腓骨骨折の後遺症とは?後遺障害等級と慰謝料相場
腓骨(ひこつ)とは膝から足首までの2本の骨の、細いほうの骨です。
腓骨の骨折では、痛みやしびれといった神経障害だけでなく足が以前のように動かせない運動障害などの後遺症が残る可能性があります。
この記事では、腓骨の骨折によってどんな後遺症が残りうるのか、後遺症が残った場合にどのような請求が可能となるのかという点を解説しています。
目次
腓骨骨折の症状と治療
腓骨骨折とは?
腓骨(ひこつ)骨折とは、膝から足首まで伸びる骨である腓骨を骨折することを指します。
腓骨(ひこつ)とは、膝から足首までの2本の骨の、細い方の骨です。
太い方の骨の脛骨(けいこつ)が身体の内側にあるのに対して、腓骨は足の小指側、脛骨の外側に位置しています。
足首周りの骨や関節の一覧表
骨・関節 | 位置関係 |
---|---|
脛骨(けいこつ) | 膝から足首までの2本の骨の、太いほうの骨 |
腓骨(ひこつ) | 膝から足首までの2本の骨の、細いほうの骨 |
距骨(きょこつ) | 足首を支え、足首の関節を構成する骨 |
外果(がいか) | 足首の外側にある骨 |
踵骨(しょうこつ) | 足のかかとの骨 |
中足骨(ちゅうそくこつ) | 足の甲にある骨 |
リスフラン関節 | 足の甲の関節 |
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腓骨骨折の原因
腓骨は、すねの外側を強打したり、足関節を捻った際に折れることがあります。
また、腓骨を骨折した際、同じくすねの骨である脛骨(けいこつ)も骨折することも多いです。
腓骨骨折の症状
腓骨骨折によって強い痛みを感じて歩行が困難になるケースがあります。
一方で、体重の大部分を支えているのは太い方の骨の脛骨なので、腓骨だけを骨折しても症状によっては歩行することができるケースもあります。
また、強い痛みを感じる場合、腓骨だけでなく脛骨や靭帯を損傷していることもあります。
腓骨骨折の治療方法
骨折が軽度の場合は、ギプスや副木固定によって保存療法することになります。
一方、転移(ずれ)が大きく骨折がひどいような場合は、プレートやボルト、銅線で固定する手術が必要になることもあります。
腓骨骨折の治療過程では固定後の適切なリハビリも重要です。リハビリによって腓骨の機能回復や筋力強化を目指します。
固定している間は関節や筋肉が固まってしまってうまく動かせないこともあり、治療経過にしたがって徐々に体重をかけて歩行ができるよう訓練することになります。
腓骨骨折の治療期間
腓骨骨折による転移がほとんどなくギブスによって保存療法をした場合、約1ヶ月半で骨が癒合します。
ただし、腓骨骨折では手術を必要とするケースも少なくなく、完治するには約3ヶ月ほど時間を要します。
腓骨骨折の後遺症|後遺障害認定が必要
腓骨骨折の後遺症が後遺障害と判断されるための方法
腓骨骨折によって後遺症を負った際には、後遺障害認定を受けられる可能性があります。
後遺障害の認定を受けることで、後遺障害慰謝料や逸失利益を請求することができます。
後遺障害認定を受けるうえで、事前認定と被害者請求の2つの方法があります。
事前認定とは後遺障害の認定に必要な書類を加害者側の保険会社が準備をして審査を受ける方法です。
一方で、被害者請求とは後遺障害認定に必要な書類を被害者自らが準備をして審査を受ける方法です。
一見すると、事前認定の方が被害者側の負担が軽いように思えますが、適切な等級での後遺障害認定を受けたい場合は自分で資料を用意できる被害者請求がおすすめです。
弁護士に相談すれば、書類の準備も依頼することができるので、被害者請求であっても被害者側の負担も軽くした形で審査を受けることができます。
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腓骨骨折で認められる後遺障害の内容と慰謝料の相場
腓骨骨折の後遺症として運動障害(機能障害)、神経障害を負ったとして、後遺障害認定を受けられる可能性があります。
運動障害(機能障害)|足が以前のように動かせない
腓骨骨折によって運動障害(機能障害)を負った場合、後遺障害8級7号、10級11号、12級7号に認定される可能性があります。
運動障害(機能障害)とは、交通事故によって足関節の可動域が狭くなり、事故以前のように足をうまく動かすことができないことを指します。
具体的には、運動障害によって歩行や階段をつかうことが困難になっているような状況です。
腓骨骨折による運動障害の認定基準
等級 | 認定基準 |
---|---|
8級7号 | ほとんど足首が動かせない |
10級11号 | 通常の足と比べて、半分しか動かせない |
12級7号 | 通常の足と比べて、4分の3しか動かせない |
運動障害の後遺障害慰謝料の相場
