距骨(きょこつ) | 足首を支え、足首の関節を構成する骨 |
外果(がいか) | 足首の外側にある骨 |
踵骨(しょうこつ) | 足のかかとの骨 |
中足骨(ちゅうそくこつ) | 足の甲にある骨 |
リスフラン関節 | 足の甲の関節 |
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外果骨折の原因
外果骨折の原因として、外果に直接力が加わるだけでなく、足関節を外側へひねることで距骨に押されて外果を骨折することも考えられます。
外果骨折の治療
骨折による転位(ずれ)が少ない場合、徒手整復や外側からの固定など、保存的治療が行われます。
転位が大きい場合は手術をすることも少なくありません。
いずれの治療法でも、治療後は足首の機能や歩行能力の回復にむけてリハビリを行うことになります。
外果骨折の後遺症とは?
外果骨折の後遺障害
外果骨折の後遺症として、足首が以前のように動かせない運動障害や痛みやしびれなどの神経症状が残った場合、後遺障害等級の認定を受けることができます。
後遺障害認定を受けることで、各等級に応じた後遺障害慰謝料を請求できるため、慰謝料や示談金を増額させることができます。
後遺障害認定を受けるまでの流れは、以下の通りです。
後遺障害認定の手続きの流れ
- 入通院治療後、医師から症状固定と診断される
- 医師に依頼して後遺障害診断書を作成してもらう
- 保険会社を通じて、審査機関に申請書類を提出する
- 審査機関で審査が行われ、保険会社を通じて結果が通知される
後遺障害申請を行い、認定基準を満たしたとして審査機関による審査を通過すれば、後遺障害等級は認定されます。
後遺障害が認定されるためには、後遺障害診断書の記載が適切か、認定に必要な検査結果や書類が揃っているか、入念に準備したうえで申請を行わなければなりません。
各等級の認定基準や認定されるための対策を熟知している弁護士に依頼すれば、後遺障害申請手続きを一任でき、後遺障害等級の認定の可能性も高められます。
外果骨折の後遺症①運動障害(機能障害)
外果骨折により、足首の可動域が制限され、事故以前よりも足首が動かしにくくなる運動障害(機能障害)を負うことがあります。
外果骨折の後遺症として、運動障害(機能障害)を負った場合、後遺障害8級7号、10級11号、12級7号に認定される可能性があります。
外果骨折による運動障害の後遺障害慰謝料の相場は、290万円〜830万円です。
等級 | 認定基準 慰謝料額 |
---|---|
8級7号 | 一下肢の三大関節中の一関節の用を廃したもの 830万円 |
10級11号 | 一下肢の三大関節中の一関節の機能に著しい障害を残すもの 550万円 |
12級7号 | 一下肢の三大関節中の一関節の機能に障害を残すもの 290万円 |
後遺障害8級7号の認定基準
後遺障害8級7号の認定基準は、「一下肢の三大関節中の一関節の用を廃したもの」です。
具体的には、以下の条件のいずれかにあてはまる状態です。
- 関節が強直(固まって動かなくなる)したもの
- 関節の完全弛緩性麻痺(自動運動で関節の可動域が健側の可動域角度の10%程度以下となったものを含む)
- 人工関節・人工骨頭を挿入置換した関節のうち、その可動域が健側の可動域角度の1/2以下に制限されているもの
後遺障害10級11号の認定基準
後遺障害10級11号の認定基準は、「一下肢の三大関節中の一関節の機能に著しい障害を残すもの」です。
具体的には、以下のいずれかの条件にあてはまる状態です。
- 関節の可動域が健側の可動域角度の1/2以下に制限されているもの
- 人工関節・人工骨頭を挿入置換したもの
後遺障害12級7号の認定基準
後遺障害12級7号の認定基準は、「一下肢の三大関節中の一関節の機能に障害を残すもの」です。
具体的には、関節の可動域が健側の可動域角度の3/4以下に制限されている状態です。
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外果骨折の後遺症②神経症状
外果骨折によって、外果の周りの神経が損傷し、痛みやしびれなどの神経症状が残ることがあります。
外果骨折の後遺症として神経症状が残った場合、後遺障害12級13号あるいは14級9号に認定される可能性があります。
外果骨折による神経症状の後遺障害慰謝料の相場は、110万円〜290万円です。
等級 | 認定基準 慰謝料額 |
---|---|
12級13号 | 局部に頑固な神経症状を残すもの 290万円 |
14級9号 | 局部に神経症状を残すもの 110万円 |
2つの等級の違いは、後遺症が存在していることが画像診断から明らかであると医学的に証明されるか、という点です。
CTやMRIでの画像所見で異常が認められる場合は12級13号に認定されます。
そうでなくても事故状況・治療の経過・神経学的検査の結果などから考えて後遺症の存在を説明できるような場合は、14級9号に認定されます。
外果骨折の後遺障害慰謝料
外果骨折の後遺障害慰謝料の相場は、110万円〜830万円です。
ただし、各等級の相場は弁護士や裁判所が用いる弁護士基準によって算定された金額であり、相手側の保険会社から提示される金額とは異なります。
