1,000万円もらうと贈与税はいくら?非課税にする3つの方法と注意点

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「親からマイホームの頭金として1,000万円を援助してもらえることになった。でも、贈与税はいくらかかるのだろう?」
「将来の相続税対策として、今のうちに1,000万円を子どもに渡したい。一番損をしない方法はどれ?」

1,000万円という大きな金額が動くとき、多くの方が気になるのは「贈与税はいくらかかるのか」という点ではないでしょうか。

実際、1,000万円をそのまま贈与すると、条件によっては200万円前後の贈与税がかかることもあります。一方で、制度を正しく活用すれば、税金を抑えたり、非課税にできるケースもあります。

この記事では、1,000万円の贈与税はいくらかかるのかという基本的な計算から、非課税にできる特例、相続時精算課税や最新の税制改正まで、分かりやすく解説します。

1,000万円の贈与税は?早見表や計算方法

【結論】1,000万円の贈与額はいくら?

1,000万円をそのまま贈与した場合、かかる贈与税は次のとおりです。

1,000万円の贈与税

  • 親や祖父母から18歳以上*の子や孫へ贈与する場合(特例税率):約177万円
    *贈与を受けた年の1月1日時点
  • 兄弟・配偶者・第三者などへの贈与(一般税率):約231万円

贈与税には年間110万円の基礎控除があり、1,000万円を贈与する場合は、「1,000万円 − 110万円 = 890万円」に対して税率がかかります。

しかし、特例贈与か一般贈与かによって適用される税率や控除額が異なるため、贈与税の金額に差が生じています。

贈与税の計算方法

(贈与額 − 110万円)× 税率 − 控除額

※税率と控除額が、特例贈与か一般贈与かで違う

贈与金額1,000万円を含む、贈与税の目安は以下の通りです。

贈与金額特例贈与
親・祖父母→子・孫
一般贈与
兄弟・配偶者など
200万円9万円9万円
300万円19万円20万円
500万円48.5万円53万円
700万円87万円112万円
1,000万円177万円231万円
1,500万円366万円450.5万円
2,000万円585.5万円695万円
3,000万円1,035.5万円1,195万円

特例税率・一般税率の贈与税について、詳しく見ていきましょう。

親・祖父母から18歳以上の子や孫へ贈与する場合(特例税率)

父母や祖父母から18歳以上(贈与を受けた年の1月1日時点)の子や孫へ贈与する場合は、「特例贈与財産」として優遇税率が適用されます。

基礎控除後の課税価格税率控除額
200万円以下10%
400万円以下15%10万円
600万円以下20%30万円
1,000万円以下30%90万円
1,500万円以下40%190万円
3,000万円以下45%265万円
4,500万円以下50%415万円
4,500万円超55%640万円

1,000万円贈与の計算例

  1. 基礎控除を引く:1,000万円 – 110万円 = 890万円
  2. 税率をかけて控除を引く:890万円 × 30% – 90万円 = 177万円

したがって、親から子へ1,000万円を贈与した場合の税額は約177万円です。

兄弟・配偶者などへの贈与(一般税率)

直系尊属以外(兄弟・配偶者・叔父叔母・第三者など)への贈与は、一般税率が適用されます。

基礎控除後の課税価格税率控除額
200万円以下10%
300万円以下15%10万円
400万円以下20%25万円
600万円以下30%65万円
1,000万円以下40%125万円
1,500万円以下45%175万円
3,000万円以下50%250万円
3,000万円超55%400万円

1,000万円贈与の計算例

  1. 基礎控除を引く:1,000万円 − 110万円 = 890万円
  2. 税率をかけて控除額を引く:890万円 × 40% − 125万円 = 231万円

したがって、兄弟や配偶者などへの1,000万円の贈与では、約231万円の贈与税がかかります。

同じ1,000万円でも、親から子への贈与(約177万円)と比べると、約54万円も税額が高くなる点に注意が必要です。

子や孫への1,000万円の贈与を非課税にできる主な方法

通常、子や孫へ1,000万円を贈与すると、約177万円の贈与税がかかります。
しかし、一定の条件を満たせば、この税金を0円にできる制度があります。

ここでは、父母や祖父母などの直系尊属から、18歳以上の子や孫へ贈与する場合に使える主な制度として以下を紹介します。

  • 住宅取得等資金の非課税特例
  • 教育資金の一括贈与
  • 結婚・子育て資金の一括贈与
  • 相続時精算課税制度

税制改正は毎年行われるため、適用期限などが延長・変更される可能性があります。

① 住宅取得等資金の非課税特例(最大1,000万円)

子や孫がマイホームを購入・新築・リフォームするための資金であれば、一定額まで贈与税が非課税になる特例があります。

特に省エネ住宅を取得する場合は、1,000万円の贈与が全額非課税になる可能性があります。

省エネ等住宅とは、一定の断熱性能や省エネルギー性能を満たす住宅のことをいい、具体的には以下の要件などがあります。(令和6年1月1日以降)