等級 | 慰謝料額 |
---|---|
8級7号 | 830万円 |
10級11号 | 550万円 |
12級7号 | 290万円 |
神経障害|痛みやしびれが残っている
腓骨骨折によって神経障害を負った場合、後遺障害12級13号または14級9号に認定される可能性があります。
神経障害とは、骨折に伴って周辺部の神経組織が損傷し、痛みやしびれが残ってしまう症状のことです。
腓骨骨折による神経障害の認定基準
等級 | 認定基準 |
---|---|
12級13号 | 医学的にその原因を説明できる画像所見がある |
14級9号 | 事故との因果関係が説明できる神経学的検査の結果がある |
神経障害の後遺障害慰謝料の相場
等級 | 慰謝料額 |
---|---|
12級13号 | 290万円 |
14級9号 | 110万円 |
後遺障害を認定するうえで12級13号か、14級9号が認定されるのか、認定される等級の違いは、交通事故の代表的なケガともいえるむちうちの後遺障害認定でも争点となりやすいです。
12級になるか14級になるかは、後遺症の存在が医学的に証明できるかどうかに左右されます。
本来、痛みやしびれは自分しか知覚することが難しい症状です。
そのような性質をもつ神経障害について、画像所見でも明らかなほど重い症状と判断されれば、12級13号に認定されます。
画像所見で神経症状が明らかでなくても、受傷の状況、症状、治療の経過、各種神経学的検査の結果から後遺症が発生していると説明できる場合には14級9号に認定されます。
逸失利益の請求も可能
腓骨骨折による後遺障害認定を受けた場合、逸失利益も請求することができます。
逸失利益とは、不法行為がなければ本来得られていたはずの利益のことです。
今回のケースでは、不法行為である交通事故がなければ本来、後遺障害なく働いて得られたはずの利益を請求することができます。
逸失利益は、1年で得られていた年収(基礎年収)、喪失した労働能力の割合(労働能力喪失率)、労働能力喪失が続くであろう期間(労働能力喪失期間)といった事情を考慮して金額を決定します。
腓骨骨折の慰謝料相場
腓骨骨折を負った場合、後遺障害認定の有無にかかわらず、入通院慰謝料や休業損害などを請求することができます。
腓骨骨折の治療による慰謝料
腓骨骨折を負って治療を受けた場合、入通院慰謝料を請求することができます。
慰謝料とは、不法行為によって受けた精神的損害に対する賠償金です。
交通事故の入通院慰謝料は治療期間の長さに応じて算定します。
たとえば、腓骨の骨折により入院に1ヶ月、通院に6ヶ月かかったとき、入通院慰謝料の相場は149万円です。
入通院慰謝料の相場
通院月数 | 入院1ヶ月 |
---|---|
3ヶ月 | 115万円 |
6ヶ月 | 149万円 |
9ヶ月 | 170万円 |
治療期間が長いほど、入通院慰謝料が高額になります。
また、通院のみで治療したケースに比べて、入院もしたうえで治療していたケースの方がより高額になります。
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腓骨骨折により慰謝料以外も請求できる損害がある
腓骨骨折を負った場合、慰謝料とは別に治療費用や休業損害などの財産的損害、費用なども請求することができます。
腓骨骨折を負った場合、以下のような損害や費用を加害者側に請求することができます。
請求可能な損害
- 治療費用
治療のために必要となった投薬代・手術代・リハビリ代など - 休業損害
治療のために仕事を休んだことで生じる損害に対する補償 - 器具購入費用
松葉づえや補助装具の購入費用。将来の買換え費用も請求が可能 - 物的損害
自動車や自転車の修理代金、代車費用など
腓骨骨折の後遺症は弁護士に無料相談
腓骨骨折で後遺症を負ったのであれば、弁護士に相談してみましょう。
法律の専門家である弁護士であれば、後遺障害認定を受けることができるか、慰謝料や示談金を増額できそうか、適切なアドバイスを提供できます。
弁護士に法律相談するとなると、費用面を不安に思う方もいると思います。
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弁護士費用は弁護士費用特約により軽減可能
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高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。
保有資格
士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士
学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了