どんな会社売却や事業売却が儲かる?相場やメリット徹底解説
会社売却は儲かるのでしょうか?
事業売却や株式売却で利益をあげて、新規事業や老後資金にあてようと考えている方も多いと思います。
また「相続で引き継いだ会社の運営が困難なので、会社売却をしたい」、「せっかく家族が大きくした会社なので、高額で売りたい」などとお考えの方もいるでしょう。
この記事では、会社売却でいくら儲かるのかに着目して、相場と企業価値の評価方法、会社売却のメリットなどについて解説していきます。
会社売却で儲かるためには、まずは評価方法を知ることが大切です。ぜひ最後までご覧ください。
会社売却や事業売却で儲かる要因は?
会社売却で儲かる要因は?
会社売却や事業売却が儲かるかどうかは、様々な要因に依存します。
会社売却や事業売却の前に、自社の評価を上げるにはどうしたらよいのでしょうか。
企業の価値の評価では、市場の需要と供給、業界の成熟度・将来性、企業の財務状況・経営の安定などの要因が総合的に考慮されます。
企業価値を高める要因が多ければ多いほど、会社売却や事業売却で儲かる可能性を高めることができるでしょう。
儲かる理由は市場の需要と供給
市場での需要が高ければ、多くの売却益が期待できます。
しかし供給過剰の場合は、価格競争が激しくなり、利益が減少する可能性があります。
買い手が事業を拡大したいと思っているのであれば、多くの店舗を有する会社が売却しやすいでしょうが、同じ条件の売り手が多ければ多いほど、買い手優位になってしまいます。
儲かるかどうか、より高い売却価格を設定できるか以前に、買い手に選ばれないというリスクがあるでしょう。
供給過剰の場合は、他社との差異化によって、買い手候補に強みをアピールすることが重要です。
たとえば近年、印刷業界は供給過剰となっていますが、同業者の下請けではなく官公庁からの直受けが多い、特殊な印刷技術があるなど、他の企業に負けない強みがあれば、会社売却が成功しやすいといえるでしょう。
儲かる理由は業界の成熟度・将来性
成長段階にある新興産業は、企業価値を高く評価してもらえる傾向があります。そして、将来性の有無も売却益に影響を及ぼすといえます。
たとえば、IT関連事業であれば、現在成長段階にある業界であり、他の業種とのシナジー効果も生まれやすいため、企業価値を高く評価してもらえる傾向が強いでしょう。
一方、成熟した業界では、価格競争が激しくなりやすいです。成熟期にある業界では、企業価値が下がらないうちに売却に乗り出すことが必要となります。
たとえばドラッグストア・調剤薬局などは成熟期をむかえていますが、現在、シェア拡大やプライベートブランドの展開などを目的とする業界再編が活発です。
経営基盤を強化したり、後継者問題を解決したりするには、機を逃さずに、自社の強みをうまくアピールして、積極的に買い手を探す必要があります。
儲かる理由は企業の財務状況・経営の安定
企業の財務状況も重要です。健全な財務状況や持続可能な収益性があれば、売却価格が高額になる可能性が高まります。
たとえば売上が5億円以上、営業利益が5000万円以上、赤字なしといった場合は、経営が安定しているといえ、会社売却の買い手がつきやすいといえるでしょう。
会社売却は儲かる?事業売却の相場は?
上場株式を売却すると儲かる?相場は?
企業価値評価の方法は様々です。
上場株式の場合、株式市場で時価が付けられています。
そのため上場株式の譲渡価額は、市場の時価×株式数という計算方法で算出することができます。
上場株式の譲渡益については、譲渡価額-取得費という計算式で算出します。
市場取引相場がない会社売却・事業売却はいくら儲かる?
非上場株式の場合は、市場取引がないため、純資産や類似業種の市場価額、配当額などを参考に譲渡価額を計算する手法があります。それぞれコストアプローチ、マーケットアプローチ、インカムアプローチなどの評価手法があります。
企業価値の3つの評価方法
- コストアプローチ
資産や負債に着目した算定手法
例)純資産法、年買法
会社の売却金額=純資産+営業利益の3~5年分 - マーケットアプローチ
事業の類似するマーケットに着目した算定手法
例)EBITDAマルチプル法
株価=EV+現預金-有利子負債 - インカムアプローチ
収益性に着目した算定手法
例)DCF法
将来のキャッシュフローを現在価値に割り引いて事業価値を算出
一番儲かる会社売却価格の計算方法
コストアプローチ、マーケットアプローチ、インカムアプローチのうち、いずれか必ずひとつの方法で算定しなければならないという決まりはありません。
実務で多用される傾向があるのは、純資産をもとにする年買法(時価純資産+営業利益の3年~5年分)です。しかし、その他のアプローチによってより儲かる売却価格を設定できるのであれば、チャレンジしてみてもよいでしょう。
実際に売却価格をつめるのは、買い手候補が見つかり、DDなどを経て詳細な条件交渉をおこなう段階になります。
買い手候補を募集している現段階では、いずれかの計算方法を採用しながら、ある程度相場を意識しつつ、買い手が興味を失わない程度に売却価格を設定しておくのが得策でしょう。
関連記事
儲かるだけではない…会社売却のメリットは?