  • 断熱等性能等級5以上かつ一次エネルギー消費量等級6以上(ZEH水準)
  • 耐震等級2以上
  • バリアフリー等級(高齢者等配慮対策等級)3以上

【適用対象】

  • 贈与者:父母・祖父母などの直系尊属
  • 受贈者:18歳以上の子や孫

【非課税限度額】

  • 省エネ等住宅:最大1,000万円
  • それ以外の住宅:最大500万円

※贈与時期や住宅性能により変動します。

【最大の注意点】

税額が0円でも、必ず贈与税の申告が必要です。
申告期限(贈与の翌年3月15日)を1日でも過ぎると特例は適用されず、約177万円の贈与税が課される可能性があります。

【適用期限】

  • 令和8年(2026年)12月31日まで

② 教育資金の一括贈与

30歳未満の子や孫の教育費として、信託銀行などに資金を預ける制度です。
ただしこの制度は、令和8年(2026年)3月末で終了となる見込みです。

【適用対象】

  • 贈与者:父母・祖父母など
  • 受贈者:30歳未満の子や孫

【非課税限度額】

  • 最大1,500万円まで

通常の教育費はその都度支払えば非課税ですが、この制度を使えば将来必要になる教育費をまとめて渡すことができます。

贈与した時点で贈与者の財産から外れるため、相続対策として活用されることがあります。

ただし、贈与者死亡時に残高がある場合などは、相続税の対象となることがあります。

【適用期限】

令和8年(2026年)3月31日まで

③ 結婚・子育て資金の一括贈与

18歳以上50歳未満の子や孫の結婚・出産・育児費用に充てる資金を一括で贈与できる制度です。

【適用対象】

  • 贈与者:父母・祖父母など
  • 受贈者:18歳以上50歳未満の子や孫

【非課税限度額】

  • 最大1,000万円
    ※うち結婚資金は300万円まで

なお、贈与者が亡くなった時点で使い切れていない残額は、相続税の対象となります。

【適用期限】

  • 令和9年(2027年)3月31日まで

④ 相続時精算課税制度(2,500万円まで)

住宅や教育など用途が決まっていない場合でも活用できる制度が、「相続時精算課税制度」です。

相続時精算課税制度とは、贈与時には税金をかけず、将来の相続時にまとめて相続税として精算する制度です。

この制度を選択すると、累計2,500万円までの贈与について、贈与時の税金はかかりません。つまり、1,000万円を贈与しても、贈与税は0ということです。

【適用対象】

  • 贈与者:60歳以上の父母・祖父母
  • 受贈者:18歳以上の子や孫

なお、2024年の税制改正により、年間110万円の基礎控除が新設されました。(暦年贈与における贈与税の基礎控除とは別物)

この年間110万円を差し引いた残高が、相続財産に加算されます。

したがって、この制度で1,000万円を一括で贈与した場合、110万円を除いた890万円が、将来の相続税の計算対象になります。

一度相続時精算課税を選択すると、暦年贈与には戻れません。
本当に有利かどうかは、相続税額まで見据えて判断する必要があります。

相続時精算課税は本当にお得?メリット・デメリット

相続時精算課税は「非課税制度」ではなく、「相続税とまとめて精算する制度」です。本当に有利かどうかは、将来の相続税まで見据えて判断する必要があります。

お得かどうかの判断ポイント

相続時精算課税がお得かどうか判断するポイントとして、「将来的に財産の価値がどう変動するか」があります。

相続時精算課税の大きな特徴は、相続税の計算において「贈与した時点の価格」で評価される点にあります。

例えば、現在1,000万円の土地や株をこの制度で贈与し、相続時に2,000万円に値上がりしても、相続税は1,000万円を基準に計算されます。

そのため、将来値上がりが見込まれる財産を早めに移すことで、相続税を抑えられる可能性があります。

一方で、贈与後に財産の価値が下がった場合でも、相続税は贈与時の価格で計算されます。値下がりリスクがある財産には向かない制度といえます。

このように、相続時精算課税は「いつ渡すか」だけでなく、「何を渡すか」によって損得が大きく変わります。

暦年贈与との違い

暦年贈与と相続時精算課税の違いを整理すると、次のとおりです。

項目暦年贈与相続時精算課税
贈与税年間110万円まで非課税累計2,500万円まで非課税
相続財産への加算相続前3~7年以内の分は加算原則すべて加算
(年間110万円分は加算せず)
選択毎年選べる暦年贈与に戻れない

暦年贈与では、毎年110万円の贈与まで贈与税が発生しません。

また、相続前3~7年以内の贈与を除き、相続税の対象になることはありません。

【暦年課税で相続税の対象になる期間】

被相続人の死亡日対象期間
〜2026年12月31日死亡日前3年間
2027年1月〜2030年12月2024年1月1日以降に受けた贈与すべて
2031年1月1日〜死亡日前7年間