慰謝料算定の3基準
- 自賠責基準
加害者側の自賠責保険から支払われる慰謝料の算定基準。自賠責保険会社は最低限の補償をするので、最低限の金額となる。 - 任意保険基準
加害者側の任意保険会社が用いる慰謝料の算定基準。自賠責基準に少し上乗せした程度であることが多い。 - 弁護士基準(裁判基準)
弁護士や裁判所が用いる慰謝料の算定基準。過去の判例にもとづいた法的正当性の高い基準。
後遺障害等級の認定後に、相手側の任意保険会社が自社独自の基準である任意保険基準に基づいて算定し、提示する金額は弁護士基準よりも低い傾向にあります。
適正な金額を受け取るためには、提示額が相場の額といえるか、増額の見込みがないか見極めたうえで保険会社と増額交渉をする必要があります。
後遺症に悩みながら、多くの自動車保険にかかわる交通事故を日々扱っている保険会社を相手に交渉することは簡単なことではありません。
交通事故を専門分野とする弁護士に依頼すれば、被害者は治療や職場復帰に専念しながら、保険会社相手でも有利に交渉を進められることが期待できます。
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外果骨折の逸失利益
外果骨折の後遺症が残ったとして後遺障害認定を受けた場合、逸失利益を請求することもできます。
逸失利益とは、交通事故による後遺症がなければ将来にわたって得られるはずの利益のことを指します。
逸失利益は、1年あたりの収入(基礎収入)、後遺症によって失った労働能力の割合(労働能力喪失率)、労働能力喪失が続く期間など様々な事情を考慮して金額を算定します。
逸失利益は、将来にわたって得られるはずの収入という性質上、非常に高額になるケースも少なくありません。
その分、保険会社側の負担も大きくなるため、基礎収入や労働能力喪失率を低く見積もったり、後遺症があっても収入は減っていないなど様々な主張をして減額しようとしてきます。
たとえ後遺障害等級が認定されても、逸失利益も後遺障害慰謝料と同じく、相手側の保険会社は相場よりも低く算定する傾向にあります。
より高い金額で示談金を受け取れるようにするためには、保険会社の主張に対して法的根拠に基づいて適切に反論する必要があります。
過去の判例も熟知している弁護士であれば、保険会社相手でも臆することなく専門家として説得力のある主張が可能です。
外果骨折の後遺症で請求できる示談金
外果骨折の入通院慰謝料
外果骨折で入院・通院を経て治療した際には、後遺障害認定の有無に関係なく、入通院慰謝料を請求できます。
入通院慰謝料は、入院・通院を余儀なくされるほどの交通事故のケガで負った精神的苦痛に対する賠償金です。
入通院慰謝料は、症状に応じて重傷用と軽症用の2つの算定表を使い分けて算定します。
どちらの算定表も治療期間が長いほど慰謝料もその分増額されます。
また、同じ治療期間でも通院のみで治療したケースに比べて、入院も経て治療した方が入通院慰謝料も高額になります。
外果骨折で請求できる示談金の内訳
交通事故で外果骨折を負った際に請求できる費用・損害は、慰謝料や逸失利益だけではありません。
相手側に請求できる示談金の内訳は、以下の通りです。
- 治療費:治療のために必要となった投薬代・手術代・入院費用など
- 休業損害:治療のために仕事を休んだことで生じる減収に対する補償
- その他:治療のために必要であった交通費、付添費用など
- 物的損害:自動車や自転車の修理代、代車費用など
交通事故後、しばらくすると相手側の保険会社からこれらの損害額や算定根拠、支払い予定の示談金額が記載されている示談書(免責証書)が届きます。
ただし、慰謝料以外の損害についても保険会社と弁護士で算定根拠や算定方法が異なることがあるため、相場となる示談金額が実際にはいくらか把握しておく必要があります。
弁護士に示談書を見せれば、事故状況や症状の程度も考慮して相場はいくらになるのか、計算してもらえるので、今後の増額交渉の方針を立てやすくなります。
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弁護士事務所によっては、無料相談を受け付けている事務所もあるので、弁護士に依頼することにメリットがあるのか、ご確認いただけます。
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- 加害者側の保険会社との連絡を一任できるので、治療や職場復帰に専念できる
- 後遺障害等級の認定に向けて必要な資料の収集や申請手続き、十分な対策を立ててもらえる
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高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。
保有資格
士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士
学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了