会社売却のメリットは人それぞれ
会社売却で得られるメリットは、人それぞれでしょう。
会社売却のメリット
- 売却益の活用
老後資金、新規事業、借金返済にあてられる - 事業の成長
シナジー効果で事業が成長・主力事業に注力 - 個人保証からの解放
売却益の活用
会社売却をすることで、経営者は売却益を獲得することが出来れば、老後資金の心配なく早期リタイアができるでしょう。
また、会社売却の売却益を、新規事業立ち上げの資金として活用する経営者もいます。
ほかにも、会社売却の売却益を獲得できれば、負債の返済にあてることも可能になります。
事業の成長
「自身ではこれ以上、会社を成長させることが難しい」と判断した場合、会社の清算手続きをおこない、廃業するという選択肢もあります。
しかし、思い入れのある会社・事業を消滅させてしまうのは、大変心苦しいものです。
こういった場合にも、会社売却や事業売却といったM&Aの手法を実行するメリットがあります。
シナジー効果が高い相手とのM&Aが成立すれば、事業の存続がかない、ひいては買い手によって新たな価値を創造してもらえる可能性があります。
また、会社売却・事業売却をおこなうことで、大切な経営資源を主力事業に集中させることもできるでしょう。
個人保証からの解放
会社の創業者は、会社の連帯保証人になっていることが多いものです。しかし、個人保証からの解放を望む経営者も多くいるものです。
この場合、会社売却の実行が、保証人の地位から解放されるための足がかりとなるかもしれません。
将来の相続にそなえて、我が子に会社運営や保証の重責を負わせたくないと思う経営者が、会社売却に踏み切るケースもあるでしょう。
不採算事業も売却できる?儲かる?
業績悪化が著しい不採算事業を売却することは難しいものです。しかしケースによっては、多少の赤字があっても、他の企業にない強みや将来性がある場合には、会社売却・事業売却ができる可能性があります。
会社売却・事業売却ができるかどうかは、買い手が買いたいと思うような「強み」があるかどうかが重要です。買い手はビジネスの一環として、シナジー効果が享受でき、事業拡大を目指せる可能性があれば、売却に応じてくれるでしょう。
ただし、不採算事業の売却ではタイミングを逃さないことが、特に重要です。
理想的な買い手があらわれた際に、すぐにマッチングできるように、他社にない強みを確立したり、赤字の理由や黒字化の展望などを説明できるようにしておきましょう。
会社売却で後継者問題や社員の雇用確保を解決
会社売却や事業譲渡は、儲かるだけがメリットではありません。
同族経営の場合は、子どもが後を継がないことで会社をたたむという選択肢が現実味を帯びるケースもあるでしょう。
その際、「ここまで育てた会社を廃業するのはもったいない」と感じる場合や、「社員の雇用を維持して生活を守りたい」とお考えの場合は、会社売却を検討してみるのがおすすめです。
会社売却をおこなえば、買い手の経営手腕にもよりますが、その後も会社そのもの、事業そのものを存続させられる可能性はあります。また、社員の雇用も維持できる可能性もあります。
ただし、社員の雇用を維持するには、会社売却・事業売却の詳細条件を交渉するなかで、社員の処遇についても交渉をする必要があります。
事業を引き継ぐのであれば、ノウハウに精通する人材は非常に重要な存在です。買い手との条件交渉では、その点を十分に理解してもらうことも大切です。
関連記事
会社売却・事業売却のデメリット
儲かるとは限らない?会社売却・事業売却のデメリット
コストアプローチ等の手法にのっとり、会社売却価格を設定していたとしても、デューデリジェンス後の最終条件交渉で買いたたかれてしまうというケースもあります。
具体的な交渉の場面で、会社売却価格を減額するように要求された場合は、その根拠を数字とともに提示してもらいましょう。
買い手側の事情で減額を提案されることもあるので、冷静に判断し反論していく必要もあるかもしれません。
関連記事
会社売却の譲渡益で儲かる分、税金がかかる
個人株主が株式譲渡をした場合には、譲渡益について税金がかかります。
税金の内訳は、所得税・復興特別所得税・住民税です。
これらをあわせると20.315%の税率で、譲渡益に税金が課されます。
関連記事
ロックアップで早期リタイアできない
会社売却で儲かるとしても、すぐには会社から離れられない可能性もあります。
というのも、引継ぎのために数年程度、売却先の企業において業務に従事しなければならないという取り決め(ロックアップ条項)が、M&Aの最終合意書に盛り込まれる可能性があるからです。
経営者であれば、長年経営してきたノウハウや重要事項など一朝一夕ではとても引き継ぐことができないものでしょう。
数年の単位で、会社にとどまるようオファーされることもあります。
ロックアップになれば、すぐさま新規事業を始めるといったことは難しくなるので、留意しておく必要があります。
会社を手放すことの寂しさ
会社売却・事業売却を行った場合、十分な売却益を得られ儲かるというメリットはあるでしょう。
一方で、会社そのものや、事業が他人の手にわたるという現実もあります。経営者としては、会社、事業を手放すことのさみしさや、むなしさを感じることもあるでしょう。
事業を再開したいと思っても、通常、競業避止義務を負うケースが多いため、同業の会社を立ち上げることできません。
その点が、会社売却や事業売却lのデメリットになるかもしれません。
儲かる会社売却・事業売却には良きパートナーを
会社売却・事業売却・M&Aの相談先は?
会社売却の相談先は、M&A仲介会社やM&Aに特化したプラットフォームなど様々です。
それぞれの媒体で、強みやスキームが異なります。
そのため、まずは問い合わせをしてみて、買い手探しのコネクションを増やしておくのが良いでしょう。