※延長された4年間(相続開始前3〜7年前)の贈与については、その4年間の贈与の合計100万円までは持ち戻しの対象外です。

※孫が法定相続人でない場合、その孫への贈与は持ち戻し(7年加算)の対象になりません。
ただし、孫が遺言で財産を取得したり、生命保険金を受け取るなど、相続または遺贈により財産を取得した場合は、加算対象となります。

一方、相続時精算課税の場合は、2,500万円までは一括で贈与しても贈与税は発生しません。

そのため、贈与税の観点で言えば、暦年贈与よりも多くの財産を、まとめて贈与しやすいと言えるでしょう。ただし、贈与した財産は「年間110万円の基礎控除を差し引いた残高」が、相続時に相続財産へ加算されます。

暦年贈与との違いについては、関連記事『相続時精算課税制度と暦年贈与は併用できない|違いや選び方も解説』でも詳しく解説しています。

相続時精算課税のメリット・デメリット

相続時精算課税にはメリットもデメリットもあるため、整理していきましょう。

メリット

  • 1,000万円以上の資金を一度に贈与しやすい(住宅購入資金や事業資金など)
  • 将来値上がりが見込まれる財産(株式・土地など)は相続税対策になりうる

暦年贈与では、毎年110万円を超える贈与に贈与税がかかるため、税金を抑えようと思うと少しずつ贈与することになりがちです。

そのため、1,000万円を一度に贈与したい場合は、相続時精算課税のほうがメリットが大きいでしょう。

また、この制度では、贈与時の価格で相続税が計算されます。
そのため、値上がりが期待できる財産を早めに移すことで、将来の相続税を抑えられる可能性があります。

2024年改正により、年間110万円までの贈与については相続時に加算されなくなった点もポイントです。

デメリット

  • 将来値下がりする可能性のある財産は相続税の計算で不利になる可能性がある
  • 現金のみを贈与する場合は、相続時のメリットが生じにくい

贈与後に財産が値下がりした場合でも、相続税は贈与時の価格で計算されるため、不利になることがあります。

さらに、現金のように価値が変動しない財産の場合、「贈与時の価格で相続税が計算される」ことについてメリットはほとんどありません。
そのため、あえて相続時精算課税を選ぶ必要性は高くないといえます。

1,000万円の贈与で失敗しないための注意点

土地は相続のほうが節税になる場合がある

土地については、相続を選んだほうが有利になるケースがあります。代表的なのが「小規模宅地等の特例」です。

「同居している自宅」「相続人が要件を満たしている」など一定の条件を満たせば、自宅や事業用の土地について最大80%の評価減が認められます。

例えば、評価額1,000万円の土地が、相続では200万円として評価されるケースもあります。

しかし、暦年贈与でも相続時精算課税でも、生前贈与してしまうと、この特例は原則として使えません。

そのため、土地については「贈与よりも相続のほうが有利になる可能性が高い」財産といえます。

小規模宅地等の特例について詳しくは、関連記事『小規模宅地等の特例の要件をわかりやすく解説。計算方法や注意点もわかる』をご覧ください。

家族間トラブル(遺留分)への配慮

1,000万円を特定の子どもだけに贈与すると、他の相続人との間で不公平感が生じることがあります。

相続では「遺留分」という最低限の取り分が法律で保障されており、生前贈与も、場合によっては遺留分侵害額請求の対象になることがあります。

特に土地のような高額資産を一部の相続人に先に移す場合は、将来のトラブルを避けるためにも、家族間での十分な話し合いが重要です。

まとめ|1,000万円を渡すならまずは税理士へ相談を

1,000万円の贈与は、制度の選び方によって税負担が大きく変わります。

まず、「使い道」が決まっているかどうかを整理しましょう。

  • 住宅や教育など目的がある → 非課税特例を検討
  • 使い道が自由 → 相続時精算課税も選択肢

特例を使う場合は、税額が0円でも必ず期限内に申告することが必要です。
相続時精算課税は、一度選ぶと暦年贈与に戻れない制度である点にも注意しましょう。

また、税務調査では通帳の動きなども確認されることがあります。
家族間の贈与でも、契約書や資金の流れをきちんと残しておくことが大切です。

「どの制度が自分の家族にとって有利か」と迷う場合は、二次相続まで見据えたシミュレーションができる税理士への相談も検討しましょう。

高部孝之税理士

監修者


高部孝之税理士事務所

税理士高部孝之

2019年税理士試験合格 2020年税理士登録
都内大手税理士法人にて約13年間勤務。資産税部門の責任者などを経て、2024年に独立し浅草にて資産税を強みとする税理士事務所を開業。
専門用語を用いず、平易な言葉で説明することを大切にしており、お客様が親しみやすく相談しやすい税理士を理想としています。

保有資格

税理士・FP技能士1級・相続診断士

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